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ISDB-T方式 フルハイビジョンATVの開発 逸話

2019年06月03日 | アマチュア無線 フルハイビジョンD-ATV

                ISDB-T方式  フルハイビジョンATV  開発逸話

「無線局指定事項 と 免許状記載事項について」 と同等の内容を FB に投稿したら、質問を頂きました。

始まりはフルハイビジョンATVの免許に対する電波形式の明記等についての話題からであり、簡単には説明できない長い話となる為、こちらで説明をしたいと思います。

またマイクロ波全般に関しては下記「JH0YQP 西新潟クラブHP」をご覧下さい。

https://jh0yqp.org/kosin.htm

まず、アマチュア局のデジタルTVの歴史については、下記の序章 デジタルテレビとの出会い」 からその歴史を理解してもらう事からお願いします。

http://micowave24ghz.g3.xrea.com/index.html


実はこの頃私は良く判らないままに「DVB-S方式のデジタルATV」に手を付け、マネだけの申請で「X7W」の電波形式も書いて申請したら、問題なく許可になってしまっていたのです! Hi

当然 その時 「X7W」  の送信機は無かったのですが、そもそもここが間違い?の元。

さて、アマチュア局の場合、対応の送信設備等が無くても、「希望する電波形式」を加えておくとなぜか許可になる不思議な所があります。

一方 現在 業務用無線局の申請の場合には、申請する設備で出せない電波形式を申請すると、当局担当者から「本申請の設備だけで(付属設備なしで)***の電波形式は送信できますか?」 と聞かれ、「付属設備を付ければ出せますが今はない」と答えれば、「その電波形式は申請から外してください」と。(担当者によって判断・対応は変わる事も多い)

将来「設備の追加で出せる場合」には、「その時に変更申請を出す様に」と指導されます。しかし、少し前までは「希望する電波形式欄」に、付属して出せる電波形式も書けば免許状に追加されていました。(技術基準適合証明書等にある電波形式の場合)

では、その設備では出せない電波形式が以前からの免許状記載されている場合はどうでしょうか。

それは総通では、「再免許申請時に削除して申請してください」と指導されます。つまり、「出せない電波型式の免許は取り消します」となってきました。(業務局の場合)


  さて話がそれましたが、私が2年前にJAで初めて行った申請は 「ISDB-T方式のフルハイビジョンATVです。

それまでの「デジタルATV」は、ヨーロッパから直輸入した基板を使って送信機を作って運用する「DVB-S方式のSD映像のATV」で、二昔前の4:3のアナログTV同等画質の「デジタルATV」でした。

このDVB-S方式デジタルATVをJA内に紹介し広げたJJ1RUF局は「JAのアマチュア局では初めてのデジタルTVの申請」を行い、何回も総務省との折衝の末ようやく許可がもらえ、それが全国のATVユーザーに広がり、私も数年遅れで追従して購入・制作・申請の後開局し、しばらく前まではそれを率先し運用して、一応DX世界記録まで達成できました。

当時私は長野県内の「デジサポ」のお手伝いもしており、自前で地デジ受信測定器も所持し、民放放送局と一緒に一般の皆様の相談に対応する業務も時々しており、また無線仲間には、中継局等の工事の一部を仕事にする局もあり、地デジフルハイビジョン放送には少しの優位性?を持って臨むことができる環境でもありました。

 程なくして「アナログ波は停止、世はフルハイビジョンだけの時代」となって、いつまでも古きSD映像には我慢ができず、パイオニアであるJJ1RUFさんに何とかハイビジョンATVはできないかと相談したところ「出来なくは無いだろうがISDB-T方式はATVには使えないからやめた方が良い」と言われ、更に彼は仕事等で多忙となりそれどころではない様でそのままとなってしまいました。

 しかし  しかし、いつまでも従来のSD映像を一般の方に見せ「これがアマチュア無線のデジタルテレビで綺麗な映像ですよね!」と言う事には我慢ができず、「誰かフルハイビジョンATVシステムを作って~~」と他力本願でマイクロ波の諸先輩にお願いしたのですが、、、誰一人チャレンジする方はいませんでした。

 また当時ISDB-T方式のフルハイビジョン送信が出来そうな安価な器材もJJ1RUF局は把握しており、台湾に有る事が判っていましたが、それ以上進めなかった為私は「ダメ元」的な考えで、使えるか使えないか判らない物を、ある方にお願いして購入してもらいました。

