アシリアペ    「アシリアペ」とはアイヌ語で「新しい火」。住所は茨城県常陸太田市大中町3486-2

営業日等:土日の10:00~17:00 臨時営業もあり。天然酵母パンやオーガニックの食材などを取り扱う。

「沖縄狂想曲」 太田隆文監督

2024-02-27 09:11:40 | 映画評
おすすめの映画です。「日本がアメリカの属国」であることがわかります。


「沖縄狂想曲」 太田隆文監督 ◯ ☆☆☆

 沖縄が置かれている現状を様々な立場の人々の証言で明らかにしていくドキュメンタリー映画です。
 証言者として、大田昌秀元沖縄知事、鳩山由紀夫第93代総理大臣をはじめジャーナリストらが知らされて来なかった真実を明かします。
 「ラプコンを説明しなさい。」と言われたら答えられますか?実は沖縄だけでなく横田基地がある東京や日本中の空域がラプコン(レーダー・アプローチ・コントロール 民間機進入禁止空域)の対象になっているのです。なぜかといえば「日米地位協定」という日本国憲法より上位にある協定に日本は縛られているのです。そして「日米合同委員会」という国民には馴染みのない会議でほとんど秘密裏に日本の行先が決められているのです。
 辺野古基地については普天間基地移設のためではなく、ゼネコンに税金を投入するためだけなのも明らかにしています。
 そういうことがこの作品を観るだけでよくわかります。特に前泊博盛(沖縄国際大学大学院教授)さんの解説がわかりやすかったです。鳩山さんも「力及ばず」という無念を語ってくれています。
 「沖縄狂想曲」というよりは「日本狂想曲」です。税金を払っている人必見の作品です。




「ヤジと民主主義 劇場拡大版」 山崎裕侍監督

2024-02-23 14:28:27 | 映画評


「ヤジと民主主義 劇場拡大版」 山崎裕侍監督 ◯ ☆☆

 2019年、札幌での安倍首相(当時)が応援演説中ヤジを飛ばして警官に排除された事件と、その後の裁判を追ったドキュメンタリー映画です。2020年北海道放送の番組を追加取材など加え劇場版にしました。ナレーションは落合恵子です。
 「安倍やめろ」とヤジを飛ばした男性は数人の警官に囲まれズリズリと現場から引き離されます。別の女性も同様に女性警官に腕も取られほとんど拘束されます。また、ただ「老後の資金2000万円ありません。」という手持ちのプラカードを胸に抱えていただけで私服警官が前に立って見えないように遮ります。そして男性と女性の二人が司法に訴えますが・・・。

 安倍自民党を支持するプラカードはみんなが持っていても何もされないのに反対の意思を示しただけで法的根拠がなく拘束状態になってしまう。警官の言い訳は「危険な目に(あなたが)合わないように」と恩着せがましい態度を取る。全く「ヤジも言えない」ってどういうことでしょう。百歩譲って「演説を聞きたい人もいるから静かにしてほしい。」のでしたらプラカードや横断幕は問題ないはず。だいたいヤジくらいまっすぐ受けて「ご意見有り難く承りました。」くらいのことが言えなくて政治家になるな、と言いたいです。
 ただ、ロシアではプーチン批判の人が消されてしまい、それも他人事ではないような気がしてきました。そのへんのホラー映画より実はよっぽど怖い作品です。日本が「自由」で「民主的」だと誤解している皆さん必見の作品です。

 タバコは、なし。無煙です。ところで、「自由で民主的な」議員のみなさん特定の企業を国家が保護する「たばこ事業法」いいかげんに廃案にして!


「燃えあがる女性記者たち」

2023-12-18 14:08:49 | 映画評


「燃えあがる女性記者たち」
リントゥ トーマス、スシュミト ゴーシュ共同監督 インド◯☆☆☆
 
 インドの被差別階級の女性たちが立ち上げた新聞社「カバル ラハリヤ(ニュースの波)」を追ったドキュメンタリー映画です。
 北部のウッタルプラデーシュ州にある女性だけで立ち上げた新聞社はスマホの時代となり紙媒体からデジタルメディアへ新しい挑戦を始めます。スマホは英語表記だから全くわからない、と怖気づくメンバーへは丁寧に教え撮影の仕方なども練習します。
 一方、被差別カーストの女性たちを巡る社会や家庭内の父親や夫の対応は厳しいものもあります。それでも14歳で結婚し子どもを親に預けおっぱいをあげながら学び続けた主任ミーラを始めメンバーたちはなんとか折り合いをつけながら仕事を続けるのでした。

