手づくり漆器 ~うるし うるおい うるわし~

鳥取の漆職人がお届けします。

漆 だより

2009-11-05 07:41:18 | Weblog
 //////// 會州堂 漆だより  2009 11/1 ////////////////

      ◆ やっと見えてきた 佐治漆の将来 ◆

はや、11月の声を聞くまでになりました。毎朝歩く袋川の散歩道は、
枯葉の絨毯ようです。

鴨が袋川にやってきました。知り合いが、7羽見たよといってました。
今朝、散歩の途中 川を覗き込むと3羽の親子の鴨が泳いでました。

 10月20日 少し曇り空で時折小雨がちらつくそんな日でしたが、
佐治在住の染色家西尾正道さんに紹介を受けて、佐治の漆掻きで
漆問屋をしていて、その歴史を知っているといわれる西尾廣祐さん
を訪問しました。

佐治漆は、加瀬木山の漆が上質とされていました。西尾廣祐さんは、
ご自分の山に漆の木を植栽し、たくさんの漆を採取し、それを輪島や
京都 岡山などに出荷していました。 30年ほど前の話です。

京都の漆屋も買い付けに来たそうです。

 振り返れば、私と鳥取の漆との出会いは、14年ほど前に蒔絵師田中稲月
氏との出会いからでした。田中さんは、私の扱っていた会津漆器を見ながら
いろいろと話しかけてきました。それから、交流が深まり田中さんにも蒔絵の
仕事を頼んだりしましたが、あれほどの腕のある方が鳥取では無名に等しい
存在であることに驚きました。それだけ、この土地では漆というものに対する
評価が低かったということだったのでしょう。

その後、田中さんの作品を中心とする展示会を数回しました。そしたら、
関心のある方たちが案外多いということが分りました。以前から、何度も
記述していますが鳥取の漆器は、産業として根付かなかったわけです。
それゆえに、これに関わる人はこれといって宣伝することもなく細々と生
きてきたのでしょう。
 
木地の世界は、それなりに知名度がありましたが、漆を塗るという次の
技術が繋がっていかなかったのでしょう。

もうすでにご承知のように、平成17年に田中稲月氏は、蒔絵の部門で
鳥取県の伝統工芸士、翌年第2号の鳥取県無形文化財保持者に
認定されることになりました。御年84歳でした。 平成20年87歳で逝去
されました。

現在岡山県新見市で漆の植栽運動が盛んに行われています。
その中心になる方が小野忠司さんですが、20年前に西尾廣祐さん
のところに訪問され、佐治漆の苗木をもらっていったようです。

そうすると、現在備中漆として育っている漆の木の親は、佐治漆に
なるというわけです。

しかし、本家本元の佐治には、漆の話も残っていません。残念なことです。

佐治漆は、現在20本ほど山に残っています。この山に、西尾廣祐さんが
私と西尾正道さんを案内してくれていろいろ説明してくれました。

私と西尾正道さんと二人でこの漆の苗を育てて行きたい計画しています。

関心のある方は、この運動に参加してみませんか?
これは凄いことです。鳥取の文化を又ひとつ見直すものになるでしょう。

来年夏には、現在生存している漆の木から 漆を実際に掻いて見たいと
思っています。

 いっしょにやってみたいと思われる方 以下のメールまでご返事ください。

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       鳥取の漆を守る会

        橋谷田 岩男

      鳥取市川端2丁目211
      TEL 0857-23-3917
      FAX0857-23-0543
      Email kbtwings@sa5.gyao.ne.jp