社会を見て、聞いて、感じる。

人生そのものがフィールドワーク。

7月21日(土)

2012年07月23日 21時24分17秒 | 2012年

  4時過ぎに起床。カーテンを開けたら、ちょうどあつみ温泉駅を出発するところだった。外も明るくなり始めたところだったので、そのままカーテンを開けっ放しにしてゴロゴロしながら景色を眺めることにした。

  酒田(05:00着)、秋田(06:38着)、東能代(07:48着)と順調に主要駅を通り、08:32に大館駅に到着。大館駅といえば「花善」の名物駅弁「鶏めし」が有名だが、前日までに電話で予約をしておくと、列車のドアのところまで届けに来てくれる。しかも、朝に作り立てなので、温かいまま食べることが出来る。今日は、私と同じ車両だけでも他に4名が予約していた。もちろん、味は素晴らしい。これを食べずに大館駅を通るなんて、もったいなさ過ぎる。

  定刻通り、09:55に青森駅に到着。かれこれ12時間40分の長旅だったが、長いと感じることは全くなく、むしろこの貴重な時間がもう少し長く続けばいいのにと思いながら到着の時を迎えた。こんな贅沢な時間の過ごし方は、なかなか出来ない。


回想用の機関車に連結される。お疲れ様でした。

  改札口で友人と合流。最後に会ったのは彼が地元へ帰省してきた今年のお正月だから、かれこれ半年振りの再会である。さっそく彼の車に乗り込み、恐山を目指して出発。

  駅を下りた瞬間に感じたことだが、青森はめちゃくちゃ涼しい。街にある温度計は18℃を示しており、涼しいを通り越して寒いぐらいだ。さらに、湿気が全くないので非常に快適。そして、何より空気が美味しい。自然と何度も深呼吸したくなる。

  下北半島に入ったあたりで、昼食を兼ねた休憩を取る。選んだ場所は、「道の駅よこはま」。青森には、横浜町という町がある。かなり聞きなれた名前である。しかし、こちらの「横浜」は周囲をこれでもかというぐらいの自然に囲まれている。レストランに入り、名物だという「ほたて塩ラーメン」を食べる。バターの風味がついた大きなホタテの入った塩ラーメンで味も文句なく、一気に平らげてしまった。

  恐山の少し手前に、「恐山冷水 不老水」という湧水のスポットがある。めちゃくちゃ冷たくて美味しい水で、1杯で10年寿命が延びると言われている。欲張ってもいけないので、私は2杯飲んだ。

  恐山は、まさに「霊場」という、非常に特別な空気に包まれている。この日はちょうど大祭典というお祭り期間で、多くの観光客が訪れていたが、それでもその空気が乱れることはない。ちなみに、恐山は地蔵信仰による死者供養の場であり、東北地方では「人が死ねばお山に行く」として長らく信仰の対象となっており、日本各地から故人を偲ぶ人々が訪れているそうだ。

何となく、乗るのが怖そうなバス。

  まずは、三途の川を渡る。三途の川を渡らないと境内に入れないという時点で、既に相当恐ろしい。境内に入るとすぐに、「イタコの口寄せ」が行われている。当初は私もある人を降臨させてもらおうと楽しみにしていたのだが、長蛇の列が出来ていたので諦めた。聞くところによると、このお祭りの時期には3時間待ち、4時間待ちが普通だそうだ。

これから、一旦死にます。

  まずは、ご本尊をお参りする。ここまでは、一般的なお寺と同じである。

山門


地蔵殿

  ご本尊の安置されている地蔵殿から先へ進むと、景色が一変する。火山ガスの噴出するゴツゴツした岩肌の一帯が続き、至る所に石が積まれている。辺りは硫黄のような臭いが立ち込め、つい最近も実際に溶岩が噴出するという事件があったらしい。まさに、地獄の名にふさわしい場所である。


賽の河原


死者があの世への旅でかく汗をぬぐえるようにと、手ぬぐいがお供えされている。

  そんな地獄を進んでいくと、大きな湖に出る。周囲の白い砂浜は極楽浜と呼ばれており、先ほどまでと違って穏やかな空気に包まれている。所々に花や線香、風車などがお供えされており、湖に向かって拝んでいる人もいた。死後の世界があるとしたら、きっと天国はこういうところなのだろう。

よく考えたら、ここで写真を撮るのは少し不謹慎だったのだろうか。

  再び地獄のような道を歩き、胎内くぐりをして地蔵殿に戻ってくる。これで、一応輪廻転生して生まれ変わったことになる…のだろう。


ガスの噴出口に、小さな仏様が置かれている。

  境内には、無料で入れる温泉が設置されている。古びた小屋の中に脱衣所と湯船があるだけの温泉だが、泉質は素晴らしく、歩いた疲れが抜けていき、まさに生まれ変わるようだ。どうせ行くのなら、タオル1枚を携えて行ったほうがいい。

  入場の時から気になっていたのだが、境内への入口付近で「霊場アイス」なるものが売られていたので買ってみる。由来はよくわからない(多分そんなものはないのだろう)が、これが予想をはるかに超えて美味しい。バナナ、ブルーベリー、よもぎの3種類の味で、特によもぎ味が草団子をそのまま食べているのではないかと思えるほど濃厚なのだ。やはり、旅ではよく分からなくてもとりあえず食べてみることが大切だ。

  無事に生き返ることが出来たので、次の目的地である大間へ。恐山からは、1時間強で到着する。青森市街地は涼しく、恐山は寒かったが、大間ではそれ以上に寒い。しかし、天気が良かったので遠くまで景色を見渡すことができ、海の向こうに北海道も見えた。

  岬のすぐ近くにある「大間んぞく」で、念願の大間マグロを食べる。元々私はマグロがあまり好きではなかったのだが、「大間のマグロを食べなきゃ好き嫌いを決められない」ということで、今日まで最終判定を保留にしてきた。このお店では、時期以外でも冷凍保存してある大間産のマグロを食べることが出来る。注文は、赤身、中トロ、大トロをそれぞれ味わえる「刺身定食」と、単品で「血合いの唐揚げ」、「生うに」(大間はうにも有名らしい)。後者の2品も絶品だったが、やはりここのメインはマグロの刺身である。赤身はマグロの味が濃く、中トロは舌の上でとろけ、大トロは霜降りの牛肉なんじゃないかと思うほど美しく、美味しかった。意外なことに、中トロより大トロのほうがさっぱりしていたような気がする。そして、最終判定としては、「美味しいマグロは美味しい」という結論に至った。

赤身(左)、中トロ(右)、大トロ(上)。


血合いの唐揚げ。


生うに。

  大間から青森までは、軽く3時間以上掛かった。私は助手席でベラベラと喋っていただけだから良いが、友人は大変だっただろう。

  なんやかんやで、友人の家へ着いたのは23時過ぎ。2DKという広々とした部屋で、お風呂も広く、予想以上に良い部屋である。これで家賃5万円とは、さすが青森。

 


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