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1月12日(金) 大雪の青森。

2024年01月14日 08時02分07秒 | 2024年

 6時半起床。

 朝食は抜きで急いで身支度を整え、妻と娘と同じ時間に家を出る。今日から1泊2日の青森出張である。

 当初は日本橋で朝食を食べようと思っていたのだが、間に合いそうなので1本早い便に変更する。

 東京8:20発の東北新幹線はやぶさ7号に乗る。

 プライムビデオで新たに見始めた「ガレージセール・ミステリー アンティーク探偵ジェニファー」が面白い。

 盛岡に着く頃には雪景色に変わっていた。

 はやぶさの中でも大宮・仙台・盛岡・新青森にしか停まらない速達便だったので、所要時間は3時間を切った。さすがは320キロ運転。

 駅構内は青森色全開である。

 ミニサイズだが、それでもすごい迫力。

 土偶ねぶたが可愛い。

 せっかくなので、一度駅の外へ出てみる。立派な駅舎である。

 在来線(奥羽本線)に乗り換える。この色の701系にお会いするのは久しぶりである。

 青森は隣駅で、所要時間は6分。先日YouTubeで前面展望動画を見たばかりの青函貨物列車と同じ線路を(ほんの少しだけ)走る。右に行くと貨物列車が進んだ青森信号場方面。青森駅へは左にカーブしていく。

 信号表示は6番となっているが、

 入線したのは4番線だった。あの電光掲示は番線表記ではなかったようだ。

 お隣には奥羽本線の特急つがる号(秋田行き)が停車していた。奥には青い森鉄道の701系もいる。

 前回(2012年7月)来た時から、青森駅の外観が一変している。いつからこんな駅ビルになったのだろう。

 一方で、商店街の雰囲気は良い意味でそこまで変わっていない。

 メインの通りを1歩外れると、急激に歩くスピードが落ちる。

 何とか転ぶことなく「アスパム」(青森県観光物産館)に到着。

 10階にある「みちのく料理 西むら」で昼食。これが今日初めての食事である。

 海が見える良い席が空いていた。

 しばらくすると、外の天気が一変した。さっきまでは小雪が降ったりやんだりといった感じだったのに、吹雪になっている。

 青森の郷土料理で構成された「縄文定食」を注文。

 鱈を使った具沢山の「じゃっぱ汁」。鱈の脂が染み出していて美味しいし、一気に身体が温まる。

 お刺身は帆立、マグロ、サーモン。これら全てが近海で獲れるというのは素晴らしい環境である。

 私が一番楽しみにしていた「ほたて貝焼き味噌」。ぶつ切りのホタテを味噌ベースの出汁で卵とじした一品で、ご飯が進む。貝柱だけでなく、貝ひもの部分の美味しさがより引き立てられているように感じる。

 小さいが、ホタテフライも付いている。私は基本的に帆立は加熱したもののほうが好き。

 大根を塩と麹で漬けた「がっくら漬け」。塩味はそれほど強くなく、麹の香りが印象的である。

 最後までご飯を少し残しておいて、にしんの切り込みで食べる。何だかんだでこれが一番好き。

 食事を終え、13階の展望台に寄ってみる。

 遠くに北海道が見える。

 そういえば、いつの間にか晴れた。

 青森駅方面。こうして見ると、駅ビルだけでなく高い建物が増えた。

 仕事の時間までまだまだ余裕があるので、八甲田丸も見学しに行こう。新幹線を1本早めて正解だった。

 観光物産館なので、1階のお土産コーナーはとても充実している。

 JAの売り場で、りんごジュースを飲む。味が濃いのにすっきりしていて美味しい。

 外へ出ると、また天気が一変していた。吹き付ける雪を全身に浴びながら、八甲田丸まで歩く。八甲田丸は絶対に行きたい。むしろ、(仕事を除けば)八甲田丸さえ行ければ悔いはない。

 どんなに雪が降っていても、この可動橋だけはじっくり見る。鉄路を走ってきた貨物車両をそのまま乗せられる船(車両を航送する鉄道連絡船)って、本当にすごいことをやっていたと思う。

