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川口が「本当に住みやすい街1位」って本当? 不動産業界の裏事情…

2025年07月17日 08時05分33秒 | 不動産と住環境のこと
 
 
 
 
川口が「本当に住みやすい街1位」って本当? 不動産業界の裏事情…
 
 先月、「本当に住みやすい街大賞2020」がアルヒ株式会社より発表された。
画像:本当に住みやすい街大賞2020(アルヒ株式会社)
 
 
1・18・2020
https://www.ohkuraya.co.jp/blog/article/3186
 
 
 
 「大賞は川口」。この見出しはどのニュースサイトでも相当インパクトがあった。ありふれた不動産ランキングであれば、首都圏に住んでいない人間にも広く認知される、「中目黒」「三軒茶屋」「吉祥寺」や湾岸エリアを挙げるのが定番。それが(失礼ながら)こともあろうに「川口」である。知名度が上がっていた「赤羽」を差し置いてのトップとは、いったい何があったのか。 
 
川口と武蔵小杉の違い
 
画像:本当に住みやすい街大賞2020(アルヒ株式会社)
 同社が発表した大賞選出理由には「2023年には商業施設を含む地上29階の複合タワーマンションが完成予定」とあり、ネット上では「タワマン乱立の武蔵小杉のようになるのでは?」の声もある。 
 
タワマンが林立する武蔵小杉
 
川口駅前の様子
 
 水害で注目されてしまった、開発の最前線として不動の人気を誇った武蔵小杉は、そもそも駅前にあった企業が他所へ移転してしまったことに端を発する。工場が立ち退いたことで空地ができてしまい、更にはその再開発を企画検討中に不況の煽りを受け、更なる空地が駅前に生じてしまった、それが武蔵小杉の開発の流れである。では川口はどうなっているのだろう。  
 
実際のところは、川口は武蔵小杉のように大きな開発が入ったわけでは無い。変化の兆しは、埼玉新聞に掲載された市長の「中距離電車停車の要望に対して、初めて『上野東京ラインでなら』という回答を得た!」という緩いものである。  だが確かに、街のイメージは一昔前とは変わってきている。足立区千住界隈が大学を誘致してイメージを払拭したように、川口駅周辺に抱かれていた、かつての鋳物や工場地、風俗街といったイメージは随分と薄れてきた。武蔵小杉だって元は工場地であったのだから、同様にこのまま新しいイメージが定着すれば、一層の新しい世帯の流入が見込めそうである。文化的な土壌が風化するのは寂しいものだが、現地としてはありがたいのかもしれない。 
 
JR京浜東北線
 
 一方では、やはり市民の足が気掛かりな所である。武蔵小杉駅が元来、私鉄と国鉄が交差するポイントであったのに対し、川口駅は京浜東北線が停車するだけである。複線利用をできるできないという点で、大きく差を付けられてしまっている。埼京線や湘南新宿ラインなどを停められれば、広範囲な人の流れを作り出せると踏んだのだろうが、目星がつきそうな路線は先述した上野東京ラインである(あくまで可能性としてだが)。  
 
川口から繰り出す街が上野や東京、日本橋であるなら有効なのだが、多くの人が望むのは残念ながら新宿や池袋・渋谷であり、そのためには赤羽での乗り換えが必須である。住みやすい街の大賞選出理由として「新宿駅まで25分・池袋駅まで20分、東京・品川・上野・横浜にも乗り換えなしでアクセス可能」が挙げられているが、やはり今回2位になった「赤羽」のラインからは、一歩二歩と出遅れ感が否めない。  
 
いくらオートレースで財政に余力があるとはいえ、その資力を注ぎ込んで大きく開発されていく確約もなく、主要駅への直通も見込まれない……このままでは、川口駅が住みやすい街として大賞を取った「これ」という要因が見当たらずに消化不良が起きてしまいそうなので、改めてこの情報元に目を向けてみたい。
 
情報元から浮かぶ“邪推な考え”とは
 元をただすと、このランキングの発信元であるアルヒ株式会社は住宅専門のローン会社だ。住宅の購入を検討された方であれば、まず知らない人はいないくらいの認知度に成り上がっており、特にフラット35の取り扱い量の多さが業界トップの会社である。  
 
