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本の感想

本の感想など

エレガントな毒の吐き方②(中野信子 日経BP社)

2023-07-29 19:02:16 | 日記

エレガントな毒の吐き方②(中野信子 日経BP社)

 このような本に需要があるということは、日本中が難しい人間関係のなかに入っていることを露呈している。京都の上京中京の近所付き合いの処理は大変難しくてよそから入り込むことは至難の業と聞き及ぶ。その難しいところで用いられている技法が紹介されているのである。日本中の会社などが京都もどきに都市化されたということであるからこの本の売れることは日本社会にとって実は由々しき事態ではないのか。

 どうやら日本人の心性は、地域共同体のような丸抱えしてくれる集団に属しているときに一番安心できて仕事のパーフォーマンスも宜しいようだ。知る人は少なくなったが昭和の会社などは、地域共同体もどきの作用を果たすように心がけたのである。社員運動会とか会社が行う祭りまであったところがある。人事異動は、社員全体の娯楽になって居てだれが出るか残るかでダービーみたいに賭けが行われていた。

 こんなことではいけないと、最近会社などは仕事だけの場にしたのはいいが所属している人々は安心して所属したい欲求の持って行き場がなくなって困ることになる。さらにその今所属している集団から毒のある言葉を投げかけられて心がへこむことがあってはもう立ちいかなくなる。なんとか、あまり波風の立たぬ程度のそれでも十分に毒ある言葉を投げ返さねばならない。そんな人が爆増していることが、この本の売れる背景だろう。

 今 会社に「単属」である人は都市部では女性を含んでほとんど全員である。その唯一単属している会社の中で、毒を吐かれたらどんな気分になるか会社などを経営しているヒトは、お考えになったことがおありだろうか。毒を吐かれた人は、対抗上毒を吐かねばならない、そのために従業員はこの本を買って読んで研究をせねばならない。そのために仕事の効率が悪くなっていることにお気づきだろうか。

 今 私がジョージソロスのような大投資家であったとする。空港を降りたって人々がなんとかあいつに仕返しをしてやろうと考えている眼をしている国と、仕事が欲しいとギラギラした眼をしているヒトがいる国どちらに投資するかはもう明らかである。

 そこで中野信子氏に是非次の題で、一冊書いていただきたい。売れることは保証する。出版は同じく日経PP社が宜しいと思う。

 「経営者に読んでほしい、従業員が毒を吐かなくてもすみ、また吐きかけられることのない会社の作り方」


エレガントな毒の吐き方(中野信子 日経BP社)

2023-07-29 10:11:16 | 日記

エレガントな毒の吐き方(中野信子 日経BP社)

 主として女性で会社などに勤めている人がマウントをとられた時、とられそうになった時どう対応するかを書いたほとんど実用書に近い書物である。その対応の仕方を京都風のやりかたに範をとっている。

 一千年に渡って都会を形成してきて、かつ御所の政治のやり方を庶民がまねてきた歴史があるから洗練した対応の仕方があるのは当然である、そこを学ぼうという策である。毒のある言葉には毒のある言葉で返すがよかろう、ただしその場で喧嘩にならないようにしたい人には価値がある本である。ちゃんと毒のある言葉で返しておかないと(言われっぱなしだと)言われたほうの心が傷ついて出社拒否になるのであろう。

 この技法は本を読んだだけでは身につかないもので、実際に師匠のそばで学ばないといけない、ちょうど落語の間合いみたいなものが必要だからである。ヒトとの会話は水泳や野球のボールを打つなどと同じく体で覚えるものだと思う。しかしそうも言っていられないから急ぐ人にはこの本役立つかもしれない。もちろん男にも役立つ。(さらに毒を必要としないようなマッチョな男でさえ多少は役立つかもしれない。)

 感想は以下の通り。

  • 日本の会社などは女性を戦力にしたのはいいが、人間関係のコントロールに全く意を用いていない。トラブルが起こったらそれは当人たちの問題であり、当人たちの人間ができていなかったせいだとしている。これは、いらざることに女性が心血を注いでいることになるので会社としてもパーフォーマンスが低下することを意味する。あんまり放置しすぎると会社がつぶれてしまうだろう。会社はこの本を買って全社員に配布すると予防策にはなるだろう。これが幻冬舎ではなく日経BPから出版されているのは意味のあることである。

 今は個人で買っているようだがそれでも平積みされて(いかに多くのヒトが会社などの人間関係に悩んでいるか)大量に売れているようである。わたしならこの本を赤い表紙にして胸ポケットに納まるくらいにして売る。これを見えるか見えないように胸ポケットに入れておくのである。毒を吐いてくる同僚には威圧になるであろう。

  • 著者(美人である)の写真があまりにも大きく強調されている。これからの本は著者の容貌も売れ行きに関係するかもしれない。そう言えば養老孟司さんも司馬遼太郎さんもあまりなじみはないかもしれないが森毅さんもなかなかの男前である。

 ならば、著者と写真のモデルは別々にしてもいい。しかしモデルになった人はサイン会くらいしかできない。講演とかは無理だからこれはできないか。

 これから出版業界で写真家の腕やメイクアップの技術がもてはやされるかもしれない。