三セクや自治体漁協に補償名目など
県民の浜海水浴場(呉市蒲刈町)をめぐり、蒲刈町漁協が管理運営会社に海面使用料を求めた問題で、中国新聞は広島県内の大規模海水浴場十五カ所の実態を調べた。その結果、三カ所が使用料を漁協に支払っていた。県は「当事者間で解決すべき問題」とするものの、「公共の海なのに」と疑問視する声も上がりそうだ。
六市四町の海水浴場のうち、瀬戸田サンセットビーチは瀬戸田町が契約に基づき、漁業権のある瀬戸田漁協に漁業補償(海面使用料)百万円を支払っている。第三セクターのグリーンピア安浦も、シーズン中、漁業権がある川尻漁協が漁場として使えないため、四十万円を払っている。
鞆の浦は同様の理由に加え、漁船の運航に支障が出るため、福山市から市観光協会への管理業務委託料の中から三十万円を鞆の浦漁協に渡している。
残りの海水浴場は、開設時に漁業補償済みで漁業権が消滅していたり、漁協側が要求していない。ただ、グリーンピア安浦を含む五カ所は、漁協側が海面清掃やサメよけネット設置・撤去、点検などの委託料として九万~約四百五十万円を受け取っていた。管理を委託され、駐車場収入など売上金の95%を受け取る漁協もあった。
県民の浜の海開き延期は、漁協が使用料二百万円を、県が管理運営委託する第三セクター会社「県民の浜蒲刈」に要求したのが発端。県が仲介に入り、十六日に約二週間遅れで海開きにこぎ着けた。
町内の四十代男性は「解決してほっとしたけど、海はみんなのもの。漁協がお金ばかり要求するのは、おかしい」と話す。これに対し、県漁業調整室は「海は公共のものだが、漁業で生活している人もおり、共同で使っている。制約があれば、当事者間で話し合って決める問題」としている。
県内の主な海水浴場
海面使用料の有無 海水浴場(所在地) 海面使用料
梶ケ浜 (呉 市) ×
桂ケ浜 (〃) ×
狩留賀海浜公園 (〃) ×
グリーンピア安浦 (〃) ○
須波海浜公園 (三原市) ×
干汐 (尾道市) ×
しまなみビーチ (因島市) ×
クレセントビーチ (福山市) ×
鞆の浦 ( 〃 ) ○
入鹿海岸海水浴場 (江田島市) ×
長瀬海岸海水浴場(〃) ×
ベイサイドビーチ坂 (坂 町) ×
包ケ浦 (宮島町) ×
瀬戸田サンセットビーチ (瀬戸田町) ○
大串 (大崎上島町) ×
中国新聞 2005年7月20日
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