ローン会社の差別化は金利が勝負であるはずが、このゼロ金利の時代に於いては金利のみでの差別化は難しいのが現状。ではなぜここまで首位にあるのか?  それは、そもそも対象が「一般所得層」に絞ってあるという点であろう。取り扱いが多いということは、“客一人当たりの借入金額が高い”か、“単価は低くとも件数が多い”かであり、アルヒに関しては紛れもなく後者なのだ。 
 
 このことが良い悪いということではない。ローン会社として打たれた施策が時流にはまり、業績がうなぎ登りになっているだけのことで、経営が成功していると言えよう。ただ、フラット35という商品自体はあちこちで扱われているものであり、アルヒだけが持つ付加価値もあるということだ。そのひとつが“審査の緩さ”である。 
写真はイメージです
 
 
 借り入れ申し込みには、最初に「事前審査」を申し込まなければならない。「事前」とあるが、事実上は本審査と言えるもので、借入金額と最近の所得、勤務先や車のローン、その他クレジットで購入した物、加えてカードの保有数や利用履歴・自己履歴などが関与してくる。借入額から計算される年間の総返済額が、所得のX%以内に収まっていれば融資可能、超えていれば融資不可となるわけだ(厳密には異なるが簡素化して書けばほぼこの通り)。  
 
Xの基準は大手のほとんどが30%だが、ここがアルヒは35%、つまり“緩い”のだ。所得がある水準以下だったり、他に借り入れがあったりして、大手金融機関で断られた層を受け入れる懐の深い体制がここにはある。翻って、そんな彼らが、今回の住みやすい街大賞を打ち出すことで、自分たちのメインターゲットになりそうな層に対して、「何かを届けたかった」とは考えるのは邪推だろうか。  手の届きそうな手頃な価格の物件が多数存在する地域、そこが「本当に住みやすい街」として上位に来ていたらどうだろうか。検討する際に候補にすら入れなかった人たちでさえも、現実的な選択肢の一つとして残してくるのではないか。それを手助けする借入審査なら整っているのだから。  
 
どれだけの公平性を持ったアンケートだったかは不明だが、彼らが打ち出したアンケート結果では「川口」がトップに君臨したというのは、今後も事実として残るのだ。
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練炭自殺の現場にマンションを建てたらやっぱりヤバかった 大島てるが語る“あるオーナーの悲劇”――2019年 BEST5

2025年07月13日 00時03分29秒 | 不動産と住環境のこと
過去に文春オンラインで反響の大きかった記事ベスト5を発表します。社会部門の第2位は、こちら!(初公開日 2019年8月10日)。
 
練炭自殺の現場にマンションを建てたらやっぱりヤバかった 大島てるが語る“あるオーナーの悲劇”――2019年 BEST5
【写真】この記事の写真(5枚)をすべて見る
*  *  *
 
 私は平成17年(2005年)から、事故物件の情報提供サイト「 大島てる 」を運営しているのですが、こうした仕事をしていると、ときには事故物件のオーナーから「サイトでの掲載を取り下げろ」と強く抗議されることもあります。数年前、都内某所のあるマンションのオーナーからも、何度かそうした抗議がありました。しかし、その一件は後に予想もしていなかった結末を迎え、不幸な形で“解決”してしまうことになるのです――。(全2回の1回目/ #2 に続く) なぜ私は「大島てる」を立ち上げたのか?
 
 そもそも、私が「大島てる」を立ち上げたのは、不動産業において「告知義務」を果たさない業者が少なくないからでした。告知義務とは、宅建業法で定められた義務の一つで、借り主(買い主)にとって心理的瑕疵となる事項がその物件にある場合、貸し主(売り主)は必ずそれを事前に告知しなければならない、とされているものです。

  たとえば、前の入居者がそこで自殺していたり、あるいはその部屋が殺人事件の現場になっていたとしたら、業者は契約が成立する前に、必ずその旨を伝えなければなりません。しかし、なかにはそうした事実を隠して部屋を貸し出したり、売り出したりする酷い業者がいるのです。私が「大島てる」というサイトを作ったのも、そのような被害を防ぎたい、との思いからでした。そのため、たとえ事故物件のオーナーから抗議が来たとしても、掲載を取り下げることはまずありません。
有料駐車場で起きた練炭自殺
 