当然 初めて見る物でダウンロードの説明書も英語で、どこから手を付ければ良いのか???でした。

でもやはり電子機器、説明書等を適当に眺めて弄っているうちに何となく動かせる事ができる様にはなったのですが、更に大きな壁がありました。

ISDB-T方式フルハイビジョン映像の電波は出せる様にはなったのですが、日本の多くのTVには映らない   現実です。

そうです、日本の地デジTVはISDB-T方式でも、映像のエンコード形式が MPEG-2の映像データにしか対応していないTVが殆どで、一方台湾から来たISDB-T変調器は国外で使われている MPEG-4 形式の物だったのです。(実際はISDB-Tb方式です) 

しかしそこには偶然が・・・実は自宅にある数台のデジTVでのテストの結果、東芝レグザ(42Z3)はMPEG-4も対応している様で、映像も音声も問題なく出たのです。

またモノ好きな私は他国産の変なSTBも持っており、それも国外方式のISDB-Tbが映る物でした。

また、ここでも業務の一環で、ある放送業界エンジニアの受信実験のお手伝いをした時、「地デジTVは東芝レグザに限る!」と言われて、以後レグザも購入していたのです。

それらのテストでの結果、これならもしかしてできるのでは??と思えるようになり、そんな希望からフルハイビジョンATVの可能性を夢見て更に色々な実験を繰り返し、2016年のハムフェアーのマイクロ波展示ブースでそれらを実験展示するチャンスを頂きました。

ハムフェアーブースにはTV含め全て自前の設備を持ち込み、フルハイビジョンATVの事前テストを公開し、多くのATV先輩方にも見てもらいました。

この時は1.2GHz帯で超微弱(3cm程度のアンテナ離隔で映らなくなるもの)で展示実験し、可能性を多くの方に見てもらい、その画質の違いに共感頂きました。 

しかし、諸先輩方には「そんなNHK特許の地デジと同じ電波の免許は絶対無理!!」と言われる始末で、結果としてあのハムフェアーでも誰一人私のやっている事に「ぜひ実用化してくれ、協力する」と言う方一人もはおらず、八方塞がりの状態に陥ったのです。

でも最後の日に、マイクロ波ミーティングで繋がりのある電子回路に詳しい方に、「この変調器の中を解析してくれ、壊しても構わないから」と無理やり押しつけ、結果一ヶ月程でブロックダイヤグラムを書いて、申請に必要なデバイスデータ表まで付けて送ってくれました。なんと嬉しかったことか、感謝感激でした。

それから、この中身が判ればISDB-T方式フルハイビジョンATVの申請書(ブロック図やデータ説明)が作れる!と感じ、独自に実験を進め、時にはマイクロ波仲間にも助けて貰いながら、実用になりそうな物作ってみました。

でもその時はまだ移動運用に必要な小型・省電力の受信機や録画装置等をどうするか?が未解決まま残っていたのです。

それもネットで探しまくり、程なくして便利に使えそうなSTBがe-bayに有る事が判ったので、訳もわからず危険も顧みず、海外からの買い付けにチャレンジしました。

しかしこれも英語が殆ど判らず、一ヶ月以上しても物が来ないので結局金はクレジットカードから落ちてはいるのですが物が来ることが無くそれで終わり?・・・とまで思いました。

でも良く見たらペイパルには保証制度があるので、調べたら電話で解決できそうだったので電話してみたら、日本語で全部対応して貰え結果返金して貰う事になりました。

驚いた事に返金後に物が来てしまったので、再度ペイパルに電話して「どうすれば良いか」と相談したら「すでに処理済みですのでそのまま何のアクションも必要ない」と言われて、結局金が戻ってSTBも入手できてしまったのです。

正直に電話したので、臆する事はありませんでした。

テストの結果、ISDB-T STBでもバッチリ映り、USBデバイスにワンタッチで録画も簡単にできる「目的に適合する物」を得る事にも成功しました。

その後、更にネットでの国内販売でもそれ同等のSTBが有ることが判り、それも購入しテストの結果、これもバッチリ使えるものと判明し、受信機も目論見どうりの問題ない物が作れる道が開けました。

さて免許申請ではどんな申請書を作れば良いのか、、、

実はこれもJJ1RUFさんのHPを大いに参考とさせて貰い、やって見ないと結果は出ないだろうと思い、自分なりの申請データを作成し、JARDに保証申請をいきなり送信しました。(私はすべて電子認証式での電子申請です)

またここでも奇跡が・・・(この内容は再び長くなりそうですので省略します)その結果JARDの保証もスムーズに頂き(一応専門的なデータ等を相当数付けて申請)、信越総合通信局では一発で「ISDB-TフルハイビジョンATV」の許可が降りたのです!!

