『らーめん放浪記』
〈2-(17)・鹿児島〉
『タコー頭(ズ)』鹿児島中央店オープンは4日後。
昨日から何もノドを通らんバイ。食欲がわかんとバイね。しんどいバイ。しんどい、バイ。とにかく『ウィダーインゼリー』ばかりチューチュー吸うとるバイ。しかしそれすらも細胞か体液か脳味噌に思えて仕方なかバッテン、結局吐きよる。おいらどうにかしちまったトバイね。周りは何も悪くなか。みんなおいらの感覚が悪かトよ。誰もだあれも悪くなか。悪くなか。
おうっおうっおうっバイ。
とにかく事を理解するのに時間を要したバイが、そんなの見たまんまバイ。ええい、見たまんまの“死体”バイ。“人肉”バイ。中にはおいらがトレーナーを勤めたセミナーの卒業生や受講生もおるとバイ。“おる”?“ある”っちゃろうが。そう、そこに“肉”として“ある”とバイ。そげな単純なこつ理解し受け入れるのに時間かけてどうするト?って事っちゃね。憧れの社長は頭の回転バ早か。本来ならばチーフであるおいらが現場を引っ張っていかんとダメな立場バイが、社長に助けられちょったバイ。社長はさすがバイ。おいらはもっともっと、しっかりせんといかんバイ。しっかりせんと、勤まらん仕事バイ。しっかり。おいらが、しっかり。
おうっおうっおうっバイ。
そう自分で自分を“洗脳”し、なんとか昨日初日は乗り切ったバイ。スタッフ達もおいらを「チーフちゅーちゅー、チーフちゅーちゅー」としたってくれちょる。昼と夜には“まかない料理”を、夕方には“おやつ”までふるまってくれよった。信頼されちょる証バイ。昼は軽いランチとばかりに『老人と子供のポワレ』。栄養感の薄いパサパサ老人肉と弾力あるみずみずしい幼児肉とを合わせてパリッと焼き血液のムースリーヌとご一緒にバイ。夜はしっかりと『アスリート肉のトゥルヌト、睾丸添え』肉汁迸るグリル一気焼き。睾丸のとろける様な食感も魅力バイ。夕方の“おやつ”に出た『脊髄のタルト』と『血小板コーヒー』はもうたまらん美味さバイおえ~、ううぉえええ~、おえおえ~…。そげんコツ思えんバイ…おえ~。やはり心の修行が足りんバイ。おいら自身が悪いバイね。スタッフのおらん所で、スタッフに気づかれんように、じぇんぶ吐いたバイ。おいらの他己セミナー受講者達を、じぇんぶ吐いたバイ。ごめんなしゃい、ごめんなしゃい。頑張る。
おうっおうっおうっバイ。
夜、用事があると誤魔化して今度は黒豚の店『SATUMA黒波』鹿児島中央店へ向かったバイ。『タコー頭』から徒歩1、2分。近い、近すぎるバイ。こんな至近距離の、しかも敵対意識バある2店舗オープン責任者を引き受けちゃって、本当大丈夫なんだろうか。『SATUMA黒波』へ行くと夏子バお父しゃんが首を長~くして待っちょった。相当イライラしちょったんか、本当に首が長くなっちょる気がしたバイ。こん人『サツマ組』の組長バイがヤクザ的怖さ以上になんちゅーか妖怪的怖さバあるっちゃろうか、ギョロリ見開いた眼に多少禿げ上がった頭で恐ろしく無邪気な性格はまるで“河童”そのものタイ。「遅い遅い遅いよーもー!」と叫びながら『DS Lite』と『PSP』をガンガンぶっ叩いていたバイ。おいらは必死にあやまったバイ。しかしもう遅くて眠いからまた明日遊ぼうねと帰ってしまったバイ。
本日のおいらの業務日記もここまで。
明日は『SATUMA黒波』
『タコー頭(ズ)』鹿児島中央店オープンは3日後。