 しかし、今回ご紹介する都内某所の物件は、少々特殊な経緯を辿っていました。マンションが建設される前、そこには有料の駐車場があったのです。マンションを建てるつもりで土地を手にした所有者が、建設工事が始まるまでの間、そこを駐車場にして日銭を稼ぐ、といったことは特段珍しくはありません。むしろ、土地の有効活用の例としてはよくある話でしょう。ただ、そのオーナーが不運だったのは、土地を遊ばせまいと駐車場にして貸し出している間……そこに停められていた車の中で、練炭自殺が起きてしまったことでした。
 
 
私のサイトには、事故物件の所在地だけではなく、その外観写真も掲載されています。「ここがその事故物件である」ということを明示するため、スタッフと手分けして写真を撮っているのですが、その駐車場にはたまたま、私が直接足を運ぶことになりました。
 
 私は、サイトに掲載する事故物件の写真は、あえて晴れた日の明るい時間帯に撮るよう心がけています。しかし、そのときは情報を得てからすぐに現場に向かったものの、着いた頃にはもう夜になっていて、一応写真は撮りましたが、これは改めて撮り直さないといけないな、というような仕上がりでした。ただ、もう一度その駐車場を訪れる時間がなかなか作れず、ようやく再訪できたときには、そこにはもう、新しいマンションが建っていたのです。 マンションのオーナーから内容証明が届く
 
 先程も述べましたが、マンションを建てる前に、その土地を駐車場として貸し出しておく、というのはよくある話です。私も新しいマンションを見上げながら「それはそうだよな」と納得しましたが、それでも「この私有地で自殺があった」という事実は変わらないので、そのマンションの外観を撮影し、サイトに掲載したのです。

 すると後日、マンションのオーナーから「写真の掲載をやめてほしい」と抗議がありました。弁護士を通じて、「この新しいマンションで自殺があったと勘違いされてしまうではないか」という趣旨の内容証明が送られてきたのです。正直なところ、そのオーナーの言い分にもわかるところはありました。ただ、私としては、「直前にこの場所で自殺があった、そんな歴史を持つマンションである」ということを、入居を検討する人たちに伝えたかったわけです。だからこそ、抗議に応じて掲載をやめるわけにはいきませんでした。

  しかし、その後も相手側からのクレームは続きました。そのうちに「訴えるぞ」という強い抗議も届くようになりました。もしかしたら、今回は掲載を取り下げたほうがいいのではないか……。それは、そんな風に悩み始めた頃のことでした。何気なく点けていたテレビに突如、そのマンションの姿がパッと映ったのです。
 
 
今度は小さな子供が……
 
「あれ? このマンションは……」と思った瞬間、私はニュース番組に釘付けになりました。まさに抗議を受けていたそのマンションにおいて、小さな子供が突然心肺停止に陥り、そのまま帰らぬ人となった――。テレビは、そんな痛ましいニュースを伝えていました。

  駐車場時代の自殺から何年も経たないうちに、まったく同じ場所で、2人目の死者が出てしまった……。報道によると、後に司法解剖を行っても、その子の死因は不明に終わったそうです。それ以降、オーナーからの抗議はピタリと止まりました。
 事故物件がまったくないエリアで、なぜか連鎖した「死」
 
 この一件で不思議なのは、そのマンションの周りには、こうした事故物件がまったくない、ということです。周辺に事故物件が一切ないのに、その土地、その座標では、時を置かずに2人も死者が出てしまった。このことをどう解釈すればよいのか……私にはわかりません。

 しかし、2回であれば、それは単なる偶然として片付けることも可能かもしれません。ただ、これが3回、4回と続いていくと、そこには“何かがある”と言わざるを得ません。

  次は、私が「事故物件の聖地」と呼んでいるアパートをご紹介しましょう。それは今回取り上げたマンションから直線距離でおよそ10キロメートル、川を挟んでちょうど反対側に位置する3階建ての住宅です。そこでは全く違う死に方で、4人もの人が――。
 
 
 
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渋谷の東急本店、55年の歴史に幕…閉じられたシャッターに多くの拍手