 働く女性のたいへんさ、女性だから受けるさまざまな暴力、その上カーストによる差別などの問題を考えさせられました。男たちはといえば「ヒンズー至上主義」みたいになっていて、モディ首相の真の姿を垣間見ることもできました。宗教で対立させ社会の課題を見えにくくさせているのはリーダーとしていかがなものでしょう。
 ジャーナリストが殺されたニュースが入りますが、めげずに屈強な男性たちに囲まれながらも毅然としてインタビューを続ける彼女たちに拍手です。
 テーマは重いのですが親睦旅行の楽しそうな場面やエンディングの音楽が観客の女性たちを「あなたもがんばって!」という励ましになっています。

 タバコは、なし。無煙です。無煙映画・外国映画賞候補


2022年無煙映画賞

2023-05-31 15:15:00 | 映画評
5月31日は「World No Tobacco Day (世界禁煙デー)」です。
毎年日本禁煙学会で選考されている無煙映画賞の各賞を紹介します。

**2022年無煙映画賞各賞と推薦理由**

<作品賞> 「土を喰らう十二ヵ月」 中江裕司監督

 水上勉のエッセイ集「土を喰ふ日々 わが精進十二ヶ月」を原案に監督自身のオリジナル作品として、白馬を舞台に実写映画化しました。
 小説家のツトム(沢田研二)は雪を被った山脈がみえる古民家に暮らし畑を耕し山菜を取り子どもの頃育った禅宗の寺で教えられたように丁寧に精進料理を作り来客に振る舞っています。身近な人の死をきっかけに人生を問い直します。
 今日一日を大切に生きよう、と思わせてくれる秀作です。

<主演俳優賞> 岸井ゆきの 「ケイコ 目を澄ませて」三宅唱監督

 聴覚に障害がある元プロボクサーの自伝を映画化しました。セリフが「ううっ」と「はい」が1回で、笑顔もほとんど見せない表情で演技する困難な役を岸井が好演しました。
 音楽がなく映画の形態としても独特な表現をしています。

<東日本大震災追悼賞> 「天間荘の三姉妹」 北村龍平監督

 天界と地上の間にある三ツ瀬街の旅館天間荘。新たに宿泊客たまえ(のん)が到着します。彼女は実は現世で交通事故にあい臨死状態だったのです。
徐々に天間荘や三ツ瀬街の人々の謎が明らかになっていく脚本(嶋田くれ葉)がたくみで「生きるとは」「人生とは」「孤独とは」そして家族について哲学的なセリフがさりげなくかわされ観客はいつのまにか自身の問題として考え共感していきます。生きていることの素晴らしさを再確認させてくれる秀作です。 

<特別賞> 「テレビで会えない芸人」 四元良隆・牧祐樹監督 

 芸人松元ヒロの姿を出身地の鹿児島テレビがドキュメンタリー映画にしました。
 名作「憲法くん」はじめ現在のテレビでは忖度され決して演じられない政治ネタで笑わせながら痛烈に社会批判をしています。とともに松元自身の人間性がさまざまな場面に現れています。

<ファミリー賞>「桜色の風が咲く」 松本准平監督 

 世界で初めて盲ろう者で大学の教授になった福島智さんと母親の令子さん親子の実話を基に映画化した作品です。視覚だけでなく聴覚までなくし絶望の智さんを令子さんが指点字という新たなコミュニケーションツールを編み出しそれが希望となり人生の困難を家族で乗り越える姿を描きました。

<アニメ映画賞> 「犬王」 湯浅政明監督 

 古川日出男の小説「平家物語 犬王の巻」を長編ミュージカルアニメとして描きました。
 南北朝から室町にかけ活躍した「犬王」と呼ばれる能楽師が主人公です。
四条河原を舞台にダイナミックな音楽と奇抜な演出、犬王の人間とは思えない舞、アニメーションだからできる表現です。
 文字で残されたものしか歴史としては残らない、権力者の都合のいいものしか文字にならない。つまりは歴史にはならない、今に通じる内容でした。


