金沢大学がんセンターブログ

金沢大学がん高度先進治療センター医局における
日々の出来事を適宜更新していきます。

シーシュポスの神話ではなくて

2011-01-24 20:58:27 | 日記

昨日の日曜日、当直明けで医王山スキー場に行った。車で数十分の小さなスキー場だ。リフトは2本。1本は初心者用で、日曜日は家族連れで一杯。昨日は同僚のQ先生一家、前回はP先生一家に会った。近場というのが人気の秘密だろう。もう1本は中級者用で、待ち時間がほとんど無い。斜度はそれほどでもないし、距離も短い。高校生ならば物足りないだろうけれども、はうるには十分である。800円の半日券を買って、登っては、滑り、登っては、滑り、登っては、滑り、登っては、滑り、登っては、滑り、登っては、滑り、登っては、滑り、登っては、滑り。これで楽しくなければシーシュポスの神話であるが、楽しい。というか、とても楽しい。

少し眠いけど、こんな日曜日があるのはいいことだ。   はうる


平成22年度がん薬物療法専門医試験

2011-01-17 10:44:35 | 日記

 私事で恐縮ですが、この度、平成22年度がん薬物療法専門医試験に合格することができました。
まずは、試験を受験するにあたり、大変お世話になりました大坪医局長をはじめ各先生方に感謝申し上げます。

試験は、昨年の8月に1次試験としてサマリー評価をパスした後、11月に2次試験として筆記と面接が行われました。
他の先生方同様、日常診療・研究・教育の合間に準備を進めるわけで、私は1か月半前ごろから準備を開始しましたが、試験前には準備不足を痛感することになりました。最後の2週間の詰め込みでなんとかなったと思いますが、やはりがんセンターにおいて各専門家の先生方の中で過ごしている日常臨床の経験(いわゆる耳学問も含め)、がん研究に携わっている経験が最終的には大いに役立ちました。また、当センターですでに専門医資格を有しておられる先生方の体験談も大いに参考になりました。さらに、矢野教授の医局員全員の専門医取得を目標にという方針に沿って、医局の雰囲気やサポート体制が確立していることも大変助かりました。
このように、専門医試験受験に際しては、当センターでの診療・研究など多岐にわたる経験や医局全体をあげたサポート体制が大変貴重なものであったと実感しております。

今後は、がん薬物療法専門医の末席を汚すことなく、患者さんへこれまで以上により良い医療を提供し、がん診療に興味を持つような医師の育成や新たながん分子標的治療薬の開発に貢献できるよう、さらに精進していきたいと考えています。
今後とも、ご指導ご鞭撻のほどよろしくお願いします。

 文責:山田


文体とパスの精度

2011-01-15 15:40:28 | 日記
今週水曜日にがんプロ・キャンサーボードが開かれた。月に1-2回、北陸4大学の附属病院を回線でつないで、興味ある症例の検討会をテレビ会議で行う、というものだ。今回はがんセンターから矢野教授の司会のもと、山下先生の担当で骨髄癌腫症の一例が提示された。
症例の提示後、骨髄癌腫症について彼が勉強したことのいくつかを紹介してくれた。彼によると骨髄癌腫症と似た用語に骨髄癌症、播種性骨髄癌症、播種性骨髄癌腫症、瀰漫性骨髄転移があり、少々用語の使用法に混乱があるらしい。しかも朝倉内科学、臨床腫瘍学には定義が載っていないそうだ。ただ本邦で始めてこの病態を提唱したのが林らであり、その論文では「播種性骨髄癌症」が使われているため、これを正しいとするのが妥当だろうとのことだった。キャンサーボード終了後、山下先生に「ところで播種性骨髄癌症の定義は?」と質問してみたら、彼曰く、「定義は書かれてない。」との返答。興味が湧いたので、論文のコピーを借してもらった。
論文は30年前に発表されている。これが何とも格調高い文体で、こんな感じである。

『癌における転移現象は、癌における生物学的本質の必然的な表現形態として、進行癌にあっては、不可避な現象の一つである。白血病に代表される造血器悪性腫瘍では、しかしその著しいびまん性浸潤性性格が“転移”というよりもむしろ、びまん性臓器浸潤という形態で表現され、一方、、、』

この調子が結語まで続く。読んでみたが、確かに播種性骨髄癌症の特徴については論文中で詳述してある。しかし特徴は定義ではない。字義からは骨髄への播種性転移が必要条件であることはわかるが、十分条件かとうか明記していない。明記はしていないが、十分条件ではなさそうな記述がある。

『、、、従来、bone carcinosisまたはKnochenmarkkarxinoseと呼ばれてきた一群の転移癌についていうなら、これは、前立腺癌などの広汎な骨転移癌で、かつ、骨硬化性病変の著しい一病型に対して用いられる概念であり、したがって、この種の骨転移に対するいわば記述的概念として援用される傾向があり、転移の生物学における本質的な意味付けは必ずしも含まれないものであろう。もちろん、MHAやDICなる出血症状との深い結びつきで語られることはないといえる。』

では、MHAまたはDICを加えれば十分条件ということになりそうだが、集積された40例中、MHAまたはDICを合併していたのは36例、つまり4例ではMHAまたはDICの合併が確認されていない。つまりMHAまたはDICは必要条件ではない。こんな記述もある。

『、、、本症にほぼ必須ともいえる骨髄転移巣に、しばしば、壊死巣と癌細胞のびまん性浸潤巣が隣接ないし混在して認められることはきわめて印象的で、、、』

播種性骨髄癌症は骨髄転移巣の存在を必ずしも意味しない、と読める記述である。林らの卓見は疑う余地はない。しかし、文体が格調高いためか誤読の可能性を必ずしも排除できていないと考えざるを得ない。後世が正しく引用できなかったのも理由がないとは言えないだろう。 はうる


林 ほか :播種性骨髄癌症 ―転移癌の一病型としての考察ならびにmicroangiopathic hemolytic anemiaまたはdisseminated intravascular coagulationとの関連について―   癌の臨床 第25巻第4号329-343 1979年

医局説明会

2011-01-14 11:51:11 | 日記

1月13日に医局説明会を行いました。

当日は、興味を持たれた6名の学生さんが参加されました。

第1部として、大坪医局長、安本病棟医長、矢野教授からそれぞれ、がんセンターに関する説明や我々が日常行っている診療、研究に関する話がありました。

 

 

その後は、笠舞にある「まつ蔵」まで雪で凍結している夜道を移動し、第2部として、割烹料理をいただきました。お酒も入って、日頃は聞けないような話も飛び出し、和やかな雰囲気で楽しい時間を過ごせました。

我々の医局のアットホームな雰囲気が伝えられたのではないかと思います。

 

今回の説明会でも多くの学生さんが「がん診療・研究」に対して興味を示され、来年のクリニカルクラークシップが今から楽しみな状況です。

 


あけおめことよろ2011

2011-01-01 01:26:31 | 日記

紅白を見ていたら、急患で呼び出された。桑田は見たかったのだが残念。検査の結果を待つ間、病棟で時間をつぶす。暇に見えたのか、ナースに患者さんの病態について質問を受ける。スラスラ答える。そりゃそうだ、つい最近勉強したばかりだから。調子に乗ってレクチャー状態で喋っているとナースYが言った。

「あっ。明けた。」

本当だ。1月1日、午前0時過ぎだ。

「今年もよろしくお願いします。」

「今年もよろしくお願いします。」

「今年もよろしくお願いします。」

みんなで挨拶を交わす。こういうのはわるくない。

 

みなさん、明けましておめでとうございます。

今年もよろしくお願いします。              ハウル