いきなりバイが、こちらもオープン準備をしていた『SATUMA黒波』鹿児島中央店がなんと3日後に店を開くコツになったバイ。多分『タコー頭』に対抗した処置バイ。オープンを間に合わそうとスタッフ一同開店準備に大忙しバイ。おいらはと言うと朝からずっとお父しゃんと遊びっぱなし。こげんコツで良いのか。しかし『モンスターハンター』やってる間に店内内装はしっかり完成しちょったバイ。これでは店長としての立場が、威厳が、無かろうもん。店長の仕事バせんといかんっちゃ。そげんコツ思っとたら、店内で放し飼いしちょる黒豚達が群れを成してブーブーと足元になついて来よった。遊んでいて良いってコツか。黒豚様のお許しが出た、みたいなバイか。そげなコツ無か。いやいやスタッフ達も「店長ぶーぶー、店長ぶーぶー」としたってくれちょる。とりあえずは何もせぬまま、ただただお父しゃんと遊んで今日の仕事終了。「また明日ねー!」とお父しゃんは帰って行ったバイ。これもまた仕事ってコツか。これで良いのか。これで良いのだ。
おうっおうっバイ。
夜、『晴流屋』社長のお誘いで天文館へ向かったバイ。さすが鹿児島1の繁華街バイ。煌びやかバイね。商店街アーケードを抜けて山形屋デパートの裏手筋。おいらも前に1度訪れているらーめん屋台『黒猫』タイ。それにしてもえらいたまげたバイ。どえらか行列タイね。流行っとーとよ。まるで蛇がトグロを巻いているかの様タイ。グルグルとどこまでも列は続き、終わりが無かトばってん。どのお客もとりつかれた様な目付きでただただジッと並んでおるトバイ。まるでここのらーめんバ無いと生きてゆけんくらいな目付きタイ。そげな列をもろともせず、社長はズンズン突き進み店内へ。凄かとね、社長クラスとなるともう顔パスね。誰も文句を言うもんはおらんバイ。店主と目配せで挨拶バ交わしちょる社長。おいらも一応一礼。カウンター隅のお客が席を譲ってくれたバイ。これまた社長パワーたい。爺さんがらーめんバ運んで来よった。おいらはバリバリの博多っ子タイ。らーめんにはうるさかよ。やっぱりらーめんは豚骨バイ。
おうっバイ。
それにしちょうとも、えらくシンプルならーめんね。スープの色ばきれいタイ。ん、何ねこん香り。身体ば包み込むような濃厚な香りバイ。かぎ続けとらんと鼻がモゲそうタイ。麺バひとくち。美味か。何ね、こん味。こげんらーめんバ食べたコツ無か。初めてバイ。口に含んだ時のこの上品なスープ。麺とスープが喉でトグロを巻いとるバイ。頭蓋骨バハンマーでカチ割られた様な衝撃タイ。舌が溶けて無くなっちゃいそうな程美味かスープのコク。必死に巻き舌で喋っとらんと、ベロ取れちゃいそうで不安タイ。ベラベラうるさいと社長に叱られたバイ。トッピングの肉バこれまた美味か。顎がおかしくなっちゃうんじゃなかろうもんってくらいやわらかく溶けたバイ。全身に美味さが転移していくバイ。胃からじんわりとスープが内臓全体に溶け込んで、おいら自身がこんらーめんバなってしもうた様な錯覚にさえ陥る、凄かパワータイ。こんならーめん初めてタイ。まさに食べれば食べる程脳が昇天しちょる。もっと、もっと、もっと欲しい。ここはらーめん天国タイ。
おうっバイ。
おうっバイ。
気づくとホテルの部屋にいたバイ。
あのらーめんの味バ忘れられん。
スープの味バ忘れられん。
もっと食べたい、もっと食べたいと
おうっバイ。
身体が賛美歌を歌っているようだったバイ。
今日も終わり。日記終わり。
おやすみなさい
『タコー頭(ズ)』鹿児島中央店&『SATUMA黒波』鹿児島中央店オープンは2日後。
