KAMAKURA☆CHAMPROO

見る前に跳べ!「無計画に走るのは世の常」が座右の銘

月刊漫画ガロINDEX 1967年10月号(通巻38)

2007-05-04 17:42:07 | COMIC

目次
白土三平 カムイ伝 第34回
永島慎二 はえ
上野昂志 目安箱 第31回 「ピース」について
勝又進 作品集 第16回
滝田ゆう うわさの系譜
つりたくにこ 栄光への脱出
あしべつおさむ 自転車泥棒
楠勝平 茎(後編)
つげ義春 紅い花
水木しげる 鬼太郎夜話 第5回


白土三平 カムイ伝(98ページ)





・目付橘軍太夫の子・一馬、カサグレに拾われる。食べ物も与えず、自らの力で獲得しろと、厳しい教育。一馬を「捨て犬」呼ばわり。



・橘玄蕃、江戸屋敷と城代家老の連絡を遮断。城代家老側の用心棒たちを皆殺し。




・非常法の施行を画策する目付橘軍太夫。非常法とは人々が所有する金銀を藩札と交換し、藩札を貨幣として流通させるもので、藩庫の金銀を補い、給与遅配で窮乏する武士たちを救済しようというもので、いわば窮余の一策。反対する城代家老派の武士と目付派の武士とで小競り合いが起きる。



・農民たちの梵天奉納祭り



・農民を取り締まるための訓練をするたち



・目付側の工作で江戸屋敷からお達しが来て、非常法施行される。



・領主暗殺のため江戸行きを決意する笹一角。悩む竜の進。




・ひでり続きに突然の大雨。その中で対峙する橘玄蕃と竜の進



・雨が雹に変り、農作物(棉)を傷つける




永島慎二 はえ

シリーズ黄色い涙 SHINJI GEKIGA COLLECTION NO.4

高層ビルのペンキ塗り、顔の周りを飛ぶ蝿に気を取られ、作業板から落ちて死んでしまう。蝿もまた彼の手の中で絶命。



滝田ゆう うわさの系譜

下級武士たちの悲しい物語4話

第1話 星の流れ
主君に妻を差出し、代わりに側室をあてがわれ出世した足軽の噂を聞いた男が、自分も殿様から妻を求められる。妻はけなげにも承諾。出世を期待し待つが音沙汰ない。妻の差し金でただ見捨てられただけだった。



第2話 からまわり
藩の重役に抗議文を渡す役にくじ引きで当たった男。屋敷の前で平伏して待つが、たらいまわしにされて、全身打撲で全治三ヶ月の重傷を負う。



第3話 幕尻
あらゆることが主君から家老、家老からその下と、次々にたらい回しにされる藩の官僚組織。あやうく殿の代わりに切腹させられそうになる。



第4話 まきぞえ
うどんを食べていたら、闇討ちに遭遇し命からがら逃げ帰った男。どんぶりを持ち帰ったため、返しに来たが、うどん屋の親父はショックで死んでいた。





つりたくにこ 栄光への脱出

無為に過ごす若者たちの部屋に突然紛れ込んだ男、二宮修吉。傍若無人の振舞と大言壮語。何故か皆はそのペースに巻き込まれてしまう。小説をあてて大邸宅を手に入れたというので行ってみたら、そこは「病院」だった。「おれ、ノーベル文学賞に推されてるんだ」と言い残して去っていく。




あしべつおさむ 自転車泥棒

元さんは街で自転車を盗み、改造工場に売りさばくことを生業にしている。ある日、盗んだ自転車を別な男に盗まれてしまう。盗んだ男を捕まえて殴っていると、いつの間にか男の顔が自分の顔に。




楠勝平 茎(後編)

正月、実家に帰るつむぎ。同じ年頃の娘たちは結婚が決まり始めている。



職人頭はつむぎの素質は認めるが、いずれは結婚するだろうということで、これ以上の指導はしたくないという。



民江から結婚することにしたと告白される。



喧嘩っ早い青年となぜか気が合い、いつの間にか深い仲となる。結婚を申し込まれるが拒むつむぎ。



家庭を持つという幸せに背を向けるつむぎ。自分の夢は捨て難く、前を見て歩き続ける。そんなある日、通りを歩いていると、犬に吠え掛けられ、持っていた反物を落してしまう。ころころと道にころがった反物は一直線に。その様は毅然としていて、まるでつむぎの心境を表しているかのよう。



女性は家庭に収まるべきという通念が支配する封建社会の中で、健気にも職業に対する夢を貫く女性を主人公にした力作。各コマから楠さんの気合が溢れてきます。
タイトルはなぜ「茎」なのでしょうか?終盤、蓮の池を見つめているつむぎに老婆が「この池の水は魚の涙だ。だから涸れることがない」といったことを言います。涙の池に咲く蓮の花、水面下では力強い茎が支えている。そんな寓意があるのでしょう。




つげ義春 紅い花

名作「紅い花」の初出です。

山奥の茶屋。蝉時雨の中、少女(キクチサヨコ)が店番をしている。なぜかけだるい感じ。

  

釣りをしにきた主人公の青年、少女に誘われ一休み。シンデンのマサジという少年が釣り場に詳しいとのこと。



マサジは軍隊の帽子を被った少年で、キクチサヨコに憎まれ口をたたいているが、2年だぶった同級生(6年生)のサヨコの面倒を何かにつけ見ている。



マサジに案内され青年は見事な紅い花の咲く淵に行く。イワナがその花を食べるらしい。



青年と別れ一人走るマサジ、川辺でサヨコを見かける。サヨコが川にしゃがむと紅い花が流れたように見える。



事態が分からず心配するマサジ、サヨコは拒絶する。茶屋で休むサヨコ、あれこれとマサジは声をかける。
花咲く山道をサヨコをオブって降りていくマサジ。それを遠くで見ている青年。

  

まずは、キクチサヨコの存在感。父親が寝たきりのため、学校も行かずに、誰が来るとも知れない茶屋の店番をしているおかっぱ頭の少女-現実感の乏しい設定ですが、その独特の話し方や奇妙に色っぽい表情が、理解不可能な存在としての「少女」を際立たせていて、とても説得力があります。
そして、紅い花の象徴性。おそらく初潮をテーマにした初めての作品なのではないかと、誰かが書いていたのを読んだことがあります。月並みですが子供から大人へ変異していく少女期の危うさに魅かれます。
少女の実存を彼なりに理解し、彼なりの優しさで応対するマサジの姿。マサジの存在でキクチサヨコが存在感が増していると言ってもよいでしょう。そして、最後サヨコをおぶったマサジの姿は美しい。何度読んでも奥の深い、そして何かたまらなく懐かしくなる漫画です。


水木しげる 鬼太郎夜話



・有名な作家兼流行歌手の三島由美夫氏は終電車の中でねずみ男に息をかけられ気絶してしまう。



気がつくと腕に吸血木を植えられてしまった。吸血木は一日500CCの血液を吸い取り、最後には肉体を占領してしまうという。三島氏は途方にくれるがどうしようもない。



やけになり立ち寄った居酒屋で、地獄の入り口から帰還した血液銀行の元社員に出会う。彼の言うこともまた怪しい。




以上です


最新の画像もっと見る

コメントを投稿