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「うつになる人」「ならない人」決定的な差

2023年10月09日 23時03分57秒 | メンタルヘルスのこと>心の健康
50代で「うつになる人」「ならない人」決定的な差

人生100年時代。人生の「1周目」が50歳くらいまですると、「2周目」がそこから始まります。

5/29/2020

通常、会社は60歳で定年となるのが現状ですが、それを迎える前に多くの会社員が役職を解かれたり、収入が下がるのはよくあること。仕事の目的とやる気を失った結果、人生そのものに消極的になる人は少なくありません。
どうすれば「2周目の人生」を前向きに過ごせるのか? 


明治大学教授の齋藤孝氏が解説します。

医学の発達や生活環境の向上で人生100年時代と言われるまでに寿命が延びたのに、残りの50年、人生の2周目になんの希望も持てないとしたらそれはもったいない。苦役のような時間になってしまいます。

ところが程度の差こそあれ、苦役に近い2周目に入ってしまっている人が少なくありません。最近、とくに問題となっているのが「初老期うつ病」と呼ばれるものです。人生に新鮮味を感じられず、何を見ても心が動かない。このまま歳を取っていくのかという虚しさのようなものが込み上げてくる。次第に気力を失い、活動力が落ちてしまう。

50歳にふと芽生える「うつの雑草」
50歳を過ぎた頃から現れるようになるこのような抑うつ状態を「初老期うつ病」というのだそうです。実は、私自身もそれらしきものになりかけたことがあります。50歳を過ぎた頃、何かをするたびに「ふうっ」とため息が出たのです。

一通りこの世の中のことはわかってしまっている。仕事の段取りもある程度身に付いているし、うまくいったこともいかなかったことも、ほぼ想定内。肉体的な衰えも当然加わっていたのでしょう。なんだかやたらと身体が重く、ため息ばかりついている自分に気づいたのです。

仕事でもなんでも一通りのコツと勘がつかめて、50歳を過ぎていろんなものが一段落して、フッと肩の力が抜けたときでもある。そういう状態のときに心に「うつの雑草」が生えるのです。

雑草というのは、放っておくとあっという間に伸びて生い茂ります。自宅に庭がある人ならよくわかると思いますが、少し気を抜くと本当にびっくりするくらい伸びている。

私は大学生の頃、静岡から東京へ出てきて1階のアパートを借りました。小さい庭が付いていたのですが、そのうち何か植えようかと思って放っておいた。すると夏になって私の胸の辺りまで成長して、ほとんど部屋の前が遮られてしまったのです。遊びに来た友人がびっくりして、一緒になってその雑草を必死で抜いたのを覚えています。雑草というのはあっという間にいっぱいに生い茂るものだと痛感しました。
ほかのものが一切生えなくなるくらい強く、はびこるのです。ここで「うつの雑草」と言っているのは、うつな気分のことです。本格的なうつ病には、もちろん医師による診断・治療が必要です。


人生の2周目に「必要なもの」

実は「うつ」という気分も、放っておくと雑草のように心にはびこるものだと思います。雑草はとにかく早めに抜くこと。地面から少し顔を出したら、小さなうちに摘み取ってしまわないと大変なことになります。

庭の手入れをしている人はそれをよく知っています。「心の雑草」「うつの雑草」もまさに同じです。ちょっとやる気がしない、気分が乗らない。身体が重くて動くのがしんどい。何に対しても興味が昔のように湧かず、ウキウキしない……。


それは最初は大したことのないちょっとした心のほころびかもしれません。でも放っておくと雑草と同じく、あっという間に伸びて心の庭を埋め尽くします。そしてもはや何もそこに植えることができない雑草だけの空間になってしまう。取り返しがつかない重いうつ状態に陥ってしまうのです。

ちなみにうつ病の「鬱」という字は、何か密集して詰まっている状態を表すそうです。「うっそう」とした森の「鬱」ならいいのですが、憂いが密集した「憂鬱」の場合は困ったことになります。


