試運転 ~TRIAL RUN~

初心者の拘りと見切りが激しい自己責任による鉄道模型軽加工記録

モハ103-338[ツヌ324F-1] 動力ユニット整備 (起動加速度改善:モーター軸受,DT33動力台車ギア部注油施工)

2019-02-22 21:51:32 | 国鉄/JR103系
性能復元。

KATO製103系ツヌ324F-1(Tc217)はサハ103-768,サハ103-769の車体更新が完了した。
その後モハ103-337以下8両の現状点検を行ったところ状態の悪い車両が複数確認された。
よって再出場は見送り引き続きツヌ324F-1を継続入場させ当該車両の改修に取り掛かる。


国鉄103系モハ103-338(ツヌ324F-1)。

ツヌ324F-1はクハ103形低運転台量産冷房車中央線快速仕様(Tc231)を改番し2015年1月に正式出場させた編成である。
未改番のまま2014年12月に暫定出場を迎えており経年は約4年2箇月に達しようとしている。
サハ103-768,サハ103-769の組み込みは103系0番代同士の連結面間隔との見附を崩す原因になった。
違和感の緩和を名目に103系0番代へF&MODELS製貫通幌の取り付けが行われる。
2015年9月以降入場機会は殆ど無かったが気付かないうちに老朽化の足が忍び寄っていたらしい。
車体には朱色1号に紛れた埃が付着し側面窓セル窓サッシ印刷も剥離が始まっていた。


入工中のモハ103-338

何故かモハ103-337,モハ103-339の2両だけは程度が良く改修入場対象から外された。
モハ103形で改修を要する車両はモハ103-338のみと変則的な展開になっている。
そのモハ103-338は動力ユニットを搭載するツヌ324F-1に於ける中核車両である。
以前から動力ユニットの調子が他動力ユニット搭載車に比べ劣るように感じていた。
発進,停車ともに滑らかさを欠きスケールスピードへ達する時間もかなり遅かった。
車体関連項目は清掃と側面窓セル窓サッシ印刷補修が中心であり動力ユニットの整備を追加した。


分解した動力ユニット。

KATO製103系量産冷房車用動力ユニットは在籍車両数に対して入場車が伸びておらず性能低下が少ないように思える。
過去の整備施工車はKATO製モハ103-540(ラシ325F:Tc461),グリーンマックス製モハ103-149(ラシ337Fb:Mc69)の2両だけである。
共にカプラーポケット式DT33動力台車を履く旧LOT動力ユニット搭載車だった。
モハ103-338の動力ユニットはKATOカプラーBタイプ付DT33動力台車が装着される現行LOT品に変わる。
コンデンサーが廃止されて以降大きな仕様変更は無いと思われるがそれを完全否定出来なかった。
よって過去の整備事例は参考程度とし基本構造を確認しながら作業を進める。


撤去不要だったモーター。

取り敢えず分解可能な箇所は全て嵌合を解く方針としたが一部は無駄な工程となった。
先ずユニットカバー天面のモーター端子押えを撤去しユニットカバー側面の嵌合爪を浮かせた。
そのままの状態で台枠裏面両モーター軸付近から覗く乳白色の嵌合爪を押し込む。
当該部は狭隘な箇所にあるため押し込みにプラスチックドライバーを使用している。
旧LOT動力ユニットでは異様に嵌合が固かった記憶が残っていたが現行LOT品は至って容易だった。
モーター端子部は両導電板を巻き込むように成形されており丁寧に撓ませた。


スパイラルギアに油脂付着が見られたDT33動力台車(1エンド側)。

モーターは台枠へ落とし込まれているだけの単純な構造であり撤去には労さない。
単独駆動試験は結果が今ひとつ思わしくなく軸受部へユニクリーンオイルを挿した。
油脂を馴染ませた後に行った再試験では低速域から淀みなく回転するよう改善された。
取り敢えず駆動不調原因の一つにはモーターの摺動抵抗増大が絡んでいたと思われる。
整備が完了したモーターは端子保護のためユニットカバーへ仮装着を行った。
端子部を原形に戻しストッパーまで取り付けた時点でユニットカバーとモーターの分離は不要と判明する。


