新渡戸稲造記念 さっぽろがん哲学外来

さっぽろがん哲学外来の活動予定や活動の様子などを
皆さんにお伝えします。皆さんの参加をお待ちしています。

がん哲学校たより 78(0117)

2016年02月15日 | 樋野先生からのメッセージ
樋野先生からのおたよりです(2016.2.6配信)
第149回「がん哲学学校」
『紙と鉛筆』~「世の中を動かす人物」の資質~

『肝炎等克服実用化研究事業(B型肝炎創薬実用化等研究事業)平成27年度
中間・事後評価に関する研究発表会』 (国立研究開発法人 日本医療研究開発機構(AMED)に於いて) に参加する機会が与えられた。AMED 20階 から見る、東京の風景は、壮大であった。日々勉強である。まさに、「新しいことにも、自分の知らないことにも謙虚で、常に前に向かって努力する。」習慣の 獲得である。「空の上から、自分の住み処を論ずる」向上心が、「俯瞰的に大局観を持って、日本国の将来の有り様を考える」姿勢であり、時代的要請であろ う。

『がんサポート』(エビデンス社発行)の取材を受けた。これは、誌上『がん哲学外来』である。その後、NHK文化センター 青山教室で『がん哲学外来 言葉の処方箋』で講演する機会が与えられた。大変、充実した一時であった。今や、『言葉の処方箋』が、世に浸透して来ているようである。まさに、『紙と鉛筆』効果であり、『剣を取る者は皆剣で滅びます』(マタイ26章52節)が甦る。筆者は、若き日に、恩師から『紙と鉛筆』で、とこまでScienceが語れるのか学ぶ為に、留学せよと言われた。「世の中を動かす人物」の資質である。

講演会では、筆者にとって『がん哲学』の源流である『吉田富三』について触れた。参加者の方に、『いい覚悟で生きる』(小学館 発行)の本にサインを行った時に、『吉田富三』のお孫様が、聴講されていたことを知った。驚きであると共に、大変嬉しかった。今は亡きご長男の吉田直哉氏(NHKのデレクターであった)とは『吉田富三生誕100周年記念』シンポで、一緒に講演したものである。懐かしい想い出である。今回は、「お姉様の娘様」との出会いである。

いよいよ、来週、新刊『がん哲学外来へようこそ~心配するのは一日一時間でいい~』(新潮新書)が、発売されるようである。

目次は、【1章 「がん哲学外来」とはどんな場所 ?  2章 がんより悩ましいのは「人間関係」
 3章 治療を邪魔しているのは何か
 4章 医療の「すき間」に、誰か一人がいればいい 
5章 がん細胞に人間が学ぶ
 6章「何を望むか」より「何を残すか」が大切 】である。まさに、「何を望むか」よりも、「何を残すか」の実践の日々である。

がん哲学外来について

患者さんが抱える悩みは病人としての悩みではない。人間としての悩みです。 がんという大病を得たとき、それを背負って人間としてどう生きるかという深い悩みです。それは「心のケア」というレベルではなく、自分という存在そのものを問う領域なのだと思います。ですから、「がん哲学外来」では、来られた方を「病人」の側面だけではなく、ひとりの人間としての悩みに焦点を合わせます。同じ人間として、対等の目線に立って、人間を学ぶ「人間学の場」でありたいと考えるのです …(提唱者であり当会の顧問である順天堂大教授・樋野興夫先生の著書より)

札幌の「がん哲学外来」(開設趣旨)

私達は樋野興夫先生の志に賛同し、車座になって意見交換をする運営をめざします。講演会スタイルではありません。参加者全員が同じ立場、同じ目線で耳を傾け、縁のあった方々に寄り添うことを願っています。