新渡戸稲造記念 さっぽろがん哲学外来

さっぽろがん哲学外来の活動予定や活動の様子などを
皆さんにお伝えします。皆さんの参加をお待ちしています。

謹賀新年 がん哲学校たより・7&8(0024)

2014年01月05日 | 樋野先生からのメッセージ
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樋野先生の年末・年始です。(2013.12.29、2014.1.5配信)

<年末編>
第39回「がん哲学学校」

根本に眼を据える~「人生の生きがい」を求めて「意味への意志」を問う~

2013年も残り少なくなった。まさに、「光陰矢のごとし」である。今年は、「われ21世紀の新渡戸とならん」〈2003年〉の出版10周年であり、また、新渡戸稲造(1862~1933)没80周年でもあり、事務次長を務めた国際連盟のあったスイス ジュネーブ、カナダ バンクバーにあるBritish Columbia 大学の「新渡戸稲造庭園」、終焉の地であるビクトリア市の Royal Jubilee 病院を訪問する機会が与えられた。まさに、節目としての記念すべき人生の良き想い出の年となった。

先日、アメリカ在住の娘が、10人友達(5カ国籍:アメリカ、フィンランド、ノールウエー、カナダ、日本)を連れて帰国した。Wifeと一緒に、東京スカイツリー、浅草の見学、その後、インターナショナルスクール時代の同級生のご両親が経営される上野のレストランでの夕食、夕食後は、美しい夜の銀座を歩いた。異国の皆にとって、若き日の忘れ得ぬ東京見学の1日となったことであろう。

筆者にとっても、東京スカイツリー(634m)は初めての見学であり、天望デッキに登った。快晴の壮大な東京・関東平野の眺望には、大いに感動した。江戸時代の屏風に描かれた江戸の街並みの景色を重ね合わせ、貴重な歴史の大きな流れを感じた。しかし、中央にそびえる、富士山 (3776m) は変わらぬ不動の姿である。若き日に読んだ「あれが日本一の名物だ〈富士山〉あれより他に自慢なものは何もない」(『三四郎』夏目漱石)の文章が想い出された。多岐に別れる多様性の時代にあって、「末梢の一つ一つを追いかけていっても本を見失えばいたずらに疲れるばかり、根本に眼を据える必要がある」が鮮明に甦った。

週末は、アメリカのフィラデルフィア時代の友人夫妻達との定例の忘年会であった。帰国した1991年からの22年間の毎年の継続的な心温まる会合でもある。

今年の読書納めは、ナチスの「強制収容所における体験」をまとめた『夜と霧』の著者で知られる、Viktor Emil Frankl (1905~1997) の『それでも人生にイエスと言う』であった。「実存的真空」・「実存的幻滅」が蔓延化する現代社会にあって、来年は、「人生の生きがい」を求めて「意味への意志」が問われよう。

<年始編>
第40回「がん哲学学校」

2014年の初夢~大河ドラマ「新渡戸稲造~懸け橋とならん~」の実現~

2014年の始まりである。元旦の夕方は、帰国中の子供達と、その友人達のアイデアで、急遽、お台場行きが決まり、2日の午後は、東京・横浜に在住の84歳の叔父・叔母とその家族との温かい新年会を持ち、3日の午後は、正月の明治神宮、原宿、表参道を散策し、息子のインターナショナルスクール時代の友人のご両親が経営されるタイ料理のレストランで夕食の時をもった。4日の夜は、西武遊園地のイルミネーションに驚嘆した。正月休みの読書は、1月11日の「神谷美恵子生誕100年 記念の集い」に備えて「神谷美恵子」の著作集を読み返した。

NHK大河ドラマは、昨年の「新島襄・八重」に続き、今年は、主人公は「黒田官兵衛」とのことである(因みに筆者は、殆どテレビを見ることはない)。

どういう訳か、筆者の2014年の初夢は、大河ドラマ「新渡戸稲造~懸け橋とならん~」の実現であった。驚くことに、筆者とwifeは「新渡戸稲造 夫妻」役である。『明治という国家』(司馬遼太郎)の「明治国家とプロテスタンテイズム」が思い出される(新島襄->クラーク博士->内村鑑三->新渡戸稲造)。「目的」は:「よき人間になれ:温かい情と、高き人格の養成」(新渡戸稲造)であり、その「基本的精神の3ヶ条」は:(1)協力(2)正直(3)親切である。「時代的意義」は:「志高く、心の広い、一廉の人物は国運をになう!」にあろう。
『がん哲学』出版10周年の今年は、「真の国際人の10ヶ条」がテーマとなろう。
(1)「役割意識&使命感」を持つ
(2)「練られた品性&綽々たる余裕」
(3)「賢明な寛容さ」
(4)「実例と実行」
(5)「世の流行り廃りに一喜一憂せず、あくせくしない態度」
(6)「軽やかに、そしてものを楽しむ。自らの強みを基盤とする。」
(7)「新しいことにも、自分の知らないことにも謙虚で、常に前に向かっ 
     て努力する。」
(8)「行いの美しい人(a person who does handsome)」
(9)「冗談を実現する胆力」~sense of humorの勧め~
(10)「ニューモアに溢れ、心優しく、俯瞰的な大局観のある人物」

がん哲学外来について

患者さんが抱える悩みは病人としての悩みではない。人間としての悩みです。 がんという大病を得たとき、それを背負って人間としてどう生きるかという深い悩みです。それは「心のケア」というレベルではなく、自分という存在そのものを問う領域なのだと思います。ですから、「がん哲学外来」では、来られた方を「病人」の側面だけではなく、ひとりの人間としての悩みに焦点を合わせます。同じ人間として、対等の目線に立って、人間を学ぶ「人間学の場」でありたいと考えるのです …(提唱者であり当会の顧問である順天堂大教授・樋野興夫先生の著書より)

札幌の「がん哲学外来」(開設趣旨)

私達は樋野興夫先生の志に賛同し、車座になって意見交換をする運営をめざします。講演会スタイルではありません。参加者全員が同じ立場、同じ目線で耳を傾け、縁のあった方々に寄り添うことを願っています。