比較的貧乏だった我が家(笑)
両親と僕、弟、妹の5人家族。
どこかに出かけるといってもお金のかかるところには行けない。
当然外食なんて年に何回かしかできなかったし
喫茶店に入るなんて小学生の頃は大事件だった(笑)
そんな我が家のレジャーはもっぱらドライブ。
特に目的地もなくお弁当持って車に乗り込み
父の気分に合わせて山や川やたまに海まで足を伸ばしたり。
そういう時の父のセンスは抜群だった。
特に春のドライブはとてもわくわくさせてくれた。
ドライブといいつつ真の目的は山菜採りなのだ!
快晴の日曜日、早朝から家族総出で山に入るのが楽しくてしかたなかった。
山道を父がゆっくりと車を走らせる。
父以外は全員窓の外の崖を見つめている。
様々な雑草や雑木の間にたらの木を見つけるのが僕らの仕事。
「あった!」
その言葉を合図に父が車を停めると同時に3枚のドアがいっせいに開き
母と僕ら兄弟3人が脱兎のごとく飛び出し
「たらの木」目掛けてガードレールを飛び越え崖を下って行くのだ(笑)
トゲに注意しながらたらの芽をポキリと手折ると周囲に春の香りが広がる。
1本の木があればその周辺にも何本かあるはず。
遅れて合流した父も加わり大捜索がはじまる(笑)
大きな木の高いところにある芽は落ちている木の枝などを使って
芽のある枝を引き寄せて採る。
せっかく木を見つけても誰かに採られた後だったりするとものすごく悔しい。
またその採った後が新鮮な緑色だったりすると悔しさ倍増である。
まだ、誰も入ってない群生している場所などを見つけると
もう嬉しくて飛び上がりそうになるし、
収穫の喜びを腰につけた”びく”で感じられるのはとても幸せな瞬間なのだ。
毎年この時期になると母が送ってくれる山菜が楽しみなのだが
中でも『たらの芽』は山菜の王様という風格と気品に満ちている。
ただ年々その数が減っているのが気にかかる。
山はどんどん切り開かれ
都会から来た山菜採りは『たらの木』を切ってしまう。
崖を駆け下りた先に切られて朽ちた『たらの木』を見ると悲しくなる。
芽だけを丁寧に摘み取ればその年にもう一度くらいは採れるし
翌年も採る事ができるのだけれど木を切られたらそれで終わり。
もちろんそんな人ばかりじゃないんだけれど
山菜採りをする人が増えているのは事実のようで
年々競争は激しくなっているようだ。
その日も早朝からずっと山を駆けまわって
『わらび』や『ぜんまい』や『たらの芽』などの収穫を抱える帰り道。
車の心地良い揺れに誘われて僕ら兄弟は疲れて眠ってしまう。
ふもとに下りてきた辺りで父の提案で
「どこかで一休みしていこう」という事になった。
一件の喫茶店の駐車場に車を停めると父はこう叫んだ
「あ!たらの芽!」
その瞬間僕らは一気に目覚めると勢い良くドアを開け
車を飛び出し喫茶店の駐車場のアスファルトの上を駆け抜けた(笑)
もちろんそこに『たらの芽』などあるはずもなく
キョトンとしている僕らを尻目に
両親は大笑いしながら喫茶店に入って行くのだった。
そこで僕は生まれて初めてクリームソーダを飲んだ。
両親と僕、弟、妹の5人家族。
どこかに出かけるといってもお金のかかるところには行けない。
当然外食なんて年に何回かしかできなかったし
喫茶店に入るなんて小学生の頃は大事件だった(笑)
そんな我が家のレジャーはもっぱらドライブ。
特に目的地もなくお弁当持って車に乗り込み
父の気分に合わせて山や川やたまに海まで足を伸ばしたり。
そういう時の父のセンスは抜群だった。
特に春のドライブはとてもわくわくさせてくれた。
ドライブといいつつ真の目的は山菜採りなのだ!
快晴の日曜日、早朝から家族総出で山に入るのが楽しくてしかたなかった。
山道を父がゆっくりと車を走らせる。
父以外は全員窓の外の崖を見つめている。
様々な雑草や雑木の間にたらの木を見つけるのが僕らの仕事。
「あった!」
その言葉を合図に父が車を停めると同時に3枚のドアがいっせいに開き
母と僕ら兄弟3人が脱兎のごとく飛び出し
「たらの木」目掛けてガードレールを飛び越え崖を下って行くのだ(笑)
トゲに注意しながらたらの芽をポキリと手折ると周囲に春の香りが広がる。
1本の木があればその周辺にも何本かあるはず。
遅れて合流した父も加わり大捜索がはじまる(笑)
大きな木の高いところにある芽は落ちている木の枝などを使って
芽のある枝を引き寄せて採る。
せっかく木を見つけても誰かに採られた後だったりするとものすごく悔しい。
またその採った後が新鮮な緑色だったりすると悔しさ倍増である。
まだ、誰も入ってない群生している場所などを見つけると
もう嬉しくて飛び上がりそうになるし、
収穫の喜びを腰につけた”びく”で感じられるのはとても幸せな瞬間なのだ。
毎年この時期になると母が送ってくれる山菜が楽しみなのだが
中でも『たらの芽』は山菜の王様という風格と気品に満ちている。
ただ年々その数が減っているのが気にかかる。
山はどんどん切り開かれ
都会から来た山菜採りは『たらの木』を切ってしまう。
崖を駆け下りた先に切られて朽ちた『たらの木』を見ると悲しくなる。
芽だけを丁寧に摘み取ればその年にもう一度くらいは採れるし
翌年も採る事ができるのだけれど木を切られたらそれで終わり。
もちろんそんな人ばかりじゃないんだけれど
山菜採りをする人が増えているのは事実のようで
年々競争は激しくなっているようだ。
その日も早朝からずっと山を駆けまわって
『わらび』や『ぜんまい』や『たらの芽』などの収穫を抱える帰り道。
車の心地良い揺れに誘われて僕ら兄弟は疲れて眠ってしまう。
ふもとに下りてきた辺りで父の提案で
「どこかで一休みしていこう」という事になった。
一件の喫茶店の駐車場に車を停めると父はこう叫んだ
「あ!たらの芽!」
その瞬間僕らは一気に目覚めると勢い良くドアを開け
車を飛び出し喫茶店の駐車場のアスファルトの上を駆け抜けた(笑)
もちろんそこに『たらの芽』などあるはずもなく
キョトンとしている僕らを尻目に
両親は大笑いしながら喫茶店に入って行くのだった。
そこで僕は生まれて初めてクリームソーダを飲んだ。