『らーめん放浪記』純情旅情編。
〈3-(26)・身篭〉
「♪さくらぁ
胸のつぼみ開くわ
あなたへひらり舞い降りて
素敵な大人になるの
さくらぁ
お願いそっと受け止めて
少し背伸びしたわたしを
抱きしめてKISSして
Darling 今わたしはあなただけのもの♪」”
歌うは『羊田 妖子』
歌うは『羊 命酒』さん。
「Dsrling 今あなたは…わたしだけのもの…♪」
「オイラは…あんただけのものさ」
「ホントウに?」
「ああ」
「もう…ヒトリにしないで…」
「それはお互い様さ」
鳥取県米子市。
『フグさん便』米子センターの宿直室で寄り添うは
『羊』さんと『九 官鳥』さん“ご夫婦”。
お互いの心を確認しあうかのようにベッタリな距離感を保ち
手を握り合い肩寄せ合って心臓の鼓動に安心感を求めております。
不思議と鼓動が“3人分”聞こえてきますよ。
不思議とね。
時は真夜中、外は暗闇。
羊さんの心も闇に包まれたまんま
不安が居残り、気持ちは日の目を見ません。
羊さんは自分のお腹に手をやりました。
そっと目をつむります。
そして1人
起伏が激しい妄想の闇の中で
ひそやかに想いを巡らすのです。
もしも…
もしもアタシが
ホントウに我が子を身篭っているならば
この子の父親は…誰なのかしら?
そして…
そしてアタシが
ホントウに我が子を身篭れたのならば
この子を生み出した無きアタシの卵巣が有る…?
いや、そんな事はありえない!
嘔吐は
キットただの食アタリ
単純な事実。
でも…
もしもアタシの身体に有り得ない奇跡が起こり
女としての機能が再生されていたとするならば
この子は…
この子の父親は…誰?
今アタシを包み込んでくれている
目の前の愛する
九さんの子…?
で…無い事は間違いない事実…。
出会って間もないし
だってそんな行為すらアタシタチは未だ…
いや!違う!
この子は九さんの子ヨ!
九さんと、アタシの子よ!
九さんとの出会いをアタシに与えてくださった神様が
頑張っているアタシにもう1つプレゼントしてくれた奇跡!
これはキット不運の裏返し!
病みに苦しむアタシへの最高のご褒美ヨ!
キット“コウノトリ”さんが運んできてくれたんだワ!
素敵!
そう、そう思おう!
今だけは…そう思っても良いじゃない!
ねえ、良いワヨネ!神様!
たかだか、たまたまの嘔吐を妊娠と結びつけるなんて
そんな事聞いたら誰もがアタシを“クルッテイル”なんて言うでしょう。
でも“クルッテイタッテ”良いじゃない!?
元々この世は“クルッテイル”んだもの!
そう!奇跡だって“クルッタ出来事”なのだから!
それがマヤカシであっても
つかの間の喜びに浸ったって良いじゃない!?
アタシハ、コヲ、ミゴモッタ!
コノコハ、キュウサント、アタシノコヨ!
もしもホントウにそうだったとしたら
いや!ホントウにそうなの!
だからこの子は
そう、間違ってもこの子は…
“本部長の子なんかじゃないワ!”
「ねえ、九さん」
「ね」
「なんだい」
「そうでしょ?九さん」
「……そうだな」
「そうよ、そうに決まっている」
アタシハ、コヲ、ミゴモッタ!
コノコハ、キュウサント、アタシノコヨ!
「さあ、出発だ」
「シュッパツ?」
「積み込んだ荷物を届けないといけねぇ」
「ハオ」
「それがオイラ達の仕事だろ?」
「ハイ」
「広島で、『黒猫』さんが待ってるゼ」
夜が、明けました。
米子センターの倉庫に横付けされた羊さんのトラックは
既に積荷を終えた状態で荷台が満杯でした。
「たいしたものだよあの人!
1人でこれだけの量の荷物を一気にさばいちまったんだものよ!」
米子センターのスタッフおじさんが感心気味に笑います。
「どういう事?」
羊さんは分厚い伝票を注意深く見つめつつ
その束をパラパラとめくったり戻したり繰りかえしております。
九さんはといえば
本来九さんの定位置でありますトラックの助手席で
禁煙パイポをスピースピーと鳴らしながらボケーっと黄昏中です。
ダンダンダン!ダンダンダン!
助手席の窓を叩くは羊さん。
九さん窓を開けました。
「お、そろそろ出るかい?」
伝票の束を握りしめた羊さんが“驚き顔”で立っています。
「九さん、これ、どういう事ヨ!?」
伝票の束をつきつけ
荷台を指差す羊さん。
「ああそれかい。
尾道と倉敷の荷物さ」
「ナニ?コレ?いつの間に?」
「あんたが寝ている間にさ」
「アタシが寝ている間にって…これ…」
「あんた、およそ3日間ずっと眠っていたんだ。
その間にオイラがスケジュールをこなしたってわけさ」
アタシが…?
