独り合点(ひとりがてん)

きもの業界をステージとした、ビジネスと生活スタイル、および近況。

賢者の贈り物

2011-11-27 | 日々雑感

銀座ミキモトのディスプレーも例年のツリーが飾られ、イルミネーションで街はすっかりクリスマス気分。でも、今年はどこかまだ冷めた感じがします。私は、この時期になるといつも思い出して早送りして、好きなシーンを観るがCDが幾つかありますが、1つにビング・クロスビーの「ホワイトクリスマス」があります。たわいもない映画ですが、古き良き時代のほのぼのとした感じが、とても好きです。そして本では「クリスマス・キャロル」や「賢者の贈り物」。特に「賢者の贈り物」は高校の頃、サブテキストで原文を読まされたのでよく覚えています。寝られない時など、時々パラパラと読むのですが、やはりこの時期に読むとひと味違うように感じます。物語は、貧しい若い夫婦が、クリスマスの贈り物のために互いが一番大事な、夫は祖父譲りの時計を質に入れ、妻のために鼈甲の髪飾りを買う。妻は自慢の髪の毛を売り、懐中時計の飾り紐を買う。若い夫婦の行き違いを描いたショートストーリーです。この一見愚かな行き違いを作者、オー・ヘンリーは「贈り物をするすべての人の中で、この二人が最も賢明だったのです。贈り物をやりとりするすべての人の中で、この二人のような人たちこそ、最も賢い人たちなのです。世界中のどこであっても、このような人たちが最高の賢者なのです。彼らこそ、本当の、東方の賢者なのです。」結んでいる。東方の賢者とはイエス・キリストの誕生に、贈り物を持って行ったと聖書にある博士のことで、クリスマスに大事な人に、贈り物をする習慣の由来がここにあります。互いが思いやり、相手を喜ばせようと想いを込め、真摯に努めて行動しながらも、すれ違ってしまう。日常には、よくある微笑ましいことですが、時にそのすれ違いが、トゲのように互いを傷つけてしまうことがある。人の心の不思議です。