アシリアペ    「アシリアペ」とはアイヌ語で「新しい火」。住所は茨城県常陸太田市大中町3486-2

営業日等:土日の10:00~17:00 臨時営業もあり。天然酵母パンやオーガニックの食材などを取り扱う。

存在のない子供たち

2019-08-12 14:09:23 | 映画評
「存在のない子供たち」 PG12 ナディーン アバキイ監督 レバノン ☓☓☓ ☆☆

 レバノンの貧民街で出生届もない12歳の少年が必死に生きる様子を描いたドキュメンタリータッチの社会派ドラマです。
 映画は12歳の少年ゼインが両親を「自分を生んだ罪」で告発する場面から始まります。たくさんの子どもに囲まれ長男のゼインは必死に働きますが、両親は優しい言葉のひとつでもかけることもなくただ、罵るだけでした。そんな矢先11歳の妹が嫁に売られることを知ります。反発をするゼインにお構いなくことは進むのでした。それがきっかけとなってゼインは家を出ます。証明書がなにもないゼインに働く場はありません。空腹に耐えかねて声をかけた女性の家に行き彼女の赤ん坊の世話をすることになります。やっと居場所が見つかったのもつかの間今度はその彼女が不法労働で捕まってしまうのでした。赤ん坊と取り残されたゼインの過酷なサバイバルが始まるのでした。
 これでもかと押し寄せる問題の数々に観客はどうしてあげることもできず、ため息を付くことしかできません。赤ん坊が母恋しさにゼインの胸をまさぐる姿には泣けます。それにしてもなんという演技なのでしょうか?ゼインも赤ん坊も微妙な目の動かし方で気持ちが伝わってきてなんとかして手を差し伸べてあげたいと思わせる作品です。ラストのゼインの笑顔が救いです。
 タバコは、大人はもちろんのこと、子どもたちも喫煙します。ゼインも喫煙する場面が2度ほどありました。監督から吸わされているとしたならばこれも虐待ですが・・・。