ピボット軸受部の清掃を行った台車集電板(2エンド側)。

闇雲に嵌合を解いてしまったがモーターはユニットカバーごと取り外せる構造が成されていた。
モーターの支持は端子押えに頼るだけながら不安定さは欠片も感じられない。
ユニットカバーさえ撤去すればモーターも引き抜けるため先に端子押えを取り外した分解方法は誤りであった。
次に摺動抵抗を生んでいると予想されたDT33動力台車の分解整備へと取り掛かる。
KATO製101系用DT21動力台車はロアフレームの嵌合が非常に固く平型ピンセットを持ち出した。
しかしDT33動力台車の嵌合爪は押し込むのみで台車枠から分離が行えている。


ユニクリーンオイルを投入したギア部(1エンド側)。

DT33動力台車は1エンド側,2エンド側用共にスパイラルギアの油脂付着が激しかった。
幸い固着までには至っておらずクリーナーで拭き上げた後に歯ブラシにて仕上げを施した。
まだ高経年とは言えない動力ユニットだったが台車集電板の状態が気になり全て分解している。
不安は的中し台車集電板のピボット軸受部は油脂と埃が沈着し黒ずむ有り様だった。
爪楊枝,ラプロス#4000,クリーナー,歯ブラシを総動員させ真鍮色に戻している。
なお油脂は車軸まで達していたためトラクションタイヤを含めた全輪の清掃も行った。


安定嵌合の肝となるユニットカバー嵌合爪。

油脂の進出は2エンド側用DT33動力台車で激しく生じており1エンド側用とは様相が異なった。
通電グリスの可能性も有り得たが1エンド側用DT33動力台車の状況から拭き上げを以て作業を打ち切った。
DT33動力台車の車輪組み付けはトラクションタイヤの位置へ注意を払い台車集電板で井形状に挟む。
そのまま台車枠の軸受部とピボット軸受部を合わせ垂直に押し込み嵌合させた。
この方式は101系用DT21動力台車と同様でありJR101系モハ100-206(ラシ106F:Mc191)での前例が活かされている。
なおロアフレームのギア類には埃等の侵入は見られず歯ブラシで払うのみとした。


整備を終えた動力ユニット。

最後にロアフレーム中央部から覗くギアへ微量のユニクリーンオイルを投入する。
当然ながら組み上げた状態では車輪を単独で回転させられないため駆動軸部を用いギア全体へ浸透させた。
後はモーター取付済のユニットカバー,台枠,DT33動力台車を元に戻すだけとなる。
複数存在するユニットカバーと台枠の嵌合部だが命綱は台枠中央部の2箇所と言える。
ユニットカバー天面を数回押し付け嵌まり具合を確認した後に側面嵌合爪を合わせた。
ちなみに床下機器部品はモールドの関係から2エンド側を先に挿入した方が無難だと思われる。




見附を改善させた窓サッシ(1-3位側)。

整備が完了した動力ユニットの走行試験では起動電流低下と加速度向上が確認された。
段付加速は収まった上に低騒音化も実現し各種対策の効果が窺える結果となった。
台車集電板に施した油脂除去は問題無かったらしく通電性能の低下は生じていない。
KATO製103系用現行LOT動力ユニットの初整備は万が一を考慮し構えて作業に入った。
ところが基本構造は旧LOT動力ユニットと変わりなく従来通りの工程で構わなかった。
しかも分解方法の誤りに気付くおまけまで付き以後のKATO製103系用動力ユニット整備は抵抗が払拭されている。




モハ103-338(動力ユニット整備,側面窓セル窓サッシ印刷補修施工)。


JR103系モハ102-716(ラシ336F-2:側面窓セル窓サッシ印刷補修施工車)。

一段落したと思えた作業だったがまだ側面窓セル窓サッシ印刷の修正が残っていた。
両側全段が補修対象に上がる程モハ103-338の側面窓セルは状態が良くない。
磨きクロスにて曇りを取り除き油性メタリックマーカー式で窓サッシを復活させた。
KATO製103系量産冷房車への窓サッシ補修施工はモハ103-560+モハ102-716(ラシ336F-2:Tc433)以来である。
2018年8月から2019年2月まで大幅に期間が開いたものの無難な仕上がりへ至ったと思う。
ツヌ324F-1の入場予定車はモハ102-493,モハ102-494,モハ102-495が側面窓セル補修単独施工となる。
現在の調子を維持できれば3両同日竣工が見込めるかもしれない。
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