日本モンスターホラーの金字塔(夏の納涼読書)

日本人にもこんな話しが書けるんだ !!

殺人鬼

双葉社


殺人鬼〈2〉―逆襲篇

新潮社



綾辻行人の殺人鬼シリーズ


映画(VTR・DVD)、ラジオやテレビ、本、
怖い話を体験するシュチエーションはいろいろあるけど
オレが一番恐怖を感じるのは読書・・・本から得る恐怖だ。

誰もいない部屋で怖い本を読むと怖くてしかたがないのだけど
物語の中に引きずりこまれてページをめくる手を止められなくなる。

この感覚が一番怖くて一番楽しい。
でもこんな状況になるにはそれなりに面白い本でなくては無理。

それのキモとなるのが襲い掛かってくるスリルと恐怖のテンポ感だ。
この綾辻行人の殺人鬼シリーズを読んだときには正直驚いた。

この双葉山という場所に住む怪物は、あの映画の「13日の金曜日」の
レイクサイドビレッジに住むジェイソンを彷彿させる。
でももうそんなことはどうでもよくなってしまうくらいにすごい。

いわゆるスプラッタ(残酷な/凄惨な)ホラーと呼ばれる
残酷な殺戮のシーンの連続。これでもか、これでもかと続く。
しかし怖いのだけどグロテスクな感じは意外と少ない。
気持ち悪さやグロに頼ることなく純粋に恐怖を描いている。
これがこの本が日本スプラッタ・ホラーの最高峰といわれる由縁でもある。


この作家はどちらかというとロジカルな謎解きミステリーの作家という
イメージが強かっただけにこんな話を書けることにビックリした。
彼の作品の中では異色中の異色だ。
そのせいもあり、この作品に対しての書評はけっこうマチマチだ。

評価は別としてこれだけのスプラッタの恐怖を映像なしで表現できたのは
ただただすごいとしかいえない。
物書きとしての技量がしっかりしていればこそのデキだと思う。

日本のミステリー作家にはスティーブン・キングの影響を受けた
モダンホラーを書く人が多いけど、こんなスプラッタ物を書いた人は
彼以外にいないのではないだろうか。

理屈無しで恐怖を味わうにはもってこいの本である。
コメント ( 2 ) | Trackback ( 0 )
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コメント
 
 
 
綾辻さんっ! (Ma)
2006-08-16 14:45:11
私、とっても好きであります~♪

そして、この本。

人によって評価や好きずきはもちろんあるの

でしょうけれど、なぜか私の場合は、読み終

えて、とっても元気になった!のです。

ずいぶん前のブログに書いたように思うので

すが、勝手な解釈をすると・・血が吹き出た

り肉がとびちったりするのを読んで「体」っ

てものを感じて「生きてる」ってことを実感

するからかなあ・・と(笑)。

なんか変態って言われそうですが(笑)。
 
 
 
綾辻さんっ! (傷だらけの天使)
2006-08-16 23:45:34
Maさん>

この本を読んだときに、かつてビートルズが

『Back in the USSR』って曲でアメリカのビーチボーイズのサウンドを意識的に真似してオリジナルよりもっとスゴイ曲を作ってしまったことを思い出しました。



この双葉山の怪物は間違いなく『13日の金曜日』の

ジェイソンや『ハロウィン』のブギーマンなど

海外のスプラッタ・ホラーの主人公にインスパイアー

されて誕生してると思うんですが。



そんな化け物やそのストーリーとくらべて

見劣りするどころか映像なしでその恐怖を

しのいでいろところの凄さがなんかビートルズの

曲みたいだな~って感想をもったのです。



そう命が破壊される恐怖は逆に自分が生きている

ことを強烈に感じさせます。

『死にたくない』が生きる原動力ってストレート

でいいんじゃないですか(笑)
 
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