KAMAKURA☆CHAMPROO

見る前に跳べ!「無計画に走るのは世の常」が座右の銘

吾妻ひでおに花束を

2005-03-20 22:36:51 | COMIC
今日の朝日新聞の朝刊に吾妻ひでおの「失踪日記」のマンガ評が掲載されておりました。(南信長「コミック教養講座」)

不覚にも全く知らなかったのですが、吾妻ひでおさんが「ある日突然失踪し、路上生活、肉体労働、アルコール依存症を遍歴」していたそうです。吾妻ひでおさんは「ふたりと五人」に始まり、「チョッキン」、「ななこSOS」、「スクラップ学園」、「やけくそ天使」、「不条理日記」、「パラレル教室」etc.と、とても好きな漫画家であるだけに、ショックです。最近見ないなとは思っておりましたが、マニア受けする作家だし、マイナー系で活動しているのだろうぐらいに思っており、長いことそういった世界から遠ざかっていたので、彼の不在は私にとって全く気のつかない出来事でありました。
で、早速、本屋に行って見ましたが、「失踪日記」は入手できませんでした。きっと失踪にいたる理由はそこに描かれているのでしょうが、いったい彼に何が起こったのでしょうか。

70年代後半から80年代にかけて、彼は特別な存在でした。
彼自身が熱烈なSFファンであることから、SFネタをちりばめたパロディ「不条理日記」を奇想天外や劇画アリスに発表して、一部マニアの熱狂的な支持を受けました。例えば、「あ、これはディックの『パーマーエルドリッチの三つの聖痕』、これはコードウェイナースミスの『シェイヨルという惑星』、これはル・グィン『闇の左手』ね。」などとネタ当てをやって喜んでいた記憶があります。
また、吾妻ひでおはロリコン系の拠り所でもありました。当時まだ「ロリコン」という言葉自体があまりメジャーではありませんでしたが、彼の描く女の子は可愛くて、「スクラップ学園」の猫山美亜(ミャアちゃん)や「シャン・キャット」の子猫ちゃんなんかはロリ系キャラの極致として、私の記憶に染み込んでおります。

好きさがあまって、一度、吾妻さんの仕事場に伺ったことがあります。そこで「漫画大快楽」の読者欄に投稿して手に入れたモデルさんのパンティーを見せてもらったり、大泉学園の居酒屋に行って飲んだりと楽しい一時を過ごしました。その際、「るなてっく」という作品に登場した「シッポがない」というキャラを色紙に描いてもらいました。「ノタ魚」を引きずる主人公に自分の切れたシッポを見せて「シッポがない」と、涙目で訴えるトカゲです。この作品では、主人公は最初、「ノタ魚」を引きずっていて、それを「もんもこもん」と交換する。更に「ヘコペス」13匹と交換し、次に「おんなもどき」2匹と交換。「おんなもどき」が逃げ、何も引きずる物がなくなったとき、彼自身が「シッポがない」に変身する、といった内容です。主人公は何かを引きずることに疲れていて、「シッポがない」になったとき、少し幸せそうな感じでした。吾妻さんの失踪が若干かぶる気がします。

吾妻さんの新作は随分読んでいないけど、本棚にはずっと吾妻作品が並んでいて、私にとって過去の漫画家ではありません。というか、私自身も今まで、外の世界に対して「シッポがない」と涙目で訴え続けてきたような気がします。
記事の中では大塚英志氏の「『吾妻ひでおの名前に複雑な思いを抱く人』は『おたくであった日々の忸怩を忘れないため』に『一人10冊買うべし』」というコメントが載っていました。私はおたくであったことはありませんが、『吾妻ひでおの名前に複雑な思いを抱く人』ではありますので、明日どこかの本屋で必ず「失踪日記」を購入いたします。

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