アシリアペ    「アシリアペ」とはアイヌ語で「新しい火」。住所は茨城県常陸太田市大中町3486-2

営業日等:土日の10:00~17:00 臨時営業もあり。天然酵母パンやオーガニックの食材などを取り扱う。

「私はわたしのままで生きることにした」 キム・スヒョン著 吉川南訳

2020-12-27 15:41:19 | 本棚


「私はわたしのままで生きることにした」 キム・スヒョン著 吉川南訳

私たちはみんな、ヒーローになること、特別な何者かになることを夢見ていた。だけど今では、世界どころか自分を救うことに必死な大人になってしまった。
中途半端な年齢、中途半端な経歴、中途半端な実力をもつ、中途半端な大人になった私たちは、誰もが大人のふりをしながら生きている。
本書には、今を生きる普通の人々へのいたわりと応援を詰め込んだ。何が正解なのかわからない世の中で、誰のまねもせず、誰もうらやまず、自分を認めて愛する方法を伝えたい。
平凡だけど美しい、ごく普通の「私たち」のために!


「かか」 宇佐美りん著

2020-12-27 15:40:04 | 本棚


「かか」 宇佐美りん著

19歳の浪人生うーちゃんは、大好きな母親=かかのことで切実に悩んでいる。かかは離婚を機に徐々に心を病み、酒を飲んでは暴れることを繰り返すようになった。鍵をかけたちいさなSNSの空間だけが、うーちゃんの心をなぐさめる。脆い母、身勝手な父、女性に生まれたこと、血縁で繋がる家族という単位・・・・自分を縛るすべてが恨めしく、縛られる自分が何より歯がゆいうーちゃん。彼女はある無謀な祈りを抱え、熊野へ旅立つーーー
未開の感性が生み出す、勢いと魅力溢れる語り。痛切な愛と自立を描き切った、20歳のデビュー小説。


「そして、バトンは渡された」 瀬尾まいこ著

2020-12-27 15:37:22 | 本棚


「そして、バトンは渡された」 瀬尾まいこ著

幼い頃に母親を亡くし、父とも海外赴任を機に別れ、継母を選んだ優子。その後も大人の都合に振り回され、高校生の今は二十歳しか離れていない“父”と暮らす。血の繋がらない親の間をリレーされながらも出逢う家族皆に愛情をいっぱい注がれてきた彼女自身が伴侶を持つときーーー。大絶賛の本屋大賞受賞作。
解説・上白石萌音

今月の言葉

2020-12-26 15:45:44 | 今月の言葉
「苦海・浄土・日本 石牟礼道子 もだえ神の精神」 田中優子著から

 毒死列島に祈りを捧げるもだえ神はもはやいない。縄文からの射程でいえば約3000年あまり。そんな太古から来た人の物差しで見れば、魂の抜けた人間たちが愚かなことを繰り返し、一度滅びて生まれ直す歳月はどうということはないかもしれない。しかし、それは「生まれ直す力があれば」という条件付きである。
 救いというものはない。まず自分が人間になり直す作業を魂に課すこと。それが、日本人が成し遂げることができなかった魂の自立だと道子は言った。人間になり直すとは、自然を支配下に置こうとするのではなく、自然の中に入って生類たちとの連帯を取り戻すことであろう。それができなければ、人類は孤立し、破滅の一途をたどるだけである。


「人新世の『資本論』」 斎藤幸平著

2020-12-22 15:39:42 | 本棚


「人新世の『資本論』」 斎藤幸平著

 人類の経済活動が地球を破壊する「人新世」=環境危機の時代。気候変動を放置すれば、この社会は野蛮状態に陥るだろう。それを阻止するためには資本主義の際限なき利潤追求を止めなければならないが、資本主義を捨てた文明に繁栄などありうるのか。
 いや、危機の解決策はある。ヒントは、著者が発掘した晩期マルクスの思想の中に眠っていた。世界的に注目を浴びる俊英が、豊かな未来社会への道筋を具体的に描き出す。


「苦海・浄土・日本 石牟礼道子 もだえ神の精神」 田中優子著

2020-12-22 15:37:42 | 本棚


「苦海・浄土・日本 石牟礼道子 もだえ神の精神」 田中優子著

水俣病犠牲者たちの苦悶、心象風景と医療カルテなどの記録を織りなして描いた、石牟礼道子の『苦海浄土 わが水俣病』は類例のない作品として、かつて日本社会に深い衝撃を与えた。だが、『苦海浄土』をはじめとする石牟礼文学の本質は告発だけではない。そこには江戸以前に連なる豊穣な世界と、近代から現代に至る文明の病をも射程に入れた世界が広がる。
 経済原理優先で犠牲を無視し、人間と郷土を踏みにじる公害、災害。それは国策に伴い繰り返される悲劇である。新型コロナウイルスの蔓延が社会状況を悪化させる中、石牟礼本人との対談、考察を通し世界的文学者の思想に迫る、評伝的文明批評。今は亡き文学者に著者は問い、考える。「石牟礼道子ならどう書いたであろう」と。