2025年03月26日 03時03分35秒 | 不動産と住環境のこと
>確かに、あそこは学生の頃から通路として通過する場所で、東急本店には何十年といってなかったですね。
 
 
 
しかし、この店がなくなるとJR山手線と井の頭線の連絡通路は、どうなるのでしょうか? 道理で渋谷駅の大改築が進んでいるわけです。
 
渋谷の東急本店、55年の歴史に幕…閉じられたシャッターに多くの拍手
 
1/31(火) 19:57配信2023
 
3コメント3件
最後の営業を終えた東急百貨店本店(31日午後7時8分、東京都渋谷区で)=木田諒一朗撮影
 
 東京・渋谷の東急百貨店本店が31日に閉店し、55年の歴史に幕を下ろした。 
 
 
閉店した東急百貨店本店。跡地には高級ホテルや商業施設が入る複合施設が建設される(31日、東京都渋谷区で)
 
 最終営業日のこの日、店内は多くの買い物客でにぎわった。50年以上通ったという渋谷区の女性(76)は「食料品から洋服、雑貨まで全てここでそろえてきた。自分の家がなくなるような気分でとても寂しい」と話した。
 
 
 午後7時過ぎ、稲葉満宏店長(58)が「長い間支えてくださった皆様、本当にありがとうございました」とあいさつし、正面口のシャッターが閉まると、集まった大勢の客から拍手が送られた。店の跡地には、東急などによる再開発でホテルや賃貸住宅を含む地上36階・地下4階建ての複合ビルが2027年度に完成予定となっている。
 
 
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虚偽説明、管理費踏み倒し…憧れの会員制リゾートクラブがまぎれもない「負動産」になってしまった“残念すぎる理由”

2025年03月26日 00時03分57秒 | 不動産と住環境のこと

 

 

虚偽説明、管理費踏み倒し…憧れの会員制リゾートクラブがまぎれもない「負動産」になってしまった“残念すぎる理由”〈1250もの区分所有権を売り出し〉(文春オンライン) - Yahoo!ニュース

https://news.yahoo.co.jp/articles/57f96228c56448334d61209e90373b6d4f3b6db6

 

 

虚偽説明、管理費踏み倒し…憧れの会員制リゾートクラブがまぎれもない「負動産」になってしまった“残念すぎる理由”〈1250もの区分所有権を売り出し〉
3/15(土) 6:12配信

 

 


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文春オンライン
 電気、水道といった施設の利用に必要なインフラが止められ、他者の権利に阻まれて解体もできなければ売却もかなわない……。「負動産」状態になってしまっているリゾートマンションや会員制リゾートがいまや少なくない。

【画像】廃墟化してしまった、かつてのリゾート「エクストラクラブ岩原」の現在の様子

 はたして、一世を風靡した数々の物件はなぜ無用の長物になってしまったのか。ここでは、不動産の調査を続けるライターの吉川祐介氏による『 バブルリゾートの現在地 区分所有という迷宮 』(角川新書)の一部を抜粋し、1250もの区分所有権を売り出していたエクストラクラブ岩原について紹介する。(全2回の1回目/ 続き を読む)

◆◆◆

ある会員制リゾートクラブの会員権の販売手法
エクストラクラブ苗場。建物裏はガラスが破損している箇所もある

 新潟県長岡市に本社を置き、いわゆるラブホテルなどの経営を行っていた「協和観業株式会社」が、1980年代半ば頃から新潟県湯沢町において運営していた会員制リゾートクラブが「エクストラクラブ」だった。現役時は3か所の施設を運営していたが、すべて湯沢町内に存在していた。

 1号店となる「エクストラクラブ湯沢」は、独立した施設ではなく、85年10月に新築された「ライオンズマンション越後湯沢」の9階のワンフロアをすべて協和観業が取得し、200口に分割した共有持分として販売することでクラブの運営を行っていた。

 その後86年、苗場エリアにあった三国小学校浅貝(あさかい)分校(閉校)の隣に5階建ての専用施設「エクストラクラブ苗場」をオープン。

 そして同社の真打ちの施設となる、地下1階地上14階建ての「エクストラクラブ岩原(いわっぱら)」が88年に完成し、それぞれの施設の会員(共有持分者)が、相互にその3施設を利用できるシステムだった。

