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67年1月号は今から丸40年前の発行になるわけですが、当時はいったいどのような時代だったのでしょう。ガロという雑誌の性格上、当時の文化状況、社会状況(主にサブカルチャー系の)を知っていた方が楽しめると思いますので、Wikipediaで調べてみることとします。
まずは1966年
1966年のヒット曲
- 君といつまでも(加山雄三)、バラが咲いた(マイク真木)、霧氷(橋幸夫)
- 悲しい酒(美空ひばり)、骨まで愛して(城卓矢)、柳ヶ瀬ブルース(美川憲一)
- 星影のワルツ(千昌夫)、唐獅子牡丹(高倉健)、星のフラメンコ(西郷輝彦)
- 霧の摩周湖(布施明)、こまっちゃうナ(山本リンダ)、いっぽんどっこの唄(水前寺清子)
- 今日の日はさようなら(森山良子)、いい湯だな(デューク・エイセス)
- いつまでもいつまでも(ザ・サベージ)、夕陽が泣いている(ザ・スパイダース)、若者たち(ザ・ブロード・サイド・フォー)、想い出の渚(ザ・ワイルド・ワンズ)
- 「巨人の星」、週刊少年マガジンで連載開始
ビートルズが来日し、「巨人の星」の連載が始まったという画期的な年であったわけですね。
次に1967年
1967年の音楽
- グループサウンズ(GS)が1967年から1968年にかけて大流行した。ジャッキー吉川とブルーコメッツ、ザ・スパイダース等をグループサウンズと呼び始めたのは1967年3月からだという説がある。
- 美空ひばり(真赤な太陽)・・・グループサウンズ系の曲
- 佐良直美 (世界は二人のために)
- ジャッキー吉川とブルーコメッツ (ブルー・シャトー)
1967年の漫画
- 12月 - あしたのジョー、週刊少年マガジンで連載開始
政情不安定の中、カウンターカルチャーの発信元である深夜放送のスタート、屈折のニューヒーロー矢吹丈もデビューと、なかなか意味ある年だと思います。
このような状況の中、67年のガロも次々と問題作を提供し続けていきます。
1967年1月号目次
白土三平 カムイ伝 第25回(全128頁)
上野昂志 目安箱 第22回 政治の道義を説くマスコミの道義
佐々木守 日本忍法伝 第15回
藤沢光男 青空太郎の絵日記 第9回
討論 江上不二夫「行動と運動」(目安箱20)を批判する × 上野昂志
楠勝平 殿さまとざらざらした味
おがわあきら 大空と雑草の詩 第8回
水木しげる 砂かけ婆
水木しげる 紙魚
白土三平 カムイ伝
130枚近いページを掲載。物語としては夢屋七兵衛の台頭(幕藩体制に対する商人の対抗)、日置藩の秘密を探るカムイ、生き方に疑問を感じ始める水無月右近といったところ。
上野昂志 目安箱
政治の腐敗を批判するマスコミの「道義」の中に公平を装った政治性があり、それが「議会制民主主義」を守ることで大衆の不信を押さえ込もうとする方向に働いているという論点。当時の政治状況を垣間見ることができます。
藤沢光男 青空太郎の絵日記
3時のおやつや夜のご飯が出てくる不思議な時計。調子に乗って腹いっぱいになるまで食べていたら、大量の宿題が出てきて、さあ大変、といった話。
討論 江上不二夫 × 上野昂志
江上不二夫というと、もう亡くなった進歩的科学者に同姓同名の人がいるようですが、こちらはもっと若い学生(当時)のようです。もともと論争の対象となった文章がないのでよくわかりませんが、革新陣営の平和運動なんかだめだよと言った上野氏に対して文句を言っているようです。これに対し上野氏は合法闘争は所詮「体制のペース」に乗ったものであり、やっぱりだめだみたいなことを言っており、当時の図式に基づけば、代々木VS反代々木の論争みたいな感じです。漫画雑誌にこのような討論が載ること自体、隔世の感がありますね。
楠勝平 殿さまとざらざらした味
この頃の楠さんは毎号のように描いていたのですね。寡作な人という印象がありましたが、ちょっと意外です。ある殿様が、怪我をして水を飲んではいけない言われ、漸く飲んだ水の味がこの上なくうまかったという経験をしました。その味が忘れられなくなり、あれこれ試すうちに、もう一度怪我をすればよいだろうということで、自分を傷つけますが、その傷のせいで死んでしまいます。で、末期に飲んだ水は砂利を飲んだような味だったという話。
水木しげる 砂かけ婆・紙魚
水木さんらしい軽いタッチの短編2編。
「砂かけ婆」はあの砂かけ婆。さえない男がルックスをよくしてもらおうと砂かけ婆に依頼する。婆は1年経ったらムコになることを条件に顔を作り変えてやり、男は人気スターになる。が、1年経っても約束を守らず、以前より醜い顔にされてしまうという話。
「紙魚」はこれもさえない男が研究資料室という姥捨山に配属され、そこの室長に「成功虫」という虫の服用を勧められる。その虫を飲むと、とんとん拍子に出世し、部長になった。だが、その成功が空しく感じられ、虫下しを飲んで「成功虫」を対外に排出、研究資料室の室長に戻る。そこに、かつての自分のようなさえない男が配属されてくる・・・という話。
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