いなば路快速の日記帳

鉄道ファンの管理人が日々の出来事・雑感などを綴っていきます。

キユニ28形の塗装済みキットを組む(宮沢模型/GM製・その2)

2023年07月10日 | 鉄道模型のあれこれ

キユニ28形の塗装済みキットを組む(宮沢模型/GM製・その1)からの続きです。

前回の記事では一般色の車両をストレートに組み立てましたが、今回は残る首都圏色の車両をKATO製キハ47と組み合わせて前面ライトが点灯する仕様に仕立てたいと思います。


まずは上回りの材料を揃えます。なお、屋根上に7個設置するベンチレーターはキットにもともと15個分しか付属しないので、2両組み立てて予備が1個しかなくなかなかシビアな仕様です。


そして、ランナーから各部品を切り出してサクサクと組み立てて…


上回りが出来上がりました。ここまでのプロセスは前回の記事と同じですね。


さて、ここでKATO製のキハ47を用意します。これを分解し、集電対応の床下一式とライトユニットやレンズを転用します。


(KATO製キハ40系用のライトユニット)
ライトユニット一式は細いピンセットを駆使して車体内側から取り外していきますが、ヘッドライト用レンズが特に取り出しにくいので注意を要します。


GM製キユニ28(左)とKATO製キハ47(右)の前面付近ボディ内側の比較です。ほとんど同じような形で、ライトユニットの転用を意識した設計になっているのが分かるかと思います。


そして、キユニ28の車体にライトユニット一式を組み込んで…


さらにキハ47の床下一式と組み合わせれば…(車内の座席はそのまま放置)


(ヘッドライト点灯)


(テールライト点灯)
ライトが点灯するキユニ28の出来上がりです。床下は完成品なのではめ込んで完了、そのぶんはキットをストレートに組むより手間がかからないですね。なおヘッド・テールライトともに、光源のLEDの光がちょっと透けてしまっているのはご愛嬌…、もっと手をかけるなら運転台内側に遮光として黒の塗料を塗っておいたほうがよいかもしれませんね。


ちなみに床下一式はガラスパーツ側の窪みに爪がはまって車体側と固定される仕組みですが、例によってキユニ28とKATO製キハ47のガラスパーツの床下固定部は同じような構造になっています。


(床下固定部を拡大)
床下一式を転用する前提なので当然といえばそうですが、別メーカーの設計なのにそっくり同じ形になっているのはなんだか面白いですね。


ライトユニット供出元のKATO製キハ47と並べたところです。手すりなどモールドの造形具合はキユニ28とKATO製とでほぼ似たような感じです。キユニは窓周りのHゴムが細いのでそのぶん印象が変わってくる感じでしょうか。


こちらは先に組み立てた一般色のキユニ28と。KATO製床下をそのまま使うので、キハ40系用スカートのほうがキット付属のスカート部品よりそれらしさが出ますね(あくまでもこの2両で比較した場合の話ですが)。


3両並べて。KATO製キハ40系は前面にホロが取り付けてあるのがデフォルトで、しかも取り外しは考慮されていないので、このキユニ28のキハ40系顔でホロなし仕様というのはひと頃重宝されたのではないかと思います。


ちなみにKATO製床下を組み込んだ場合の車高ですが、キット付属の床下を組み込んだ場合に比べると少し低くなります。もとよりデフォルトの床下だと腰高気味なので、ちょうどいい感じに思えます。


なおKATO製キハ47と比較しても、KATO床下付きキユニのほうがわずかに車高が低いようです。


ところで今回組み立てたキユニ28は床下をキハ47のものを転用したので、エンジンなどの機器類もキハ40系のものとなっています。実車は余剰となったキロ28形からの機器流用車ですが、この模型ではまるで車体も足回りもキハ40系に準じた設計の新製車、形式キユニ47みたいな…(笑)
もしかしたら模型でもキロ28形あたりからDMH17H仕様の床下一式を切り出してきて実車の雰囲気に近づける加工をした人がいたかも?


(他形式と組んでちょっと編成っぽく)
終わりになりますが、GM・宮沢模型がこのキユニ28キットを発売したあと、マイクロエースが完成品としてキユニ28を発売しました。これはM車+T車の2両セットでライト点灯、床下もDMH17仕様となっていました。前面の造形は相変わらずの"マイクロ顔"でしたが、上記の仕様からこちらはこちらで需要があったものと思われます。さらに月日は流れ2020年頃にGMが塗装済みキットとしてキユニ28を再発売し、一般色と首都圏色が別個の2両セットとしてリリースされました(その後1両分の未塗装キットも発売)。


(KATO製のキユニ28)
ところが2023年になってまさかのKATOがキユニ28(首都圏色)を製品化!造形やライト点灯など機能面でGMやマイクロ製品を過去のものに追いやってしまった感があります…(しかも1両あたりの定価はGM・マイクロよりも安い)この記事も今となっては役に立たないような内容ですが、まあこんな気動車のキットもあったのね…ということで書き留めておこうかと思います。


キユニ28形の塗装済みキットを組む(宮沢模型/GM製・その1)

2020年05月24日 | 鉄道模型のあれこれ

今回は久々のキット製作の話題から・・・。

題材は宮沢模型発売・グリーンマックス(GM)製造のキユニ28形塗装済みキットです。

キユニ28形を先頭に、各種の形式や塗装の気動車で混成された列車の写真が楽しげなパッケージ写真ですね。

このキットは2003年頃(?)に発売された少し古い製品ですが、2018年の年末に某中古模型店で未組み立ての中古品を発売時の定価(9000円)の半額以下で発見してしまい、思わず購入してしまっていたものでした。

しかしそれ以来長らく棚にしまわれたままで「積みプラ」と化していましたが(汗)、世間の流れ的に家で過ごす時間も増えた今日この頃、ようやく組み立てようかと思い立ちました。

