KAMAKURA☆CHAMPROO

見る前に跳べ!「無計画に走るのは世の常」が座右の銘

月刊漫画ガロINDEX 1967年5月号(通巻33)

2007-01-14 22:59:38 | COMIC
目次
白土三平 カムイ伝 第29回
上野昂志 目安箱 第26回 『言葉について』
つげ義春 山椒魚
楠勝平 冷たい涙
勝又進 作品集 第11回
滝田ゆう しずく
南波健二 戦場 第一話・新兵
佐々木守 日本忍法伝 第19回
勝又進 作品集 第11回(その2)
永島慎二 LE MASQUE 仮面
東真一郎 ロータリー
水木しげる 木枯し


白土三平 カムイ伝



・ 忍・搦の手風に追い詰められたカムイ。九死に一生を得る



・ 日置藩・花巻村では正助らの努力の買いあり、棉花が開花し棉つみに忙しい日々が訪れる。百姓、入り乱れて活況を呈す。
・ そんな中、正助は棉の相場を調べるためにひそかに村を離れる。
・ 留守を預かった正助の友人・ゴン、棉を安く買い叩こうとする夢屋との交渉を仕切る



・ 戻ってきた正助。ナナとの短い逢瀬



・ 夢屋と正助の交渉。大阪の棉問屋の価格表を出し、夢屋との交渉を進める正助
・ 開発地の管理をめぐって、若者と大人が対立する。私有財産にこだわる大人、村全体での管理を主張する若者。結局、若者組の管理となる
・ 棉花の売買で潤った村の様子、百姓、の壁もなくなってきたことに警戒する武士。引き締めのため開発地の測量を始める。
・ 以前から相思相愛のゴンとアケミ。アケミは婿入りを迫るが、ゴンは長男のためうまくいかない。隣村の五郎に奪われそうになる



・ 大阪の村を見て廻った正助。大阪は飢饉となっており、どうやって対処するのかを見るため、再度旅に出る。途中、正助の早駆けを不審に思った搦の手風一派に取り囲まれる



といったところ。


つげ義春 山椒魚

暗く悪臭と汚物によどんだ下水路。一匹の山椒魚が棲んでいる。彼はなぜそこに来てしまったか把握していない。それでも、棲んでいるうちに慣れてしまった。



勝手気ままに暮らし、流れてくるものを点検しては楽しんでいるという日常にけっこう満足している。そんなある日、見たことのないもの(胎児の死体)が流れてきた。あれこれ考えたが何だかわからないので、頭突きをくらわせたら流れてどこかに行ってしまった。



ページ数にして8ページの小品。ストーリーらしいものはないのですが、下水道の暗さと外の明るさがたくみに表現されており、暗がりの中で自己満足的に暮らす山椒魚の実存みたいなものが感じられる作品です。


楠勝平 冷たい涙

友人が食中毒で死んだ。その妹も同じく重体らしい。主人公は呼びに来た別な友人と通夜に行く。悲嘆に暮れる通夜の客たち。そして、友人の妹も亡くなり、更に悲しみが押し包む。そんな中主人公は冷静なまま。



帰り道、子供の水死体。悲嘆に暮れる親の姿を見ても心は動かされない。家に戻り号泣する主人公。「七年来の友人が亡くなったというのに・・・」と、自分の間ぶりに悲しくて泣いたのだった。




滝田ゆう しずく



死刑になりたくない死刑囚。教戒師に向かって「死にたくない」と騒ぐが、とうとう呼び出されてしまう。執行室に行くとなんとギロチンがある。



ギロチンの歯からは掃除した後のしずくが、死刑囚の首筋にポタリと落ちる。雨の刑務所。独房の天井から雨漏りのしずくが男の首に落ちている。死刑囚は死刑執行の夢を見ている最中、しずくが落ちてきてショック死した模様。結局だめジャンといった結末。

南波健二 戦場



南波健二さんは貸本漫画時代からの作家で、その後タイトルは忘れましたが、少年漫画誌にも描いていたと思います。この作品は第一話と銘打っていますが、この後ガロ誌上には登場していません。
内容はナチスと戦うアメリカ軍に新兵が配属され、最初は勇ましいことを言っているが、戦闘のリアリティに打ちひしがれてしまうといったもの。劇画として、絵の完成度はなかなか高いのでは。

永島慎二 LE MASQUE 仮面

いつも微笑んでいる仮面を被った男。朝起きてラッシュの中を通勤し、職場で起こられ彼女とデートし、屋台で酒を飲む、常に優しく微笑んだまま。



ある日会社を休み、誰もいない海へ出かける。仮面をはずすと悲しげな素顔。



男は仮面を海に投げ捨て去ろうとするが、思い直して仮面を再び被り日常に戻っていく。



永島さんらしいナイーブな作品。


東真一郎 ロータリー

漫画家の近況をつづったコラム。車を買ったつげ義春氏の話と禁煙した水木しげる氏の話。筆者は実は水木しげるらしい。


水木しげる 木枯し



木枯し吹きすさぶ洋館に、中年男と少年がいる。二人は叔父と甥の関係で、叔父は資産家の妻をなくしたばかりである。風の音が悲鳴のように聞こえ気味が悪い。その「悲鳴」は風の音ではなく二階から聞こえてくるようだ。少年が調べると帽子箱の中のしゃれこうべから発している。男は若い頃集めたものだというが、少年は不審に思う。かつて、叔父に寝ている妻に耳から鉛を注ぎ殺すというアメリカの恐怖小説の話をしたことが気にかかっている。少年は帽子箱を捨ててしまうが夜中に戻ってきてしまう。



帽子箱をテープで封印し翌朝穴を掘って埋めようとするが、帽子箱にしゃれこうべはなく、鉛の玉が入っている。少年は怖くなって逃げ出し、後日男が変死したことを新聞で知る。窓の外は木枯し、妙な風の音。少年は「ヒントを与えた自分にもしゃれこうべがきたのでは・・・」と心配する。
表紙が怖い。

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