幹事長を信用できない総理に解散はできない…『選挙の神様』久米晃と『ベテラン政治記者』星浩が政局ぶった切り「自民党を壊した岸田総理」(現代ビジネス) - Yahoo!ニュース
幹事長を信用できない総理に解散はできない…『選挙の神様』久米晃と『ベテラン政治記者』星浩が政局ぶった切り「自民党を壊した岸田総理」
4/19(金) 7:03配信
57
コメント57件
現代ビジネス
写真提供: 現代ビジネス
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岸田政権が手にしたはずの「黄金の3年」とは一体何だったのか。政権を襲う危機にことごとく悪手を打った岸田総理。9月に総裁選を控え、崖っぷちの状況だ。はたして現状を打開する秘策はあるのか。
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【一覧】「次の首相になってほしい政治家」ランキング…上位に入った「意外な議員」
まるで「人民裁判」
Photo by gettyimages
星 自民党は派閥の裏金問題について、安倍、二階両派の議員39人に処分を下しました。自民党本部の事務局長や選対本部事務部長などを歴任し、40年近くにわたって全国の自民党選挙に携わってきた久米さんの目にはどう映りましたか?
久米 今回の処分は、人民裁判のようになってしまいましたね。世論に押されて厳しい処分をせざるをえなくなったように見えます。そもそも、処分に基準があるかといえば、ないでしょう。パーティー券をめぐる裏金は、捜査の結果、議員の法的責任は不問となったはずです。しかし、党に迷惑をかけたから、という理由で処分した。
星 裏金問題は、今も真相が明らかになっていません。にもかかわらず処分を下したのは、たしかに特異なケースです。どの企業の不祥事でも、第三者委員会が真相を解明して、そのうえで関係者を処分するものです。
すべてが行き当たりばったり
Photo by gettyimages
久米 コロナ禍で銀座に飲みに行った議員を離党勧告にしたから、今回もそれにならって処分を下したという基準しか見当たりません。
星 それ以外は、キックバックされた金額と役職で処分にさまざまなバリエーションがありましたが、それは政治的な判断で線引きされました。岸田(文雄)総理は処分を急ぐことで、早く幕引きを図りたかったのでしょうが、逆に国民側は政治不信が高まってしまったのではないでしょうか。
久米 処分で政権支持率が高まることはありえないでしょう。よくて現状維持か、さらに下がると考えるのが普通です。
星 今回の処分に限らず、岸田総理はすべてが行き当たりばったりです。総理が発言すると、それなりに物事は動く。しかし、着地点を考えずに発信しているので、花火は上がるが、しぼんでしまう。
派閥問題も、率先して岸田派解散を打ち出し、すべての派閥を解消しようと動いたが、麻生太郎副総裁と茂木敏充幹事長が派閥を残したことで阻まれた。裏金問題でも、自ら政治倫理審査会に出席して真相解明に動いたのに、世耕弘成前参院幹事長や下村博文元文科相らの不明瞭な答弁に阻止された。
4/19(金) 7:03配信
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岸田政権が手にしたはずの「黄金の3年」とは一体何だったのか。政権を襲う危機にことごとく悪手を打った岸田総理。9月に総裁選を控え、崖っぷちの状況だ。はたして現状を打開する秘策はあるのか。
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【一覧】「次の首相になってほしい政治家」ランキング…上位に入った「意外な議員」
まるで「人民裁判」
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星 自民党は派閥の裏金問題について、安倍、二階両派の議員39人に処分を下しました。自民党本部の事務局長や選対本部事務部長などを歴任し、40年近くにわたって全国の自民党選挙に携わってきた久米さんの目にはどう映りましたか?
久米 今回の処分は、人民裁判のようになってしまいましたね。世論に押されて厳しい処分をせざるをえなくなったように見えます。そもそも、処分に基準があるかといえば、ないでしょう。パーティー券をめぐる裏金は、捜査の結果、議員の法的責任は不問となったはずです。しかし、党に迷惑をかけたから、という理由で処分した。
星 裏金問題は、今も真相が明らかになっていません。にもかかわらず処分を下したのは、たしかに特異なケースです。どの企業の不祥事でも、第三者委員会が真相を解明して、そのうえで関係者を処分するものです。
すべてが行き当たりばったり
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久米 コロナ禍で銀座に飲みに行った議員を離党勧告にしたから、今回もそれにならって処分を下したという基準しか見当たりません。
星 それ以外は、キックバックされた金額と役職で処分にさまざまなバリエーションがありましたが、それは政治的な判断で線引きされました。岸田(文雄)総理は処分を急ぐことで、早く幕引きを図りたかったのでしょうが、逆に国民側は政治不信が高まってしまったのではないでしょうか。
久米 処分で政権支持率が高まることはありえないでしょう。よくて現状維持か、さらに下がると考えるのが普通です。
星 今回の処分に限らず、岸田総理はすべてが行き当たりばったりです。総理が発言すると、それなりに物事は動く。しかし、着地点を考えずに発信しているので、花火は上がるが、しぼんでしまう。