箱の上蓋をぱかっと開くと、塗装・印刷済みの車体や各種部品のランナーなどが納まっています。

この箱の構造は現在のキハ23形などの塗装済みキットと同じもののようですね。

中身を広げるとこんな感じに・・・、中古で買ったキットでしたが部品の欠けはなさそうで一安心です。

このキットにはキユニ28のツートンカラーの気動車一般色と朱色一色塗りの首都圏色の車体が1両ずつ収録されています。

2020年にGMより発売された同じキユニ28形キットは一般色と首都圏色がそれぞれ別個の2両セットとなりましたが、こちらの宮沢模型キットのほうが1箱で2カラー楽しめる良心的なセット構成なような・・・。
(ただし定価は宮沢模型キットのほうがGMより少しお高いですが)

さて、どちらの塗色の車両から組み立てていってもいいのですが、まずは一般色の車両から組み立てていくことにしました。

上の写真は各種部品のランナーを小分けの袋から出し、並べてみたところです。

1両分の部品は左上~左下~右方向の順に、前面スカート、塗装済み車体、前面窓ガラス、側面窓ガラス、塗装済み屋根板、乗務員室仕切り等の車内パーツ、エンジン等の床下パーツ、DT22形台車、箱形ベンチレーター、ウェイト、床板から構成されています(貫通ホロは付属しません)。

とりあえず、塗装などの追加加工は一切行わず、概ね説明書どおりに素組みしていこうと思います。

まずは屋根周りからスタート、塗装済み(GMねずみ色1号相当)の屋根板をランナーから切り離します。

ランナーと部品をつなぐゲートは屋根板裏側の端に接続されていますが、部品ぎりぎりをニッパーでいきなりカットしようとすると切り口が荒れて屋根板のふちの形状が乱れるので、接続部から少し離れたところをカットします。

その後、残りをデザインナイフで少しずつ切り詰めていきました。

屋根のふちまで切り詰めたら、屋根板裏にゲートが出っ張りのように残るので、これをさらにやすりやデザインナイフで削ります。

あまりやりすぎるとやはり屋根板のふちが抉れてしまい、車体に組み付けたときに隙間ができてしまうので、様子を見ながらほどほどに削ります。

屋根板の切り出しが済んだら、次は箱形ベンチレータの切り出しに移ります。

このベンチレータはGM灰色9号相当のような色ですが、塗装はされておらず成形色そのままです。

この部品はこのキユニ28キットとほぼ同時期に発売されていた、キハ54形や119系の完成品セットに付属していたもの(品番97-1→8015で単品販売)と同一ではないかと思います。

この部品は少し厄介なことに、ベンチレータ本体とゲートの接続部(2ヶ所)がベンチレータの足と不明瞭に連続した形になっています。
そんなわけでやはりゲートを少し残したままベンチレータを切り出し、残りは他の足の長さに合うようにカットしました。

細かい作業なので大変ですが、これを所要数の7個分繰り返します(汗)
小さい部品なので、多少処理が上手くいかなくてもそんなに目立つものではないと思いますが・・・。

ベンチレータが切り出し終わったら、屋根板に設置していきます。

取り付け足を屋根板に開いている穴にはめ込んでいくだけなので簡単ですが、一応設置する向き(上面の窪みを千鳥配置の外側に)が決まっているので、説明書を見ながら設置します。

このベンチレータは屋根板の穴に割としっかりはまり込むので、接着剤での固定は省略しました(横着・・・)。

なおベンチレータのランナーには列車無線アンテナとカバー付きホイッスルの部品も含まれていますが、このキットでは使用しません。

次に、ベンチレータ付きの屋根板を車体に組み付けます。

屋根板裏の固定用ツメを車体天井にある穴にはめ込みます(写真は時系列が前後していてベンチレータ設置前ですが・・・)。

エンジンからの排気口のモールドが運転台側に来るように、屋根板の向きには注意です。

これも結構しっかり固定できるほどのはめ合いがあるので接着剤は省略。

種別表示窓とヘッドライトのふち部分は色差し済みとなっているので、屋根板と車体が組み合わさるだけでもなんとなくそれらしく見えてきますね(笑)

さて、次は上回りの後半戦、ガラスパーツの切り出し・組み付けです。

最初にランナーから切り出すときは、ゲートの部品本体から離れたところをニッパーでそっとカットしました。

しかしこのガラスパーツは普通のパーツと違って、透明プラの性質からか硬くて切り出しにくいです。
その上ちょっとした拍子に割れたりひびが入ったりしやすく、修正も不可能なのでなかなかの難物です。

ゲートの残りはカッターやデザインナイフで必要な部分を傷めないように気をつけながら切り取っていきましたが、少し力を入れないと刃が進まないので、勢い余って怪我をしないように注意が必要です。

さらに面倒なのが前面窓部品の切り出しです。

ゲートが窓の上下に直に接続しているため、少しでも切り出しをミスすると窓に傷やひびが入ったり白く抉れてしまう可能性があります。
そこでゲートの切り離しにはニッパーを使わず、模型用のノコギリを使って慎重にカットしていきました。

最終的に切り口はデザインナイフややすりで整えますが、削り足りないと車体に合わず、削りすぎると窓が欠けてしまうというなかなかシビアなものでした。

ガラスパーツの切り出しが済んだら、車体に組み付けます。

先に前面周りから、前面窓は開口部の横方向からスライドするように差し入れ、押し込むようにセットします。
例によってはめ合いがきつく、パーツが割れそうで力加減にヒヤヒヤしました・・・。

さらにヘッドライトとテールライトのレンズも車体裏側からセットしておきます。
横幅が狭いほうがヘッドライト、広いほうがテールライトですが、これらはパーツの中央部分に少量のゴム系接着剤を塗って車体に接着しておきました。

ここでも横着して、テールレンズにクリアレッドを色差しするのは省略・・・。

続いて側面ガラスパーツを車体に組み付けます。

説明書では「ボディ内側の角にある4箇所のツメにはさむようにはめます」と書かれていますが、この指示はスルー。

というのも、窓の開口部は窓ガラスとのはめ合いがとてもきつくなっていて(またか・・・)、ガラス止めのツメにはさむように斜めに差し入れてはめ込むことが困難だったからです。
特に郵便区分室の明り取りの小窓はシビアで、ツメありの状態で車体に窓パーツを組んでみた上の写真でもうまくはめ込めていません(汗)