<外国語映画賞> 「ベイビーブローカー」 是枝裕和監督 韓国 

 「万引き家族」の是枝監督が韓国で制作し、ソン ガンホが第75回カンヌ国際映画祭で「主演男優賞」を獲得した作品です。
 捨てられた赤ちゃんを売るためにオンボロ車でブローカーと母親たちが旅をするうちに何故かチームのようになっていく気持ちの変化を俳優たちの名演技が見どころです。
 韓国と日本の映画人が協力して一つの作品を完成させる行為そのこと自体にも拍手です。
 それにしても男の子は1000万ウォン、女の子は800万ウォンが相場ってひどいですよね。


*汚れた灰皿賞(モクモク賞)
・「マイ・ブロークン・マリコ」(タナダユキ監督 ハピネットファントムスタジオ)
・「とんび」(瀬々敬久監督 KADOKAWA)
・「宮松と山下」(関友太郎、平瀬健太郎、佐藤雅彦監督 ビターズ・エンド)

「桜色の風が咲く」

2022-12-30 10:48:00 | 映画評


「桜色の風が咲く」 PG12 松本准平監督 ○ ☆☆

 盲ろう者で初めて大学教授になった福島智さんと母令子さんの実話を基に映画化しました。
 3人兄弟の末子智は幼児期に視力をなくします。献身的な母親(小雪)教師の父(吉沢悠)、二人の兄に囲まれ智(田中偉登 たなかたけと)は元気に盲学校の高等部に入学、親友もできささやかな恋心を抱く相手も現れます。ところが今度は聴力まで失ってしまうのです。
 孤独と絶望に苦しむ息子とのコミュニケーションを取るため令子はとっさに指点字を試します。それがきっかけとなり、精神的に立ち直った智は「光も音も感じないが考えることはできる。きっと自分にしかできないことがある。」と復学し前を向いて歩き始めるのでした。

 12年ぶりの映画出演という小雪が辛く苦しい母親を好演しています。このような人がいることを全く知らなかったのでそういう意味でも意義のある作品です。母親を取られてしまっている兄弟のストレスや権威主義の医師(リリー・フランキーがうまい)なども描いています。
 いわゆるお涙頂戴の難病ものに終わらず観客にも前向きに生きようという勇気をくれる秀作です。(☆☆)
 映倫へ質問、なぜ「PG12」の年齢制限がついたのでしょうか?
 日本語字幕付きは大変わかりやすいですね。できれば全作品につけてほしいものです。

 タバコは、なし。無煙です。
 

「土を喰らう十二ヵ月」

2022-12-05 11:02:06 | 映画評


「土を喰らう十二ヵ月」 中江裕司監督 ○ ☆☆

 水上勉のエッセイ集「土を喰う日々 わが精進料理十二ヶ月」を原案に監督自身のオリジナル作品として、白馬を舞台に実写映画化しました。
 小説家のツトム(沢田研二)は雪を被った山脈がみえる古民家に暮らし畑を耕し山菜を取り子どもの頃育った禅宗の寺で教えられたように丁寧に精進料理を作り来客に振る舞っています。亡き妻の部下で編集者の真知子(松たか子)は原稿を催促しがてら時々訪れます。近くには少し偏屈な妻の母親チエ(奈良岡朋子)が小さな小屋に一人で暮らしていました。
 平穏な日々がチエの突然の死や自身の心臓発作が続いて起きたことで揺らいでいくのでした。

 風景や食材、料理の過程、完成した料理(担当 土井善晴)など味噌や梅干しを含めすべての映像が美しい。主役の沢田がそれに負けず魅力的です。(☆)特に室内に冷蔵庫もなく、プラスティック素材のものや化学物質でできたものが一切目に入らないという生活が大変心地よいです。米びつだけちょっと違和感がありましたが。料理を盛り付ける器がそれぞれ個性的でさすが「ふくら舎協力」です。
 沢の水を贅沢に使える生活が羨ましいです。しばらくは「皮も根っこも食べるツトム君料理」が我が家で流行りそうです。
 犬が出しゃばらず、さりげない演技だったことも良かったです。
 ちなみに大豆の種まきと山鳩の関係ですが、大豆は苗にしてから植えるのが百姓の常識です。あの山鳩はよく訓練されていて可愛かったけど。
 今日一日を大切に生きよう、と思わせてくれる秀作です。(☆)

