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ロックンロールにゃ歳だけど、死ぬにはチョイト若過ぎる?

「マルドゥック・スクランブル 全3巻」感想 巻別タイトルが意味不明のOVA

2014年07月12日 23時50分52秒 | アニメ
OVA「ヘルシング」もゴアシーンのオンパレードだったが、この作品も地味に凄いぞ。
劇場公開したとあるが全く気付かなかった。
なんか、外国の刑事ものをハードSFにしたような感じ。
主人公が、全身人工皮膚にすることによって焼死を免れた15歳の少女で、特殊能力のあるネズミを武器に
戦い(復讐)を続けるという物語。3巻全部見ると4時間弱になる。
自分は大いに気に入った作品であるし面白かった。
絵のテイストでいえば「サイコパス」や「攻殻機動隊」かなあ。

劇場公開用であるためアニメのクオリティはそこそこ高いし、キャラデザも素晴らしい、つか自分好みだ。
頻繁に主人公の裸が出てくるが、そこは15歳なだけにエロ要素は無い。
いや、実は娼婦まがいの事をさせられていたり
父親にレイプされていたりとか、かなりキツイ過去(場面)はあるので
エロ要素満載ではあるのだが、少女の悲しそうな表情で全く欲情しないというか…。
全体的に”暗いトーンで覆われた物語”なのだ。

少女を狙う奴等がまた凄い。
体中に目玉を移植した筋肉男、体中におっぱいを移植した車いすに乗ったデブ(男)、
指を生きたままコレクションしている女、自分の掌に女性器を移植した男とかを
劇画で描ききっているので気持ち悪い。もちろんサイコ野郎なので凶悪である。
そいつらを大口径の銃で撃ち殺すのだから惨状は推して知るべし。
体の部位が飛び交うような地獄絵図が延々と続いたりするのだ。
いやあ、まさかここまでやるとは!
この作品を観る前に、どんな内容なのかサッパリ知らなかっただけにびっくりしたぜ。
”クオリティの高いOVAがある”という前評判だけで北米ブルーレイを購入したのだった。

ただ、全篇が上記のような殺戮シーンばかりではなく、カジノでのポーカーやルーレットで
目的を果たすといったエピソードもあるので安心されたい。
そこはベテラン声優の、まさに人生を感じさせる大人の演技で場を盛り上げる感動的なシーンなのだ。
この物語は緩急が効いていて、カジノでは大仰なBGMもなく、淡々とセリフだけで勝負が進んでいく。
これがまたイイ!

観終わって、改めて”生きているとは”を考えさせられる作品だ。
このアニメに限らず、望まれずに生まれてきてしまった子供の辿る道というのはその多くが”悲惨”な状況だ。
例えば現代○国の貧しい農村における子供の人身売買ビジネスや、○国のギャング道ましぐらとか
その殆どが親の考え方ひとつで決まる。
そんな未来のない子供たちの一人がこの作品の主人公だ。
”犯人を捕まえるための手段(道具)として生かされている”というのは
目的があるだけマシという扱いなのだ。(いや、自分の深読みなのだが…)
いずれにしても”命をもコントロール出来る側”についたものが勝ち組で、それ以外は負け組という
現代の縮図のような要素もさらりと内包してしまっている問題作だ。

万人向けではないが、これも大人向け(エロじゃないよ)アニメの佳作だ。
でも「空の境界」みたくはウケないんだろうなあ。
あーゆー屈折したリクツっぽいアニメって、案外ウケるんだよな。
もちろん自分もハマったクチですが、何か?


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