 同じ町内に三か所もの施設を構えたのは、前章で解説した通り、当時の湯沢町は苗場を中心に大変なスキーブームで、恒常的に宿泊施設が不足していたからであろう。

 協和観業が進出した時点で、すでに湯沢町内にはいくつかの会員制リゾートが存在していたが、マンションの建設ラッシュが続く湯沢町において、マンションの1室を購入できるほどの資金力を持たない層をターゲットに事業を拡大していたことは間違いない

 協和観業は、会員権の販売手法も、また運営もトラブル続きの問題企業であった。そもそも1店目である「エクストラクラブ湯沢」が置かれたライオンズマンション越後湯沢の9階は13室あるのだが、各部屋はそれぞれ区分所有登記が行われておらず、協和観業は9階部分のワンフロアを丸ごとを200口に分割して販売していた。

 会員制リゾートの会員は、自分が共有持分を所有している部屋しか使用できないわけではなく、予約時の状況に応じて施設のいずれかの部屋が割り振られる。

 そのため、ワンフロアを200口に分割して登記していたとしても、施設の運営に直ちに影響が出るわけではなく、問題は表面化しないかもしれない。

建物一棟全120室を1250口に分割して販売
 しかし建前上は、その共有持分登記は会員の入会金などの担保になるものなので、他のリゾート会員施設では各居室にそれぞれ10〜20人単位で共有持分登記を行うのが一般的だ。

 苗場、岩原で新築された2施設についても、苗場は全32室を320口、岩原は全120室を1250口に分割して共有持分登記が行われている。ちなみに第一次会員の販売価格は一口303万円である。

 建物1棟全体を会員全員の名義で共有する手法は、エクストラクラブに限った話ではないだが、1200人を超える見ず知らずの赤の他人と共有している、自分がどの部屋の権利を有しているかも明確ではない状態の「所有権」に、果たして数百万円の担保価値があると言えるのか。

 もちろんそれは、結果を知っている今だからこそ言える話なのかもしれないが、このエクストラクラブの新築時点で、不動産共有型のリゾート会員権には同様の懸念が持たれていたのも事実なのだ。

 会員権購入者からの批判の高まりを受けて通産省がリゾートクラブ業界の実態に関する報告書を公開したのは、エクストラクラブ湯沢の開業からわずか9か月後のことである。

 同社のパンフレットでは「元金は不動産として保証されます」などと断定しているが、多くの施設において、その謳い文句通りになっていなかったからこそ、運営会社と会員の間で紛争が頻発していたのだ。

 前述の東京弁護士会のパンフレットにおいても、セールスの謳い文句通りの売却価格が一切保証されていない事例が数多く掲載されている。

管理費や修繕積立金を20年以上払わなかった運営会社
 また協和観業は、およそ企業としての責任感も持ちあわせていない会社であった。

 前述のように「エクストラクラブ湯沢」は、一般の分譲リゾートマンションであるライオンズマンション越後湯沢の9階のワンフロアを丸ごと自社の会員施設として運用しており、全13室中12室は自社名義で区分所有権を取得・所有していた。当然区分所有者としてマンションの管理費や修繕積立金を支払う義務があった。

 ところが同社が管理費等を支払っていたのは新築からおよそ半年間ほどの期間だけである。施設の運営は、管理費を滞納しながら継続していた。おそらく最初からまともに費用を支払う気などなかったのだろう。

 あきれたことにその後同社は20年以上にわたって管理費を滞納し続けた。

 

 

 最終的にその滞納額は億単位に膨れ上がり、2019年、地元の管理会社が競売を申し立て、協和観業、および901号室にまだ残されていた会員の共有持分を差し押さえた。その後改装が施され、現在ライオンズマンション越後湯沢の9階部分は、地元企業が運営する民泊施設として運用されている。

会員の承諾を得ずに一般宿泊客を受け入れ
 最後に完成したエクストラクラブ岩原は、1〜3階部分に喫茶店やボウリング場、テニスコートなどの共有設備を備えており(商業施設の区分は協和観業が単独で所有)、会員用の施設としてだけではなく、一般の宿泊施設(ホテルエクストラ)として宿泊客の受け入れも行っていた。