 今の正式名称は「青函連絡船メモリアルシップ八甲田丸」らしい。

 前半は、昭和30年代の青森駅周辺や青函連絡船の様子を再現したジオラマコーナー「青函ワールド」。これがとても面白い。いきなり魚屋の大将が魚を大量に仕入れすぎて女将さんが激オコという場面から始まる。

 魚だけでなく、野菜や卵などの露店が駅周辺に集まっていた。

 鉄道関係の貴重な資料も展示されている。

 焼き芋屋さんは軽トラやリヤカーで売りに来るものというイメージがあるのだが、そういう行商スタイルが確立したのはいつ頃なのだろう。

 食べ物だけでなく、衣類の露店もあった。

 青森といえば「りんご」というのは昔も今も変わらない。

 お店によって仕入先の農家が違うので、あそこは美味しいとかあそこはそうでもないとか、顧客は評判をあてにしながら購入先を選んでいた。

 お米や海産物などの荷物を担いで青函連絡船に乗り、青森と函館を行き来する「担ぎ屋」という仕事があった。女性でも60キロの荷物を背負っていたそうだ。重労働だし危険も伴うが、船賃を払ってもしっかり利益が出ていたらしい。

 連絡船の待合室。当時は遅れや欠航が日常茶飯事で、そういう時はただただ待つしかなかった。

 青函ワールドや青函連絡船の歴史に関するビデオ上映もされており、とても興味深かった。青函連絡船は、太平洋戦争で全ての船が沈められたり、大きな台風で5隻が転覆・沈没して多くの方が犠牲になったり、数多くの悲劇に見舞われつつも、明治41年の就航から昭和63年の青函トンネル開通まで、80年間で1億6千万人の乗客と2億5千万トンの貨物を運んだ。そんな青函連絡船で唯一現存しているのがこの八甲田丸である。

 後半は、青函連絡船の記念館と展示コーナー。当時の座席がそのまま残されている。これは現在で言うところのグリーン車。

 座ってみると、かなりフカフカである。

 こちらは自由席の座席。座面は固めだが、私はこちらのほうが座り心地は良いと感じた。

 寝台客室。居間まであって豪華である。一度乗ってみたかった。

 船長室。1人では持て余すくらい広い。

 船と青森港の模型を見てみると、着岸の難易度がかなり高かったのではないかと感じられる。回転しながら着岸していたようだが、この場合は本船とタグボートのどちらがより難しかったのだろうか。

 ブリッジ(操舵室)もそのまま残っている。

 船長さんもいらっしゃる。

 船長さんが見ている景色。視界良好。

 操舵手の気分を味わってみる。実際に舵輪も回る。

 これらのスイッチやハンドルも動かせる。めちゃくちゃ楽しい。

 青函連絡船の最大の特徴であり、私が最も楽しみにしていた「車両甲板」に出る。広い。そして寒い。

 八甲田丸の車両甲板には4線の線路が敷かれており、最大で48両を搭載することが出来た。説明書きによると、貨物車両1両の重さ(15~17トン)は大体アフリカゾウ2頭分で、つまりこの船にはアフリカゾウ96頭を載せることが出来たということだそうだ。わかりやすいような、わかりにくいような…。

 今は一部の線路は外され、展示コーナーになっている。

 車止めがそのまま残っている。船の揺れに耐えられるよう、車両の固定には様々な装置が用いられていた。

 国鉄最後の郵便貨物車「スユニ50形」。昭和61年10月に鉄道荷物・鉄道郵便が廃止され、役目を終えた。

 他に誰もいないのはゆっくり見学できてありがたい反面、ちょっとだけ怖い。

 キハ82形特急気動車。実際にこの車両が青函連絡船に乗っていたわけではないが、貴重な車両なので保存しているとのこと。確かに、鉄道オタクとしては思わず息を飲む車両である。

 DD16形ディーゼル機関車。これも実際に航送されていたわけではないが、国鉄時代の貴重な機関車である。線路状態の良くない簡易線区へも入れるように軸重(レールにかかる機関車の重さ)が軽くなっており、全国で活躍した。

