コノ世が不自由だった分、アノ世の楽しさは増す

先日、日本で最高齢の、最も飼育期間が長かったゾウがコノ世を去りました。
戦後の日本の民衆を、鑑賞されるゾウの立場から、逆に見つめ続けていたゾウでした。
見るモノと、見られるモノ。
ゾウは、何を感じていたのでしょうか？
日本のことを好いていてくれたのでしょうか？

かなり気性が荒い面も有ったということは、それだけ、ウンザリするような、腹立たしいような、悲しいことも多々有ったことでしょう。
でも、老いたこのゾウには、辛い時、悲しいことが有った時、寂しい時に、わざわざ会いに来る人が途切れなかったようです。

子供よりも、よい大人のファンがこの長老のゾウには多かった感じです。
このゾウは半世紀以上も動物園にいて、自分が傷付いたからこそ、辛かったからこそ、辛く悲しい人々のことが手に取るように分かっていたことを感じます。

そして、このゾウに話し掛けに通った大人たちは皆、癒やされていきました。
だから、ある女性のインタビューでは、昭和時代から何十回も辛い時はゾウに会いに来たと仰っていました。
毎回、悩みをゾウに話しかける間に気持ちが落ち着き、帰る時には元気を貰っていたとのことです。

生き物の種類を問わず、同じ経験をしたモノ同士には、同調現象が霊的に起こったと言えます。
ゾウは本来が神聖な動物（インドでは神様の化身とされます）ですから、日本人は知らずに神様に愚痴や悩み事を聞いて頂いていたとも言えます。

痛みを知るモノ同士だからこそ、通じ合えることが有ります。
まさに戦後の弱った日本を、元気付けるために神様に派遣されたと言えます。
このゾウを日本にプレゼントしてくれた外国人の実業家の御方も、
「戦争で悲しい思いを一杯した日本人を元気付けるため」
という趣旨を残されています。

近年には、半世紀以上も一頭だけで狭い飼育場に置くことは、動物虐待だという非難と改善を求める署名運動が、他国から起こっていたようです。
でも、歯が１本しか無いゾウを大自然に返しましても、果たして何週間生きられるのでしょうか？

大自然の中では、これほど長生きが出来なかったのは確かです。
しかし、短命でも自由が良かったのか？
多くの人々を癒やしながら、食料と安全が保証された、自由の無い窮屈な生活が良かったのか？

これの答えは無いです。
ゾウの思い出を受け取る人々ごとに、その善悪は変わります。
でも、ゾウに対して、
「本当に長い間、ありがとう御座います」
と感謝を送る日本人が多いことは確かなのです。

多くの人間から感謝された生き物は、崇高な存在として天高く昇ったのは間違いないです。
アノ世で、大いに自由を満喫することでしょう。
コノ世を自由のままに去ったゾウよりも、その自由度と楽しさが倍増するのは確実なのです。

だから、今が辛い人も大丈夫です。
コノ世を何とか最後まで自殺せずに生き切れば、コノ世が辛かった分、より大きな幸福感を体験することに成ります。
これも良い意味での自業自得が貫徹します。コノ世とアノ世で完全なバランスが図られます。

ゾウの「はな子」さん、長い間ほんとうにご苦労様でした。そして、ありがとう御座いました。


（カレンダーの印の意味は「５月の自然観察日」）

※　5月30日、31日。防災意識で静観。
地球上空の磁界の乱れに注意します。

生かして頂いて　有り難う御座います

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