金沢大学がんセンターブログ

金沢大学がん高度先進治療センター医局における
日々の出来事を適宜更新していきます。

第63回日本肺癌学会北陸支部会

2011-02-09 12:05:22 | 日記

平成23年2月5日(土)に、金沢大学宝町キャンパスにて第63回日本肺癌学会北陸支部会が開催され、参加しました。

本学会の当番世話人を当院呼吸器内科の笠原寿郎先生がされることもあり、当センターからも演題を発表しました。

今回は演題数が多く、様々な内容の発表があり、大変参考となりました。

 

また、明日からの診療に役立てていきたいと考えております。

 

 


平成22年度『がん薬物療法専門医』資格認定試験を終えて

2011-02-04 17:14:18 | 日記

 まず 私事ですが、無事合格することができました。

 本試験受験にあたり、矢野先生はじめ医局の先生方には貴重な情報をご提供頂き、この場をお借りして、ご厚意に深く感謝いたします。

 

 今年度、平成22年度は、第6回がん薬物療法専門医試験(非営利活動法人日本臨床腫瘍学会)が行われました。例年一次審査(書類審査、8月末提出)と二次審査(筆記試験・口頭試問、11月末実施)で審査が行われます。一次審査は、受持患者病歴要約の提出で、A4版2枚に現病歴・検査所見・臨床経過・考察など詳細に漏れなく記載する必要があり、もともと外科医である私は、ここまで詳細で十分な内容の要約を記載することを義務づけられた試験(各種学会認定医・専門医試験)はなく、不慣れなことと臨床・研究と同時進行でもあったため正直準備にも手間取りました。これら報告書は、提出期限(とても厳密)が8月末までになっており、少なくとも3臓器・領域以上、1臓器20例以下、総数30例を提出することになります。私は、消化器・肝胆膵・乳房・肺・原発不明の5領域で書類を作成しました。提出された書類は、査読者2名により評価が下され、毎年約1割が書類不備のため不合格となっているとのことです。書類提出2ヶ月後の10月下旬に一次審査の結果発表があり、一次審査をパスすると二次審査の案内が手元に届きます。今年度は、東京で二次試験が行われました。筆記試験は、午前・午後それぞれ100分ずつ、100問に答える(マークシート)という量・質ともに豊富で充実しており、かなり時間との勝負になります。私は、がん診療レジデントマニュアルを参考書として、試験の2週間前からやっと尻に火がつき(遅い!!!)始めましたが、せめて一ヶ月前には始めることをお勧めします。覚えたことはすぐに忘却のかなたへと消えてしまいますから繰り返し繰り返しです!
翌日の口頭試問は、30ブースに区切られた広い部屋で各ブース2〜3名の審査官を前に30分の口頭試問が行われました。私は、HER2陽性乳がんでB型肝炎ウイルス陽性患者における抗がん剤治療について、その標準治療法やトラスズマブ・ラパチニブ等の投与法、新たな臨床試験を計画するとすればどのようなレジメンで行うかなど、さらにはエンテカビルの予防投与についても投与期間などを含めて質問がありました。なんとか答えることができましたが、2か月後の今年1月15日に郵送で結果が通知されるまで落ち着かない毎日でした。

 私の中で、この薬物療法専門医を取得することの意義は、昨今の分子標的治療薬をはじめとするめざましいがん薬物の進歩に少しでも追いつき、これまで培ってきた外科療法ばかりでなく、薬物療法にも精通することで、がん治療の3本柱である「外科療法」・「薬物療法」・「放射線療法」のうちの2領域をカバーできる医師となることでした。医師に必要な「Humanity」・「Art」・「Science」がありますが、薬物療法専門医取得で「Art」をひとつ増やすことができました。
折しも国策としてもこれまでの臓器縦断的見方ではなく臓器横断的に腫瘍(がん)をマネージできる腫瘍内科医の育成の必要性(がん薬物療法のスペシャリスト養成)を推し進める時期とも重なりました。もちろんがん薬物療法専門医としては、かけ出しで、今後も同輩諸氏や患者さんから数多くの経験や知識を得て、皆さんのお役に立てるよう、またお世話になった方々に少しでも恩返しができるよう精進して参りたいと思います。また後輩の育成にも力を注いでゆきたいと考えおります。

 

文責:安本 和生