手づくり漆器 ~うるし うるおい うるわし~

鳥取の漆職人がお届けします。

鳥取市民美術展

2011-10-20 06:31:08 | Weblog
今回は、第50回記念展である。

私も初めて出展した。

漆額 「蒔絵因幡麒麟獅子」が入選した。

本堅地黒漆塗の板に蒔絵で麒麟獅子を描いたものだ。

この意匠は、蒔絵師故田中稲月氏の残された下絵を使わせていただいた。

師匠の田中稲月さんがお元気な頃は、私もその作品には感銘していても、自分自らが継承しようとは思わなかった。

亡くなる3日前、黒漆で塗るよう頼まれた”茶こぼし”をもって行った時、田中さんが
一言「いいでないか」と言ってくれたのが遺言になってしまった。

その後、今でも信じられないのだが、黙って天国に行ってしまった。

その言葉が、私の心に残り「漆をやる」気につながったと思う。

もともと父親が塗師(ぬし)だったので、私の素質は塗師の素質と思っていた。

蒔絵は非常に難しい。繊細なそして独特の世界がある。

私の蒔絵に取り組んだ最初の作品を、田中さんに見ていただけただろうか。

まだまだ未熟な腕前だが、これからもっと研鑽して行きたい。


    期間 10月16日(日)~23日(日)

    場所 鳥取県立博物館