上級特派員便り
2011年12月17日 @横浜校 快晴
伊勢原校でキャビネットの組み立てが完成し、来年春の塗装まで、しばらくぶりに横浜校に戻り、本年最後の実習は椅子の張りの練習です。
上級の張りの新しい講師は星野先生です。評判ではXXXXだとか。上級と言えども張りの未熟者たちです。丁寧なご教示をよろしくお願いします。
さて、教材は、すでに出来上がっているスツール骨組みにスプリングの座を作ること。作業手順を記すと、
1. まずはスツールの脚を塗装。(やすり掛け、サンディングシーラー、着色、フラット)
2. スプリングを受けるベルトを張るための治具製作。
3. スツール教材の底面にスプリング受けベルトを張る。スプリング6ヶが均等にスペースに入るようバランスを見てベルト位置を決める。ベルトは治具にて強く張る。ベルトは釘でスツールの縁に止めますが、マグネットハンマーで打ち込みます。
4. ベルトを交互に交差するように止め、その上に各スプリングを均等に配置して、それぞれのスプリングの上部とスツールの上部の縁とで麻糸で結びます。
5. スプリングの下部はベルトに麻糸で縫って止めます。
6. 上部スプリングに綿を被せ、その上に麻布を被せてスツール縁にエアタッカーで固定する。
7. 上部縁に土手を作る。土手は、座ったときに腰がずれ落ちないためのもので、ヤシの繊維を麻布できつく丸めて縁にタッカーで止め、さらに固めるために麻糸でくくってゆく。この作業は、慣れとコツが要る。
張りは久しぶりの作業で、最初はなかなか手が進まないようでしたが、吉田講師に鍛えられた初級のミッシェルチェアを思い出したか、徐々に手が進んだ模様。
それにしてもマグネットハンマーは、片手で釘打ちが出来る便利さがある反面、釘がマグネットから離れず布を抑えている指先に釘が刺さる危険も。今回も何人かが釘を刺して・・・・あれは実に痛い。
本日は、伊勢原で佐宗講師に教わることもなくなりおやつは無し・・・と思いきやS氏が継承者となって、佐宗講師に頂いた山梨産巨峰干しブドウを入れたフルーツケーキを用意していてくれました。期待していなかっただけにとても美味しい。A女史の満面の笑みを観ていただきたい。
S氏、いやS氏ご令室に感謝。
写真1: 星野講師 ちょっとイケメン
写真2: 教材スツール骨組みとベルト張り治具
写真3: 作業3 作業4 ベルト張りとスプリング固定
写真4: 作業5 作業6
写真5: 作業7 土手作り
写真6: 本日のおやつ、フルーツケーキと満面笑みのA女史
『お道具拝見コーナー』その11(三枝氏投稿)
今回は「釘締(くぎじめ)」の紹介です。 写真は工場で現用の物です。
釘締は むかし「ヘシコミ」とも言った様です。 釘頭を材面より深く埋める必要がある場合や、玄翁を直接使えない凹部、例えば埋め木をする穴の底部に釘を打つ場合などに使う道具です。
家具の組立でこんなに釘を使うのは想定外でしたが、考えてみれば釘打ちダボ隠しは、家具では良くある手法の様です。
初級の頃、最初に作った道具箱は接着釘止めでした。 前回完成したキャビネットでも釘を使用しています。 ネジよりも釘を使う理由は、木ネジでは硬いカバ材が割れる心配がある為と下穴をもむのが手間な為でしょうか。 木ネジでは修理の時に、ネジが錆びて頭がねじ切れると、分解が難しいと言う事も有るのでしょうか。
30年前、京王デパートで見たダニエルの家具は、釘打ちダボ隠しがして有りました。ダボ頭は鑿で削り取って少し盛り上げて有りましたが、それは多分に意匠的な意味も有ったでしょう。それがアクセントにもなり、ダニエル家具を特徴付ける商品でも有りました。
それはスマートさよりも、重厚さや堅牢さ、素朴さを演出する物だったと思いますが、実用面でも、家具の堅牢性に寄与したのだと思います。
従ってそう言う釘を使って家具を組立てる伝統は現在にも受け継がれていると思います。 写真の釘締を見るとお判りの様に、右端にはとても短い釘締めがあります。 これは長かった釘締めが叩かれ、叩かれ使い込まれておよそ半分の長さにまで短くなった物です。
これを見ると、ダニエル家具作りの伝統の中で、釘と釘締めの使用頻度がいかに高かったかが判ります。
釘締めの先端部は細くなっており、小口を円形にして滑りを防ぐ為に小口端面を凹みなまこ(メッシュ)、十字等々に加工してあります。長く使用していると先端が凸面になってきますが、そのようなものを使い続けると、釘の頭を打った時に滑りやすくなります。そのようになった先端はグラインダーなどで凸部を平面にまで削り落とします。
また先端部は釘頭に当たって滑らず、変形もせず、欠けない程度に焼き入れされています。
簡単な道具の様で、作るのは難しいと聞きました。 良いものは結構値段も張る様です。出来れば、ホームセンターの安物で無くて、名の有る鍛冶の作る良い物を使いたい所です。小さな贅沢です。
写真7: 釘締め
文責・編集 堀江
2011年12月17日 @横浜校 快晴