 しかしこれも信じがたい話であるが、同社が区分所有権の販促用に発行していたパンフレットのどこを見ても、一般客を受け入れる宿泊施設として運用するなどという記載はない。それどころか広告内には「限定オーナー制」との文言があり、あたかもオーナーしか利用できないかのような(というより、そうとしか読み取ることができない)記載がある。

 会員制リゾートとして運用する一方、一般の宿泊客も別料金で受け入れている施設はあるが(例えば東急ハーヴェストクラブの一部施設も非会員の利用が可能)、共有持分であれ当然部屋の所有者の承諾が必要になるものであるし、クラブによっては部屋の権利を有する会員に対し、ホテルの収益の一部を分配するところもある。

 協和観業はそうした会員へのリターンを行った形跡もなく、そもそもホテルとしての運用自体、会員すべての承諾を得て行われていたものですらなく、あまつさえ、より高額の宿泊料を取れる(会員向けの割引価格が適用されない)一般客の予約を優先するあまり、会員の方が逆に予約を断られるという本末転倒の有様だった。

虚偽だった「未利用宿泊券買上げシステム」
 エクストラクラブの会員には、年間に、夏季利用券と冬季利用券がそれぞれ10枚ずつ、つまり年20泊分の宿泊券が送付されていたが、協和観業はこの宿泊券の未利用分について、1枚8500〜1万円で買い上げるので、エクストラクラブの会員権は「財テク」としても有効であると謳われていた。

 パンフレットにはご丁寧にも、利用券買い上げシステムの財源確保の手段まで記載しているが、それを読む限り会員が宿泊時に支払う施設利用料(ルームチャージ1室3000円、一人1泊1000円)を、未利用宿泊券の買い上げ資金に充当するという。

 本来、施設の維持管理に充てられるべきルームチャージを、換金性の低い宿泊券(運営会社自身が引き取るのならなおのこと換金性がない)の買い上げに回していたら、施設の維持管理費用はどこから捻出するのか。

 

 会員は年会費を支払っているが、それだけでは到底施設の修繕や管理・スタッフの人件費などまかなえるものではない。

 僕のYouTube チャンネルでこのエクストラクラブを扱ったのち、エクストラクラブの元会員であるという視聴者の方から連絡をいただいた。

 その方によれば、結局この利用券買い上げシステムなるものは実際には一切機能しておらず、未利用の宿泊券が買い上げられることは一度もなかったという。パンフレットの記載は完全に虚偽であった。

リゾートクラブ存続中に宅建業免許を失っていた
 万事がこんな有様なので、ほとんど詐欺のような話であり、そのため協和観業は常に顧客とのトラブルが絶えなかったようである。

 協和観業は、管理費すらも踏み倒したことからもわかるように、積極的な情報公開やアフターフォローを行うような体質の企業ではなく、僕に連絡をくれた元会員の方は、裁判によって共有持分の買戻しに応じさせたと振り返っている。

 協和観業が所有していた長岡市内の自社ビルは、94年の時点で売却済みで、以降はそのビルに賃借人として入居して営業を続けていた模様だが、協和観業のグループ会社であり、エクストラクラブの会員権販売を手掛けていた「エクストラ販売」は95年には宅建業者としての業務を休止して、95年4月28日付の官報の宅地建物取引業保証協会弁済業務保証金(宅建業法により宅建業開業時に法務局への供託が義務付けられている営業保証金)取りもどし公告に、エクストラ販売の名前が記載されている。

 協和観業、エクストラ販売はともに登記上は今なお存続しているが、宅地建物取引業免許は、まだエクストラクラブが現役だった時点で失っていることになる。

 当時新聞に出されていた広告などの資料を見ると、協和観業は90年代以降、湯沢町だけではなく千葉県の旧大原町(現・いすみ市)にも同様の施設の建築を計画していたらしい。

 今でも同市内には、協和観業名義の開発用地や開発許可申請の記録が残されたままだが、施設そのものの建築は実現されることなく、進入路の舗装と擁壁工事のみが行われた状態で放置されている。