強引にやろうとすると、おそらくはめ込むことはできても、窓のふちのサッシやHゴムの表現が傷んでしまうのではないでしょうか・・・。

そんな訳でツメ部分はかえってガラスはめ込みの邪魔になるので、ニッパーですべて除去してしまいました。
(窓ガラスパーツ天井側の切り取られて白くなった部分がツメの跡)
これで車体の内側からまっすぐガラスがはめ込めるようになります。
その後ガラスパーツがはめ込みやすくなるように、車体の窓の開口部のふちをやすりでほんの少し(気休め程度に)削りました。

そしてようやく車体にガラスパーツを組み付け。相変わらすはめ合いはきつく、パキッと割れるような音を立ててはまり込みましたが、その分多少のことで窓ガラスがぐらつくようなことはなく、接着剤で固定する必要はなさそうです(笑)

さて次は、床板や床下周りパーツの組み立てです。この工程では特に難しい作業はなく、説明書に沿って淡々と進めていきます。

まずは2枚重ね合わせ構造の床板をランナーから切り出し、上部床板のくぼみに金属ウェイトをゴム系接着剤で固定しておきました。次いで上部床板と下部床板を貼り合わせてひとつの床板に。

続いて、床下や車内に取り付ける部品を切り出します。

経験のある方はお分かりかと思いますが、床板やその周辺パーツは同じGM製のキハ23・45形塗装済みキットと同じものを使用しているようです。したがって本キットでは不要な座席やトイレ仕切り壁などもランナーに収録されています。
(取っておけば何かに使えるかも?)

今回はとりあえず塗装も省略して、ランナーから切り出した部品をさっさと床板に接着していきました。

タンク類や蓄電池箱、ラジエーターなどがまとまった床下機器パーツは床板のくぼみに合わせて設置します。

ただし、そのまま接着しようとすると、床下機器パーツ左右のくぼみに収まらない部分が引っかかって、全体が床板から浮く格好になってしまいます。
したがって、床板とパーツの間に適宜の厚さのプラ板などを入れて隙間埋めをしたほうがよさそうです。
(画像では仮に接着しているのでプラ板は入れていません)

台車はスナップ式で、床板の前後2箇所の穴にパチパチとはめ込みます。

床板一式が組みあがったら、いよいよ車体と組み合わせます。

ただその前に、運転台後ろの乗務員室仕切り板を床板に、スカートを車体に接着しておきます。

なお説明書ではスカートも床板に接着するように指示がありますがこれは誤りのようで、床板にスカートを接着すると、スカートの開口部と台車のカプラーポケットが干渉してカプラーが通りません。
(2020年発売のGM製キユニ28キットの説明書ではスカートは車体に接着するように修正されています)

床板と車体を組み合わせる際は、床板のふちとガラスパーツの下部が接する部分を少量のゴム系接着剤か細切りの両面テープなどで固定します。
ちなみにガラスパーツには思わせぶりな床板を固定するツメを受けるくぼみがありますが、見ての通りキット付属の床板には固定・位置決め用のツメはありません。

床板を車体に組み付けたところです。

実は床板は車体よりもだいぶ長さが短くなっていて、必ず前後に隙間ができてしまう構造になっています。
そのうえガラスパーツとの合いも前後方向に遊びがあり、床板を固定する位置がバッチリと定まらないので微調整する必要があります。

一応、目安としてはスカートにカプラーを通した状態で台車を左右に振ってみて、カプラーの動きに問題がないような位置であればOKです。
(床板が前すぎるとカプラーポケットが、後ろ過ぎるとカプラー本体がスカートとぶつかります)

なぜ床板がこんな寸足らずな形状になっているのか不思議ですが、これは先に述べたようにこのキットの床板がキハ23・45形キット用のそれを流用しているところに原因がありそうです。

初期のキハ23・45形キットではTOMIXのボディマウントTNカプラー(当時の品番でJC62・JC63)が付属していて、床板はそれらを取り付ける前提の構造になっていました。(台車もカプラー非装備のものが付属)
すなわち、TNカプラーを取り付けた状態の床板の長さが車体長に合うように設計されていたようです。

このキユニ28形キットもTNカプラー対応である旨が説明書に書かれていますが、写真のように取り付けてみればなるほど、車体と床板の長さが一致します。
(運転台側がスカート付きJC63、妻面側がステップ・流し管付きJC62を使用、ただし説明書にはなぜか運転台側のみTN対応と記載)

以上、ちょっとした余談でした・・・。

さて、長くなりましたがこれで一応の完成、車両の姿になりました。

説明書どおりに素組みする分にはさほど困難が少なく取り組めるキットだと思います。
一部に丁寧な作業を要求されたり、面倒な手間がかかったりするような工程もありましたが、まあそれもキット制作の醍醐味ということで(?)

本当はさらに車番や各部の標記をインレタで転写する工程がありますが、それはいったん保留としておきます。

手持ちの他の形式の郵便荷物気動車と撮影。

キユニ28形は老朽化が進行した従来の郵便荷物気動車を置き換えるべく、1978(昭和53)年より余剰のキロ28形の足回りとキハ40系に準ずる新製車体を組み合わせて登場した車両ですが、新旧交代の過渡期には車両基地でこんなシーンも見られたのだろうかと想像してみたり・・・。

次回はキットに含まれていたもう1両、首都圏色の車両をKATO製キハ47を利用して前面ライト点灯仕様で組み立ててみようと思います。→その2へ続く

◎おまけ

キットに付属するインレタ(転写シート)とステッカーです。

キットの製造はGMですが、あくまでも発売元は宮沢模型名義なので、インレタやステッカーには宮沢模型のマークが入っています。
なんとなく、ステッカーの「クリアーコート厳禁」の注意書きが平成10年代のGMっぽさを感じさせるような(?)