伊勢原校でキャビネットの組み立てが完成し、来年春の塗装まで、しばらくぶりに横浜校に戻り、本年最後の実習は椅子の張りの練習です。
上級の張りの新しい講師は星野先生です。評判ではXXXXだとか。上級と言えども張りの未熟者たちです。丁寧なご教示をよろしくお願いします。
さて、教材は、すでに出来上がっているスツール骨組みにスプリングの座を作ること。作業手順を記すと、
1. まずはスツールの脚を塗装。(やすり掛け、サンディングシーラー、着色、フラット)
2. スプリングを受けるベルトを張るための治具製作。
3. スツール教材の底面にスプリング受けベルトを張る。スプリング6ヶが均等にスペースに入るようバランスを見てベルト位置を決める。ベルトは治具にて強く張る。ベルトは釘でスツールの縁に止めますが、マグネットハンマーで打ち込みます。
4. ベルトを交互に交差するように止め、その上に各スプリングを均等に配置して、それぞれのスプリングの上部とスツールの上部の縁とで麻糸で結びます。
5. スプリングの下部はベルトに麻糸で縫って止めます。
6. 上部スプリングに綿を被せ、その上に麻布を被せてスツール縁にエアタッカーで固定する。
7. 上部縁に土手を作る。土手は、座ったときに腰がずれ落ちないためのもので、ヤシの繊維を麻布できつく丸めて縁にタッカーで止め、さらに固めるために麻糸でくくってゆく。この作業は、慣れとコツが要る。
張りは久しぶりの作業で、最初はなかなか手が進まないようでしたが、吉田講師に鍛えられた初級のミッシェルチェアを思い出したか、徐々に手が進んだ模様。
それにしてもマグネットハンマーは、片手で釘打ちが出来る便利さがある反面、釘がマグネットから離れず布を抑えている指先に釘が刺さる危険も。今回も何人かが釘を刺して・・・・あれは実に痛い。
本日は、伊勢原で佐宗講師に教わることもなくなりおやつは無し・・・と思いきやS氏が継承者となって、佐宗講師に頂いた山梨産巨峰干しブドウを入れたフルーツケーキを用意していてくれました。期待していなかっただけにとても美味しい。A女史の満面の笑みを観ていただきたい。
S氏、いやS氏ご令室に感謝。
写真1: 星野講師 ちょっとイケメン
写真2: 教材スツール骨組みとベルト張り治具
写真3: 作業3 作業4 ベルト張りとスプリング固定
写真4: 作業5 作業6
写真5: 作業7 土手作り
写真6: 本日のおやつ、フルーツケーキと満面笑みのA女史
『お道具拝見コーナー』その11(三枝氏投稿)
今回は「釘締(くぎじめ)」の紹介です。 写真は工場で現用の物です。
釘締は むかし「ヘシコミ」とも言った様です。 釘頭を材面より深く埋める必要がある場合や、玄翁を直接使えない凹部、例えば埋め木をする穴の底部に釘を打つ場合などに使う道具です。
家具の組立でこんなに釘を使うのは想定外でしたが、考えてみれば釘打ちダボ隠しは、家具では良くある手法の様です。
初級の頃、最初に作った道具箱は接着釘止めでした。 前回完成したキャビネットでも釘を使用しています。 ネジよりも釘を使う理由は、木ネジでは硬いカバ材が割れる心配がある為と下穴をもむのが手間な為でしょうか。 木ネジでは修理の時に、ネジが錆びて頭がねじ切れると、分解が難しいと言う事も有るのでしょうか。
30年前、京王デパートで見たダニエルの家具は、釘打ちダボ隠しがして有りました。ダボ頭は鑿で削り取って少し盛り上げて有りましたが、それは多分に意匠的な意味も有ったでしょう。それがアクセントにもなり、ダニエル家具を特徴付ける商品でも有りました。
それはスマートさよりも、重厚さや堅牢さ、素朴さを演出する物だったと思いますが、実用面でも、家具の堅牢性に寄与したのだと思います。
従ってそう言う釘を使って家具を組立てる伝統は現在にも受け継がれていると思います。 写真の釘締を見るとお判りの様に、右端にはとても短い釘締めがあります。 これは長かった釘締めが叩かれ、叩かれ使い込まれておよそ半分の長さにまで短くなった物です。
これを見ると、ダニエル家具作りの伝統の中で、釘と釘締めの使用頻度がいかに高かったかが判ります。
釘締めの先端部は細くなっており、小口を円形にして滑りを防ぐ為に小口端面を凹みなまこ(メッシュ)、十字等々に加工してあります。長く使用していると先端が凸面になってきますが、そのようなものを使い続けると、釘の頭を打った時に滑りやすくなります。そのようになった先端はグラインダーなどで凸部を平面にまで削り落とします。
また先端部は釘頭に当たって滑らず、変形もせず、欠けない程度に焼き入れされています。
簡単な道具の様で、作るのは難しいと聞きました。 良いものは結構値段も張る様です。出来れば、ホームセンターの安物で無くて、名の有る鍛冶の作る良い物を使いたい所です。小さな贅沢です。
写真7: 釘締め
文責・編集 堀江
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