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🏆日本人が18年連続受賞のイグ・ノーベル賞! 今年の受賞研究をサイエンスの視点で深掘り! 202410

2024-10-07 23:16:00 | 気になる モノ・コト

日本人が18年連続受賞のイグ・ノーベル賞! 今年の受賞研究をサイエンスの視点で深掘り!
  EduA より 241007  安原和貴


 さあみなさん、毎年恒例のあの授賞式の時期がやってまいりました! 「人々を笑わせ、考えさせる」研究と聞けばもうお分かりでしょうか。
 そうです! イグ・ノーベル賞です。
今年の受賞研究もまあおもしろい! 日本人が18年連続で受賞したことでも話題になりました。大人も子どもも楽しめる、そんな王道のテーマを、サイエンスの観点で深掘りしましょう。

⚫︎生理学、人口統計学、確率学のおもしろ研究
 私は普段、プラスティーという学習塾で小・中・高校生に探究の授業をしています。授業の中でさまざまなテーマを扱うのですが、その中で毎年、学年関係なく例外なく盛り上がる話題があります。それが「イグ・ノーベル賞」です。

 それもそのはず。子どもたちの多くは「大人の研究は難しいもの」という固定観念を持っています。そんな固定観念を覆してしまうインパクトがイグ・ノーベル賞にはあるのです。

 2024年のイグ・ノーベル賞では、日本人研究者が「おしり呼吸」の研究で生理学賞を受賞しました。受賞したのは、東京医科歯科大・大阪大の武部貴則教授(再生医学)らのチームです。

 おしり呼吸と聞くと、一見ふざけた研究のようにも思えますが、いたって真面目な研究です。この研究では、ブタなどの哺乳類が肛門(こうもん)から酸素を吸収する「おしり呼吸」ができることを発表しました。

 もともとドジョウのような魚類が腸呼吸を行うことが知られていましたが、それをヒントにマウスやブタに酸素を含んだ液体やガスを注入し、腸から酸素を取り込めることを確認したのです。

 この研究は、大人よりもむしろ中高生の方が驚きを感じるかもしれません。中学生の理科の教科書では「哺乳類の呼吸は肺で行う」と記載されています。
 多くの人が、肺以外の器官で呼吸ができるなんて考えたことすらないことでしょう。
おしりから呼吸ができるなんて、まさに固定観念を壊してくれます。
実際にこの発見によって、今後、呼吸不全の治療の新たな可能性が期待されています。

 さて、今年は他の受賞研究も見逃せません。私がおもしろいと思ったのが人口統計学賞の「長寿で有名な人の多くが出生と死亡の記録がいい加減な場所に住んでいたこと」の発見です。

 米国では、110歳以上として届け出られている人の数が、出生証明書の提出が導入された後、7割以上も減ったといいます。
 これは、世界の長寿記録の中には、誤りや不正によるものが多くある可能性を示唆しています。年齢をごまかすことができたら、年金などの不正受給もできてしまいますものね。

 確率賞も興味深いです。「コイントスをする際に上を向いている面が投げたあとも上になる確率がわずかに高いこと」を研究したチームが受賞しました。
 48人が46種類の通貨を35万757回(!)投げて検証したところ、同じ面が出る確率はおよそ51%だったそうです。つまり、最初の向きのまま出る確率の方が少し高いのです。
 今後、コイントスで何かを決める際には、上向きの面を隠しておかないとけんかが起きてしまうかもしれません(笑)。

⚫︎クロマトグラフィーを実験してみよう
 せっかくですので,もう一つ。中高生の読者に紹介したいのが,なんといっても化学賞を受賞した「酔っ払ったミミズとしらふのミミズをクロマトグラフィーで分離する」研究です。
 これだけ聞くと、「ミミズを酔っ払わせるなんてやっぱりふざけている」と思うでしょう。でも先ほど同様、こちらも深掘りしてみるととても学びがいがあります。

 研究の中身はこんな感じ。ミミズをエタノール(お酒の主成分)入りの水に入れると、酔っ払って動きが鈍くなります。一方、しらふのミミズは元気なので、丸まったり、結び目を作ったりします。
 そんな2種類のミミズを、水とともに、障害物の柱が大量にある部屋に流します。すると、酔っ払ったミミズより、しらふのミミズの方が早く流れたといいます。

 要するに、しらふのミミズは丸まっているので、柱に引っかかりにくかった。障害物の中を流れるスピードによって、酔っているかどうかを見分けることができるのです。着眼点がいいですよね。

 ところで、「クロマトグラフィー」という言葉はなじみがない方も多いのではないでしょうか。これを機に中高生のみなさんに「クロマトグラフィー」という言葉だけでなく、原理まで覚えてもらいたいと思います。

 クロマトグラフィーは、物質中での移動速度の違いを利用して、混合物をその成分ごとに分離するための操作で、化学や生物学の実験で広く使われています。先ほどのミミズの実験も「流れるスピード」で分けていましたよね。
 紙を使ったペーパークロマトグラフィー、ガスを使ったガスクロマトグラフィーなど、さまざまな種類があります。

 特に、高校の化学では、ペーパークロマトグラフィーが登場します。上記の説明だけだと実感が持ちにくいかもしれませんが、クロマトグラフィーを正確に理解するため、家で簡単にできるオススメの実験があります。
 簡単に紹介しましょう。

 まずサインペンを用意します。このとき、油性ではなく水性のものを使うのがポイントです。加えて、「水を吸い込みやすい紙(コーヒーのペーパーフィルターなど)」「割りばし」「プラスチックのコップ」も用意します。それらを用意したら以下の手順で実験を進めます。

① コップの中に水を入れる
② 長方形に切った紙の一部にサインペンで印をつける
③ 割り箸で先ほどの紙を挟んだ後、コップの中につるし、紙の端を水につける
④ 水が上まで染みていくのを待つ

 基本的には準備ができたら待つだけでOKです。紙の端に水をつけると、水は上まで染みて上がっていきます。これを毛細管現象と呼びます。
 すると、あら不思議。水が染みるのと同時に、黒一色だったサインペンの色が分かれていくのです。これがまさにペーパークロマトグラフィーそのものです。

 では、なぜこのような現象が起こるのでしょうか。
そもそもインクに色をつけているのは色素という分子です。その分子は種類によって、「紙と仲が良い(ろ紙に対する吸着力が強い)もの」もあれば、「水と仲が良い(ろ紙に対する吸着力が弱い)もの」もあります。その仲の良さの違いによって、色が分かれていくのです。
 インクに含まれる色素の種類によって実験結果が変わるので、別のペンで試せばまた違った結果が得られます。

 さらにおもしろいのがこの実験、黒が様々な色が混ざってできていることを学ぶことができます。「黒」だと思っていた色がカラフルに分かれていく様子をぜひ一度は生で見てみることをおすすめします!(下図参照) 興味がある方は、「色の3原色」というキーワードでぜひ追加で調べてみてください。

 今回のお話はここまでです。今年のイグ・ノーベル賞も固定観念を覆すきっかけを与えてくれる研究ばかりでした。
中高生のみなさんは、これをきっかけに世の中にはどんな「研究」があるのか、どのように「研究」をしていくのか、調べてみてもよいかもしれません。きっと、新たな発見が待っていますよ。

(プラスティー教育研究所執行役員、理科科主任/安原和貴)

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