市民意見広告運動事務局だより

9条の精神に立ちかえり、核のない社会を実現しよう!
5月3日の新聞に意見広告を載せよう! 

はだしのゲンを閲覧制限

2013年08月17日 08時57分34秒 | 事務局より
「はだしのゲン」を閲覧制限  中国新聞


 原爆の悲惨さを描いた漫画「はだしのゲン」の描写が過激であるとして、松江市教委が昨年12月、市内の小中学校に学校図書館での子どもの閲覧を制限し、貸し出しもやめるよう要請していたことが16日、分かった。出版物の表現の自由に行政が介入する異例の事態といえ、議論を呼びそうだ。

 「はだしのゲン」は、昨年12月に亡くなった広島市出身の漫画家中沢啓治さんの代表作。市教委が「子どもの発達上、悪影響を及ぼす」と判断したのは、汐文社(東京)発行の「はだしのゲン愛蔵版」1~10巻のうち、後半の6~10巻。中国大陸での旧日本軍の行動を描いたシーンでは、中国人女性の首を切ったり性的暴行を加えたりする場面があった。

 市教委によると、昨年12月に小学校全35校、中学校全17校を対象に開いた校長会で、本棚に置かず倉庫に収める「閉架」とするよう口頭で求めた。同時に、貸し出しもしないよう伝えた。作品を所有する各校は要請を受け入れ、閲覧を制限しているという。

 同市議会には昨年8月「子どもたちに間違った歴史認識を植え付ける」と主張する市民から、学校図書館からの撤去を求める陳情が提出されていた。だが市議会は同12月の本会議で、全会一致の不採択を決めていた。

 市教委の古川康徳副教育長は「歴史認識の問題ではなく、あくまで過激な描写が子どもにふさわしくないとの判断だ」と説明。「平和教育の教材としての価値は高いと思うが、要請を見直す考えはない」と話している。


事務局より

この記事のなかの、


 同市議会には昨年8月「子どもたちに間違った歴史認識を植え付ける」と主張する市民から、学校図書館からの撤去を求める陳情が提出されていた。だが市議会は同12月の本会議で、全会一致の不採択を決めていた。

市議会への陳情を全会一致で不採択としたのに、
教育委員会がそれをひっくり返したというのが不気味です。
松江市議会、そんなに無力なの? 
では、その処置を撤回する陳情をまた市民が出したらどうでしょう?

集団的自衛権と解釈改憲

2013年08月16日 14時04分18秒 | 事務局より
水曜日に放送されたTBSラジオ番組 セッション22のポッドキャストです。

憲法学者の木村草太さんのお話のなかで、自衛隊は合憲ということでしたが、
ブログ読者のなかには 違和感を感じる人もいるかもしれませんね。
これは、木村さんの研究対象としての日本国憲法と、国際法、国連憲章を照らし合わせたうえでの
判断だと思います。
意見広告では、 合同出版刊「武力で平和はつくれない」のなかで、自衛隊を合憲とする政府の主張に対して、異をとなえ、自衛隊は非武装の救命、救助の専門集団とする専門集団に改変することを提案しています。

ブログ担当者の個人的な意見ですが、憲法学の立場として、自衛隊が合憲かどうかという議論と、自衛隊が国の防衛に本当に役にたつのか(莫大な税金をつかうことにひきあうのか)とは、別の話ではないかと考えています。

2013年 安倍首相 全国戦没者追悼式式辞

2013年08月16日 07時02分28秒 | 事務局より
 天皇皇后両陛下の御臨席を仰ぎ、戦没者の御遺族、各界代表多数の御列席を得て、全国戦没者追悼式を、ここに挙行致します。

 祖国を思い、家族を案じつつ、戦場に倒れられた御霊、戦禍に遭われ、あるいは戦後、遠い異郷に亡くなられた御霊の御前に、政府を代表し、式辞を申し述べます。

 いとしい我が子や妻を思い、残していく父、母に幸多かれ、ふるさとの山河よ、緑なせと念じつつ、貴い命を捧げられた、あなた方の犠牲の上に、いま、私たちが享受する平和と、繁栄があります。そのことを、片時たりとも忘れません。