 タバコは、なし。無煙でした。


「ブレット・トレイン」映画評

2022-11-06 10:45:51 | 映画評
「キネマ旬報 11月下旬号」の読者の映画評欄に掲載されたので紹介します。


「ブレット・トレイン」

面白かった。心のなかでスキップをしながら映画館を出た。すでに原作は何度も読んでいる。伊坂幸太郎の殺し屋小説「マリアビートル」をブラピが主演で舞台は日本だけど英語の作品だという。再度読み返してから劇場へ。時間の都合で吹替版だったが結果としてこちらのほうがより楽しめたようだ。字幕を追いかける煩わしさがなく、画面に集中できる。アクションはめちゃくちゃだけれど流れは理解しているのでそのハチャメチャの中にすっぽり入り込んでしまい深いことは考えず楽しむことができた。
 もともと、伊坂のファンになったのが映画の「アヒルと鴨のコインロッカー」(中村義洋監督)を見て感動し原作を読んだことがきっかけだ。以来ほとんどの著作を読んでいる。その後国内で何作か彼の小説が映画化されたが、原作ファンとしてはいまひとつ盛り上がらなかった。だから今回もそれほど期待はしなかったが、頼りない殺し屋「天道虫」をあのブラピが演ずるということで彼を見ているだけでも十分もとは取れるだろうという程度でチケットを買った。
 元はとった上にかなりお釣りも来た。ブラピだけでなく、音楽も懐かしい昭和テイストで冒頭の「ステイン・アライブ」から「時には母のない子のように」「ヒーロー」など一緒に歌いながらレディバグを応援したらきっと楽しかっただろうな、と思う。
 コロナで行動を制限される日々が続き多くの人がなんらかの不満やストレス、いきどおりを感じていると思う。そんなときにはあれこれ考えず「ブレット・トレイン」に乗り込んで、降りるときには、ああ面白かった、生きていてよかった、明日も生きていこう、というパワーをもらおう。そういうときのために映画館はある。きっと。
 ところで、コロナが落ち着いたら「一緒に歌ってレディバグを応援しよう!」という応援上映を是非どこかの映画館で企画してください。楽しみにしています。


「パンケーキを毒見する」 内山雄人(うちやまたけと)監督 ○ 配給スターサンズ

2021-09-22 14:20:36 | 映画評


菅政権が終わるからと言って過去の映画ではありません。この国の政治状況を考える上で多くの人に観てほしい映画です。
只今、「あまや座」で上映中。連日満席状態です。

「パンケーキを毒見する」 内山雄人(うちやまたけと)監督 ○ 配給スターサンズ

 「新聞記者」の制作チームがいても立ってもいられず制作した作品です。
主役は第99代日本国総理大臣菅義偉です。本人には直接インタビューができるわけもなく周囲からも取材拒否の対応が続くなか、それでも自民党内にも取材に応じる人もいて国会中継という誰でもが見られる場面やニュース映像にアニメーション(べんぴねこ)を組み合わせ楽しみながら勉強する「政治バラエティ映画」に仕上げました。
政治家では自民党からは石破茂、村上誠一郎、立憲民主党の江田憲司、共産党の小池晃などが登場しメディアからは元朝日新聞の記者やしんぶん赤旗の記者などが登場します。

噛み合わない国会答弁は見れば見るほど国民はなめられているなと腹が立ってきます。もうすぐ「過去の人」になってしまいますが、この作品のおかげで「菅総理の時代」がいつまでも語り継がれることは映画冥利につきるのではないでしょうか。
パンケーキをごちそうになって「いつもごくろうさん」と労われるとそれだけで追求する気が失せてしまうという人間の弱さみたいなことも描かれます。「タダ飯を食うな!」という戒めです。

