徳島県立水産研究所(鳴門市=環境増養殖担当)が、大きく成長する前に収穫した鳴門ワカメを「芽生えワカメ」として新たに食材化する研究に取り組んでいる。生産量が減少しつつある鳴門ワカメのブランド力強化を図るのが狙い。試作品を関西の消費者に味見してもらったところおおむね好評だったことから今後、芽生えワカメに適した品種や養殖環境などの調査を本格的に進め、商品化を目指す。
通常、ワカメは陸上での種苗管理などを経て十一月ごろから三カ月ほど海で本養殖、葉の部分が一・五-二メートルに育つ二月ごろから収穫する。これに対し、芽生えワカメは五十-六十センチで収穫するため、本養殖が二カ月と短いのが特徴。水産研究所によると、芽生えワカメは東北地方で養殖例がある程度で、全国的には普及していないという。
食用にするのは、葉の部分と茎の上方部分十センチほど。水産研究所では、さっと湯通ししてポン酢で食べたり、サラダの材料に使ったりするメニューを提案している。
昨年、水産研究所と生産者、加工業者らが「徳島芽生えわかめ研究会」を発足させ、芽生えワカメの試作に着手。四グループが品種や養殖の環境などを比較しながら、芽生えワカメに最も適した条件を模索している。
今年三、四月には、大阪市内であったイベントに芽生えワカメの試作品を出品。生のワカメをその場で湯通しして食べてもらい、アンケート(二百人)を取った。それによると、味については「とてもおいしい」「おいしい」が60%、食感では「とてもよい」「よい」が66%を占めた。
この結果から、水産研究所では商品化の可能性は十分にあると判断。本年度は本格的な市場調査を進めることにした。
養殖面では通常のワカメと収穫時期がずれることから、芽生えワカメの二期作、三期作ができないかについても検討。漁場の有効活用とともに、生産量の拡大を目指す。
県内のワカメ生産量は一九九八年の一万百七十七トンに対し、二〇〇三年は七千六百五十五トンと減少している。
水産研究所では「ワカメの葉と茎を一緒に食べると新鮮な食感が味わえる。鳴門ワカメというブランドの新たな商品にしたい」と話している。
徳島新聞 2005年9月8日
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