さて気になる収録内容ですが、

  • 車両番号
    キユニ28 1、キユニ28 3、キユニ28 4、
    キユニ28 6、キユニ28 12、キユニ28 16、
    キユニ28 20、キユニ28 22、キユニ28 25、
    キユニ28 28、キニ28 2、キニ28 4、キニ28 5、
    キニ58 2、キニ58 3、キユニ26 10、
  • 所属標記
    名ミオ、名ナコ、天ナラ、天イセ、
    福トカ、岡オカ、広ヒロ、広アサ、
    広コリ、四カマ、鹿カコ、水ミト、
    仙コリ、秋カタ
  • 車体標記
    ATS-S標記、①位側標記、②位側標記、荷物標記、
    ②位側標記(荷重表記付き)、②位側標記(郵袋数・荷重表記付き)、
    郵袋数・荷重表記、荷重表記
  • 予備記号・番号
    キユニ、キニ、キハ、ユ、ニ、ヤ、
    1~9、0の各数字
  • ステッカー
    急行、普通(白地)、回送、普通(紺地)、架線注意

以上の通りとなっています。

インレタの収録内容は豊富で、とりあえずの番号選びには困らなさそうです。所属区はキユニ28形が在籍した歴代の区所はあらかた網羅されている模様です。細かな車体各部の標記もちゃんと収録されているのがうれしいですね。

また、キユニ28形以外にもキニ28形などの他形式の番号がおまけ的に入っているのも、どことなくGMらしさを感じます(笑)
(このキットをベースにキニ28・58形を作ろうとするとめちゃくちゃ大変そうですが・・・)


TOMIX・DD51の前面手すりを交換するはなし

2020年03月29日 | 鉄道模型のあれこれ

今回の記事はTOMIXのDD51の前面手すりをKATOのassyパーツに交換し、
製品そのままの状態とはちょっと雰囲気を変えてみよう、というはなしです。


(手すりの根元が直線タイプ・開放てこ内側通しの例、DD51 1040号機)


(手すりの根元が曲がったタイプ・開放てこ外側通しの例、DD51 1187号機)

実物のDD51では前面手すりの中央寄り2本の柱の形態が大まかに2種類に分類され、
重連形のうちDD51 501~799、1001~1051、801~885では根元が直線のタイプ、
1052~1193、886~899、1801~1805では根元が曲がったタイプとなっているようです。

この差異は自動連結器の開放てこが通る位置を変更したことによるもので、
根元が直線のタイプは開放てこが手すりの内側を、根元が曲がったタイプは手すりの外側を通るようになっています。
(模型では開放てこが省略されているのでいまいち見た目の説得力が薄いのですが・・・)


(左:手すり交換済み車両、右:手すり未交換の車両、下:KATOの手すりパーツ2種)


(左:手すり交換済み車両、右:手すり未交換の車両、根元付近の形状違いに注目)

さて、Nゲージ鉄道模型のラインナップでは、TOMIXはDD51の重連形中期タイプ(500番台)、後期タイプ(1000番台)、800番台後期タイプなど各種形態を製品化していますが、前面手すりはどのタイプも柱の根元が曲がった後期タイプのものになっています。
一方、KATO製のDD51ではおおよそ製品別にそれぞれのプロトタイプの年式に応じた前面手すり形状が作り分けられているようです。(もしかしたら例外があるかも)

そこで、KATO製品の根元が直線タイプの前面手すりをTOMIX製品に移植すれば、
TOMIXのDD51も番号別により実物に近い雰囲気になるのではないか、と思い今回の加工を行った次第です。
(欲を言えば後藤工場タイプの増設つかみ棒が再現された手すりパーツがあれば、なんて思いますが・・・)

素材として用意するものは、
TOMIXのDD51-500(800)形
KATOassyパーツのDD51前面手すり(800番台用もしくは1043号機用)
の2種類です。


まずは車体をバラします。
先にキャブを上に引き抜き、その後ボンネットを車端部へスライドさせるように取り外します。


次にMカプラーとカプラー押さえを兼ねているスノープロウを取り外します。
スノープロウはボンネット先端部内側にある2つのツメをつまようじなどで内側に押して外すことができます。

手すりやステップなどが一体の白い前面周りパーツは、車体裏の固定用のツメ(ウォームギアの上の、白い梁の中央に見える小さな突起)から白い梁を浮かせて逃がすように車端部へスライドさせれば取り外すことができます。
力加減の調整が難しく、外した勢いで吹っ飛ばしたり壊したりしないように注意です。


前面周りパーツが取り外せたら、グレー成形の端梁(写真中央の部品)を分離します。
端梁は手すりパーツ下部の2つの穴にピンでもって固定されているので、
それをつまようじなどで内側から押し出せば外すことができます。


次に、前面周りパーツから手すり部分を切り離します。写真右上が切り離した後のパーツです。
デザインナイフで根元の部分を切り出していき、
ステップ横の左右に下がった部分の切り口は跡をきれいにしておきます。

なお写真左は今回用意したKATO製の根元が直線タイプの前面手すりassyパーツです。
これは2020年に発売された下関総合車両所のDD51 1043号機用で、
重連用ジャンパ線納めやSGホース掛けも含めて全体が白くなっているタイプです。


つづいて、各パーツを一体化させるためにそれぞれの形状を整えていきます。
写真左が加工前、右が加工後です。
ニッパーやデザインナイフを駆使して余分を切り離していきますが、
繊細なパーツなので壊さないように注意が必要です。
特にKATO製の手すりパーツは折れやすく、不注意ですぐポキッとやってしまいます・・・(汗)


現物合わせで仮組みしつつ各パーツの形が整え終わったら、順次接着していきます。
少量のゴム系接着剤を用いて前面周りパーツと端梁、手すりを組み上げれば・・・、


出来上がりとなります。分解とは逆の手順で車体に組み戻していきます。
ちなみに写真左のものは、重連用ジャンパ線納めやSGホース掛けが朱色の800番台用assyパーツを使ったものです。