派閥問題も、率先して岸田派解散を打ち出し、すべての派閥を解消しようと動いたが、麻生太郎副総裁と茂木敏充幹事長が派閥を残したことで阻まれた。裏金問題でも、自ら政治倫理審査会に出席して真相解明に動いたのに、世耕弘成前参院幹事長や下村博文元文科相らの不明瞭な答弁に阻止された。
周囲に人がいない
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久米 たしかに岸田さんは計画もなく、場当たり的な印象です。後先考えずに動くものですから、自民党が壊れつつあります。総理も壊すつもりなどないのでしょうが、意に反して壊れていったというのが実情ではないでしょうか。だから誰にも評価されず、支持率も上がらない。だけど、オールマイティーな政治家はいません。問題はそれを取り巻く優秀な参謀がいるかどうかです。
星 かつて大物と言われた総理総裁には、優秀なブレーンがいました。たとえば、竹下登元総理には、竹下派七奉行がいて、さらに大蔵省の官僚もチームとして支えた。
久米 安倍晋三元総理も史上最長となる政権を樹立しましたが、第一次政権のときと安倍さん自身が変わったかというとそうではありません。官房長官が変わったんです。だから、岸田総理も周囲の人が変われば、政権の様相も変わる可能性があります。しかし、その周りにいるのが一人しか名前が出てこない。そこが岸田さんの限界です。
星 木原誠二幹事長代理が岸田総理を支え、役所もそれなりに動いていますが、チームとして機能しているとは言い難いですね。総理の女房役である林芳正官房長官でさえ、総理との関係は弱い。かつての安倍政権では、菅義偉官房長官や今井尚哉総理秘書官、杉田和博官房副長官との結びつきが強固で、総理が間違った判断をしても誰かが気づいて修正していました。
久米 派閥の解消の話にしても、麻生副総裁や茂木幹事長に事前に相談していないわけでしょう。事前に言って漏れてしまうのを避けたということなら、それは副総裁や幹事長を信用していないという話になりますよね。幹事長というのは、選挙の要なわけですから、それを信用できない状態で、解散なんてできるはずがないと私は思います。
後編記事『重鎮も民意でどんどんひっくり返る…久米晃と星浩が断言「誰が総理・総裁になっても自民党は負ける』で、さらに議論はヒートアップしていく。
「週刊現代」2024年4月20日号より
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くめ・あきら/'54年、愛知県生まれ。業界紙記者を経て、'80年に自民党職員に。以来、一貫して選挙畑を歩み、党選対本部事務部長や党事務局長などを歴任した。'19年に定年退職し、現在は選挙・政治アドバイザーとして活動する
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ほし・ひろし/'55年、福島県生まれ。東京大学卒業後、'79年に朝日新聞社に入社し、ワシントン特派員や政治部デスク、特別編集委員などを歴任。'16年に退社し、『NEWS23』のキャスターに。現在はTBSスペシャルコメンテーターを務める
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久米 たしかに岸田さんは計画もなく、場当たり的な印象です。後先考えずに動くものですから、自民党が壊れつつあります。総理も壊すつもりなどないのでしょうが、意に反して壊れていったというのが実情ではないでしょうか。だから誰にも評価されず、支持率も上がらない。だけど、オールマイティーな政治家はいません。問題はそれを取り巻く優秀な参謀がいるかどうかです。
星 かつて大物と言われた総理総裁には、優秀なブレーンがいました。たとえば、竹下登元総理には、竹下派七奉行がいて、さらに大蔵省の官僚もチームとして支えた。
久米 安倍晋三元総理も史上最長となる政権を樹立しましたが、第一次政権のときと安倍さん自身が変わったかというとそうではありません。官房長官が変わったんです。だから、岸田総理も周囲の人が変われば、政権の様相も変わる可能性があります。しかし、その周りにいるのが一人しか名前が出てこない。そこが岸田さんの限界です。
星 木原誠二幹事長代理が岸田総理を支え、役所もそれなりに動いていますが、チームとして機能しているとは言い難いですね。総理の女房役である林芳正官房長官でさえ、総理との関係は弱い。かつての安倍政権では、菅義偉官房長官や今井尚哉総理秘書官、杉田和博官房副長官との結びつきが強固で、総理が間違った判断をしても誰かが気づいて修正していました。
久米 派閥の解消の話にしても、麻生副総裁や茂木幹事長に事前に相談していないわけでしょう。事前に言って漏れてしまうのを避けたということなら、それは副総裁や幹事長を信用していないという話になりますよね。幹事長というのは、選挙の要なわけですから、それを信用できない状態で、解散なんてできるはずがないと私は思います。
後編記事『重鎮も民意でどんどんひっくり返る…久米晃と星浩が断言「誰が総理・総裁になっても自民党は負ける』で、さらに議論はヒートアップしていく。
「週刊現代」2024年4月20日号より
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くめ・あきら/'54年、愛知県生まれ。業界紙記者を経て、'80年に自民党職員に。以来、一貫して選挙畑を歩み、党選対本部事務部長や党事務局長などを歴任した。'19年に定年退職し、現在は選挙・政治アドバイザーとして活動する
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ほし・ひろし/'55年、福島県生まれ。東京大学卒業後、'79年に朝日新聞社に入社し、ワシントン特派員や政治部デスク、特別編集委員などを歴任。'16年に退社し、『NEWS23』のキャスターに。現在はTBSスペシャルコメンテーターを務める