X7Wの電波形式は以前に書いた様になぜかDVB-Sの時から有ったので、今回は「変更申請」であり、その変更申請は本省に送られる事もなく、当然検査も無く簡単に問題なく許可になった訳です。

ATVの諸先輩方が声をそろえて「そんなの絶対無理!」と言っていた壁が簡単に崩れ去ったのです。

同時に実用化試験機も作成していたので、免許の日400m程度の近距離でしたが近くの河川敷で、寒風の中 妻(コール有り)を引っ張り出して簡単なフィールドテストを行い、上手く行ったのでその結果をユーチューブに投稿しました。https://www.youtube.com/watch?v=b-z9i7isl8M

ドローンが有名でなかった5年以上前頃、私はちょっだけですがマルチコプターでのフルハイビジョン撮影をしフルハイビジョン映像編集等はやっていたので、ユーチューブでもさほど難なく活用する事ができました。

マルチコプター(以後ドローンと呼ばれる様になった)映像は下記です。

https://youtu.be/64pQO9wd5KA

そうです、この後同じ機種の放射線付ドローンが官邸に落ち、規制される様になりましたので、それからは飛ばしてはいません。 

また話は脱線してしまいましたが、この「日本初フルハイビジョンATV映像」の反響は大きく、しかしこの送受信機の制作には今までにない困難さがあり、仲間に広めるにも機器の購入方法からアンプの特性の説明等も必要となり、なかなかすんなりとは進んではいきませんでしたが、マイクロ波仲間は好奇心旺盛で研究熱心な方が多く、自ら実験して、自分なりに作成されていかれました。(当時仲間にISDB-T専用のMLを作っていただき、色々な情報交換もしていました)

2017年のハムフェアーには正式に免許を取得した「ISDB-T方式のフルハイビジョンATV設備を展示実演し多くの皆様に見て頂き、「1年でこれができたんだ~~」と驚かれました。

 

理屈が判っている方はコツが判ればうまく作れ、そんな方が更に回路や機器等を紹介され更に改良が加わり、次第に良い物ができて来る事になりました。

2018年春、また仲間から「国内仕様MPEG-2の変調器XHEAD-2が発売になるらしい?」との情報から、即販売会社にコンタクトをとり、今までの経歴等をネットで調べてもらい、私のやって来た事を理解いただいた上で、そのメーカーにもフルハイビジョンATVにまで協力頂く事まで漕ぎつけました。

おかげでここでも大まかなブロック図を提示いただき、後は今までの経験から国内仕様の普通のTVに映るフルハイビジョンATVを完成し免許を取得するに至りました。

更に偶然で、このメーカーの親会社は電波新聞社で、ハムフェアーにも毎年出展しており、「ぜひその機器を展示させてくれないか?」との申し出もあり、新潟局の作った機器を電波新聞社ブースに展示し、私たちのマイクロ波展示ブースのライブ映像を放映し続ける事にも成功しました。

https://youtu.be/P87MtMpcGYs

 

そんな経緯から今では「ISDB-T方式フルハイビジョンATV」は日本国内に30局以上の数が有ると推測しております。

「X7W」自体の電波形式は以前からのDVB-SのATVでもらっている局が多いので、たぶん100局以上有るかと推測しますが、免許情報だけからでは計り知れません。

なお昨年、3年前から「DVB-S2方式のフルハイビジョンATV」を完成さて免許を頂いている局が県内の岡谷市にいらっしゃる事が判りましたので会いに行き、実機を眺めさせて頂きましたが、交信相手がいない様でまだ短距離のテストだけとの事でした。

この時私は10GHzTRVと「DVB-S2用STB」も持って行き、すべて自分の設備でこの「DVB-S2方式のフルハイビジョン映像」も受信することに成功しています。

この他世界を見渡せば、DVB-S2等のATVを(フルハイビジョンではない)PC等を使って送受信するテストも行われていますが、実験的な運用しか報告が無い様です。

私の作った「ISDB-T方式フルハイビジョンATV」では、2017年にはすでに287Kmの距離を23dBm程度のパワーで飛ばす事まで(双方向)成功しております。

⓵ https://youtu.be/J43mP3hHwi0

⓶  https://youtu.be/WepWVuXtH5E

(これもフルハイビジョンでは世界記録で、ヨーロッパではISDB-T地デジ波をDVB-T     と見なしている様です)

    http://www.hb9afo.ch/records/default.htm 

長くなりましたので、他にも実際の交信映像はユーチューブに沢山アップしてあるので、コールサインか「FHD-ATV」と検索して眺めてみてください。

ここまで見て頂き、ありがとうございました。

 

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