いなば路快速の日記帳

鉄道ファンの管理人が日々の出来事・雑感などを綴っていきます。

突貫工事で車両改造・スハフ12 701「いこい」の製作

2011年12月04日 | 鉄道模型のあれこれ

およそ2週間前のことですが、大学鉄研今年度2度目の出展となる大学祭が某キャンパスで開催されました。
例年通り模型をやっている会員は各自で車両を持ち寄って4日間(!)の期間中レイアウト上を走行させることになっているのですが、いつも完成品の車両ばかり走らせていることもあり「今年は何か手を入れた車両を走らせたいなぁ」と思い立ちました。よりによって本番直前にですが・・・(汗)

ということで思い立ったが吉日、こうなったら勢いでやってしまおうということで実質製作期間二晩という突貫工事で改造した車両が、今回紹介する12系スハフ12 701「いこい」です。


スハフ12 701「いこい」は、1985(昭和60)年3月に国鉄福知山鉄道管理局が小口団体の輸送用としてスハフ12 5を後藤工場で改造した車両です。塗装は青地に黄帯を巻き、車内にはミニキッチンとカウンター、カーテンで半室に区切られた洋室と和室が設けられており、定員は28名となっていました。登場時は客車の定期・団体列車に併結して運用していましたが、1986(昭和61)年4月には気動車にも併結出来るように改造されました。
「いこい」は1987(昭和62)年3月31日から4月1日にかけて運転された「旅立ちJR西日本号」にも使用されましたが、JR化後に本格的な団体用車両を増備するにあたり、1989(平成元)年10月にジョイフルトレイン「セイシェル」の中間車キサロ59 501に再改造され客車としての姿を消しました。実車の写真はこちら(ウィキペディアより)
なお1982(昭和57)年に静岡鉄道管理局にも「いこい」と名付けられた12系を改造したお座敷編成が登場していますが、福知山の「いこい」とは無関係と思われます。
(出典:鉄道ピクトリアル90年7月号・05年2月号、ウィキペディア)

今回「いこい」の製作に踏み切ったのは、(広義の)山陰の車両だからということと、1両だけで完結するので気軽に取り組め、かつ気動車とも併結して遊べるからという理由です。

・・・さて前置きが長くなってしまいましたが、それでは製作途中の写真を。

種車はKATOのスハフ12形100番台で、左側1-3位側、右側2-4位側の側面です。
両側面ともに共通するのはトイレ側のドアと発電エンジンの吸気用グリルを埋めることで、これらに加えて1-3位側では車掌室側ドアから1つ目の窓埋め、2-4位側ではドア埋めした部分にキハ58形の貫通扉窓をはめるための穴を開けておきます。
またこれらの加工で削れてしまった号車札・サボ受けを取り付けるための穴も開けておきました。
トイレ側のドア埋めですが、車体の裾絞りが付いている部分はプラ板でうまく曲線を出すのが難しかったため、その部分だけはジャンクの12系の車体から切り出してはめ込みました。
また実車はドアが埋められても、ステップのために裾が下がった部分はそのままになっていたようなので、この部分は削り落とさずに残しておきました。


プラ板で埋めた部分の継ぎ目消しがおおよそ済んだら今度はパーツの取り付け。
号車札・サボ受けと発電エンジンの吸気グリルを所定の場所に取り付けました。
パーツはトレジャータウンのTTP-235「電車・気動車小パーツ集」から、特に吸気グリルは「ふれあいSUN-IN」用のものです。「いこい」はスハフ12形の0番台車が種車で製品そのままの吸気グリルとは位置・形状が異なるため、形状が似ているこのパーツを用いました。

もっとも、吸気グリルだけでなく側面給水口の位置や床下機器の配置、切妻側妻面のテールライトの有無など0番台車と100番台車の違いは結構多いのですが、とりあえず今回はそれらの加工はパス。
加工に苦労する割には見た目はあまり変わらなさそうなので・・・。
気になる場合はTOMIXのスハフ12形0番台から改造した方がいいかと思います(かなり入手難ですが)。


車体の加工が済んだら今度は塗装です。
ねずみ色1号で下塗りし、帯色の黄色1号を上から吹きつけます。
最初は腰板部分にだけ吹きつけるつもりが、何度も重ね塗りしているうちに車体全体が黄色塗りに・・・。115系などの岡山広島末期色っぽくなってしまいました(汗)
黄色の発色が暗めになってしまったので、下地の色は灰色9号のほうが良かったかもしれません。
そして帯となる部分を0.5mmのICテープでマスキング。細い帯のマスキングは初めてでしたが、直線を出すのはすごく大変でした。結局完全な直線は出せず微妙にゆがんだ状態に・・・。