そうならないように、私たちは意識して「うつの雑草」の芽に早いうちに気づき、摘み取らなければいけません。人生の2周目を前にして、新たな目標や生きがいの種を植える前に、「うつの雑草」で覆われてしまい、どうすることもできなくなってからでは遅いのです。
冗談半分で私がよく言うのは「心の雑草」「うつの雑草」が、どの程度はびこっているかがわかるアプリがあればいいと。
「この1年で何か新しいことを始めましたか?」
「昨日、面白かったことは何ですか?」
「いま熱中している趣味や遊びはありますか?」
 
など、質問項目に答えることで、その人の心の庭にどの程度雑草が生えているかを、映像としてわかるようにするアプリです。

重いうつ状態の人は心の庭が雑草で覆われて、花も木も一切育っていない光景が映し出されます。一方、健康的な精神状態の人の庭はきちんと整理され、花が美しく咲き、形のよい庭木がたたずんでいます。あるいは「あなたは今は健康ですが、心の雑草が生えかかっているので注意しましょう」というような警告もある。

心の状態が「庭」という形で可視化されるので、自分が今どのような状態であるのかが一目でわかるというアプリです。便利だと思いませんか?

スポーツや武道で体を動かす
スポーツをやっている人、身体を動かしている人はうつ状態になりにくい。例えば若いときにやっていたスポーツを今も続けているという人。中学高校時代に部活でやっていたスポーツを今も何らかの形でやっている人は、うつ状態になりにくいと思います。


スポーツは身体を動かすという意味もありますが、勝負の世界で気持ちをピンと張ることがよい効果をもたらします。緊張感によって心の雑草がきれいに取り除かれるのです。脳の機能的な働きで言うなら、筋肉を使い、筋力をアップすることで男性ホルモンであるテストステロンが分泌されます。試合に勝利することで、アドレナリンなど脳内ホルモンが分泌されます。

スポーツをすることが脳への刺激になる。うつ状態というのは脳の働きの一部が通常より低下し緩慢になることです。スポーツによって脳に刺激を加えることで、機能低下を防ぐことにつながるのです。


ただし、スポーツはどうしても年齢が高くなるとハードルが高くなってしまいます。若い人に交じって一緒に試合するのは難しい。体力差がありますから、同じチーム内であればどうしても高齢の人は活躍できにくい。隅に追いやられてしまいます。


その点、日本の武道は高齢になっても続けることができます。年寄りだからといって軽んじられることはありません。柔道でも剣道でも、段位が上の人は皆、ある程度年齢が高い人たちです。これは単に実力があるからといって昇段するわけではないという、認定システムに由来しています。

例えば剣道では初段が13歳以上であること、二段は初段受有後、1年以上修行を続けていること、三段は二段受有後、2年以上修行を続けていることというように、修行の必要年数が、段が上がるごとに1年ずつ増えていくのです。
六段から七段へは6年必要で、七段から八段へは10年の修行が必要。初段からの総必要修行年数は最低で31年もかかるのです。

武道は、単に競技の実力だけで段位が上がるわけではありません。ですからオリンピックなどの第一線で活躍する人たちの多くが四段とか五段くらいでしょう。年齢的にはそのあたりがピークなのですが、武道はそれだけを重んじるのではないということです。

大事なのは「勝つこと」ではない

長く続けた人、また年齢を重ね精神的にも円熟した人をリスペクトし評価するという基本姿勢が武道にはあるのです。単に力や技術だけでないということです。試合をして勝つほうが偉いとか上だとは考えていないことがポイントです。
 『人生は「2周目」からがおもしろい』(書影をクリックするとアマゾンのサイトにジャンプします)

人間、同じことをずっと長く続けているとどうしてもマンネリになり、飽きがきてしまいます。その点、日本の武道は長く続けることに重きを置いています。このような精神文化を背景にした武道を続けている人は、マンネリズムによって起こる精神の停滞を、おのずと寄せ付けません。うつになりにくい精神構造を身に付けていると言っていいと思います。


先ほどのアプリの話に当てはめると、スポーツ、とりわけ柔道や剣道などの武道を続けている人は、庭に大きな桜の木が植わっていて、満開の花を咲かせている状態だと考えられます。


あるクイズ番組で知ったのですが、桜の葉や花からはクマリンという物質が出ていて、それが周囲の雑草を駆除する作用があるというのです。大きな桜の木が1本生えていることで、おのずと「うつの雑草」が生えてこない。