3日間も…寝ていた?
「あんな“化け物”みてぇなヤツに脳天をガリガリ噛み砕かれちまったら
そりゃあ無理も無ぇ、誰だってぶっ倒れるゼ。
牙が頭蓋骨を貫いて脳味噌にまで達していたら
あんた命無かったかもしんねぇからな。
ずうっと眠り続けていた時にゃ
あんた植物人間になっちまったんじゃないかってオイラ正直心配したけどよ
まあ無事意識を取り戻してくれて良かったゼ」
あんな?
“化け物”みてぇなヤツ?
「しかしあんた
肉体的なダメージより精神的なモノが大きかったんじゃねぇのかい?
ずいぶんと久しぶりだったんだろ?
あの“化け物”と会うのは」
ずいぶんと?
久しぶり?
「だからショックで寝込んじまったんだろ?
まさか“あいつ”、あんなになっているなんてな。
心の準備も出来てないのに
あんな所であんな再会の仕方をするなんてな」
ショックで?
“あいつ”?
「あいつって…
誰ヨ?」
「ほら、あの“化け物”
だいぶ昔に“捨てた”筈の
オイラとあんたの子供
『羊助』さ」
アタシハ、コヲ、ミゴモッタ!
コノコハ、キュウサント、アタシノコヨ!
「ヨウ…スケ…?」
羊さんの頭に巻かれた包帯が
みるみる真っ赤に染まっていった。
♪パララ~ララ
パラララララ~~~♪
街に夜鳴きの音(ね)が響く。
めけめけ~。
『らーめん放浪記』つづく。
(注)この物語はフィクションです。
写真。赤ちゃんおきあがりこぼし色々。
〈3-(26)・身篭〉
「♪さくらぁ
胸のつぼみ開くわ
あなたへひらり舞い降りて
素敵な大人になるの
さくらぁ
お願いそっと受け止めて
少し背伸びしたわたしを
抱きしめてKISSして
Darling 今わたしはあなただけのもの♪」”
歌うは『羊田 妖子』
歌うは『羊 命酒』さん。
「Dsrling 今あなたは…わたしだけのもの…♪」
「オイラは…あんただけのものさ」
「ホントウに?」
「ああ」
「もう…ヒトリにしないで…」
「それはお互い様さ」
鳥取県米子市。
『フグさん便』米子センターの宿直室で寄り添うは
『羊』さんと『九 官鳥』さん“ご夫婦”。
お互いの心を確認しあうかのようにベッタリな距離感を保ち
手を握り合い肩寄せ合って心臓の鼓動に安心感を求めております。
不思議と鼓動が“3人分”聞こえてきますよ。
不思議とね。
時は真夜中、外は暗闇。
羊さんの心も闇に包まれたまんま
不安が居残り、気持ちは日の目を見ません。
羊さんは自分のお腹に手をやりました。
そっと目をつむります。
そして1人
起伏が激しい妄想の闇の中で
ひそやかに想いを巡らすのです。
もしも…
もしもアタシが
ホントウに我が子を身篭っているならば
この子の父親は…誰なのかしら?
そして…
そしてアタシが
ホントウに我が子を身篭れたのならば
この子を生み出した無きアタシの卵巣が有る…?
いや、そんな事はありえない!
嘔吐は
キットただの食アタリ
単純な事実。
でも…
もしもアタシの身体に有り得ない奇跡が起こり
女としての機能が再生されていたとするならば
この子は…
この子の父親は…誰?
今アタシを包み込んでくれている
目の前の愛する
九さんの子…?
で…無い事は間違いない事実…。
出会って間もないし
だってそんな行為すらアタシタチは未だ…
いや!違う!
この子は九さんの子ヨ!
九さんと、アタシの子よ!
九さんとの出会いをアタシに与えてくださった神様が
頑張っているアタシにもう1つプレゼントしてくれた奇跡!
これはキット不運の裏返し!
病みに苦しむアタシへの最高のご褒美ヨ!
キット“コウノトリ”さんが運んできてくれたんだワ!
素敵!
そう、そう思おう!
今だけは…そう思っても良いじゃない!
ねえ、良いワヨネ!神様!
たかだか、たまたまの嘔吐を妊娠と結びつけるなんて
そんな事聞いたら誰もがアタシを“クルッテイル”なんて言うでしょう。
でも“クルッテイタッテ”良いじゃない!?
元々この世は“クルッテイル”んだもの!