 御霊を悼んで平安を祈り、感謝を捧げるに、言葉は無力なれば、いまは来し方を思い、しばし瞑目し、静かに頭を垂れたいと思います。

 戦後わが国は、自由、民主主義を尊び、ひたすらに平和の道を邁進してまいりました。

 今日よりも明日、世界をより良い場に変えるため、戦後間もない頃から、各国・各地域に、支援の手を差し伸べてまいりました。

 内にあっては、経済社会の変化、天変地異がもたらした危機を、幾たびか、互いに助け合い、乗り越えて、今日に至りました。

 私たちは、歴史に対して謙虚に向き合い、学ぶべき教訓を深く胸に刻みつつ、希望に満ちた、国の未来を切り拓いてまいります。世界の恒久平和に、能うる限り貢献し、万人が、心豊かに暮らせる世を実現するよう、全力を尽くしてまいります。

 終わりにいま一度、戦没者の御霊に平安を、ご遺族の皆様には、ご健勝をお祈りし、式辞といたします。

平成二十五年八月十五日
内閣総理大臣 安倍晋三



事務局より

1993年の細川首相以来踏襲されてきたアジア諸国への加害責任について触れていません。
また、「不戦の誓い」という文言も使いませんでした。
歴代首相の式辞は首相官邸のHPでみることができます。

そのほかに新聞(我が家の朝日新聞しかチエックしていませんが)では取り上げていませんが、
「御霊」という言葉が4回登場しています。
また
 
御霊を悼んで平安を祈り、感謝を捧げるに、言葉は無力なれば、いまは来し方を思い、しばし瞑目し、静かに頭を垂れたいと思います。

の下りがとても気になる。
第一に、式辞とは言葉を使って表現するもの、政治家は言葉を使って自分の考えを表すべきものだと思うのですが、その人が自分から 「言葉は無力なれど」とは? 
第二 後半は、「今日、靖国神社にいきたかった」の言い換えかもしれないが、式辞としてはふわふわした印象。

この追悼式は 戦争で亡くなった方々へ、二度としません。と誓い、だからなんであのようなことになったのかをいつも考えますと、毎年決心しなおすためにあるのでは?
どうなの? 晋三さん。



学徒出陣70年記念・2013年  戦没学生遺稿遺品展

2013年08月15日 08時44分05秒 | 事務局より
昨日、浅田次郎さんの講演を聞きにいってきました。
お話はおもしろく、時に脱線しながらも、戦争とはどんなものであるのかを、小説を通して
伝えていきたいとの想いが伝わってきました。
浅田さんと、私はほぼ同年代、日本史上最も幸福な60年をばっちり生きてこられた世代。
その幸せが、どうやってもたらされたものなのかを、歴史を勉強して考えなければいけないのに
、日本史の授業がは不平等条約改正で終わってると。
ピースとハイライトの歌詞と同じですね。

♪教科書は現代史をやる前に時間切れ。そこが一番知りたいのに何でそうなっちゃうの?


会場となった江戸東京博物館の大ホールのロビーには 戦没学生遺稿遺品展が開催されていました。

ひとり一人の肉筆をひとつひとつ読んでいると、こみ上げてくるものがあり、気がつくと隣で読んでいらしたかたも、同じ。はなをすすりながら拝見してきました。

このイベントは昨日までですが、いつもは戦没学生遺稿遺品はわだつみのこえ記念館に展示されています。

お勧め、ラジオ番組

2013年08月14日 08時55分13秒 | 事務局より
今日のTBSラジオ、午後10時からのセッション22のメインセッションは、「集団的自衛権と解釈改憲」がテーマです。スタジオゲストは、首都大学東京准教授で憲法学者の木村草太さん。
ぜひ聞いてください。聞きのがしたひとには、明日、ポッドキャストのリンクをはります。

今日の朝日新聞より  赤坂真理さんの寄稿

2013年08月13日 18時32分27秒 | 事務局より
明治を、
取り戻すのか


今の憲法改革論はいかにも唐突だが、改憲派の主な論拠「アメリカによる押し付け憲法だから」は、以前からある。その同じ陣営が政策面では対米追従だったことはさておくとしても、そもそも、「憲法」という概念からして外からのものではないだろうか?

日本の歴史の悲しさの一つは、何かを内側から本当に欲する前に、外から受け入れざるを得ない状況になることだ。幕末に開国を強いられ明治に突貫工事で近代国家の体裁を整えたとき、政府は戦前の大日本帝国憲法をつくった。列強にあるから「Constitution」を輸入し、そこにさらに「憲法」と漢字を当てた。私も含めわかった気になっているが、本当はどれほどの日本人が「憲」の意味をきちんと言えるだろう?