武道を若い頃から続けているという人は、心の庭に大きな桜の木が立っているようなもの。自然と雑草が生えてこない精神環境を整えているわけです。



5/29/2020
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小雨降る境内に

2023年10月09日 17時03分26秒 | 日々の出来事
秋の夕闇の神社ですね⭐


10・8・2023
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名栗湖、有間渓谷の瀧です

2023年10月09日 08時03分37秒 | 日々の出来事
真夏の瀧ですね❗






8/15/2023
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あなたの言う『自己肯定感』とはどういう意味ですか?」東大に推薦合格した高校生が面接で出した答え

2023年10月09日 06時03分02秒 | 受験のこと
あなたの言う『自己肯定感』とはどういう意味ですか?」東大に推薦合格した高校生が面接で出した答え


9・24・2022

東京大学をはじめ、面接などの推薦入試を受ける人が増えている。現役東大生の黒田将臣さんは「面接では背伸びをしてもいいが、嘘はついてはいけない。『付け焼き刃の知識で自信がないですが』などの枕詞を付けておくと印象も良く、逃げ道にもなる」という――。 

<略>


まず、推薦でもAOでもよくあるダメなやり方として、「教授に対して知識をひけらかしてしまう」というものがあります

「私はこんなことを知っています」ということを、必要以上に教授に見せてしまうということです。

<略>


多くの受験生は1つの重大な事実を忘れています。それは、相手はその道のプロであるということです。あなたが「これがわかっているのはかっこいい/自分を大きく見せられるはずだ」と思う知識は赤ん坊が大人と会話を試みるようなものでしかなく、相手は専門用語に対する感度も非常に高く、言葉の正しい使い方についての基準は常人の何十倍も高いのです。 

<略>

自分には東大教育学部に推薦で合格した友達がいるのですが、プレゼンで「子供の自己肯定感を育めるような教育が必要だ」ということを軸にして、自分の高校時代の活動に立脚して語ったそうです。質問もある程度事前に想定していた通りのものが来て、うまくこなすことができたそうなのですが、後半に入ってからの東大教授からの予想外の質問に驚愕(きょうがく)したのだとか

  「あなたはプレゼンの中で、『自己肯定感』という言葉を使っていましたが、あなたのその言葉の使い方と一般的に認知されている定義との間に、違う部分があるかもしれないと考えたことはありますか?」  20個以上質問を想定していた彼女でも、この質問は完全にノーマークだったそうです。 

<略>
 確かに言われてみると、「自信」という意味で「自己肯定感」という言葉を使う人もいれば、「前向き」という意味で使う人もいるでしょう。また、「期待」とか「信頼」とか「信用」とか、微妙に意味が異なっているけれど使い分けることが難しいさまざまなニュアンスがあったりもしますよね。

  東大の教授のこの質問は、その部分を聞いたものだったわけです。彼女はこの質問に対して、自分の使っている言葉の意味と一般的な解釈で、共通な部分と異なっている部分を説明し、どう異なっていたのかを示し、合格することができたと言います。 

<略>

そしてもう1つ重要なのは、素直であることです。

 例えばみなさんは、教授にどうしても答えられない質問をされた時や、どうしても知識の量的に難しい質問を投げられた時にどう対応しますか?

  こういう時、多くの学生はわからないということを隠そうとすると思います。しかしこういう場合、わからないことはわからないとはっきり言って、不勉強であることを認めた方がいい場合もあります。それを下手に知ったかぶってしまうと、それこそ嘘になってしまうことがあるのです。嘘にならないコミュニケーションを取るためには、素直に相手の言うことを受け入れる必要があるのです。 

前文はリンクで>



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新コロナ克服か?人類滅亡か?>人類が新型コロナを克服する日、「集団免疫」を得る日は来るのか

