有馬記念2勝などG1を4勝して凱旋門賞にも出走した牧場史上最強クラスの母(97)に、牧場ゆかりの血を引く最後の1頭ながらタイトルは有馬記念の1勝のみの父(91)という微妙な組み合わせに生まれた、その黒鹿毛の牝馬(743)は1歳時からそのスピードと、調教でも息の上がらないスタミナを評価されていた。
父が1勝、母が2勝している有馬記念はいずれも逃げ切り勝ちであり、同馬の配合を決定した牧場主の木林は、この負けん気の強い仔馬が父母のように有馬記念で思い切りの良い逃げ足を見せる様子を思い描いたという。
2歳を迎えて、父と同じ美浦の藤枝厩舎に入厩した同馬は父母から名前を取ってブルースクイーズと名付けられ、8月の新潟開幕週の1000mの新馬戦を岡部騎乗でデビューし8着に敗れる。1ヵ月後の中山で未勝利戦を1番人気で勝ち上がると、藤枝は同馬を強気に重賞札幌2歳Sにぶつけて3着に好走し、1勝馬ながら重賞級の素質があることを示した。その後11月の東京で2勝目を上げた直後に体調を崩して休養に入り、4戦2勝で2歳戦を終えた。
明けて3歳を迎えて若駒Sの6着、クイーンC:3着の後、再度体調を崩したブルースクイーズは桜花賞を回避。オークスへ向けて後がないブルースクイーズは、オークスTRでフサイチエアデール以下に6馬身差の圧勝劇を演じる。が、快勝の反動で体調を崩し、出馬投票直前まで迷った挙句オークスを回避。翌週体調の回復を受けてオーナーブリーダーの木林が藤枝師の反対を押し切ってダービーに出走するも8着に敗れる。その後ラジオたんぱ賞で重賞2勝目をあげるも、秋は秋華賞7着、鳴尾記念6着で3歳を終える。
4歳になったブルースクイーズは中山記念を逃げ切った後、天皇賞は先行して6着、安田記念は中団からレースを進め15着とレース選択・脚質選択に陣営の迷いが見られた。そんな陣営の迷いを払拭したのが、宝塚記念から同馬の手綱を取ることになった福永騎手だった。同馬の気難しいところのある気性と、一度追い出すと容易にバテない渋とさを見抜いた福永は、宝塚記念で2歳時のように後方から道中捲り気味にレースを進め、大逃げを打ったサイレントハンターをゴール前で一馬身だけキッチリと差し切り、同馬に初のタイトルともたらした。秋緒戦の毎日王冠も同様のレース展開で快勝を収めた同馬は天皇賞こそ後方のまま不可解な殿負けを喫したが、中一週の強行軍で望んだエリザベス女王杯では中団から懸かり気味のブルースクイーズを福永騎手はあえて抑えず、4コーナー手前で先頭に並びかけると直線さらに伸びる同馬はレディパステル・ファインモーション以下に7馬身差をつけて圧勝した。
強行軍が祟り、父母に続く制覇の期待がかかる有馬記念は回避したものの、父母ともに一番油が乗っていた5歳時を迎えるブルースクイーズには大きな期待が掛かることとなった。
しかし明けて5歳を迎えた同馬は昨年の快進撃がウソのような不振に見舞われた。年明け緒戦のAJC杯では好スタートが仇となり、直線伸びを欠き6着。短期放牧を挟んで中山の日経賞では外々を回る形で捲っていくはずの3・4コーナーで後退し9頭中7着に終わった。そして迎える春の天皇賞。
この年の春の天皇賞、ブルースクイーズは17頭立ての大外17番ワクに入った。出走メンバーを見た福永騎手は後ろから行く馬の多い出走表を見て、外々を回って脚ののこらなかった日経賞の再現を案じたという。そして天皇賞当日は雨。後方から捲る展開になり泥を被るようだと、気難しいところのあるブルースクイーズの機嫌をそこねて昨秋の天皇賞のような不可解な惨敗もありうると判断した福永騎手はスタート次第でハナに立つ決心を固める。ブルースクイーズにとっては久々の、福永騎手にとっては同馬の手綱をとってはじめての逃げである。
レースの展開はあっけないほど福永の読み通りに推移した。互角のスタートからメイショウドトウ・タガノマイバッハが先手を主張するも福永はひるまずさらに手綱をしごく。1週目の3コーナーの坂にかかるころにはメイショウの安田康、タガノの安藤勝がひかえて、福永が単騎先頭に立つ。1週目のスタンド前に差し掛かる頃には早くもブルースクイーズと福永のリードは10馬身を数えていた。向正面にかかっても快調に飛ばすブルースクイーズと福永。父福永洋一もかくやという大胆な騎乗に雨の京都競馬場のスタンドは沸き返る。誰の目にもセイフティリードであるかに見える差を保ったまま、ブルースクイーズは4コーナーを迎える。そうしてそれは起こった。
ああっとブルースクイーズちょっとおかしいぞ。
ああっとブルースクイーズおかしいおかしいおかしい。後退した、ブルースクイーズが後退した。福永騎手がちょっと後ろを見ている。これはどうしたことか、これはどうしたことか。故障か?故障か?
