本の感想

本の感想など

上野の山で西郷さんの像と天海和尚の髪塚をみる①

2022-12-24 19:09:07 | 日記

上野の山で西郷さんの像と天海和尚の髪塚をみる①

 上野の西郷さんの像を見に行った。戦後この像の付近には戦災孤児が一杯いたというが、その時この像があったのならこの像は戦時供出を免れていたことになる。さすがに西郷さんの像は戦時でも供出は申し訳ないだろうが実際はどうであったのか知らない。

 さて、西郷さんの像のすぐ後ろには彰義隊の顕彰碑があるのだが、これが西郷さんの像の方向まっすぐ向かわないで十度くらい斜めにそれた角度で向かっているのが不思議である。そもそも彰義隊の顕彰碑が上野の山にあるのは当然だけど、西郷さんの像がかならずここにないといけないということはないのではないか。上野の山戦争を指揮したからというのはわかるが、この人あっちこっちで大活躍だから必ずしもここ上野でないといけないというものでもないだろう。西郷さんの像がなぜ上野にあるのかとの説明と、この微妙な角度のずれは、この像を設置した人の何らかの意思の表現と考えられるから、どこかにその理由を銘版に彫り込んでほしいものである。

 それにつけても、慶喜公は上野の山戦争の音をどんな思いで聞いていたのか。この人のことを根性なしとか言う人が居るが、そんなことないだろう。薩長の後ろにいるイギリスは江戸が火の海になれば自分たちが出てきて占領するに好都合と考えていることを見抜いていただろう。しかも幕府の後ろ盾のはずのフランスはやる気がないことも見抜いていただろう。すべてを総合判断するに恭順するのは自分の面目が立たないようでもそれでも一番いい道だと判断したのだろう。多少の跳ね返りの人々が騒ぎを起こすのは已むを得ない。この判断を貫くのは、相当の根性がいる。えらい人だと思う。

 この人を主人公にした映画がなぜつくられないのか。上野の山戦争をどんな顔して聞いていたのかを演じられる俳優は少ないだろう。三国連太郎さんの演技で見たかったところだ。

 中学のとき日本史の先生が日本がなぜ植民地にならなかったかを、領土が小さくて資源が少なく植民地にするほどの値打ちが無かったとか武士が刀を差していて統治が面倒だからとかの理由をあげていた。それはそうかもしれないが、最後のところでの施政者の英断というのもこの場合ありだと思う。