2023年10月09日 03時03分30秒 | 医学と生物学の研究のこと
人類が新型コロナを克服する日、「集団免疫」を得る日は来るのか

英国は早々と撤退、だが流行が終息する状況の1つ


3/25/2020
 
 急速に広がる新型コロナウイルスへの対策として、世界中の国々が職場や学校、人が集まる場所を閉鎖し始める中、英国が3月13日に発表した戦略は波乱を呼んだ。

図:新型コロナ、どんな対策をすればいつどれだけベッドが必要になるか?英国の試算

 英国は初め、多くの人が集まるイベントの禁止や移動制限などの厳しい措置を採用しないことを選択した。ウイルスを完全に叩きのめすのではなく、段階的な制限によって抑え込んでいくという戦略に、医療関係者の多くは驚いた。

 この戦略は、「十分な数の人が軽く発症し、免疫をつけること」による「集団免疫」の獲得を狙ったものだと、英国政府の首席科学顧問パトリック・バランス氏は同日に英テレビ局スカイ・ニュースで語った。

 もし、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)によるリスクがそれほど高くなければ、ウイルスを野放しにして早々に集団免疫を達成する手もあるだろう。しかし、実際にそうしたシナリオをとった場合、入院や集中治療を必要とする人が大量に発生し、医療サービスの収容能力を超えてしまうことがわかっていた。

 英インペリアル・カレッジ・ロンドンは、アウトブレイク(集団感染)で病院がどれだけひっ迫するかを公表した。それを受け16日、英国は突如方針を変え、他人と一定の「社会的距離」を保つ対策を新たに導入。ジョンソン英首相は20日以降、全てのパブ、レストラン、ジム、映画館を閉鎖するよう指示した。

  それでも、集団免疫が新型コロナウイルスの抑制に果たす役割を問う意義はある。それは、ワクチン開発の成否や、あるいは社会的距離をとる措置を解除したときに、再び感染が拡大するかどうかに関係しうるためだ。
 集団免疫とは何か
 
 ウイルスはひそかに感染する。変装して宿主の細胞に侵入し、免疫が反応するより早く活動を始める。細胞は、病原体がいることに気が付くと、免疫系に向けて警報を発する。しかし、ウイルスは一足先にスタートしているため、免疫系が追いつく前に増殖し、新しい宿主に感染することができる。

 細胞の中でウイルスへの免疫反応が開始されるには24時間程度かかると、英エディンバラ大学ロスリン研究所のウイルス学者エレノア・ゴーント氏は説明する。本格的な免疫反応が起きるまでには、さらに3日ほどかかることがある。そうすると、わずか8時間程度で自己複製できるインフルエンザのような呼吸器ウイルスは、だいぶ優勢だ。

 初めてかかる感染症で大変な思いをすることが多いのはそのためだ。だが、免疫系も2度目はそう簡単にだまされない。一度侵入者を退治したなら、その病原体専用の武器を用意しておき、再び現れた際に直ちに対応できるようにするからだ。だから、2度目にやってきたウイルスが、そこまで有利なスタートは切れない。

  免疫を持っている人は「感染を広げない不発弾」だと話すのは、インフルエンザに対する免疫を研究している米シカゴ大学のケイティー・ゴスティック氏だ。ウイルスが人から人に感染しなくなれば、流行は徐々に沈静化し終息すると氏は説明する。

白か黒か」の集団免疫 
 集団免疫が獲得されるには、集団の中で感染症の免疫を持つ人の割合が必ず一定のレベルを超える必要があると、米ハーバード大学T・H・チャン公衆衛生大学院の疫学者ヨナタン・グラッド氏は話す。少しばかり集団免疫が獲得されるということはない、つまり、白か黒かのどちらかしかない。

 1人の感染者が新たに感染させる人の数が平均1人未満になった時点で初めて、その集団は集団免疫を獲得したということになる。感染が全くなくなるわけではないが、拡大を防げるということだ。

 集団免疫に関する知見の多くは、感染力が非常に強い麻疹(はしか)から得られている。感染力が強いほど、集団免疫を達成するためには多くの免疫獲得者が必要になる。例えば麻疹の免疫を持たない集団に感染者が1人いる場合、18人もの人に感染が広がってしまう。この数を1人未満に下げるためには、集団のほとんどが免疫を獲得し、感染者と次の感染候補者との間で盾となる必要がある。麻疹の場合、集団免疫を達成するには95%もの人が免疫を獲得する必要がある。

