■地場銀、マイクロフィルムが絡む
中国地方の地場銀行が七日までに公表した大量の顧客情報の紛失・誤廃棄で、情報を管理するため使ってきたマイクロフィルムが絡んでいたケースが目立っている。保管場所を取らないが、薄くて小さいため、うっかり廃棄していた。店舗の統廃合や合併など最近の金融情勢も、紛失が増える背景になっていた。各行は四月の個人情報保護法の全面施行を受け、情報の管理体制の抜本的な見直しを進めている。
西京銀行(周南市)が七日、約八千六百件の顧客情報の紛失・誤廃棄があったと公表し、紛失・誤廃棄件数は地場八行で計約六十七万件に増えた。
最も多い十万七千件の紛失を公表した山陰合同銀行(松江市)では六割弱が、マイクロフィルム百四枚の紛失が原因だった。フィルムは縦横がそれぞれ十数センチで、顧客名や口座番号、預金残高、取引明細などが書かれた内部資料を微細な文字で焼き付けている。山陰合銀は「フィルムを取り出して閲覧する際、サイズが小さいので他の資料に紛れてしまったり、返却する場所を間違えたりして誤廃棄された」と推測する。
顧客情報の紛失が七万七千件の中国銀行(岡山市)と四万三千件の広島銀行(広島市中区)も、六、七割がフィルムだった。
一方、もみじ銀行(中区)では情報の紛失二万七千件のうち、九割超が紙の帳票などだった。「昨年五月の合併で店舗の統廃合を進めた際、保存期間が残っている帳票などを誤って廃棄したケースが多かった」と説明する。
各行は管理体制の見直しを進めている。マイクロフィルムは、多くの銀行が廃止を検討。山陰合銀は過去の情報はフィルムで保管しているが、二〇〇三年五月から新規分はCD―ROMに切り替えた。広島銀も今年四月からフィルムを廃止し、情報をホストコンピューターで管理する方法に変更している。
紙の書類や資料は、各行とも不必要な情報は持たない方向で対策に取り組む。トマト銀行(岡山市)は「印刷する資料の削減や、保存期間の短縮、帳票など本部で集中管理する体制づくりを進める」という。
各行は金融庁の一斉点検の指示で、商法で十年間の保存が求められている書類などの過去の管理を点検。調査期間や対象書類は各行の判断に任され、公表の仕方も異なった。しかし各行は今回の事態を重く受け止め、「大変申し訳ない」と謝罪。各行とも外部流出の可能性は低いとしているものの、フリーダイヤルなどの問い合わせ窓口を設け、顧客に対応している。
【注】広島銀行は紛失のみ公表。各行で調査範囲が異なる。内訳不明は全件数を紛失にカウント。
電話での顧客の問い合わせは全行とも平日午前9時から午後5時まで、山口銀行以外はフリーダイヤル。
中国新聞 2005年7月8日
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中国地方の地場銀行が七日までに公表した大量の顧客情報の紛失・誤廃棄で、情報を管理するため使ってきたマイクロフィルムが絡んでいたケースが目立っている。保管場所を取らないが、薄くて小さいため、うっかり廃棄していた。店舗の統廃合や合併など最近の金融情勢も、紛失が増える背景になっていた。各行は四月の個人情報保護法の全面施行を受け、情報の管理体制の抜本的な見直しを進めている。
西京銀行(周南市)が七日、約八千六百件の顧客情報の紛失・誤廃棄があったと公表し、紛失・誤廃棄件数は地場八行で計約六十七万件に増えた。
最も多い十万七千件の紛失を公表した山陰合同銀行(松江市)では六割弱が、マイクロフィルム百四枚の紛失が原因だった。フィルムは縦横がそれぞれ十数センチで、顧客名や口座番号、預金残高、取引明細などが書かれた内部資料を微細な文字で焼き付けている。山陰合銀は「フィルムを取り出して閲覧する際、サイズが小さいので他の資料に紛れてしまったり、返却する場所を間違えたりして誤廃棄された」と推測する。
顧客情報の紛失が七万七千件の中国銀行(岡山市)と四万三千件の広島銀行(広島市中区)も、六、七割がフィルムだった。
一方、もみじ銀行(中区)では情報の紛失二万七千件のうち、九割超が紙の帳票などだった。「昨年五月の合併で店舗の統廃合を進めた際、保存期間が残っている帳票などを誤って廃棄したケースが多かった」と説明する。
各行は管理体制の見直しを進めている。マイクロフィルムは、多くの銀行が廃止を検討。山陰合銀は過去の情報はフィルムで保管しているが、二〇〇三年五月から新規分はCD―ROMに切り替えた。広島銀も今年四月からフィルムを廃止し、情報をホストコンピューターで管理する方法に変更している。
紙の書類や資料は、各行とも不必要な情報は持たない方向で対策に取り組む。トマト銀行(岡山市)は「印刷する資料の削減や、保存期間の短縮、帳票など本部で集中管理する体制づくりを進める」という。
各行は金融庁の一斉点検の指示で、商法で十年間の保存が求められている書類などの過去の管理を点検。調査期間や対象書類は各行の判断に任され、公表の仕方も異なった。しかし各行は今回の事態を重く受け止め、「大変申し訳ない」と謝罪。各行とも外部流出の可能性は低いとしているものの、フリーダイヤルなどの問い合わせ窓口を設け、顧客に対応している。
【注】広島銀行は紛失のみ公表。各行で調査範囲が異なる。内訳不明は全件数を紛失にカウント。
電話での顧客の問い合わせは全行とも平日午前9時から午後5時まで、山口銀行以外はフリーダイヤル。
中国新聞 2005年7月8日
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