 バブル崩壊後の90年代以降の協和観業は、会員制リゾートクラブの運営はほぼ停滞状態で、裏で複数の訴訟を抱えつつ、岩原の施設を使用したホテル経営を細々と続けていたようである。

写真=吉川祐介 

 〈写真あり〉「小さな投資で大きく楽しめる会員制別荘」はいまや“有名心霊スポット”に…なぜそんな惨劇が起こってしまったのか  へ続く

 

 

 

 

 

 

 

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怪しいビジネス? 売却も国庫帰属もできない不動産を処分できる「有料引取サービス」の実態

2025年03月07日 20時03分17秒 | 不動産と住環境のこと

 

 

怪しいビジネス? 売却も国庫帰属もできない不動産を処分できる「有料引取サービス」の実態(MONEY PLUS) - Yahoo!ニュース

 

https://news.yahoo.co.jp/articles/60a4c0f4e372b13917c2c50f4be145358eb89f95

怪しいビジネス? 売却も国庫帰属もできない不動産を処分できる「有料引取サービス」の実態
3/6(木) 7:31配信

 


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MONEY PLUS
イメージ画像(PIXTA)

日本各地で、使われなくなった不動産が増加しています。これらの不動産は、所有者にとって負担となり、手放したくても売却が難しいケースが多々あります。そんな中、資産価値が低く、なかなか買い手がつかずに困っている不動産を有料で引き取る「不動産有料引取サービス」が注目を集めています。

【画像】不動産引取サービスとは

一方で、一般的な不動産仲介サービス等と異なり、法規制が及ばない部分があることや、怪しい事業者も散見されるということで、国も注視すべきサービスの一つとして公表しています。

本記事では、要らない不動産が生まれた背景から、不動産有料引取サービスの実態や利用時の注意点までを詳しく解説します。

要らない不動産が生まれた背景
少子高齢化と人口減少により、地方の空き家や山林、農地といった未利用地が増加し、需要と供給のバランスが崩れています。そして、これらの不動産の多くは相続をきっかけに所有しているケースが多く、所有者にとっては必要のない不動産として、望まない所有になっていることが少なくありません。特に、遠方に住む相続人にとっては、利活用や管理が難しいことも相まって、何もせず放置される傾向にあります。

一方、未利用だからといって、草刈りなどの維持管理や固定資産税が不要になるわけではなく、さまざまな支出を伴います。そのため、”資産”であるはずの不動産が”負債”と化し、「負動産」と呼ばれることもあるほどです。

また、バブル崩壊以降、地方不動産の価格の下落や需要の変化により、売却が難しい物件が増えている側面もあります。特に、交通の便が悪い地域や過疎地の不動産は、買い手がつかず、所有者が手放せない状況が続いています。

要らない不動産を処分する方法は
要らない不動産を処分するための最も一般的な方法は、地元の不動産会社などに依頼して、不動産を売却することです。しかし、前述の通り、需要の低い地域や条件の悪い物件は、買い手が見つからないことが多いため、必ずしも容易に売却処分できるとは限りません。そのため、依頼を受ける不動産会社側にとっても、市街地の不動産に比べ売却までに時間や手間を要すこと、それに対して期待できる手数料収入などが見合わないことから、相談にすら乗ってもらえないケースも散見されます。

そんな中、2023年に「相続土地国庫帰属制度」が施行されました。この制度は、所有者不明となっている土地を抑制する目的で創設され、相続によって取得した土地のうち、一定の条件を満たす土地は国に有料で引き取ってもらうことが可能になりました。かかる費用は20万円~と決して安くはないものの、所有経費がかさんでいき、いずれは自分の子や孫などに押し付けてしまうことを避ける手段として期待されています。

しかし、申請書類が多く煩雑で、審査期間も半年~1年程度と時間を要すうえ、建物のある土地(空き家)や境界が定かでない土地は引き取りの対象外とされているなど、審査の結果引き取ってもらえないケースも多く、誰もが気軽に利用できる制度とはいえない側面もあります。

そこで、近年注目されているのが、不動産有料引取サービスです。これは、所有者がサービス事業者に対して一定の費用を支払うことで、不動産を引き取るサービスを提供しており、その仕組みは国の制度と同様です。

 