  これまでの研究によると、新型コロナウイルスの感染力は麻疹よりも弱く、感染者が新たに感染させる人数は平均2~3人とされている。この場合、集団免疫を達成できる免疫獲得者の割合は人口のおよそ60%だ。
 集団免疫を安全に獲得するには
 
 ワクチンは、体に一度も感染症と戦わせることなく、その病原体専用の武器を作ってくれる。そのため、一般的に集団免疫を目指す場合は、感染ではなくワクチンを使って行われる。例えば米国では、麻疹感染例のうち約30%は、けいれん、肺炎、脳炎等の合併症を引き起こし、1000人中2人が死亡に至る。全人口を麻疹にさらし、生存者に集団免疫を獲得させるというのは危険なやり方だ。

 しかし、感染によって集団免疫が獲得されることもないわけではない。悪名高い「水ぼうそうパーティー」は、大人よりも子どものほうが軽症で済むことの多い水ぼうそうに、一部の親が自分の子どもをあえて感染させようとする方法だ。

「新型コロナウイルスの場合に問題なのは、年齢にかかわらず誰も感染したことがない点です」と、ゴスティック氏は話す。まるで水ぼうそうがこの世に初めて登場し、より重症となるリスクに大人がさらされているようなものだと、氏は説明する。

 また、集団免疫はどんな感染症に対しても有効なわけではない。例えば、破傷風ワクチンをどれだけの人数が接種しようと、接種していない人には関係がない。破傷風ウイルスは環境中に生存するので、さびた釘を踏んでしまった非接種者は、やはり感染しうる。集団免疫が有効なのは、人から人へ感染する病気だけだ。

  そのうえ、免疫がそう長く持続するとは限らない。ヒト免疫不全ウイルス(HIV)はあまりに変異が速く、1人の人の体内で進化することすらある。そう話すのは、フランス開発研究所(IRD)の感染症専門家、ジェシー・アバーテ氏だ。インフルエンザも変異が速く、免疫系やワクチンにとっては戦いにくい。だからインフルエンザワクチンは毎年、どの株が流行するかを予測して準備しなければならないのだと、氏は説明する。
新型コロナの集団免疫、本当に獲得できる?
 
 ゴーント氏によれば、今回の新型の他に、一般的なかぜ症状を引き起こす4種類のコロナウイルスが、すでに人類全体に広まっている。それでも毎年流行し続けるのは、これらのコロナウイルスに対する私たちの免疫が長く続かないからだ。もしも新型コロナウイルスがこれらに類似しているとすれば、集団免疫が維持されるには、人々がワクチン接種や感染を何度も繰り返さなければならない。

 回復後に新型コロナウイルスの検査を受け、再び陽性反応を示した人の中には、再感染したケースがあるとの報告もある。しかし、本当に再感染だったのかは不明だ。ウイルス排出が長期間続いており、排出量がその時々によって増減していた、という説明のほうが妥当である可能性が高い。

 回復してもすぐに再感染する可能性は、今のところ「ありえないと考えていい」とアバーテ氏も言う。もしもそこまで早く再感染することがありうるなら、世界の一部地域で急速に感染者数が減少している現状を説明できない。それに、これまでに知られているどんなウイルスにおいても、そんなことは起こっていないと、同氏は話す。

 また、有効なワクチンが開発されたとしても、接種によって免疫を獲得できない人が、必ずごく一部に存在する。そして、もし新型コロナウイルスへの免疫が長続きせず、何度もワクチンを接種しなければならないとしたら、実践上の課題はさらに大きくなるとグラッド氏は言う。

 今のところ、新型コロナウイルスの感染拡大を防ぐ最適な方法は、社会的距離を保つことだ。だからこそ多くの医療関係者は、英国政府が早急に方針を変更したことに安堵した。

 「徐々に集団免疫を獲得できるだろうと考えていました」と、インペリアル・カレッジ・ロンドンの感染症研究者アズラ・ガーニ氏は16日の記者会見で述べた。「しかし、それでは対処しきれないことがわかりました」
     
文=CATHLEEN O'GRADY/訳=桜木敬子


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