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「年齢を重ねると疲れやすくなる」は迷信か。動き続けることが人に与える効果  202206

2022-06-24 01:16:00 | 健康関連
「年齢を重ねると疲れやすくなる」は迷信か。動き続けることが人に与える効果
  NewRoad  より 220624


 有史以前、人類は平均20~30年ほどしか生きられなかったということは、ほぼ通説のようになっている。しかし、2018年に発表されたある研究(*1)はそれに異を唱えた。
 狩猟採集社会においても、70代まで生きる人々は珍しい存在ではなかったというのだ。

*1. Life Expectancy in Hunter-Gatherers. 

 医療技術も薬もなかったであろうことを考えると、我々の祖先は以前に考えられていたよりずっと健康で長生きだったようだ。そのことに着目したハーバード大のダニエル・E・リーバーマン教授らは、2021年11月にある研究結果を発表した(*2)。それによると、現代の我々が健康寿命を保つためのカギは、狩猟採集社会の人々が長生きできた理由と共通しているという。
 論文著者らは、それを「活動的な祖父母の仮説」(The active grandparent hypothesis)と呼んでいる。

*2. The active grandparent hypothesis: Physical activity and the evolution of extended human healthspans and lifespans.


⚫︎「運動は健康に良い」の真理
 リーバーマン教授らが展開する理論自体は、決して目新しいものではない。一言で言えば、身体的活動が長寿に役立つというものだ。身体的活動とは、狩猟採集社会なら獲物を追って歩いたり、採集した水や食べ物を運んだりすることを指す。現代の我々にとっては通勤や家事、もちろん運動もそれに当たる。

 身体的活動によって、人間の身体は進化する。血流が促進され、体脂肪が減り、体内の炎症を抑える。狩猟採集社会の人々にとって生きることは動き続けることと同義であり、だからこそ長く生きることができた。そして、継続的な身体的活動は、現代の我々にも等しい恩恵を与えてくれるというのだ。論文では、次のように結論づけている。

「結果として、日常的な身体的活動は人間が健康を保っていられる期間を長くすることに役立つ。身体的活動量が減ることによって、人間は疾病リスクを高め、寿命を短くする」

⚫︎転がる石のように走り続けるランナーたち
 想像するに、狩猟採集社会の人々は死ぬまで歩き回っていたのだろう。年代によって、身体的活動量が大きく変化することはなかったはずだ。
 それに対し、現代の我々は加齢に伴い、日々の身体的活動は強度も頻度も低くなっていくことが一般的である。人は高齢になると体力や回復力が落ちるので、若い頃より休みを取るべきだとする考えは受け入れられやすいからだ。

 しかし、加齢によって体力が落ちるのであれば、むしろ年齢を重ねるほど運動量を増やすべきではないだろうか。そして、どうやら人間の身体は、それを可能にする仕組みを備えているらしいのである。

 セントラル・フロリダ大学のジョセフ・ゴードン氏らが中心となった研究(*3)では、若い男性グループ(平均年齢21.8歳)と中高年グループ(平均年齢47歳)との間で、同じ強度の運動を行った後の回復スピードに有意な差異が発生しなかったとしている。

*3. Comparisons in the Recovery Response From Resistance Exercise Between Young and Middle-Aged Men.

 この研究の結論では、年齢と回復力の間に相関性はない。もし以前より疲れやすくなったと感じるならば、それは加齢ではなく単に運動不足のせいかもしれないのだ。

 このように筆者が推測するのには、他にも理由がある。世の中には何十年にも及ぶ長い期間、文字通り毎日走り続けるランナーが存在するからだ。それも、狩猟採集社会の人々とは違って生命を維持するためではない。誰から頼まれたわけでもなく、自分の意志で日々走る人たちである。

『United States Running Streak Association』というウェブサイトには、1日最低1マイル(約1.6キロ)以上のランニングを欠かすことなく続けているランナーをランキングしている。そのトップに君臨するジョン・スザーランド氏(71歳)が走り始めたのは、1969年5月26日のことでだ。
 筆者が確認した時点では連続19,350日(52.98年)。本記事が公開される頃には、53年に到達するのではないだろうか。

 さらに幸いなことに、スピードや瞬発力に比べて、持久力や耐久力はあまり加齢の影響を受けないようである。カリフォルニア州立大学デービス校のジェラルド・スタンリー・ザヴォルスキー博士らが中心となって行った研究(*4)では、2001〜2016年に開催されたボストン、ニューヨーク、シカゴの3大マラソン参加者の年代別中央値を解析した。
 それによると、20歳代から40歳代までの範囲で平均完走タイムはほぼ横ばい(男性は4時間10分台)に推移し、加齢による記録の低下が始まるのはようやく50歳を過ぎた頃となっている。

*4. Declines in marathon performance: Sex differences in elite and recreational athletes.

 50歳を過ぎてからの下降もさほど急激なものではない。男性50~54歳で4時間23分になった平均完走タイムが、60歳以上で34分(約11%)遅い4時間57分になるだけである。
 この数字はあくまで平均値であり、個人によっては50代・60代以上になっても自己最高記録を更新し続けるランナーもいる。

 ことわざに「転がる石には苔が生えない」というものがある。これには「一箇所に落ち着かない人間は成功できない」という否定的な意味と、「動き続ける人は若さや能力を失わない」という肯定的な意味があるそうだが、筆者はもちろん後者の解釈を支持している。
 今回取り上げた各研究結果は、まさにこれを納得させてくれるものではないだろうか。

[筆者プロフィール]角谷剛(かくたに・ごう)
アメリカ・カリフォルニア在住。米国公認ストレングス・コンディショニング・スペシャリスト(CSCS)、CrossFit Level 1 公認トレーナーの資格を持つほか、現在はカリフォルニア州内の2つの高校で陸上長距離走部の監督と野球部コーチを務める。


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