新渡戸稲造記念 さっぽろがん哲学外来

さっぽろがん哲学外来の活動予定や活動の様子などを
皆さんにお伝えします。皆さんの参加をお待ちしています。

がん哲学校たより 79(0118)

2016年02月21日 | 樋野先生からのメッセージ
樋野先生からのおたよりです(2016.2.21配信)
第151回「がん哲学学校」
大宇宙の中の、小さな地球、そこに住む人類の存在の不可思議~原点回帰~

日米癌合同会議「Breakthroughs in Cancer Research: From Biology to Therapeutics」(Mauiに於いて)に参加する機会が与えられた。最先端のがん研究の学びの時であった。会議に先立ち、「Garden of Eden」、「水族館:Maui Ocean Center」を訪問した。「Garden of Eden」では、多数の植物の種類、「水族館」では、多数の魚の種類を、改めて学んだ。地球上の莫大なる生物の種類の存在には驚きである。飛行機の中では、映画『オデッセイ:The Martian』を鑑賞した。火星における生存のストーリーである。大宇宙の中の、小さな地球、そこに住む人類の存在の不可思議の再認識の旅であった。原点回帰の時である。

帰国後、土曜日の午前中、日本がん看護学会(幕張メッセに於いて)、シンポジウム『がん体験者と家族の感情表出を促すケアの可視化~語りを科学し、寄り添う力を強める~』で、講演『がん哲学外来の真髄~偉大なるお節介~』する機会が与えられた。会場は、1000人を超える、大盛況であった。「医療幕末・公武合体から医療維新」に向けての『看護師』の歴史的出番を改めて痛感した。

土曜日の午後は、第45回「お茶の水メディカル・カフェ in OCC」に赴いた。会場は、80人を超え、満員であった。大いに感動した。「持続・継続の大切さ」を改めて、実感した。筆者は、別室で、4組の個人面談も行った。新刊『がん哲学外来へようこそ』(新潮新書)が、会場で、完売となった。驚きである。

先週の福岡ホスピスの会 公開講座(2月13日)の講演会アンケートが 送られて来た。「とても奥の深い話しで、何度も思い出しながら、少しずつ自分の人生に取り入れていきたい。」、「ユーモアたっぷりのお話に、どんどんひき こまれていきました。」、「樋野先生の人間力に感動しました。」、「ユーモアを交えた話の中、良い話を沢山聞かせて頂き、有り難かったです。先生の尊敬さ れた新渡戸稲造などをもっと知りたいと思います。」、「ホスピスボランティアを続行する為の、ヒントを沢山学ばせて頂き有難うございました。」、「先生の 知識の深さにびっくりしました。」、「樋野先生の志の高さ、ユーモアのセンス、スケールの大きさに、ただただ感動いたしました。」など、多数の温かい・励ましのコメントを戴いた。

がん哲学校たより 78(0117)

2016年02月15日 | 樋野先生からのメッセージ
樋野先生からのおたよりです(2016.2.6配信)
第149回「がん哲学学校」
『紙と鉛筆』~「世の中を動かす人物」の資質~

『肝炎等克服実用化研究事業(B型肝炎創薬実用化等研究事業)平成27年度
中間・事後評価に関する研究発表会』 (国立研究開発法人 日本医療研究開発機構(AMED)に於いて) に参加する機会が与えられた。AMED 20階 から見る、東京の風景は、壮大であった。日々勉強である。まさに、「新しいことにも、自分の知らないことにも謙虚で、常に前に向かって努力する。」習慣の 獲得である。「空の上から、自分の住み処を論ずる」向上心が、「俯瞰的に大局観を持って、日本国の将来の有り様を考える」姿勢であり、時代的要請であろ う。

『がんサポート』(エビデンス社発行)の取材を受けた。これは、誌上『がん哲学外来』である。その後、NHK文化センター 青山教室で『がん哲学外来 言葉の処方箋』で講演する機会が与えられた。大変、充実した一時であった。今や、『言葉の処方箋』が、世に浸透して来ているようである。まさに、『紙と鉛筆』効果であり、『剣を取る者は皆剣で滅びます』(マタイ26章52節)が甦る。筆者は、若き日に、恩師から『紙と鉛筆』で、とこまでScienceが語れるのか学ぶ為に、留学せよと言われた。「世の中を動かす人物」の資質である。

