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3月26日(月)

2018年04月19日 11時20分56秒 | 2018年

 7時起床。今日は、新潟県へ視察出張である。まあ俗に言うところの”予算消化”というやつで、旅費に少し余裕がありそうなので、前々から行ってみたかった新潟にある商店街へ行けることになった。

 8時過ぎに家を出て、東京へ。少し早めに新幹線ホームに出て、写真を撮る。ちょうど山形新幹線と会うことが出来た。

 私が乗るのは、東京駅9時12分発の上越新幹線とき311号。車内で後輩と待ち合わせ、新潟へ向かう。途中は大宮にしか止まらない速達型の列車なので、所要時間は1時間半弱である。お喋りをしていればあっという間だ。

 新潟駅に着くと、隣のホームに2階建て新幹線MAXとき号が停車していた。帰りはこの車両に乗る。

 在来線ホームに出ると、今度は特急いなほ号が停車していた。これに乗って秋田方面へ行ってみたい衝動に駆られる。

 私たちの乗る越後線の車両が入線してきて、一気にテンションが上がる。115系、しかも湘南色だ。

 この列車は目的地の手前が終点なので、本来は1本後に乗ればいいのだが、予定を切り替えてこれに乗ることにする。後輩に事情を説明したら、快諾してくれた。というわけで、予定より1本早い11時01分発の越後線普通列車内野行きに乗車。久しぶりのふかふかボックス席である。

 20分ほどで終点の内野駅に到着する。ここで、次の吉田行きを待つ。その間、私は延々115系の写真を撮っていた。

 内野駅11時47分発の普通列車吉田行きに乗る。こちらは新しいE129系車両だ。やはり、1本早く乗って良かった。

 新潟駅を出てからだと約1時間後、12時05分に目的地である巻駅に到着した。

 私が訪れてみたかった商店街、「まき鯛車商店街」が、この巻駅から歩いて少しのところにある。この商店街は、新潟市西蒲区(人口約 5.9 万人)に位置し、JR 越後線巻駅の西側にある巻地区の 11 商店街が集まって平成22年5月に発足した。商店街名に使用されている「鯛車(たいぐるま)」とは、商店街が位置する巻地区に昔から伝わる鯛の形をした郷土玩具である。まき鯛車商店街の構想を練っていた頃に、ある商店の土蔵から昭和初期に作られた「鯛車」が発見され、それが非常に繊細で丁寧に作られていたことから、地域を連想させるシンボルとして「鯛車」を使用する事になったそうだ。

 商店街の結成を取りまとめたのは、低迷が続く商店街に対する危機意識を持っていた若手店主たちであった。それまで商店街活性化のために取り組まれていたのは一時的なイベントばかりであったが、イベントを通して来街者が増加しても、店舗に魅力がなければ来店者や売上高の増加にはつながらないことに気付き、商店街を構成する各店舗がそれぞれの魅力を向上させるために努力することが重要であると考えた。そこで、商店街のあるべき姿を“繁盛店が軒を連ねている状態”と定め、各店舗の魅力向上に取り組み始めた。

 平成23年度に、株式会社全国商店街支援センターが実施している「核店舗創出による商店街活性化事業」を活用して、いくつかの店舗が専門家のアドバイスを受けながら店舗改善に取り組んだ結果、来店者数や売上高が向上する店舗が出て来たことで、取り組みが全体に浸透し始めた。また、以前は他の店のことには口出ししてはいけない雰囲気があったが、今はやる気のある店主たちがそれぞれの店舗の抱える課題を持ち寄り、お互いにアイデアを出し合う勉強会を開催するようになった。

 私がこの商店街の存在を知ったのは、半年前に出席した研修会での事例発表だった。その内容がとても面白く、また私が商店街のあり方について前々から感じていた違和感と共鳴する部分があり、とても印象に残った。一般的に商店街の取り組みというと、統一ルールの設定や運用による街の秩序維持、アーケードや街路灯、防犯カメラといった共同施設の管理と、セールやお祭りなどのイベント実施、ポイントカード事業といったイメージが強く、正直なところ個々の商店の売上向上にそこまでつながるかというと疑問があった。イベント事業なんかは売上に直接つながりそうな気もするが、極端な話どんなに街や通りに人が集まっても、お店に入って買い物をしてくれなければ意味がない。むしろ、イベントをやるにも経費や手間が掛かる。最近は、こうした状況から”イベント疲れ”に悩む商店街も多い。だから、「結局最後は個々のお店の魅力で勝負しなきゃだめなんだから、商店街としてもそういう取り組みへの支援に力を入れればいいのに」という想いが私の中にずっとあって、それを実践しているのがこの商店街だったのである。

 というわけで、今回その商店街をこの目で一度見てみようとやって来たわけである。しかし、まずは腹ごしらえだ。食べるのは、ご当地グルメ「カリーナ」。焼きそばにカレーミートソースをかけ、紅生姜を添えた料理である。かつて新潟市内で50店舗を展開していた「ラーメンタカノ」の人気メニューで、閉店した現在でも根強いファンが存在するそうだ。まき・鯛車商店街では、飲食店が連携してこの「カリーナ」の復活に取り組み、「帰ってきたカリーナ」と題して各店舗が独自のアレンジを加えて提供している。今回は、その中から一番定番に近そうな「わんもあ亭」のカリーナを頂くことにした。