(左:800番台用手すりに交換、中央:1043号機用手すりに交換、右:製品そのまま状態の手すり)
手すり交換の加工を施した車両と未実施の車両を並べてみました(ただし、未実施車は1121号機なので本来は交換不要)。
正直、いざやってみると手間の割には地味な違いです(笑)。
前面手すりの形状違いなどは、走らせれば分からないレベルの自己満足の世界でしょうかね。

むしろ、800番台用手すりパーツを使って重連用ジャンパ線納めやSGホース掛けが朱色になっているのが模型的に目立っているように思えます。


(左:800番台用手すりに交換、中央:1043号機用手すりに交換、右:製品そのまま状態の手すり)
斜め方向の角度から。前面手すりの根元付近の形状に注目です。
なお実車では、重連用ジャンパ線納めやSGホース掛け部分の色は配置区所によってまちまちで、
例えば国鉄末期の山陰線筋では米子機関区配置車が白で、吹田第一、福知山、岡山、厚狭機関区配置車が朱色となっていたようです(転属直後の時期など例外はあり)。


交換したKATO製の前面手すりですが、TOMIX製品付属のヘッドマークも通常通り取り付け可能です。
そもそもTOMIX製品、KATO製品ともにマーク自体の取り付け方法は同じようなものですが・・・。
ただし取り付けはかなりゆるく、ちょっとした拍子にすぐマークがどこかへポロッと落ちてしまうので、紛失には注意が必要です(いっそヘッドマークもKATO製を使う手もありますね)。


ちなみに余談ながら、この加工ネタはずいぶん前にTOMIX製品でDD51 844号機タイプを仕立てた際にも行っていて、
当時は加工の手順が掲載されたwebサイトを参考に見よう見まねで作業したのですが、
気がついたらそのwebサイトが消えてしまっていたので、今回自分の備忘録も兼ねて記事にした次第です。
したがって自分オリジナルの加工アイデアではないことをおことわりしておきます(汗)

 


鳥取駅南の鉄道公園・「鳥取鉄道記念物公園」のはなし(展示物観察2:機器類展示コーナー編)

2019年08月01日 | 日々の出来事

○『鳥取駅南の鉄道公園・「鳥取鉄道記念物公園」のはなし』シリーズ記事一覧

鳥取駅南の鉄道公園・「鳥取鉄道記念物公園」のはなし(あらまし編)→こちら

鳥取駅南の鉄道公園・「鳥取鉄道記念物公園」のはなし(展示物観察1:線路まわり編)→こちら

鳥取駅南の鉄道公園・「鳥取鉄道記念物公園」のはなし(展示物観察2:機器類展示コーナー編)←現在地

鳥取駅南の鉄道公園・「鳥取鉄道記念物公園」のはなし(展示物観察3:地上駅再現ホーム編)→準備中


前回(線路まわり編)から引き続き、「鳥取鉄道記念物公園」の展示物を観察するはなしです。
今回は、公園の敷地の隅にある色々な鉄道設備用機器・器具が並べられている展示コーナーを見ていきたいと思います。

例によって筆者のうろ覚えの記憶に頼っている場面もあり、もしかしたら覚え違いによる事実と異なる記述もあるかもしれませんが、その場合はなにとぞご容赦ください。


(2018年8月撮影)

写真はちょうど踏切の位置から機器類展示コーナーを見たところです。
写真奥のコンクリート製の立派な土台の上にはいくつかの展示物が並べられていますが、一部は展示物が撤去され、何かが設置されていた痕跡だけになっている部分もあります。

また、残った展示物も一部が壊れてなくなっていたり、これらが何なのかを説明する案内板がほとんどなくなっていたりと、なんだかよく分からない器具がぽつぽつと並べたれた謎の展示コーナーと化していました。
もちろん鉄道公園としての開設当時には、こんなうらぶれた状態ではなく、きちんとした状態の展示品や説明板があったものと思われますが・・・。

(2020年4月追記:鉄道公園開設の経緯と展示物の名称を記した案内板が設置されました→こちら)

(2023年10月追記:一部の展示物に新たに作成された説明板が設置されました。各項目参照)

(特記のない写真は2019年4月・鳥取鉄道記念物公園にて撮影)


展示物観察2:機器類展示コーナー編もくじ

(見出し文字列または写真クリックで該当項目へジャンプします)

信号てこ・色灯式信号機設置跡
発条転てつ機・普通転てつ機標識・信号機設置跡(?)
各種レール展示コーナー
ポイントリバーS形転換器・転換鎖錠器・ATS地上子

 


○展示物観察2:機器類展示コーナー編

  • 信号てこ・色灯式信号機設置跡

まずは最初の写真のいちばん右側のブロックから見ていきます。
わざわざ土台に切り欠きを作って設置されている3本のレバーが目を引きますが、これは「信号てこ」と呼ばれ、駅に設置された各種の腕木式信号機を操作するためのものです。


(信号てこと腕木式信号機の操作用ワイヤーを介した接続例、2019年8月・京都鉄道博物館)

実際は操作用ワイヤーを介しててこの下部にある円盤状の部品(ドラム)と腕木式信号機のクランク部分が連結されており、信号てこを前後に引くことで信号機の現示を機械的に切り替えていました。

信号てこは1つの腕木式信号機につき1つ、1対1で対応しています。
したがって、操作する信号機が多い大規模な駅ほど信号てこの数も多くなり、そのような駅の信号扱い所にはずらりと何本もの信号てこが並ぶ光景が見られたそうです。

ちなみに鳥取近辺では因美線が自動閉そく化される前、1990年代中盤~後半くらいまでは郡家駅など腕木式信号機が使われていた交換設備のある駅で、上に挙げた動画のように信号てこが駅係員によって操作される光景が見られました。
(この動画内の信号てこ操作風景は因美線高野駅のものだそうです)

なお、信号てこについての解説は、ブログ「懐かしい駅の風景~線路配線図とともに」さんの記事「脇道2(信号てこ・転てつてこ)」
(http://senrohaisenzu.cocolog-nifty.com/blog/2009/01/post-be93.html)
が参考になります。