講演会では、筆者にとって『がん哲学』の源流である『吉田富三』について触れた。参加者の方に、『いい覚悟で生きる』(小学館 発行)の本にサインを行った時に、『吉田富三』のお孫様が、聴講されていたことを知った。驚きであると共に、大変嬉しかった。今は亡きご長男の吉田直哉氏(NHKのデレクターであった)とは『吉田富三生誕100周年記念』シンポで、一緒に講演したものである。懐かしい想い出である。今回は、「お姉様の娘様」との出会いである。

いよいよ、来週、新刊『がん哲学外来へようこそ~心配するのは一日一時間でいい~』(新潮新書)が、発売されるようである。

目次は、【1章 「がん哲学外来」とはどんな場所 ?  2章 がんより悩ましいのは「人間関係」
 3章 治療を邪魔しているのは何か
 4章 医療の「すき間」に、誰か一人がいればいい 
5章 がん細胞に人間が学ぶ
 6章「何を望むか」より「何を残すか」が大切 】である。まさに、「何を望むか」よりも、「何を残すか」の実践の日々である。

がん哲学校たより 77(0116)

2016年01月07日 | 樋野先生からのメッセージ
樋野先生からのおたよりです(2016.1.3配信)
第144回「がん哲学学校」

2016年のスタート~「クラーク来日・札幌農学校開校140周年」~

2016年のスタートである。2009年1月順天堂大学で、世界初の『がん哲学外来』を最初に開始して7年が過ぎた。ここまで全国展開するとは、人知を超えている。思えば、今年は、” Boys, be ambitious ” の「クラーク来日・札幌農学校開校140周年」である。筆者は、2月札幌での講演会に参上する予定である。
筆者は、年末は、wifeと新作『Star Wars ~ The Force Awakens~』を鑑賞し、新年は、横浜に在住の親戚の家での恒例の『新年会』に赴いた。Wifeと一緒に、美味しい『おせち料理』を戴いた。本当に、「心温まるおもてなし」であった。

今年の正月休みの読書は、『運命を拓きゆく者へ~理想を携え、道は一歩ずつ~』(新渡戸稲造 著 実業之日本社 編)の再読であった。文庫化の企画があり、筆者は、『発刊に寄せて』の寄稿を、打診された為でもある。本書に、記述されている、以下の『よく聞き、よく話すための七要件』(新渡戸稲造)は、
1)気取りを捨てる
2)壁をつくらない
3)よく思われようとしない
4)追従を慎む
5)謙遜のしすぎは無礼
6)立場に応じて言葉遣いを変える
7)相手から何かを得るよう心がける

『成功者になろうとするよりは、むしろその人がいないと困るような貴重な存在でありなさい』(アインシュタイン)の言葉と共に、筆者にとって『がん哲学外来』の基本姿勢でもある。先人からの学びは、『ぶれぬ大局観』を育てる。

『あなたがたの愛が真の知識とあらゆる識別力によって、いよいよ豊かになり、あなたがたが、真にすぐれたものを見分けることができるようになりますように。』(ピリピ人への手紙1章9~10節)が、「知恵」であり新年の初夢である。

樋野先生からのおたよりです・76(2015.11.29配信)

2015年11月29日 | 樋野先生からのメッセージ
第139回「がん哲学学校」
『独立心と共存観念:日本肝臓論』~ 新渡戸の名に恥じない ~

1932年 新渡戸稲造・賀川豊彦によって設立された東京医療生活協同組合「中野総合病院」が、2015年10月1日より、「新渡戸記念 中野総合病院」に、病院名が変更になった。記念して、祝日(11月23日)『新渡戸稲造シンポジウム』(中野サンプラザに於いて)が、開催された。講演I『新渡戸稲造~世界に示した紳士道』(藤井茂:一般財団法人 新渡戸基金事務局長兼常務理事)、講演Ⅱ「現代を生かす新渡戸稲造の精神~いと小さき者と共に生きた国際人~」(湊晶子:広島女学院院長・広島女学院大学学長)、筆者は、講演 III「新渡戸稲造の先見性~馬を下りて花を見る医療~」の機会を与えられた。翌日の新聞記事には、『新渡戸の名に恥じない』と誓う、入江徹也 理事長のコメントが、掲載されていた。

新渡戸基金維持会 定例委員会(国際文化会館)に出席した。夜は、第139回 南原繁研究会(霞ヶ関ビルに於いて)の読書会に参加した。南原繁著作集 第1巻補論「カトリシズムとプロテスタンティズ ム」で、『普遍性と個別性』について学んだ。『教養ある人間とは、「自分のあらゆる行動に普遍性の烙印を押すこと」であり、「自分の特殊性を放棄して普遍 的な原則に従って行為する人間」のことである。それは人間の直接的な衝動や熱情によって行動する代りに、つねに理論的な態度をとるように訓練されることで ある』(南原繁)は時代の要請である。