そう!奇跡だって“クルッタ出来事”なのだから!
それがマヤカシであっても
つかの間の喜びに浸ったって良いじゃない!?
アタシハ、コヲ、ミゴモッタ!
コノコハ、キュウサント、アタシノコヨ!
もしもホントウにそうだったとしたら
いや!ホントウにそうなの!
だからこの子は
そう、間違ってもこの子は…
“本部長の子なんかじゃないワ!”
「ねえ、九さん」
「ね」
「なんだい」
「そうでしょ?九さん」
「……そうだな」
「そうよ、そうに決まっている」
アタシハ、コヲ、ミゴモッタ!
コノコハ、キュウサント、アタシノコヨ!
「さあ、出発だ」
「シュッパツ?」
「積み込んだ荷物を届けないといけねぇ」
「ハオ」
「それがオイラ達の仕事だろ?」
「ハイ」
「広島で、『黒猫』さんが待ってるゼ」
夜が、明けました。
米子センターの倉庫に横付けされた羊さんのトラックは
既に積荷を終えた状態で荷台が満杯でした。
「たいしたものだよあの人!
1人でこれだけの量の荷物を一気にさばいちまったんだものよ!」
米子センターのスタッフおじさんが感心気味に笑います。
「どういう事?」
羊さんは分厚い伝票を注意深く見つめつつ
その束をパラパラとめくったり戻したり繰りかえしております。
九さんはといえば
本来九さんの定位置でありますトラックの助手席で
禁煙パイポをスピースピーと鳴らしながらボケーっと黄昏中です。
ダンダンダン!ダンダンダン!
助手席の窓を叩くは羊さん。
九さん窓を開けました。
「お、そろそろ出るかい?」
伝票の束を握りしめた羊さんが“驚き顔”で立っています。
「九さん、これ、どういう事ヨ!?」
伝票の束をつきつけ
荷台を指差す羊さん。
「ああそれかい。
尾道と倉敷の荷物さ」
「ナニ?コレ?いつの間に?」
「あんたが寝ている間にさ」
「アタシが寝ている間にって…これ…」
「あんた、およそ3日間ずっと眠っていたんだ。
その間にオイラがスケジュールをこなしたってわけさ」
アタシが…?
3日間も…寝ていた?
「あんな“化け物”みてぇなヤツに脳天をガリガリ噛み砕かれちまったら
そりゃあ無理も無ぇ、誰だってぶっ倒れるゼ。
牙が頭蓋骨を貫いて脳味噌にまで達していたら
あんた命無かったかもしんねぇからな。
ずうっと眠り続けていた時にゃ
あんた植物人間になっちまったんじゃないかってオイラ正直心配したけどよ
まあ無事意識を取り戻してくれて良かったゼ」
あんな?
“化け物”みてぇなヤツ?
「しかしあんた
肉体的なダメージより精神的なモノが大きかったんじゃねぇのかい?
ずいぶんと久しぶりだったんだろ?
あの“化け物”と会うのは」
ずいぶんと?
久しぶり?
「だからショックで寝込んじまったんだろ?
まさか“あいつ”、あんなになっているなんてな。
心の準備も出来てないのに
あんな所であんな再会の仕方をするなんてな」
ショックで?
“あいつ”?
「あいつって…
誰ヨ?」
「ほら、あの“化け物”
だいぶ昔に“捨てた”筈の
オイラとあんたの子供
『羊助』さ」
アタシハ、コヲ、ミゴモッタ!
コノコハ、キュウサント、アタシノコヨ!
「ヨウ…スケ…?」
羊さんの頭に巻かれた包帯が
みるみる真っ赤に染まっていった。
♪パララ~ララ
パラララララ~~~♪
街に夜鳴きの音(ね)が響く。
めけめけ~。
『らーめん放浪記』つづく。
(注)この物語はフィクションです。
写真。赤ちゃんおきあがりこぼし色々。
色々と種類ありました。
キューピーブームか何かん時に
いっしょに色々でてました(笑)
もっともっと買おうと思ってたんだけど
かわいくないのも多々あり(笑)
羊さんは…
想像妊娠…なのか!?
なんて言ったりして(笑)
これからの展開をお楽しみに!
今後もよろしくご愛読ください!
もっとあったのですが捨てたものもあり…。
だいぶ前に買ったので
どこで購入したか忘れましたが
う~ん
多分、下北沢か吉祥寺の雑貨屋さんだったかな~。
本棚に飾ってます!
想像妊娠なら想像出産まで突き進むのよ!
ガンバレ羊さん
ホント。起き上がり赤ちゃん、カワイイ
黄色い頭の子だけ、違う種類?
ばんぱくさん、
こんなのも集めてたの?