(以下2023年10月追記)


(2023年8月撮影)
2023年に土台部分に新しく説明板が取り付けられたのでご紹介します。

信号リバー(単線式)
取扱者が信号リバーを上下に取り扱うことにより、てこの運動をワイヤーに伝えて、信号機の腕木を上げ下げし信号を現示します。
(追記終わり)

ところで、信号てこの左側に2本突き出した杭のようなものがありますが、ここにはかつて2基の「色灯式信号機」が取り付けられていたようです。

色灯式信号機とは、電球やLEDの光の色によって現示(信号の表示状態)を伝える信号機のことで、基本的には道路信号機でもおなじみの青、黄、赤の3色の灯火を2~6個組み合わせて使います。
詳しくはウィキペディアの「日本の鉄道信号#信号現示の種類と現示方式」などの項目へどうぞ。


(3灯式の色灯式信号機(上部)の例、2018年3月・芸備線三次駅)

あらまし編で紹介した『とっとり市報1999(平成11)年11月15日号』の記事「シリーズ 公園に行こう⑥ 沢井手公園(鳥取鉄道記念物公園)」に掲載されている写真によれば、1999年の時点ではここに3灯式の色灯式信号機が設置されていたことがわかります。

ただし自分のうろ覚えの記憶だと、やはり以前紹介した入換信号機と同じように、この信号機もレンズ部分が破壊されて全体的にボロボロになっていたような気がします。

そしていつごろ撤去されたのかは定かではありませんが、気がついたときには現状のように基部の短い柱だけを残して信号機本体はなくなっていたのでした。

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  • 発条転てつ機・普通転てつ機標識・信号機設置跡(?)

次に最初の写真の右側から2番目のブロックを見ていきます。
矢羽根状の標識がついた大小2タイプの機器と、何かを取り付けていたと思われる柱が2本、さらに別の柱が設置されていたと思われる土台の穴があります。

まずは写真中央やや左ににある矢羽根状の標識のついた大きい機器について。
これは「発条転てつ機」と呼ばれるものです。模型的にはスプリングポイントという呼び名でもおなじみですね。

発条転てつ機は分岐器(ポイント)の線路をいつも同じ方向(定位)に開通させておくための装置で、分岐器の開通していない方向(反位)からやってきた列車は自らの車輪で閉じているトングレールを押し広げて進むことになります。
反位側からの列車が通り過ぎたあと、転てつ機に内蔵されたバネと緩衝器によって自動的に分岐器の開通方向は定位に戻ります。(もし反位側に列車を通したい場合は、転てつ機本体に設置されたハンドルを手で回して分岐器を切り替えます)
詳しくはウィキペディアの「分岐器#手動転轍器」の項目へどうぞ。

ちなみに転てつ機本体の上についている標識は分岐器の開通方向を示すもので、青い地色にSの文字が入った丸い標識が定位、黄色い地色に黒い線が入った矢羽状の標識が反位に開通していることを示します。
本来は標識のさらに上部に青色と黄色のランプで分岐器の開通方向を示す転てつ表示灯も設置されるのですが(下の写真参照)、この公園のものは失われています。

余談ですが、発条転てつ機の本体にはこの公園ではもはやお馴染みの(?)「株式会社三工社」の逆三角形マークが見られますね。
(株式会社三工社の発条転てつ機の製品ページはこちら)


(発条転てつ機の設置例、2017年1月・一畑電車一畑口駅)

発条転てつ機が設置された分岐器は主に列車本数が少ないローカル線区の行き違い駅などでよく見られ、上り・下りの列車が通るたびに分岐器を切り替えるのを省略するために設置されていることが多いようです。

(2023年10月追記)


(2023年8月撮影)
2023年に土台部分に新しく説明板が取り付けられたのでご紹介します。

発条転てつ器標識
発条転てつ器標識は、発条転てつ器(スプリングポイントともいう)に取り付けられ、線路の開通方向を表わします。
発条転てつ器は、列車がきまった方向だけしか運転しない箇所に設けられる特別の転てつ器で、列車の車輪がポイント部を通過することによって、自動的に転換しもとに戻るような強力なスプリングと油圧を組み入れた装置です。
(追記終わり)

さて次は、発条転てつ機の隣にある背の低い機器についてです。

これは「普通転てつ機標識」と呼ばれ、手動の転てつ転換器(転てつてこ)や動力式の転てつ機と組み合わせて用いられるもので、取り付けられた2種類の標識によって分岐器(ポイント)の開通方向を示します。


(普通転てつ機標識の設置例、2014年3月・吾妻線小野上駅)

車両の入換作業が行われる駅や操車場構内の分岐器に設置されていることが多く、青い地色に白い線が入った丸い標識が定位(いつも開いておく方向)、黄色い地色に黒い線が入った矢羽状の標識が反位(使うときだけ開く方向)に開通していることを示します。
本来は標識のさらに上部に青色と黄色のランプで分岐器の開通方向を示す転てつ表示灯も設置されるのですが(上の写真参照)、前述の発条転てつ機と同様にこの公園のものは失われています。


(転てつ表示灯が設置されていた頃の普通転てつ機標識、2018年8月)

実はこの普通転てつ機標識の転てつ表示灯はある時期まで残されていたのですが、最初に写真を撮影した2018年8月から2回目の2019年4月の間に撤去されたようです。この転てつ表示灯はかなり老朽化が進んでおり、例えば不意に地面に落ちてレンズが割れると危ないので、公園の大掃除などちょっとした整備のタイミングか何かの折に撤去されてしまったのでしょう。

(2023年10月追記)


(2023年8月撮影)
2023年に土台部分に新しく説明板が取り付けられたのでご紹介します。

普通転てつ器標識
分岐器は、一つの線路を二方路に分かれさせる線路の装置ですが、転てつ器標識はこの分岐器に取り付けられており線路の開通する方向を表わします。
標識の表示は円盤と矢羽板とを十字形に組み合わせ、夜間は燈を用い燈器のガラスの色が紫と橙黄色で区別しています。
(追記終わり)

