一郷一会・関東周辺100名湯プロジェクト

一郷一会が威信をかけて ^^: 選定。センター系、スパ銭・・・ お湯さえよければどこでもOK! 料金上限1,200円也。

□ 伊豆山温泉(走り湯) 「うみのホテル中田屋」 (元100湯)

2005-11-18 23:44:44 | 元100湯
伊豆山温泉は、湯河原と熱海のあいだにある地味な温泉地だが、源頼朝も入浴したという古い歴史をもち、実に106ケ所の温泉井(平成15年熱海温泉組合の調査)を擁する実力派だ。泉質はバラエティに富んでいるが、別格として扱われているのが日本三大古泉のひとつとされる”走り湯”だ。ここは全国でも珍しい横穴式源泉で、山腹から湧き出たお湯が海へと走るように流れ落ちるさまから名づけられたといわれ、昭和39年に枯渇したが、昭和45年の増掘により復活している。

その”走り湯”のすぐ前にあるのが「うみのホテル中田屋」で、”走り湯”源泉をつかう貴重な宿だ。大浴場は展望もなく(最上階にある男女交替制の露天は眺望絶佳)、さして色気もないつくりだが、なんといっても歴史的名湯”走り湯”を泉源そばで味わえるのは贅沢だ。なお、脱衣所の湯づかい掲示に、加水、循環ろ過、消毒剤投入とあったが、湯口からはたぶん非加水の源泉が注がれていて、しかも日帰り可能時間帯は空いているのでぜんぜん問題ない。

お湯はやや青みを帯びているが透明でいたっておだやかな表情だ。だが、お湯に身を沈めてみるとタダごとではない。高張性食塩泉特有の迫りくるような重厚な浴感&火照り感。あっという間に汗が噴き出し長湯不可。苦もなく水シャワーを浴びられてしまう。からだ中の水分が入れ替わってしまうようなサウナいらずの激しいお湯だ。

冬向きのお湯といえば、まずは”熱の湯”といわれる食塩泉だが、わけても土類食塩泉の温まり感はひとつ抜きんでたものがある。ややペトつきどちらかというと派手派手な浴感なので厭う人もいるが、”走り湯”のお湯はSO_4^2-=814.2やメタけい酸=96.6が効いているためか、激しいながらもどことなく上品で奥行きがある。ちなみにここは明治期には皇室の御料温泉になっていたというほどの由緒正しいお湯だ。

味がまた凄い。強烈な苦味が先行しその裏でしっかりと強塩味が効いている。土類(Ca^2+やMg^2+)が多くなってくるとお湯の苦味は強まるが、ここまで苦味が主張してくるお湯も珍しい。個人的に苦み走ったお湯は大好物で、鶴巻温泉「ゆたか」十谷温泉「源氏荘」、大室温泉「まきばの湯」など、どれもおすすめできる良泉かと思う。
これだけ個性の強いお湯なのになぜか湯の香はほとんどしない。”走り湯”の泉源そばでもほとんど温泉臭はしないので、これは”走り湯”本来の性格なのだと思う。

洞窟のなか、もうもうと湯気を上げ湧き出る”走り湯”を見物し、中田屋でこの名湯に浸かり、”走り湯”で茹でた温泉たまご、”走り湯御玉”を食べる。入りたりなければ渋~い共同浴場「浜浴場」もある。しかも、入浴すると物事が成就するという”走り湯伝説”までついている。温泉ファンにはたまらない魅力をもった温泉場だと思う。

なお、山側にあって、特異な泉質で定評のあった共同浴場「般若院浴場」が、平成17年春に閉鎖となったのはかえすがえすも残念。

Ca・Na-塩化物温泉 71.6℃、pH=7.8、総成分=10.18g/kg、Na^+=1098mg/kg、Ca^2+=2525.0、Cl^-=5524、SO_4^2-=814.2、メタけい酸=96.6、メタほう酸=11.4 <H16.2.27分析>

文・画像 別働隊@うつぼ

※リンク先は、筆者レポ(当ブログ&関東周辺立ち寄り温泉みしゅらん「特集クチコミ情報」)

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