ああっと故障か?ブルースクイーズは故障か?これは故障か?
ブルースクイーズ:21戦8勝/4億8500万円
父:ブルーノア(父インディアンリッジ)
母:ダブルスクイーズ(父Sadler's Wells ×母テンピエット)
主な勝鞍:宝塚記念・エ女王杯・毎日王冠・中山記念・フローラS・ラジオたんぱ賞
父が1勝、母が2勝している有馬記念はいずれも逃げ切り勝ちであり、同馬の配合を決定した牧場主の木林は、この負けん気の強い仔馬が父母のように有馬記念で思い切りの良い逃げ足を見せる様子を思い描いたという。
2歳を迎えて、父と同じ美浦の藤枝厩舎に入厩した同馬は父母から名前を取ってブルースクイーズと名付けられ、8月の新潟開幕週の1000mの新馬戦を岡部騎乗でデビューし8着に敗れる。1ヵ月後の中山で未勝利戦を1番人気で勝ち上がると、藤枝は同馬を強気に重賞札幌2歳Sにぶつけて3着に好走し、1勝馬ながら重賞級の素質があることを示した。その後11月の東京で2勝目を上げた直後に体調を崩して休養に入り、4戦2勝で2歳戦を終えた。
明けて3歳を迎えて若駒Sの6着、クイーンC:3着の後、再度体調を崩したブルースクイーズは桜花賞を回避。オークスへ向けて後がないブルースクイーズは、オークスTRでフサイチエアデール以下に6馬身差の圧勝劇を演じる。が、快勝の反動で体調を崩し、出馬投票直前まで迷った挙句オークスを回避。翌週体調の回復を受けてオーナーブリーダーの木林が藤枝師の反対を押し切ってダービーに出走するも8着に敗れる。その後ラジオたんぱ賞で重賞2勝目をあげるも、秋は秋華賞7着、鳴尾記念6着で3歳を終える。
4歳になったブルースクイーズは中山記念を逃げ切った後、天皇賞は先行して6着、安田記念は中団からレースを進め15着とレース選択・脚質選択に陣営の迷いが見られた。そんな陣営の迷いを払拭したのが、宝塚記念から同馬の手綱を取ることになった福永騎手だった。同馬の気難しいところのある気性と、一度追い出すと容易にバテない渋とさを見抜いた福永は、宝塚記念で2歳時のように後方から道中捲り気味にレースを進め、大逃げを打ったサイレントハンターをゴール前で一馬身だけキッチリと差し切り、同馬に初のタイトルともたらした。秋緒戦の毎日王冠も同様のレース展開で快勝を収めた同馬は天皇賞こそ後方のまま不可解な殿負けを喫したが、中一週の強行軍で望んだエリザベス女王杯では中団から懸かり気味のブルースクイーズを福永騎手はあえて抑えず、4コーナー手前で先頭に並びかけると直線さらに伸びる同馬はレディパステル・ファインモーション以下に7馬身差をつけて圧勝した。
強行軍が祟り、父母に続く制覇の期待がかかる有馬記念は回避したものの、父母ともに一番油が乗っていた5歳時を迎えるブルースクイーズには大きな期待が掛かることとなった。
しかし明けて5歳を迎えた同馬は昨年の快進撃がウソのような不振に見舞われた。年明け緒戦のAJC杯では好スタートが仇となり、直線伸びを欠き6着。短期放牧を挟んで中山の日経賞では外々を回る形で捲っていくはずの3・4コーナーで後退し9頭中7着に終わった。そして迎える春の天皇賞。
この年の春の天皇賞、ブルースクイーズは17頭立ての大外17番ワクに入った。出走メンバーを見た福永騎手は後ろから行く馬の多い出走表を見て、外々を回って脚ののこらなかった日経賞の再現を案じたという。そして天皇賞当日は雨。後方から捲る展開になり泥を被るようだと、気難しいところのあるブルースクイーズの機嫌をそこねて昨秋の天皇賞のような不可解な惨敗もありうると判断した福永騎手はスタート次第でハナに立つ決心を固める。ブルースクイーズにとっては久々の、福永騎手にとっては同馬の手綱をとってはじめての逃げである。