もう駄目バイ。『黒猫』のらーめんが頭から離れん。たまらん、食べたか、勝手に脳が口に指令を出し、ヨダレがいつまでも止まらん。とめどなく流れて来よる。正直『タコー頭』も『SATUMA黒波』も『他己啓発セミナー』も、『黒猫』のらーめんに比べたらしょーもない物にさえ思えてきてしまったバイ。『黒猫』らーめんのせいで仕事に身が入らん。一体あのらーめんは何物なのか。そういえば社長が言っていたバイ「あ、それとね!調理の際に出た“人がら”や“骨”は『黒猫』に運んでちょうだい」と。関係ありありバイか。『黒猫』らーめんは“人肉人骨らーめん”?それであんな美味いのか?あんな虜になる程。『タコー頭』の材料だって“他己達”だ。何がどうなってどう違う。
おうっバイ。
今日は『SATUMA黒波』では“遊び”に身が入らず、『PSP』をヨダレまみれにしてしまいお父しゃんに叱られた。『タコー頭』では“他己肉”を運ぶ際の通路の空調がおかしくなり多少肉を腐らせてしまった。社長激怒バイ。
バイ。
しかし全ては『黒猫』らーめんが癒してくれたバイ。並んで、10杯食べたバイ。いい加減にしろと店主と爺さんに怒られたバイ。
いい加減にさせて欲しいのはこっちバイ。
こげんコツではおいらは駄目になるバイ。
こげん美味さではおいらを駄目にするバイ。
時間が無かバッテン夜は来るバイ。
ひとしきり『黒猫』らーめんでトリップしてまた気づくとホテルばい。
美味さで記憶が飛ぶらーめんタイね。凄かー。
日記終わり。
寝るバイ
『タコー頭(ズ)』鹿児島中央店&『SATUMA黒波』鹿児島中央店オープンは明日。
大変な事が起きたバイ。昨晩、鹿児島県霧島市にある『SATUMA黒波』提携養豚牧場からごっそり黒豚達がいなくなったバイ。駆け抜ける様に無数のブタがやってきて無数の黒豚を連れ去って行たらしいト。牧場内の防犯カメラに映し出されていたらしいバイ。セコムのスタッフが言うちょるには、黒いゴミの塊の様な人の様なもんが、ブタに事細かな指示を出していたようで、「ソワカー!」だか何だか叫んでごっそり黒豚をかっさらって行ったトいうコツバイ。まいった、まいった。何がって、スタッフ達の目線バイ。完全においらが疑われちょる。昨晩おいらが叫んで歩いちょるんを見たもんがおるトバイ。いんや、おいらにはちゃんとアリバイがあるとバッテン大丈夫たい。昨晩はらーめん屋台『黒猫』におったバイ…が…後半の記憶が無か。スタッフ達は口々に言う。「豚泥棒店長ぶーぶー、豚泥棒店長ぶーぶー」完全においらを拒否バイ。遊んでいても拒否されなかったのに、勝手にでっち上げられた疑惑でおいらの地位が転落バイ。かろうじてさらわれなかったのか、店内にてなついていた黒豚達もおいらに寄って来んくなったバイ。それでもみんな悪くないバイ。悪いのはおいらバイ。最近おいらはおかしかったバイ。疑われて当然バイ。
おうっバイ。
バイ。
ババイ。
バババイ。
バイバイ。
そしてついに、
お父しゃんには『タコー頭』でのおいらのコツが
社長には『SATYMA黒波』でのおいらのコツが
互いに全部バレバレとなる事件が起こったバイ。
『SATUMA黒波』にて疑惑を解消しようとスタッフに対して必死な説得の最中、お父しゃんがやって来たばい。「お前!豚返せー!」と泣きじゃくるお父しゃん。そんな騒ぎをたまたま通りかかった社長が目撃。すぐさま店舗に乱入。たちまち2人はおいらをはさんで大喧嘩。“つじつまが全く合わない”2人の喧嘩の様子はまるで『おすぎとピーコ』みたいだったバイ
おうっバイ。
とりあえずおいらは分けも分からずその場から逃走したバイ。
逃げるバイ。
スタッフ達がおいらを
追うっバイ。
逃げるバイ。
ヤクザがおいらを
追うっバイ。
バイバーイ。
気づくとおいらは『黒猫』にいたバイ。
そうだ、らーめんがあったバイ。
『黒猫』のらーめんが。
バイ。
店頭の看板。
『休み』
の文字が。
!!!!!!!!!!!!???????