タバコは、なし。無煙です。2021年無煙映画賞特別賞候補です。


「ブータン 山の教室」 パオ チョニン ドルジ監督 ○ ☆☆

2021-06-30 11:03:56 | 映画評


「ブータン 山の教室」 パオ チョニン ドルジ監督 ○ ☆☆

 「世界一幸福な国」と言われ国民もそれを知っているブータンの最も僻地にある村の学校を舞台に教育とは?幸福とは?を問いかける作品です。

 ミュージシャンとしてオーストラリアへ移住することに憧れているやる気のない青年教師のウゲン(シェラップ ドル)は上司から世界一僻地のルナナ村(標高4800M)の学校へ冬が来るまで赴任することを命じられます。ティンプーからバスでガサまで行きその後はヒマラヤを見ながらのほぼ1週間のトレッキングでたどり着くルナナには車はもちろん電気もありません。しかし、村までまだ2時間も歩くというところまで村人が全員でウゲンを迎えに来ていました。なんとか到着したもののあまりの「なにもなさ」にウゲンは「僕、帰ります。」と投げ出します。しかし、翌朝寝ているウゲンを「先生もう9時です。」とクラス委員のペムザムに起こされしかたなく教室へ行き子どもたちと向き合います。ノートに使う紙も貴重なため足りずそれどころか黒板もありません。ただ、子どもたちの学びたいという向学心や大人が子どもに学ばせたいという強い思いがありました。ウゲンは次第にその思いに応えようとするのでした。

 原題は「ルナナ、ヤクがいる教室」で、その名の通りヤクはミルクや肉を利用するためだけでなく糞は燃料として使うためルナナの生活では重要な役割を担っています。ヤクのノルブ(宝の意 実名はナカ)が教室で草を食んでいます。テーマ曲は「ヤクに捧げる歌」(ブータンの伝統歌)でこの曲を通じてウゲルは歌い手の女性セジュ(ケルドン ハモ グルン)と親しくなります。

 子どもたちはじめ村人は俳優ではなくルナナに住む村人なのでドキュメンタリーのようでもあります。車もなく紙も使わない生活なのに、雪が減っているという気候温暖化の影響を最も身近に受けている「幸福な国」の人々を通してもう一度自らの生き方を振り返らずにはいられなくなる作品です。(☆)
 また、監督が写真家のためか映像が大変美しくそれも見どころです。(☆)
 ところで、この作品は隣町にあるミニシアターで見ましたがコロナで座席が半数とはいえ、平日にもかかわらず満席でした。嬉しいことです。

 タバコは、なし。無煙です。国民総幸福(GNH)で有名ですが、実はブータンは日本ではあまり取り上げられませんが、禁煙(喫煙は違法)の国でもあります。


「アメリカン・ユートピア」 スパイク リー監督 米 ○ ☆☆

2021-06-26 14:03:44 | 映画評
面白かった、いい映画の紹介。


「アメリカン・ユートピア」 スパイク リー監督 米 ○ ☆☆

 アメリカグラミー賞受賞アーティスト「ディビット バーン」が2018年に発表したアルバム「アメリカン・ユートピア」を原案にブロードウェイで行われた2019年のショーをスパイク・リー監督が映画化しました。

 いきなり脳の模型を手に歌い始め、人間の脳は生まれたときがもっとも神経細胞のつながりは多く、成長するに連れだんだん少なくなっていく、人との出会いこそが人間を豊かにするとかたります。そして、さまざまな楽器を身に着けたさまざまなメンバーと演奏し、踊ります。その内容はトランプ大統領時代のアメリカに対しての自分の思いを穏やかに語り歌うのです。

 1952年生まれのディビットが舞台の上を歌いながら演奏しながら動き回り印象的なダンスやマーチングバンド風の動きなどをカメラは捉えます。照明の見事なこと、音楽の豊かなこと、内容に主張があること、芸術性が高いことなどなど映画というメディアとして最高の作品です。
 客席と舞台の間に警備員がいるわけでもなく観客の中を退場する場面でも立ち上がって拍手はしていますがそれ以上のことは決してせず、観客も洗練されていました。
 コロナがなければ「ボヘミアン ラプソディ」のような「応援上映」で盛り上がることも出来たでしょう。残念!
 残念といえば、メンバーにアジア系の人がいなかったことがちょっと残念です。
 なお、ラストで、会場から宿泊施設へ移動する手段が自転車というのも「口だけじゃない。行動も見てね。」という主張がありました。

 タバコは、なし。無煙です。喫煙者があのパフォーマンスをしたら倒れますね。