レースの展開はあっけないほど福永の読み通りに推移した。互角のスタートからメイショウドトウ・タガノマイバッハが先手を主張するも福永はひるまずさらに手綱をしごく。1週目の3コーナーの坂にかかるころにはメイショウの安田康、タガノの安藤勝がひかえて、福永が単騎先頭に立つ。1週目のスタンド前に差し掛かる頃には早くもブルースクイーズと福永のリードは10馬身を数えていた。向正面にかかっても快調に飛ばすブルースクイーズと福永。父福永洋一もかくやという大胆な騎乗に雨の京都競馬場のスタンドは沸き返る。誰の目にもセイフティリードであるかに見える差を保ったまま、ブルースクイーズは4コーナーを迎える。そうしてそれは起こった。
ああっとブルースクイーズちょっとおかしいぞ。
ああっとブルースクイーズおかしいおかしいおかしい。後退した、ブルースクイーズが後退した。福永騎手がちょっと後ろを見ている。これはどうしたことか、これはどうしたことか。故障か?故障か?
ああっと故障か?ブルースクイーズは故障か?これは故障か?
ブルースクイーズ:21戦8勝/4億8500万円
父:ブルーノア(父インディアンリッジ)
母:ダブルスクイーズ(父Sadler's Wells ×母テンピエット)
主な勝鞍:宝塚記念・エ女王杯・毎日王冠・中山記念・フローラS・ラジオたんぱ賞
いいですね、こういう試みは^^
今度、ちょっとマネしようかな…(笑)
それにしても、悲しい結末ですね。
テンポイントやトウショウボーイというのは、僕にとっては"本の中の馬"、そういう感覚ですね。
TTG対決。
何度も本やDVDで見ました。
とても熱い時代だったんだなと、熱気が伝わってきました。
そういう時代から競馬に携わっていらっしゃる皆さんが羨ましく思います。
競馬始めたのが、ちょうどナリタブライアンの頃です。
20歳過ぎてからですから、かなり遅いデビューですね(苦笑)。
僕の中では、1番楽しかった世代というのはサニーブライアンの世代ですね。
いろんな名馬や個性的な馬が目白押しでした。
初めて生で見た中央競馬のレースが、メジロブライトのAJCCでした。
あの感動は一生忘れられませんね…(しみじみ)。
逆に、このような辛い結末を迎えるレースを始めて見た人がいたら競馬が怖くなっちゃうんだろうな…と、思いました。
生き物のスポーツですからね…。
ダビスタの中でも、できるだけこういった事故には会いたくないものですね…。
馬の供養の意味で、そして自戒の意味もこめて、こんな感じにしてみました。
実はこの手の"優駿"の連載モドキの文は、
http://blog.goo.ne.jp/jkkirin/e/b3b0d7335c942bf10098b7a836d14ec7
この頃にウチの主役だった快足馬の彼
http://kirin.flop.jp/d.s.date/derbysta49.htm
が引退した頃に一度書いて見たことがあったのですが、長くなったのと、若干気恥ずかしかったのでオクラ入りにしたことがあったのでした。
ちなみに、今、今日のエントリーを読み返して見て気がついたのですが、
>1勝馬ながら重賞級の素質があることを示した。
って、札幌2歳Sの時期ってそもそも1勝したら2歳オープンですね・・・orz
私も期待馬の雪の日経新春杯もとい晴れの菊花賞でそんなのがあります。
テイエムオペラオーがかかってる。自分の馬は内枠をぴったりキープしてる。 これは勝てると思いきや競走中止 オペラオーブービー 自分の馬が最下位と言う結果に
予後不良と言う最悪の結果にはならなかったのでまだ、マシなのですが
復帰後の有馬記念を勝った後、一度も勝てず引退しました。