 控車「ヒ600」。連絡船の中に貨物車両を出し入れする際、可動橋と船尾の接続部にかかる重量を少なくして接続部が不安定になるのを防止するため、(重い)機関車と貨物車両の間に連結された出し入れ専用の(軽い)貨車である。

 船尾の扉の向こうは、先ほど外から見た可動橋につながっている。

 船尾から全体を眺める。広い。ここに貨物車両が詰まっている光景を想像するとワクワクしてくる。

 エンジンルームも見ることが出来る。

 私の頭では、3回読んでも何となくしか理解できなかった。

 仕組みはよくわからなくても、とてつもなく貴重なものを見ているということはわかる。

 大満足で下船する。次に青森に来た時も、ここだけは必ず来たい。

 八甲田丸のお隣には海上保安庁のおいらせ号が停泊していた。場所は違うが、しばし黙祷する。

 晴れ間が広がり、東に綺麗な雪山が見えてきた。何という名前の山脈だろう。

 八甲田丸と青森駅の間にある「A-FACTORY」に寄る。お土産屋さんと飲食店がメインの複合施設である。

 今夜ホテルの部屋で食べるおやつたちを購入。

 今日の宿泊先である「リッチモンドホテル青森」にチェックイン。駅から15分ほど歩く場所にあるが、値段の割に部屋が広くて綺麗だ。ありがたい。

 15時からお仕事。この日記では1行で終わるが、一応ちゃんと頑張っている。当たり前か。

 2時間ほどで仕事を終え、夕食に繰り出す。

 「鮨処すずめ」を予約しておいた。

 カウンター席に座る。

 お寿司1本勝負でも良かったのだが、せっかくなのでまずは帆立の塩焼きを食べる。

 お寿司は地魚の握りセットを頂く。さすがは青森という美味しさである。

 大間まぐろの中トロと赤身も入っている。本マグロの王道を味わう。

 滞在時間は30分強。お酒を飲まないので、すぐに料理が出てくるとこうなる。外はまた本格的に雪が降って(舞って)いる。

 あとはホテルの部屋へ戻るだけなので、敢えて裏道を通って雪を満喫しよう。

 誰もいない大きな公園に入る。

 かなり寒いが、首都圏では滅多に見られない光景が見られる。

 白の美しさに圧倒される。

 公園の反対側へ歩いて行くと、突如上空から大きな音がする。木の上にとまっていたらしい大量のカラスが一斉に飛び立ち、旋回し始めたのだ。どうやら彼らの縄張りに踏み込んでしまったようだ。攻撃してくる気配はないが、これだけの数に来られたら本当に危ないので、すぐに立ち去る。

 急ぎつつ、でも転ばないようにゆっくり歩く。

 大通りに出れば一安心である。ただ、よく見てみると至る所にカラスがとまっている。彼らにとって住みやすい地域なのだろうか。

 ホテルへ戻り、すぐに入浴して身体を温める。時間はまだ19時前である。

 出張の報告書をまとめてから、2次会スタート。ベッドに横になり、ドラマを観ながら青森リンゴの美味しさを存分に味わう。

 風丸農場の「赤いりんごのジュース」。果実まで赤い「ジェネバ」という品種のりんごが使われており、酸味が強い。ラズベリーと赤ワインの風味を足したような味である。

 ホクユーフーズの「青森りんごジュレ」。クラウドファンディングで開発した商品のようで、岩木山麓のタムラファームというりんご園の林檎を使用しているらしい。スーパーマーケット・トレードショーにも出展していたようなので、バイヤーの目に留まればいずれ全国で買えるようになるかもしれない。

 タムラファームのアップルパイ。

 クリームが入っていない、シンプルな紅玉のアップルパイである。

 圧巻だったのは、弘前の洋菓子店「ボンジュール」のアップルパイ。それをマキュレという会社が提携?して製造する「RIN&GO」という名前の商品を買ったのだが、これが本当に美味しかった。

 生地のサクサク感、りんごの蜜の甘さが絶妙である。ボンジュールが製造したものも直接通販で買えるようなので、一度注文してみたい。

 1時間半のドラマを2話見たところで切り上げ、23時過ぎに就寝。