その南原繁が、『明治、大正、昭和を通じて、これほど深い教養を持った先生は なかったと言ってよい』と新渡戸稲造の事を語っている。新渡戸稲造の現代的意義は、『21世紀の知的協力員会』の再興と、生命現象から具象的に語る、『日本国のあるべき姿~日本肝臓論~』で、『独立心と共存観念』の展開であろう。

第1回 新潟がん哲学外来カフェ(スヴェンソン新潟サロン)で「がん哲学外来~ 明日この世を去るとしても、今日の花に水をあげなさい ~」、第5回 がん哲学外来 メディカルカフェ in 中野坂上(Livedo corporation 東京支店)で、「がん哲学外来 言葉の処方箋~品性の完成を計る~」の講演の機会が与えられた。有意義なひと時であった。新刊『見上げれば、必ずどこかに青空が~今日を生きるいのちの言葉~』(ビジネス社 発行)が、12月発売予定とのことである。

樋野先生からのおたよりです・75

2015年11月22日 | 樋野先生からのメッセージ
第138回「がん哲学学校」
「病床にも知恵あり」~態度に示そうよ!~

『「to be café」開設 1周年記念』講演会(霞ヶ関教会キリスト教会に於いて)で、「がん哲学外来~言葉の処方箋~」、また、「新渡戸稲造記念 がん哲学外来 メディカルカフェ in 盛岡 1周年記念」講演会(スヴェンソン盛岡スタジオに於いて)で、「新渡戸稲造 と がん哲学外来~病床にも知恵あり~」で話す機会が与えられた。多数の参加者があり、個人面談もあり、充実した時であった。「継続」は賜物であり、スタッフも整えられ、今後も積極的に展開されることであろう。

高松宮妃癌研究基金 国際シンポジウム「がんのメタボボロミクス~発がん、がん生物のよりよき理解と斬新な診断、治療法開発への新しい糸口~」(パレスホテル東京に於いて)に出席した。また、「国際環境発がん制御研究 シンポジウム」(順天堂大学に於いて)では、筆者は、「山極勝三郎 人工がん創生100周年、中皮腫マーカー発見20周年、クボタ・ショック10周年」で講演する機会が与えられた。会場には、坂本九も歌った「幸せなら手をたたこう、しあわせなら態度に示そうよ!」の作詞者でもあり、「生命倫理」で著名な 前 恵泉女学園大学の学長でもあった、木村利人先生が、聴講に来て下さった。大変、嬉しかった。

『がんサポート』(2015年12月号)に、「がん哲学外来~些細な出来事が宝石のように美しく感じられる」の記事が連載されていた。また、『日経マネー』(2016年1月号)には、リーダーからの金言「自分の命より大切なものがある」の記事が、掲載されていた。「樋野興夫さんが影響を受けた人物」が図に紹介されていた。地道な「がん哲学外来」の拡がりを、肌で感ずる、今日、この頃である。

病理学の長年の親友であった、名古屋市総合リハビリセンター長 白井智之先生が、11月19日に、急逝されたとの悲報が届いた。前日は、高松宮妃癌研究基金 国際シンポジウムの会場で、ニューモアに溢れ、笑顔で、語らったばかりなのにーー。深い、ショックである。白井智之先生が、名古屋市立大学医学部 病理学の教授をされていた頃には、病理学の学生講義に赴いていた。「発癌病理研究会」では、毎年、一緒であり、来夏は、筆者が、世話人をすることになっており、特別企画のテーマ・内容を、相談していた矢先であった。 本当に、悲しい。


がん哲学外来について

患者さんが抱える悩みは病人としての悩みではない。人間としての悩みです。 がんという大病を得たとき、それを背負って人間としてどう生きるかという深い悩みです。それは「心のケア」というレベルではなく、自分という存在そのものを問う領域なのだと思います。ですから、「がん哲学外来」では、来られた方を「病人」の側面だけではなく、ひとりの人間としての悩みに焦点を合わせます。同じ人間として、対等の目線に立って、人間を学ぶ「人間学の場」でありたいと考えるのです …(提唱者であり当会の顧問である順天堂大教授・樋野興夫先生の著書より)

札幌の「がん哲学外来」(開設趣旨)

私達は樋野興夫先生の志に賛同し、車座になって意見交換をする運営をめざします。講演会スタイルではありません。参加者全員が同じ立場、同じ目線で耳を傾け、縁のあった方々に寄り添うことを願っています。