 注文は、「カリーナ」の半チャーハンセット。一応中華料理屋さんなので、チャーハンも気になってしまった。カレーと焼きそばなんて、どちらも濃い味なんだから合わないじゃんと思いきや、確かに若干お互いが喧嘩している感があるものの、どちらも負けていないのでカレーの味もソースの香ばしさも感じられる新しい味だった。また、何気にチャーハンがシンプルながら塩加減が絶妙で美味しかった。

  商店街の視察を始める。前述のように元々は別々だった11の商店街が集まっているので、複数の通りが入り組んでおり、全体像を把握するのも難しいほど。平日の昼間なので人通りは多くはないが、この規模の都市でこれだけ大きな商店街が存続していることに驚きを禁じ得ない。更に、商店街としての統一感もしっかりしている。商店街で設定しているルールに違反をしているお店も見当たらないし(私がよく知る商店街では、平気でルールを破ってお店の陳列棚を道にせり出していたりする)、アーケードや看板、街路灯などの共同施設の管理も適切に行われている。これは、商店街としての全体統治が機能しているということである。ただ歩いているだけで、これは良い商店街だということがよくわかる。

  商店街の中心部分にある「はしもと玩具店」さんへ伺う。こちらは、この商店街が(株)全国商店街支援センターの「核店舗創出による商店街活性化事業」を活用した際に率先して店舗改善に取り組んだお店のひとつで、私が受講した研修でも事例として取り上げられていた。お店に入ると女将さんが店番をされていて、お店の歴史や店舗改善の際の苦労と成果、商店街の現状等についてお話を聞かせて下さった。その間もお客さんが頻繁に来店されていて、しかも女将さんがそれぞれ皆さんの名前を憶えていることに驚かされた。地域密着とはこういうことなのか。また、このお店はソフビ(ソフトビニール)人形の取り扱いで全国的に有名なことから、大人のマニアの方も来店されていた。

  店舗改善のポイントはいくつかあるが、一番のポイントは、お店の外からも、中に入ってからも店内の様子が見渡せるようにしたところである。そしてそのために、在庫量を大幅に減らした。言葉にすると簡単なようだが、実際にはかなりの勇気とエネルギーが必要となる。かつて仕入れた商品、しかも先代が思い入れを持っていた商品で、いつか売れるかもしれないものを処分するというのは、そう簡単なことではない。実際のところ、この改善の中心となったのは息子さんだが、女将さんはかなり抵抗があったそうだ。しかし、時にはネットオークションで安く販売し、時には文字通り廃棄処分するなどの努力を経て在庫を減らしたことで、店内の見通しがよくなり、何かどこにあるのか一目でわかるようになった。いち消費者として考えてみれば、外からも店内の様子が見渡せることで入りやすさは格段に増すし、店内の見通しが良いことで回遊性も増す。実際、この効果はかなり大きいそうだ。他にも、かつては店番をしながら家事をしたり、テレビを見ていたりしたのをやめて、公私をきちんと分けることや、挨拶の仕方を工夫するなど、ソフト面の改善も行ってきた。こうした取り組みによって、お客さんに取って入りやすく、買い物のしやすい店舗になった。そして更に、元々あった専門性が際立って”専門店感”も強まった。そして、間違いなく店舗の魅力は向上したと言えるだろう。いや、正確に言えば、元々持っていた魅力がきちんと伝わるようになった、ということだろうか。私たち支援機関の人間としては、今回教えて頂いた内容を他の商店街や商店に伝え、うまく水平展開していくことが出来ればと思う。

  巻駅へ戻る。ここから、後輩と少し観光に出掛けることにする。再び越後線に乗り、吉田へ。そこからタクシーに乗り、弥彦神社を目指す。

  弥彦神社を参拝する。さすがは越後国一宮、とても立派な神社である。参道の雰囲気も素晴らしくて、空気が凛としている。本殿に参拝後、後輩がおみくじを引いたら、大吉だった。4月以降の来年度は良いことがたくさんありそうだ。また、参道の途中にあった重軽石で、娘の健康を祈ったら、石はとても軽く持ち上がった。これで私も一安心だ。

  タクシーに乗り、同期会のために新潟駅へ戻る後輩を途中で下ろし、今日の宿へ向かう。岩室温泉にある、「ホテル大橋」である。チェックインをして、すぐに温泉に入る。硫黄成分を含んだ温泉で、なめると酸っぱさと塩っぱさがある。とても良い温泉だ。

  部屋で少し眠ってから、夕食。今回は少し奮発をして、のどぐろの塩焼や佐渡牛のついたプランにしたら、これが大正解。日本海のお刺身や春の野菜も美味しいし、のどぐろと佐渡牛も期待通りだった。また、佐渡の無農薬米コシヒカリのご飯の美味しさにも驚かされた。やっぱりお米って美味しいんだ、ということを改めて感じた。

前菜六種盛り(うぐいす豆腐、小柱ぬた、三食団子、蛸の柔らか煮、鳥松風、蚕豆)。

御造り四種盛り(うに、真鯛、ブリ、南蛮海老)

海鮮と旬野菜の佐渡バター蒸し、春の田舎汁。

のどぐろ塩焼。

雪室熟成佐渡牛のステーキ。

  ロビーには、これでもかというほど豪華な雛人形が飾られていた。来年は、我が家でも雛人形を用意するか。

  再び温泉に浸かり、就寝。ただ、近隣の部屋の宴会が深夜まで続いており、うるさくてなかなか眠れなかった。他が満足だっただけに、部屋の防音性がもう少しあれば。


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