最後に、何かを取り付けていたと思われる2本の柱と別の柱が設置されていたと思われる土台の穴について。
前述の3灯式信号機が取り付けられていた柱と同様、かつて何らかの信号機や標識などが取り付けられていたと思われます。
しかしながら、写真などの資料が見つからないので何が設置されていたかについては詳細不明です(汗)


(3進路用進路表示機の例、2019年8月・京都鉄道博物館)

自分のうろ覚えの記憶だと、これらのうち1本の柱には色の入っていないレンズ(白色灯)がたくさんついた信号機のようなものが設置されていたような気がするのですが、それはもしかすると場内信号機用の3進路用進路表示機だったのかもしれません。
(進路表示機についてはウィキペディア「日本の鉄道信号#進路表示機」をご参照ください)

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  • 各種レール展示コーナー

つづいて最初の写真の右側から3番目のブロックを見ていきます。 土台の上には6本のレールが並べられています。
この展示コーナーにしては珍しく(?)、ぱっと見で何が展示されているかが分かるところですね(笑)

並べられているこれらのレールですが、よく見てみるとそれぞれ断面の大きさが異なっています。
右端のものがもっとも細く、左へ向かうにしたがって次第に太い断面のレールになっていますね。

ここに展示されているいわゆる「普通レール」は断面の大きさによっていくつかの種類に規格分けされています。
その規格はレール1mあたり何kgの重さがあるかで区分されており「何kgレール」のように呼ばれ、1mあたりの重さが大きいレールほど断面が大きくなります。
線路を敷設したりレールを交換する際に、通過する列車の重量やスピードに応じて適した規格のレールが使われます。

レールの形状や規格についての詳細はウィキペディア「軌条」の項目へどうぞ。
またレールの規格分けと断面形状についてはウェブサイト「古レールのページ」さんの「普通レールの断面形状」というページ
(http://homepage-nifty.com/arashi/namarail/shapes.html)も参考になります。

さて、ここの土台には展示されているレールに関する解説が書かれていた表示板や、各レールの種類を示していた銘板が一部失われながらも残存していました。
しかしどれも表面が錆びきっており、おそらくペンキで書かれていたと思われる文字はほぼ判読不能でした。

 

当時の状態ではかろうじてレールの銘板は左から2番目のものが「50kgNレール」、右から3番目のものが「40kgNレール」と書かれているのが何とか読める程度でした(Nの表記は基本のレール形状から若干背を高くした改良形状を意味します)。

(2023年10月訂補・追記)


(2023年8月撮影)
2023年に土台部分に新しく説明板が取り付けられたのでご紹介します。
判読不能となっていた古い銘板は撤去され、代わりに設置された新品の銘板により展示されているレールの種類が判別できるようになりました。それによると、写真中の左から順に「60kgレール」、「50kgNレール」、「50kgレール」、「40kgNレール」、「37kgレール」、「30kgレール」の順に並べられています。

レール
レールの種類は通常、単位長さ当たりの重量を呼び名にして分類しており、国鉄で規格品として使用されていたレールは次の7種類です。
これらのうち、30kgレール、37kgレール及び50kgレールは古くから使われていましたが、昭和37年ごろから国鉄で新たに設計した40kgNレール、50kgNレールが採用され、在来線のレールの規格はこの2本立てとなっています。
(追記終わり)

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  • ポイントリバーS形転換器・転換鎖錠器・ATS地上子

最後に、最初の写真の右側から4番目のブロックを見ていきます。土台の上には何か角が生えたような平たい独特な形状の機器、丸い標識が付いた切り替えレバーのようなもの、白い小判形の物体と短いレールのセットが並べられています。

これらのうち、標識の付いたレバーは「ポイントリバーS形転換器」、角が生えたような平たい機器は「転換鎖錠器」と呼ばれるものです。
ポイントリバーS形転換器は手動の転てつ転換器の一種で、以前紹介したおもり付転換器の改良タイプに相当します。

おもり付転換器ではレバー本体に分岐器(ポイント)のトングレールを密着させるためのおもりが付いているため、分岐器を切り替える操作にかなりの力が必要となります。そこで、ポイントリバーS形転換器ではおもりを廃し、切り替え操作を軽く行えるようにしました。
ただし、このままだと分岐器が不意に切り替わらないようにトングレールを基本レールにしっかり密着させる機能がないので、その機能を担う装置として転換鎖錠器がポイントリバーS形転換器とセットで分岐器に設置されます。

転換鎖錠器の独特の形状の本体の中にはバネやクランクが収められていて、これらの働きにより転換鎖錠器から突き出したロッドと接続された左右のトングレールが不意に動かないように押さえる仕組みになっています。
また、分岐器の開通していない方向から車両が進入してきた場合、トングレールが押し広げられるのを許容する構造となっているので、分岐器や転てつ転換器に無理な力がかかって壊れないように保護する機能もあります。

よく見るとポイントリバーS形転換器と転換鎖錠器の両方に、やはり逆三角形の三工社マークが入れられていますね。
(株式会社三工社のポイントリバーS形転換器の製品ページはこちら)


(ポイントリバーS形転換器と転換鎖錠器の設置例、2019年4月・山陰本線香住駅)

ポイントリバーS形転換器が設置された手動切り替えの分岐器は、駅や車庫の側線などさまざま場所で見ることができます。
転換器に設置されている白黒塗りの標識は分岐器の開通方向を見分けるためのもので、上半分が白なら定位(いつも開いておく方向)、上半分が黒なら反位(使うときだけ開く方向)に開通していることを示します。
この公園での展示品はほとんど色あせて白い色が消えかかっているため、よく分からない黒くて丸い板となっていますが・・・。

鉄道公園ではよく分からない置物と化している転換鎖錠器も、香住駅の写真では分岐器の線路の内側に設置され、ロッドがトングレールと接続されている様子が分かるかと思います。


(ポイントリバーS形転換器と転換鎖錠器の設置例、2019年4月・若桜鉄道若桜駅)