はぁ!?
休み!?
休みバイ!!?
バイッ!
食べさせちょくれ!!!
らーめん食べさせちょくれ!!!
これで『黒猫』にまで見捨てられたら
おいらもう廃人っちゃね!!!
ナシ休みよる!!?
開けんか!!!
開けてらーめんバ、食わせんかーーー!!!
おーーーうおうっおうっおうっおうっおうっ!
おーーーうおうっおうっおうっおうっおうっ!
泣きゃーせんぞ!
こげなコツで
泣きゃーせんぞ!
おーーーうおうっおうっおうっおうっおうっ!
バーーーイバイバイバイバイバイッ!
全部おいらが悪かトね!
全部おいらが悪かトね!
何し、何し
全部おいらが悪かトかいね!!!?
『タコー頭(ズ)』鹿児島中央店&『SATUMA黒波』鹿児島中央店オープン当日。
『羽犬塚 青春』は拉致られた。
♪パララ~ララ
パラララララ~~~♪
街に夜鳴きの音(ね)が響く。
めけめけ~。
『らーめん放浪記』つづく。
(注)この物語はフィクションです。
写真。河童。
〈2-(17)・鹿児島〉
『タコー頭(ズ)』鹿児島中央店オープンは4日後。
昨日から何もノドを通らんバイ。食欲がわかんとバイね。しんどいバイ。しんどい、バイ。とにかく『ウィダーインゼリー』ばかりチューチュー吸うとるバイ。しかしそれすらも細胞か体液か脳味噌に思えて仕方なかバッテン、結局吐きよる。おいらどうにかしちまったトバイね。周りは何も悪くなか。みんなおいらの感覚が悪かトよ。誰もだあれも悪くなか。悪くなか。
おうっおうっおうっバイ。
とにかく事を理解するのに時間を要したバイが、そんなの見たまんまバイ。ええい、見たまんまの“死体”バイ。“人肉”バイ。中にはおいらがトレーナーを勤めたセミナーの卒業生や受講生もおるとバイ。“おる”?“ある”っちゃろうが。そう、そこに“肉”として“ある”とバイ。そげな単純なこつ理解し受け入れるのに時間かけてどうするト?って事っちゃね。憧れの社長は頭の回転バ早か。本来ならばチーフであるおいらが現場を引っ張っていかんとダメな立場バイが、社長に助けられちょったバイ。社長はさすがバイ。おいらはもっともっと、しっかりせんといかんバイ。しっかりせんと、勤まらん仕事バイ。しっかり。おいらが、しっかり。
おうっおうっおうっバイ。
そう自分で自分を“洗脳”し、なんとか昨日初日は乗り切ったバイ。スタッフ達もおいらを「チーフちゅーちゅー、チーフちゅーちゅー」としたってくれちょる。昼と夜には“まかない料理”を、夕方には“おやつ”までふるまってくれよった。信頼されちょる証バイ。昼は軽いランチとばかりに『老人と子供のポワレ』。栄養感の薄いパサパサ老人肉と弾力あるみずみずしい幼児肉とを合わせてパリッと焼き血液のムースリーヌとご一緒にバイ。夜はしっかりと『アスリート肉のトゥルヌト、睾丸添え』肉汁迸るグリル一気焼き。睾丸のとろける様な食感も魅力バイ。夕方の“おやつ”に出た『脊髄のタルト』と『血小板コーヒー』はもうたまらん美味さバイおえ~、ううぉえええ~、おえおえ~…。そげんコツ思えんバイ…おえ~。やはり心の修行が足りんバイ。おいら自身が悪いバイね。スタッフのおらん所で、スタッフに気づかれんように、じぇんぶ吐いたバイ。おいらの他己セミナー受講者達を、じぇんぶ吐いたバイ。ごめんなしゃい、ごめんなしゃい。頑張る。
おうっおうっおうっバイ。
