すごく面白い八百屋さんがあるので行ってみませんか。知人の紹介で、マルタカ鈴木商店でお話を聞いてきました。
西小川にあるマルタカ鈴木商店。外装がすごくかわいらしい八百屋さんで、以前から気になっていたのですが、なかなか入るきっかけがありませんでした。楽しみです。
お話を聞いたのは、お店の奥さん。とても柔らかな印象の方です。
「お店を始めるときに、今の八百屋は野菜を売るだけではだめだと思ってお惣菜を作ることにしたんですよ。」
確かにおいしそうなお惣菜が並んでいます。
何でも、以前マクロビオティックを勉強していたとか。あまり知識のない私には、すごくストイックなもののように思えます。惣菜もマクロビにこだわっているのでは…。
食に制限やこだわりがあるのではないのでしょうかと伺いました。
マクロビオティックは食品を陽と陰に分け、そのバランスを取ることで、心と体のバランスを取るものなのだなあとお話を聞いていて思いました。
「すごく面白いのよ。実践すると、体もとても健全になるし。ただ、色々と制限されるし、調理法も大変だから、一般の人たちが受け入れるのは大変かもしれない。」何でも、主食の玄米を例にとっても、もっちりしてとてもおいしいのだけど、炊くのに1時間30分かかるんだそうです。
そこで、考えを改めたのだとか。「おいしいものは何でもいただく。そして、それを作ってくれる人に感謝すること。」とてもシンプルで素敵な考えだと思いました。
現代では、みなとても忙しく、自分が何を食べるのか、それがどんなふうに作られているのか、そんなことにこだわる余裕がありません。「美容にいいもの」や薬のように「体にいいもの」は求めるけど、それも一時的なもので、継続しているという方は案外少ないのではないでしょうか。自分が一体どんなものを食べているのか、考える機会というのはもちたいなあと個人的にいつも思っていました。
きっと、マルタカ鈴木商店さんの野菜やお惣菜は、心がこもったものが置かれているんだろうなあと思いました。
私は、農家さんが本当においしいと感じているものを消費者が手に入れられる、そんな仕組みがないかと思っているんです。という話をすると、
「うちのイチゴはね、初倉の農家さんの完熟イチゴなんだよ」と奥さん。ただ、完熟しているだけに、仕入れも大変だし足がはやく、値段も高くなる。それでも固定のファンが付いているのだとか。
八百屋というのは、常に野菜と触れ合う仕事なだけに、本当においしい野菜を仕入れることができるのだとか。八百屋というのは野菜の究極のセレクトショップであるという言葉がとても印象的でした。
以前、野菜ソムリエの勉強をしていた時、「現代社会では、生産者と消費者を結ぶ役割の存在がいない」という話を聞きました。八百屋さんは、正に生産者と消費者を結ぶ貴重な役割を担っている存在だと、改めて感じます。今は、対面販売の形式を取るお店が少なくなっただけに、敬遠される面もありますが、農家さんのところに行かずして、おいしい野菜に巡り会えるなんて、幸せなことだと思います。
そんな八百屋さんで売られている惣菜、おいしいんだろうな。
家族の形態が変わりつつあり、夫婦2人だけというお宅も多くなりました、自分で作るには少なすぎで面倒。でも食べたい!というものがあるというのは、一人暮らしをしたことがあるので、身に染みてよくわかります。中食は好きではありませんが、安心して買えるお店があれば、絶対いいなあと思います。
お店を初めて長くたつので、野菜やお惣菜のファンがついているそうですが、それでも全く売れない日があるのだとか。お惣菜など、手を掛けたものを廃棄するのはつらいものだとおっしゃってました。やはり大変なお仕事なのですね。
さて、お約束がてら初めてお店を訪ねたときに買ったぬかみそ漬けが本当においしくて、すっかりファンになってしまいました。母が失敗して以来、我が家の糠床はダメになってしまいました。だから余計においしい!酸味が程よくきいていて、うまみが凝縮されている感じ。キュウリ1本ばりばり食べれてしまいます。ほかほかのごはんにぴったり!
買っていく皆さんが口々に褒めてくれるのだとか。さぞや工夫があるのでしょうね。と聞いてみると、おかあ様から受け継いだ年代物の糠床だそうで、「工夫なんかしてないの。」とのこと。やはり糠床は、年々おいしく育っていくものなのですね。
糠床はとても敷居の高いものだったのですが、育っていくものだと思うと、早速始めなければと固く心に誓いました!
そして、帰りにまたも糠漬けを買ってしまいました。食卓にのぼったしゃきしゃきのキュウリとやわらかなカブ!幸せな夕食となりました!
マルタカ鈴木商店さん、ありがとうございました!