若桜駅に設置されているポイントリバーS形転換器と転換鎖錠器は鉄道公園に展示されているものとは少し形状や標識の配色などが異なるタイプですが、機能的には同じものと思います。

シロウト目で見ると、分岐器を切り替えるためのレバーの見本という意味ではポイントリバーS形転換器だけが展示されていても不自然ではなさそうですが、この公園ではセットで分岐器に設置される転換鎖錠器もちゃんと一緒に展示されているあたり、分かってらっしゃるというか、さすが当時国鉄の協力を得て作った展示だけのことはあると思いました(笑)

(2023年10月追記)


(2023年8月撮影)
2023年に土台部分に新しく説明板が取り付けられたのでご紹介します。

ポイントリバー(S型)
おもり付きポイントリバーは、おもり(重錘)の力でトングレールを基本レールに密着させる方式で簡易な分岐器に設置されますが、ポイントリバー(S型)はこれを改良し、Y型クランクとスプリングを組み合わせトングレールの密着を確保するとともに鎖錠される機構となっています。

(追記終わり)

次に、土台の左端に置かれている白い小判形の物体と短いレールのセットですが、この白い物体は「ATS地上子」と呼ばれるものです。

そもそもATSとは自動列車停止装置のことで、端的に説明すると停止信号を見落とした場合やカーブなどで制限速度を超過した場合に自動的に列車に非常ブレーキをかける機構のことです。詳しくはウィキペディア「自動列車停止装置」の項目へどうぞ。

山陰本線や因美線などで列車に乗っていると「ジリジリジリ・・・」とか「キンコンキンコン・・・」という音が運転台から聞こえてくることがありますが、これはATSの機能により鳴動されているもので、ジリジリ音は停止信号接近に対する警報音、キンコン音は停止信号を確認しブレーキ操作後に運転士の注意を持続させるためのチャイムです。

ATS地上子はこのATSの機構において車両側のATS車上子と信号をやりとりするための装置となります。
この公園に展示されているものは国鉄時代に広く普及したATS-S形の地上子で、連動している信号機が停止現示のときに130kHzの高周波信号を発振するようになっています。
車両側がこの信号を受信するとATSの警報ベルが鳴り、5秒以内にブレーキを扱ってATS確認ボタンを押さないと非常ブレーキがかかる仕組みです。


(似たタイプのATS地上子の例、2019年7月・大井川鐵道千頭駅)

ちなみに展示されている地上子の脇に短いレールが添えられているのは、基本的にATS地上子が上の写真のように左右のレールの内側に設置されることを意味しているのだと思います。しかしながら2本で対になるレールが1本しか設置されていないので、説明なしにはその意図が伝わりにくいような気がしないでもないですが・・・。

さて、このATS地上子の裏手側には製造時の銘板が残されていたので記録しておきました。
表面がボロボロになっていて大変読みづらいですが、
「ATS-S形地上子S-1形、定格・共振周波数130KC、Q170、製造番号407282、
製造昭和40年7月、東京 株式会社三工社 幡ヶ谷」
とあります。(KC=kHz、Q=Q値、刻印の数字は一部推測)

やはり毎度お馴染みの株式会社三工社の製品です。この会社は当時の国鉄、少なくとも米子鉄道管理局には多数の製品を納入していたのでしょうか?
なおこの「ATS-S形地上子S-1形」は現在でも同社の製品ラインナップに存在しているようです(製品ページはこちら)。

(2023年10月追記)


(2023年8月撮影)
2023年に土台部分に新しく説明板が取り付けられたのでご紹介します。

地上子(ATS-S型)
ATSは停止信号を現示する信号機の手前の一定距離に列車が接近した場合、その列車の運転室の警報機が動作して乗務員に警告を与える装置で地上装置と車上装置に分かれます。
この地上装置が地上子で内蔵するコイルとコンデンサーの性能が変化しないよう、防水・防塵・耐震性の構造となっています。

(追記終わり)

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以上で鉄道公園の機器類展示コーナーについてのはなしは終わりです。

最初にも書きましたが、この記事を起こした当時は展示物の一部が壊れてなくなっていたり、これらが何なのかを説明する案内板がほとんどなくなっていたりと、なんだかよく分からない器具がぽつぽつと並べたれた謎の展示コーナーと化しているのが惜しかったです。
しかしながら、今となっては代わりの展示品を手配するのは容易ではないでしょうから、管理者の鳥取市としては壊れたものは撤去するなど危険がないように最低限の手入れはしたといった感じなのでしょうね。そんな状況の中で、失われたり老朽化したりした展示物の説明板が新しく設置されたことは喜ばしく、鳥取市は少しながらでもこの公園にまた光を当てつつあるのかもしれません。

次回はこの公園のシンボル的な地上時代の鳥取駅を再現したホームについて記事にしていこうと思います。
→展示物観察3:地上駅再現ホーム編へ(準備中)


気がつけば10年経ちました・・・

2019年07月31日 | その他いろいろ


(10年前の夏・・・ということで、2009年8月・若桜鉄道第一八東川橋りょう)

恐縮ですが、拙ブログ「いなば路快速の日記帳」は2019年7月末で開設10周年を迎えました。

10年前に初投稿した記事はこちら(中身のない記事ですが)

ご覧下さっている皆様にはこの場を借りましてお礼申し上げます。ありがとうございます。

10周年といっても、それ相応に記事の蓄積があるかというと全くそういうわけではございません(汗)

ここ数年はマイペースな筆不精に輪をかけて開店休業状態で、

続きものの話題も放り投げてたまに思い出したように投稿するような過疎ブログですが、

これからもこっそりひっそり文章を書き連ねていく所存ではございますので、どうぞよろしくお願いします。

なお最近はツイッター支所と称して、こちらも頻度は低いですが軽い話を時折投稿しておりますので、

気が向いたときにでもご覧いただければ幸いです。(プロフィール欄のツイッターアイコンにアカウント登録済み)


(おまけに10年前のなつかし車両、2009年8月・山陰本線千代川橋りょう)