KAMAKURA☆CHAMPROO

見る前に跳べ!「無計画に走るのは世の常」が座右の銘

永田耕衣

2006-10-22 18:38:17 | 俳句
土曜日のNHK俳句で宇多喜代子さんが永田耕衣が取り上げられておりました。

永田耕衣(1900~1997)の俳句は難しいと言われますが、確かにその通り。
番組でも取り上げられた

夢の世に葱を作りて寂しさよ

他に
後ろにも髪脱け落つる山河かな
少年や六十年後の春の如し
空を出て死にたる鳥や薄氷


など。なかなか一口では語れない句だと思います。(まだ私には無理です)

これらの句に比べると、あまり取り上げられないと思いますが、次の句が私には引っかかっています。

遺影妻春や雲公してくるよ

「遺影妻」、遺影に写っている妻ということでしょうが、あまり自然な言い方ではありません。奥さんを亡くした耕衣はまだ、その事実をちゃんと受け入れられてなくて、「遺影妻」というぎこちない言葉でしか表せないのでしょう。妻の遺影の前で呆然としている姿が見えてきます。そんな感情とはうらはらに肉体は正常にその生理を機能させ、悲しくたってうんこはしたくなる。春だものな。「奥さんや、しょうがないちょっとうんこしてくるよ」と話しかけ立ち上がる。そして、耕衣はそんな自分の生物としての生理に諦めを感じ、受け入れ、よしとする、そんな感じがします。

しもねた系ではあるものの何かいとおしいものを感じ、好きな句です。

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1 コメント

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人生の結晶句 (土曜日の各駅停車)
2006-12-01 16:50:09
私もいま耕衣に夢中(になりそう)です。
遺影妻の句には、人生(生老病死)の全てが結晶しているようで、涙がでるぐらいです。「してくるよ」にやさしさと切なさがあふれています。
ご存知かもしれませんが、城山三郎「部長の大晩年」がおすすめです。これで耕衣に引き込まれました。
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