家具の学校

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専攻科への手紙フェルメールより

2012年12月25日 | Weblog
専攻科森口さんへフェルメールから手紙が届きました。????

Geachte heer Masahide Moriguchi

 はじめまして。ヨハネス フェルメールです。
 この度は、私の絵「青衣の女」に描かれている「椅子」を製作されるとの事、大変興味深く思っています。

後世の人によって「青衣の女」がメンテナンスされた際、それまでは薄汚れていた椅子が、実は彫刻が施されていたり、金色の鋲で縁どられていたりしていたことが明らかとなり、注目されたというエピソードを聞いたことがあります。おそらく、貴方もそのエピソードを知り、この椅子を創ってみようと思われたのだと推察します。
 この椅子は「スパニッシュチェアー」と呼ばれていたもので、17世紀、当時のオランダはスペインの影響を色濃く受けていたのです。当時のオランダは、建築物にしろ、調度品や服装にしろ「煌びやか」「豪華」が好まれ、装飾過剰なまでの作品が多く産出されました。ゴシック様式の語源にもなったものです。 椅子についても例外でなく、随所に彫刻が施されたもの、金属で飾り立てられたものが多く作られました。
 私は21歳でオランダ画壇にデビューし、43歳で没するまでに約40点ほどの作品を残しましたが、「スパニッシュチェアー」は小道具として好んで使ったものの一つです。「窓辺で水差しを持つ女」「リュートを調弦する女」「手紙を書く女」「音楽の稽古」などにも描きこみました。しかし、全体像が判るものはありませんので、記憶をたどりながら描いたものを添付しておきます。ずいぶん長いこと絵を描いていなかったのでうまくかけていませんが。
 このスパニシュチェアーは豪華さの点では地味なほうですが、それでも背もたれの上部にはライオンが彫られ、脚と脚をつなぐ貫にも彫刻が施されています。また、座と背もたれの生地はおおきな金色の鋲で縁どられています。
 椅子の木部の材質については専門外でもあり記憶が定かでありませんが、おそらくヨーロピアンオーク(楢)ではなかったかと思います。現在でもオランダ家具の主流はオークを用いているようですので。
 座と背に貼った布についても記憶が乏しいのですが、当時は革やタペストリーや布地、おそらくサテンを貼ったものが多かったと思います。この絵の椅子は革ではなく、タペストリーかサテンではないかと思います。
 布の色は「ブルー」ですが、宝石のラピスラズリから抽出したもので、当時は大変高価な絵具でした。経済的に裕福だった私はそれをふんだんに使い「フェルメールブルー」との高い評価を受けるようになりました。
 貴方がどのような色で仕上げてくるか楽しみにしています。
 
それでは、ご健闘をお祈りいたします

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