夜、用事があると誤魔化して今度は黒豚の店『SATUMA黒波』鹿児島中央店へ向かったバイ。『タコー頭』から徒歩1、2分。近い、近すぎるバイ。こんな至近距離の、しかも敵対意識バある2店舗オープン責任者を引き受けちゃって、本当大丈夫なんだろうか。『SATUMA黒波』へ行くと夏子バお父しゃんが首を長~くして待っちょった。相当イライラしちょったんか、本当に首が長くなっちょる気がしたバイ。こん人『サツマ組』の組長バイがヤクザ的怖さ以上になんちゅーか妖怪的怖さバあるっちゃろうか、ギョロリ見開いた眼に多少禿げ上がった頭で恐ろしく無邪気な性格はまるで“河童”そのものタイ。「遅い遅い遅いよーもー!」と叫びながら『DS Lite』と『PSP』をガンガンぶっ叩いていたバイ。おいらは必死にあやまったバイ。しかしもう遅くて眠いからまた明日遊ぼうねと帰ってしまったバイ。
本日のおいらの業務日記もここまで。
明日は『SATUMA黒波』
『タコー頭(ズ)』鹿児島中央店オープンは3日後。
いきなりバイが、こちらもオープン準備をしていた『SATUMA黒波』鹿児島中央店がなんと3日後に店を開くコツになったバイ。多分『タコー頭』に対抗した処置バイ。オープンを間に合わそうとスタッフ一同開店準備に大忙しバイ。おいらはと言うと朝からずっとお父しゃんと遊びっぱなし。こげんコツで良いのか。しかし『モンスターハンター』やってる間に店内内装はしっかり完成しちょったバイ。これでは店長としての立場が、威厳が、無かろうもん。店長の仕事バせんといかんっちゃ。そげんコツ思っとたら、店内で放し飼いしちょる黒豚達が群れを成してブーブーと足元になついて来よった。遊んでいて良いってコツか。黒豚様のお許しが出た、みたいなバイか。そげなコツ無か。いやいやスタッフ達も「店長ぶーぶー、店長ぶーぶー」としたってくれちょる。とりあえずは何もせぬまま、ただただお父しゃんと遊んで今日の仕事終了。「また明日ねー!」とお父しゃんは帰って行ったバイ。これもまた仕事ってコツか。これで良いのか。これで良いのだ。
おうっおうっバイ。
夜、『晴流屋』社長のお誘いで天文館へ向かったバイ。さすが鹿児島1の繁華街バイ。煌びやかバイね。商店街アーケードを抜けて山形屋デパートの裏手筋。おいらも前に1度訪れているらーめん屋台『黒猫』タイ。それにしてもえらいたまげたバイ。どえらか行列タイね。流行っとーとよ。まるで蛇がトグロを巻いているかの様タイ。グルグルとどこまでも列は続き、終わりが無かトばってん。どのお客もとりつかれた様な目付きでただただジッと並んでおるトバイ。まるでここのらーめんバ無いと生きてゆけんくらいな目付きタイ。そげな列をもろともせず、社長はズンズン突き進み店内へ。凄かとね、社長クラスとなるともう顔パスね。誰も文句を言うもんはおらんバイ。店主と目配せで挨拶バ交わしちょる社長。おいらも一応一礼。カウンター隅のお客が席を譲ってくれたバイ。これまた社長パワーたい。爺さんがらーめんバ運んで来よった。おいらはバリバリの博多っ子タイ。らーめんにはうるさかよ。やっぱりらーめんは豚骨バイ。
おうっバイ。
