フジテレビ『悪魔が来たりて笛を吹く』

金田一耕助
は日本の探偵小説史上、明智小五郎と並ぶ二大巨頭。
袴姿にマントを羽織って、フケだらけのボサボサ頭をかきむしるしぐさは
誰もが知っているけど、
具体的にその顔や姿を思い浮かべるとどうなるだろう?

映画やテレビで彼を演じた俳優は多い

一番有名なのは今回30年ぶりに同じ役を演じた石坂浩司だけど
オレが一番印象に残っている金田一は古谷一行かな。
といっても演技云々よりも世代的な要因でだけど。

高倉健から西田敏行、中尾彬 、渥美清、鹿賀丈史 、豊川悦司
愛川欣也、中井貴一、片岡鶴太郎、役所広司・・・etc

とにかくこの探偵を多くの俳優が演じている。
それだけこの探偵のキャラにいろいろな解釈があるのだろうけど
原作のイメージから「この俳優がハマリ役」といった
確固たる人もいないような気もする。

ここ最近フジテレビで金田一を演じているSMAPの稲垣吾郎。
原作のやや薄汚いイメージに比べると清潔で美男な感はあるけど
金田一の『謎は解くけど人の命を救ったりはしない』という
どことなく頼りないというか、肝心なところが抜けている部分が
稲垣のキャラに合っているように思う。

あとはSMAPの稲垣という看板に頼らず、
もっともっと金田一耕助という役に入れこめば
面白い金田一耕介が出来ると思うのだが、
それには映画化しないと無理かな。

今回の「悪魔が来たりて笛を吹く」も過去何度か
映画化やテレビドラマ化されている。

今回の演出は「世にも不思議な物語」の星譲氏。
元々横溝正史の小説は『淫靡さ』が売り。
近親相姦など、なかなかテレビドラマとしては
取上げるのが難しいオドロオドロした要素や
倒錯した性的な要素も強い。

たしかに秋吉久美子や伊武雅刀、榎木孝明など
妖気や狂気を表現できる俳優を使ってはいるけど
ドロドロ感はあまりでていない。

それなりに怪しい雰囲気や妖気の世界は演出してあったけど
ドロドロした闇というより画面も明るくて、あの『トリック』のような感じ。
この演出は好き嫌いが激しいかもしれない。
でもテレビという媒体を考えれば、こういう方向もありではないかな。

人間関係のオドロオドロした部分の描写は弱かったものの
犯人(悪魔)のもつ哀しみと切なさは成宮の好演もあって
十分に伝わってきた。
やはりどんな仕上がりでも、それなりに面白いのは原作の力。
椿子爵が作曲した曲の中に悪魔の正体の謎を盛り込んだ仕掛けは、やはりすごい。

俳優では成宮の演技が光っていたし、
国仲涼子も横溝作品に欠かせない昭和の令嬢の雰囲気がよく出ていた。

フジテレビ『金田一耕介:悪魔が来たりて笛を吹く』公式HP

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