不動産有料引取業者の特徴と魅力
不動産有料引取サービスの特徴は、処分するまでの手続きが簡単であるという点です。国の制度と比べても、引取条件が緩く、一部の農地を除いて、どんな不動産でも引き取ってもらえます。また、ほとんどの場合は最低限の資料を提供すれば、サービス事業者が自ら物件調査などを行い、契約に向けサポートしてもらうことができます。例えば、境界や場所すらも不明な山林や、傷みが著しく進行している空き家などでも引き取ってもらうこともできるため、遠方在住や高齢といった事情で処分にあたっての準備や整備に十分な時間を割けない所有者にとっても、気軽に利用できる点が魅力です。

不動産有料引取業者は怪しいビジネス?
不動産引取サービスの注意点

不動産引取サービスは、要らない不動産の処分に困った所有者にとって、非常に魅力的なサービスですが、一方で注意すべき点もあります。

以前より国民生活センターにおいて警鐘を鳴らしているほか、国土交通省においても、2025年2月14日に開催された不動産部会において、不動産引取サービスは多くの所有者にとって魅力的なサービスであり大きな期待を寄せている一方、注意点についても部会報告とともに公表されました。

注意点をまとめると、以下の3点が挙げられます。

①取引の安全性
サービス事業者の中には、不動産取引の経験や知識の少ない個人の弱みにつけこんで、しつこく契約を迫る営業手法を取ったり、契約前に名目不明な前金や契約後に説明のなかった追加費用を請求したりと、取引の安全性が脅かされるケースがあります。

そのため、不動産引取サービスを利用するうえでは、
・契約締結前までに、業者から費用や引取条件等の明確な提示と説明があること
・原則として、契約不適合責任が免責であること
・引取料金の支払が、所有権移転登記申請時以降であること(前金の支払がないこと)
といった点を慎重に確認することが重要といえるでしょう。

②不動産の適正価格での取引機会を確保すること
前述のように、サービス事業者の中には、契約を取るために、本来は資産価値がある不動産に対しても資産価値がないことを強調して、不動産所有者にとって有益な取引機会を奪ってしまう場面が生じるリスクがあります。

そのため、豊富な不動産知識に基づいて、消費者目線で客観的なサポートが期待できるかを見極めることが重要といえます。

③引取後の不動産の適正な管理を確保すること
不動産引取サービスで処分できた所有者にとっては、所有者名義がサービス事業者に移転した以上、その不動産の管理責任からも解放され、その後にトラブル等に巻き込まれる可能性は低いことになります。

しかし、その不動産の近隣所有者にとっては、サービス事業者が適正な管理をしないことで、例えば草木が伸び放題になったことで害虫や日照障害、倒木などの影響を被る可能性があります。実際に、サービス事業者の中には引き取った後に何もせず、近隣苦情等にも対応しない事業者もあるという噂もあり、最悪の場合は処分したはずの所有者に対して「新所有者が管理をしてくれないから、なんとか言ってくれ」といった苦情を受け、間に挟まれてしまうリスクも否めません。

その意味で、一つの目安として

- 引取後の管理や売却等の方針について、ホームページ等で提示すること
- 引取後の不動産の管理について、近隣からの苦情等があれば適切に対応し、放置しないこと
- 営業実態のある事務所住所、連絡先を、ホームページや郵送物等を用いて公表していること

といった点を確認することが重要といえるでしょう。

ちなみに、サービス事業者が引き取った後に、その不動産をどうしているかは各社方針がまちまちですが、自社でキャンプ場や宿泊施設に整備をして利活用をしているケースやソロキャンプ用地、DIY、家庭菜園といった利用目的の一般個人に転売しているケースなど、所有中の維持管理は当然として、遊休状態からの脱却を積極的に図っている事業者も多数あります。

これらの不動産引取サービスについては、宅建業法等では規制対象外であるという法律面の現状もあり、現在は引取サービス事業者同士で自主規制を図り、安全な取引環境を目指す取り組みも進んでいます。

 

信頼できる事業者を探すことが重要
使い道のない不動産を持ち続けることは、精神的にも経済的にも大きな負担となります。手放す手段として、不動産引取サービスの活用は有効ですが、事業者選びには十分な注意が必要です。

 

以下はリンクで、

 

 

 

 

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