期待馬の予後不良は本当に凹みますね。
でも、杉本アナが一線を退き、トウショウボーイはおろかその息子のミスターシービーのさらにその産駒も見かけなりました。
冒頭のレース実況が同レースの杉本アナの実況のパクリだとすぐには気づいていただけないのもいたし方ないのかもしれません。
といっても、テンポイントの時代って、リアルタイムで競馬ファンだったワケではないですけどね。自分(苦笑)。
ちなみに、期待馬の予後不良は・・・悲しいことに結構慣れました。ただ、今回は血統にトドメを刺されましたからねぇ。さすがに凹みました。
昨年に引き続きましてちょくちょくコメントを寄せていきたいと思います。よろしくお願いします。
>「雪の日経新春杯」
私自身のリアル競馬歴は「サクラスターオー」2冠の年からです。しかし小学生の頃でしょうか、「グリーングラス」の菊花賞をテレビ中継で見た記憶があります。さすがに競馬歴20年近くになりますと、テンポイントの最後のレースはビデオで何回か見た事がありますので、すぐ解りました。
きりんさんとは結構世代が近いんではないでしょうか?
最近自分の牧場では予後不良ありませんが、最大22ヶ月の休養というのがありました。晩成コメントありで7月入厩なのに2歳新馬戦で1番人気という馬が菊花賞直前に重傷骨折、骨折明けの調教中に屈腱炎発症、復帰戦は5歳の秋、結局6歳時にG1を3勝、7歳で引退。ずっと無事に走れたら当牧場の賞金王になっていたかもしれません。
が、これもまた楽しです。
なんとか新ダビスタが出る前にエンディングまでたどり着きたいと思います。
今年も、お互いにまったり頑張りましょう。
今年も楽しい書き込み楽しみにしております。
自分も色々コメント投稿させて頂きたいと思っておりますので、よろしくお願い致します。
>「雪の日経新春杯」
僕は皆さんよりも競馬歴が結構短いようで、リアルに競馬を見始めたのライスシャワーの最期のレースとなった宝塚記念です。
リアルな競馬での悲しい出来事で思い浮かぶのはホクトベガ、サイレンススズカなどでダビスタワールドではこれらの馬が元気に走っている姿を見れるのはちょっぴり救われた気分になったりします。
自分の牧場も最近は強い馬の予後不良はないですが、現在の牧場では殿堂入りを決めていた桜花賞馬が予後不良になったこともありました・・・
今の楽しみはこの前のコメントで触れました最強牝馬とSSの間に生まれた、父と母と同じ青鹿毛の2歳馬のデビューです。
この馬でまだ取れていない皐月賞、菊花賞が取れればなあーと思ってます。
長くなりましたが、きりんさんそして他の投稿者の方々、今年もよろしくお願い致します。
競馬歴のスタートをどこに取るかという問題はありますが、自分が
初めて取ったG1の当たり馬券は皐月賞のサクラスターオーの単勝です。
競馬ファンとしては完全に同世代と言えそうですね。
>新ダビスタが出る前にエンディングまでたどり着きたいと思います。
本当ですねぇ。「今年こそは」と言わずに「次回作までに」と思うと幾分気がラクになります(笑)。
>ぐてぃさん
競馬の原体験が「ライスシャワーの最後の宝塚記念」とは・・・
なかなかヘビィなスタートですねぇ。
おっしゃる通り、残念な結果になった馬達が元気に走る姿を見ることができるのは
ダビスタの良い所ですね。
>今の楽しみはこの前のコメントで触れました最強牝馬とSSの間に生まれた、
>父と母と同じ青鹿毛の2歳馬のデビューです。
期待の2歳馬のデビュー前ってのはすごく楽しみですよね。
ただ、自分、今のところ「デビュー後もっと楽しかった」という経験がありません(涙)
ともあれ、皆様、今年ものんびりとお付き合いいただければ幸いです。