マスキングが終わったら青20号を吹き、塗料が乾いたところでマスキングをはがし塗装は完了。ただ実際は少し色のはみ出しなどがあったので部分的にタッチアップを施しています。

最後に不要な部分を切り落とした窓ガラスをはめ込み、エンジン部分に灰色9号を色入れし、車番を入れて完成させました。ちなみに和室部分にはコピー用紙を細く切ったものを張り付けて障子を表現しています。
本当は車掌室側妻面の気動車併結用ジャンパ栓の取り付けや室内の加工もしたかったところですが、資料が見つからなかったのと時間がなかったので今回は省略しました。



製品の12系と比べると若干青色が下の黄色の影響を受けているような感があり、青色を塗る前に下地として再度ねずみ色1号を吹いておけばよかったかと思いますが、とりあえず雰囲気は出ているのでこれでいいかなということにしておきました。
それにしても青色に黄帯というカラーリングはジョイフルトレインというよりは検測車などの事業用車のような印象を受けますね。

さて、以下は学祭でのレイアウト走行の様子から。

まず最初に旧型客車との組み合わせ。12系+旧客というのも今からすれば珍妙な組み合わせに思われますが、「いこい」の気動車併結化改造前はこのように旧客の普通列車やスロ81系お座敷列車との組み合わせも見られたそうです。


こちらは気動車との組み合わせ。
昭和61年の気動車併結化改造により客車だけでなく気動車とも組んで運用されるようになった「いこい」ですが、この場合は2両のキハ58形で挟み込んで団臨として運用していたことが多かったようです(冷房用の電力はスハフ12から供給)。
時にはヘッドマークを取り付けて運用されることもあったそうで、ネット上で写真を探した限りでも数種類のバリエーションが存在するようです。


赤とクリームの急行色の車両に青色の車両を挟んでいるので、編成の短さの割には見た目のインパクトはかなり大きいです(笑)
後の「セイシェル」への改造に当たっては、この運転スタイルをそのまま丸ごとジョイフルトレインの編成にしてしまったということになるのでしょう。

「いこい」を走らせていると鉄研の他のメンバーから「何だこれ!?」という言葉が次々に飛び出したのですが、この客車が何なのか分かったのは後輩1人だけで(彼曰く「ああ、セイシェルの前ですね」)、あとは質問してきた全員に冒頭の実車についてのを説明を何度も繰り返しました(笑)
確かに「いこい」はマイナーな車両で、自分も山陰出身で地元に興味がなかったらたぶん知らなかっただろうと思います・・・。

さて、そんなこんなで無事大学祭のレイアウトで「いこい」を走行させることができ、今回の目論見はおおむね達成されたと思います。「二晩クオリティ」のため若干工作の粗が目立ちますが。
これに味をしめたことで、次は何の車両の改造・塗り替えをやってみようかと思う今日この頃です。



2 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
工作は楽しいです。 (工場長@鳥総車所)
2011-12-07 19:14:30
こんにちは。

「セイシェル」は有名ですが、前身の「いこい」は有名ではないので作るときには考証が大変だったかと思います。
直線出しがしっかり出来ているので「二晩クオリティ」とは思えない出来です。私の場合、完成後に編成で組むと車両単位で帯が上がったり下がったりしてしまってかなり悲しいことになりました。
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Re:工作は楽しいです。 (いなば路快速)
2011-12-09 17:48:46
>工場長さん

こんにちは、コメントありがとうございます。

「いこい」の製作に当たってはトイレ側ドア埋め部分にある小窓の大きさと、車掌室側の窓埋め部分の処理のされ方(塞ぎ板か車体とツライチか)を調べるのが少し手間取りました。
結局ネットでははっきりとした写真がなく、大学鉄研の書庫から鉄道ピクトリアルの12系特集を探して参考にしています。それでも細かい部分や室内の様子などまだはっきりと分からない部分が多いのですが・・・。

「二晩クオリティ」とは思えない出来とおっしゃって下さり恐縮です。
とりあえず今回はそれらしいものが作れればそれでいいや、という方針だったのでサクサクと製作しましたが、黄帯のマスキングだけは出来るだけ直線が出るように気を遣いました。
実物は色々と粗があるのですが、ものすごく久々の車両改造の割にはそれなりの出来になったかなと思います。
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