金沢大学がんセンターブログ

金沢大学がん高度先進治療センター医局における
日々の出来事を適宜更新していきます。

第52回 日本肺癌学会(2011.11.03-04) & Lung Cancer Diagnosis Symposium(2011.11.05) in Osaka

2011-11-07 09:05:58 | 日記
兼六園の雪吊りも始まり冬の足音が近づいてきました去る11月3-5日、大阪で開催されました第52回日本肺癌学会とLung Cancer Diagnosis Symposiumに参加して参りました。





このたびは矢野教授がJLCS/IASLC joint Symposiumにて1題、山田助教が分子標的薬の口演1題、南條医員が前任地での症例集積報告を1題それぞれ発表しました。
発表でさまざまな鋭い質問いただき、活発な議論が交わせ刺激を受けると同時に、当科の研究が今注目を集めている分野であることをひしひしと感じました。



(矢野教授:Symposium)


(山田助教:口演)


(南條医員:口演)


参加されたほかの多くの皆様の口演も大変勉強になりました。
また、ポスター発表も非常に興味深いテーマが並んでおりました。その数700を超えており全部拝見することは当然できませんでしたが、今我々が行っている研究、そして明日の臨床にも活かせる内容が沢山盛り込まれておりました。



小生が(個人的に)特に感銘を受けた発表は『がん性呼吸困難に対する診断と治療の組み立てかた:現場の知恵とワザ』でした。

我々はがんのメカニズムの解明と治療開発とともに臨床への還元を目指しているわけですが、残念ながら我々の扱っているこの病気は、治療の末に患者さんを御看取りすることになることがほとんどです。
そうした臨終までの経過をいかに安らかに御家族とともに過ごせるようにするか、これを病棟スタッフや他科(特にペインクリニック)、コメディカルとともにサポートすることも我々の重要な使命です。
この経過において、さまざまな身体的な、精神的な、そして見守る御家族の苦痛を除くことが大事になります。この『呼吸困難』は、この中でも見ている人達にも苦痛でなかなか治療が難しい、大きな壁です。
この講演では、呼吸困難がいかに解決が難しいかも踏まえたうえで、学術的な根拠から出たものからちょっとした工夫に至るまでのさまざまな解決法を提示していただきました。
つらつらとここで詳細を書き連ねることはいたしませんが、明日からでも患者様への臨床に活かしていこうと思います。


Lung Cancer Diagnosis Symposiumでは、主に新規分子標的治療薬:クリゾチニブを用いるにあたって、検査をどのように行うべきかが活発に議論されました。
同薬剤は特定の肺がん患者さまに著効する薬であるわけですが、その『特定の』を検査する方法(RT-PCR、免疫染色法、FISH)が確立されきっていない部分があり、どこまで検査すべきかが議論の的になりました。
検体採取が難しい肺がんの治療にあたり、治療可能な患者様をひとりでも取りこぼさないためにも、そして検査のレベルを国全体でBrush upするためにも、これら検査や治療を手広く寛大に保険適応として認めて欲しいと政府・厚生労働省に願うところでした。

                                            
石川大輔



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