金沢大学がんセンターブログ

金沢大学がん高度先進治療センター医局における
日々の出来事を適宜更新していきます。

第1回石川県がん診療連携拠点病院研修会

2010-08-04 17:48:08 | 日記

 731 () に当院宝ホールにて1回石川県がん診療連携拠点病院研修会があり、小生は「膵癌の診断と内科的治療の現状」とのタイトルで膵癌についての講演を行いました。

 土曜日の午後ということもあり、事前参加申込者が5人前後と少なく、参加者があまり集まらないと思っていましたが、予想よりも多く集まっていただき、自分としてはうれしい限りでした。当日は膵癌に対する診断法として、当科が以前より力を入れているERCPEUSEUS-FNA、治療法として、標準療法であるゲムシタビン、S-1に加えて今年のASCOで発表されたFOLFIRINOX療法や放射線化学療法、そして最後に胆管ステント、消化管ステントについての話をさせてもらいましたが、皆さん大変熱心に聞いてくださいました。この場をお借りして感謝申し上げます。

 膵癌の治療は2001年にゲムシタビン、2005年にS-1の保険適応が通り、予後は幾分改善されましたが、いまだに最も難治性の癌腫の1つであることには変わりはありません。講演中にもお話ししましたが、膵癌と診断された8割の人が手術不能であり、手術をした人でも8割は再発してしまい、実際膵癌と診断された方のうち45%の方しか助かりません。講演の最後には、膵癌診療はロッククライミングのようなもので、まだまだ行き先は厳しいのが現状であることをお話ししましたが、これからもこの難敵に対峙し、1人でも多くの患者さんを救えるように頑張っていきたいと思っています。

 膵癌に関することで不明な点がある方、あるいは膵癌に興味を持たれた方がいらっしゃれば、遠慮なく連絡して下さい (メールアドレス:ohtsubo@kenroku.kanazawa-u.ac.jp)
特に学生さん、研修医の皆さんは大歓迎です。

 

文責 大坪公士郎