それにしちょうとも、えらくシンプルならーめんね。スープの色ばきれいタイ。ん、何ねこん香り。身体ば包み込むような濃厚な香りバイ。かぎ続けとらんと鼻がモゲそうタイ。麺バひとくち。美味か。何ね、こん味。こげんらーめんバ食べたコツ無か。初めてバイ。口に含んだ時のこの上品なスープ。麺とスープが喉でトグロを巻いとるバイ。頭蓋骨バハンマーでカチ割られた様な衝撃タイ。舌が溶けて無くなっちゃいそうな程美味かスープのコク。必死に巻き舌で喋っとらんと、ベロ取れちゃいそうで不安タイ。ベラベラうるさいと社長に叱られたバイ。トッピングの肉バこれまた美味か。顎がおかしくなっちゃうんじゃなかろうもんってくらいやわらかく溶けたバイ。全身に美味さが転移していくバイ。胃からじんわりとスープが内臓全体に溶け込んで、おいら自身がこんらーめんバなってしもうた様な錯覚にさえ陥る、凄かパワータイ。こんならーめん初めてタイ。まさに食べれば食べる程脳が昇天しちょる。もっと、もっと、もっと欲しい。ここはらーめん天国タイ。
おうっバイ。
おうっバイ。
気づくとホテルの部屋にいたバイ。
あのらーめんの味バ忘れられん。
スープの味バ忘れられん。
もっと食べたい、もっと食べたいと
おうっバイ。
身体が賛美歌を歌っているようだったバイ。
今日も終わり。日記終わり。
おやすみなさい
『タコー頭(ズ)』鹿児島中央店&『SATUMA黒波』鹿児島中央店オープンは2日後。
もう駄目バイ。『黒猫』のらーめんが頭から離れん。たまらん、食べたか、勝手に脳が口に指令を出し、ヨダレがいつまでも止まらん。とめどなく流れて来よる。正直『タコー頭』も『SATUMA黒波』も『他己啓発セミナー』も、『黒猫』のらーめんに比べたらしょーもない物にさえ思えてきてしまったバイ。『黒猫』らーめんのせいで仕事に身が入らん。一体あのらーめんは何物なのか。そういえば社長が言っていたバイ「あ、それとね!調理の際に出た“人がら”や“骨”は『黒猫』に運んでちょうだい」と。関係ありありバイか。『黒猫』らーめんは“人肉人骨らーめん”?それであんな美味いのか?あんな虜になる程。『タコー頭』の材料だって“他己達”だ。何がどうなってどう違う。
おうっバイ。
今日は『SATUMA黒波』では“遊び”に身が入らず、『PSP』をヨダレまみれにしてしまいお父しゃんに叱られた。『タコー頭』では“他己肉”を運ぶ際の通路の空調がおかしくなり多少肉を腐らせてしまった。社長激怒バイ。
バイ。
しかし全ては『黒猫』らーめんが癒してくれたバイ。並んで、10杯食べたバイ。いい加減にしろと店主と爺さんに怒られたバイ。
いい加減にさせて欲しいのはこっちバイ。
こげんコツではおいらは駄目になるバイ。
こげん美味さではおいらを駄目にするバイ。
時間が無かバッテン夜は来るバイ。
ひとしきり『黒猫』らーめんでトリップしてまた気づくとホテルばい。
美味さで記憶が飛ぶらーめんタイね。凄かー。
日記終わり。
寝るバイ
『タコー頭(ズ)』鹿児島中央店&『SATUMA黒波』鹿児島中央店オープンは明日。
