KAMAKURA☆CHAMPROO

見る前に跳べ!「無計画に走るのは世の常」が座右の銘

ススムちゃん大ショック

2004-12-19 15:46:26 | COMIC
ススムは小学生、朝公園でショッキングな光景を目にする。子供づれのママが二人、突然子供を殺してしまう。何事もなかったように、「いつものようにおしゃべりをたのしそうにしながら・・・」

ススムは交番に知らせに行く。交番では警官が子供を撃っている。自動車に轢かれる子供。学校はもうれつな血のにおいがたちこめていて、「校内から友だちの悲鳴が!」

ススムは下水道に逃げ込み、同じく逃げ延びた友だち二人と出会う。持っていたラジオでニュースを聞くが、子供の大量虐殺のニュースはやっていない。

三人は会話する。
「ニュースにならない理由はひとつさ・・・あの事件がニュースとしての価値がないからさ!」
「おとなは子供を殺していいの!あたりまえのことなの!にゅーすにもならないの!」
「ネズミやゴキブリを殺してもニュースにはならない!」

「見えない糸が切れたんだ!親と子をつなぐたった一本の見えない糸が!」
「もはや子をそだてる理由はなにもない!」

それでもススムはママを信じたい。裏切られてもいいから家に帰ると、夜の道を走っていく。家ではいつもと変らないママが夕食の準備。そして・・・


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これは、少年マガジン'71年3月7日号に載った永井豪の「ススムちゃん大ショック」という作品です。「未来がまつ落とし穴」というテーマで何人かの作家が競作をするという企画の中の1編で、この作品が印象深くて、掲載号を今でも持っています。

最近頓に多くなった児童虐待やネグレクトといった事件報道を見ると、この作品を思い出してしまいます。30年以上も前に永井豪が警鐘を鳴らした危機が現実となっている、彼の予言した世界が実際になってしまった。

先週の「サンデージャポン」で、ダンカンが中高年の痴漢や猥褻犯罪の増加に関して、永井豪の「ハレンチ学園」を読んでいた世代として、今まで、我々はマンガと現実の区別ははっきりついていると主張してきたが、その区別ができてないような行為を行う同世代が増えているのが悔しい、といったことを言っておりました。私もマンガ(虚構)と現実の区別がつかなくなっている現代に違和感を感じているものですが、ちょっと見方を変えると、我々の内面がマンガと現実を混同しているのではなく、現実がマンガに追いついてしまったのかもしれません。
「ハレンチ学園」のヒゲゴジラは、外見の虚飾を剥ぎ取った猥褻教師の生の姿と言えないこともありません。つまり、「ハレンチ学園」を読んだ影響でそういう行為をしているのではなく、「ハレンチ学園」は30年後のリアルな世界をそのまま描いただけだと。

いずれにしても、あまり明るい気持ちには、なれません。

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