大変な事が起きたバイ。昨晩、鹿児島県霧島市にある『SATUMA黒波』提携養豚牧場からごっそり黒豚達がいなくなったバイ。駆け抜ける様に無数のブタがやってきて無数の黒豚を連れ去って行たらしいト。牧場内の防犯カメラに映し出されていたらしいバイ。セコムのスタッフが言うちょるには、黒いゴミの塊の様な人の様なもんが、ブタに事細かな指示を出していたようで、「ソワカー!」だか何だか叫んでごっそり黒豚をかっさらって行ったトいうコツバイ。まいった、まいった。何がって、スタッフ達の目線バイ。完全においらが疑われちょる。昨晩おいらが叫んで歩いちょるんを見たもんがおるトバイ。いんや、おいらにはちゃんとアリバイがあるとバッテン大丈夫たい。昨晩はらーめん屋台『黒猫』におったバイ…が…後半の記憶が無か。スタッフ達は口々に言う。「豚泥棒店長ぶーぶー、豚泥棒店長ぶーぶー」完全においらを拒否バイ。遊んでいても拒否されなかったのに、勝手にでっち上げられた疑惑でおいらの地位が転落バイ。かろうじてさらわれなかったのか、店内にてなついていた黒豚達もおいらに寄って来んくなったバイ。それでもみんな悪くないバイ。悪いのはおいらバイ。最近おいらはおかしかったバイ。疑われて当然バイ。
おうっバイ。
バイ。
ババイ。
バババイ。
バイバイ。
そしてついに、
お父しゃんには『タコー頭』でのおいらのコツが
社長には『SATYMA黒波』でのおいらのコツが
互いに全部バレバレとなる事件が起こったバイ。
『SATUMA黒波』にて疑惑を解消しようとスタッフに対して必死な説得の最中、お父しゃんがやって来たばい。「お前!豚返せー!」と泣きじゃくるお父しゃん。そんな騒ぎをたまたま通りかかった社長が目撃。すぐさま店舗に乱入。たちまち2人はおいらをはさんで大喧嘩。“つじつまが全く合わない”2人の喧嘩の様子はまるで『おすぎとピーコ』みたいだったバイ
おうっバイ。
とりあえずおいらは分けも分からずその場から逃走したバイ。
逃げるバイ。
スタッフ達がおいらを
追うっバイ。
逃げるバイ。
ヤクザがおいらを
追うっバイ。
バイバーイ。
気づくとおいらは『黒猫』にいたバイ。
そうだ、らーめんがあったバイ。
『黒猫』のらーめんが。
バイ。
店頭の看板。
『休み』
の文字が。
!!!!!!!!!!!!???????
はぁ!?
休み!?
休みバイ!!?
バイッ!
食べさせちょくれ!!!
らーめん食べさせちょくれ!!!
これで『黒猫』にまで見捨てられたら
おいらもう廃人っちゃね!!!
ナシ休みよる!!?
開けんか!!!
開けてらーめんバ、食わせんかーーー!!!
おーーーうおうっおうっおうっおうっおうっ!
おーーーうおうっおうっおうっおうっおうっ!
泣きゃーせんぞ!
こげなコツで
泣きゃーせんぞ!
おーーーうおうっおうっおうっおうっおうっ!
バーーーイバイバイバイバイバイッ!
全部おいらが悪かトね!
全部おいらが悪かトね!
何し、何し
全部おいらが悪かトかいね!!!?
『タコー頭(ズ)』鹿児島中央店&『SATUMA黒波』鹿児島中央店オープン当日。
『羽犬塚 青春』は拉致られた。
♪パララ~ララ
パラララララ~~~♪
街に夜鳴きの音(ね)が響く。
めけめけ~。
『らーめん放浪記』つづく。
(注)この物語はフィクションです。
写真。河童。
ほとんど消えてる!?
パソコンでは見れたのに。。。
〈〉←この記号使った部分が全部見れない!
goo!
どうなってんの!?
帰ったら
なおしますので
夜または明日読んで下さい(涙)
めけめけ~。
<>←取ったら
携帯でも見れるようになりました。
毎度読んでいただいております
数少ない方々に
ご迷惑おかけいたしました。
今後ともよろしく。
どうぞくだらん小説ですが
ごゆっくり読んでください!
めけめけ~。