私は十代の一時期をアメリカで過ごした。「君の名前をチャイニーズ・キャラクター(漢字)でどう書くの?」と同年代の少年に聞かれ、死ぬほどびっくりしたことがある。「漢字」は英語では「中国の文字」とずばり言う。言われてみればそうなのに、その時までわからなかった。わかるような教育も受けなかった。

日本の多くのことが、こういうふうである。せめて自国の歴史や言語の来歴は教えてほしい。それを教育というのではないだろうか?自分が現在だけにぽつんと置かれたようなよるべなさは、自尊心を蝕(むしば)む。

日本国憲法を読むなら大日本帝国憲法も読むのがいい。自民党の改正案も。

また外国の憲法にも目を通さなければ「憲法」の概念自体わからない。フランス革命の過程で王権に対抗するものだったから、今も国家権力抑止のためにある、とか。日本と同じ敗戦国で、対照的な戦後を歩んだドイツの憲法も興味深い。インターネットのある今日、大した労力ではない。

すべての議論は、こういう複数の憲法に触れることが学校教育でも行われてからだと思う。そして憲法に関する国民投票があるとき、小学校高学年くらいから子供にも投票権があるべきだ。変化の影響下を最も身をもって生きることになるのは、大人になる頃の彼らだから。

日本国憲法は、対極と思われる大日本帝国憲法と実は構成が似ている。自民党改正案にいたっては文言のトーンさえ大日本帝国憲法に似ている。国民が国家権力に対して抑止力を持つ憲法本来のあり方よりも、国家への「義務を負う」の文言が目立つところが。

「日本を、取り戻す。」という自民党のコピーがある。どんな日本を、かと思っていた。明治を、だとある時気づいた。二つの戦争に勝った「強い明治」。しかし明治とは、それまでの国も生活様式も、壊してつくったものではないのか。私たちは今でもそのひずみの只中にあると思うのだが。


(朝日新聞2013.8.13)

ウェブの記事より

2013年08月13日 18時27分59秒 | 事務局より
集団的自衛権対象を米以外に拡大 有識者懇、政府に提言へ

 安倍晋三首相が設置した集団的自衛権に関する有識者懇談会「安全保障の法的基盤の再構築に関する懇談会」(座長・柳井俊二元外務事務次官)が年内にまとめる報告書に、集団的自衛権を共に行使する対象国を米国以外に拡大する提言を盛り込むことが13日、分かった。複雑化する安全保障環境を踏まえ、政府が従来の考え方に縛られず、幅広く判断できるようにすべきだと判断した。

 座長代理の北岡伸一国際大学長が共同通信のインタビューで明らかにした。

2013/08/13 18:00 【共同通信】


もっと知りたい ニュースの「言葉」
集団的自衛権(2009年10月4日)同盟国などへ武力攻撃があった場合、自国が直接攻撃を受けていなくてもその攻撃を実力で阻止する権利。国連憲章51条は、自国への侵害を排除する個別的自衛権とともに集団的自衛権を主権国の「固有の権利」と規定。日本政府は国際法上、集団的自衛権を有することは当然としながらも、憲法9条が戦争放棄、戦力不保持を明記しているため、集団的自衛権行使は「わが国を防衛するための必要最小限度の範囲を超える」と解釈、行使は許されないとしている。



事務局より 蛇足?いわずもがな?

安倍晋三首相が設置した集団的自衛権に関する有識者懇談会「安全保障の法的基盤の再構築に関する懇談会」(座長・柳井俊二元外務事務次官)  
って、あくまでも私的諮問機関です。自分に近い意見の人を集めて、自分に都合のよい結論をだすための機関です。



安倍首相 発言録

2013年08月13日 18時26分28秒 | 事務局より
憲法改正は「歴史的使命」=安倍首相、地元会合で表明
時事通信 8月12日(月)21時1分配信
 安倍晋三首相は12日、山口県長門市内のホテルで開かれた自身の後援会主催の夕食会であいさつし、「憲法改正に向けて頑張っていく。これが私の歴史的な使命だ」と述べ、首相在任中の改憲実現へ決意を表明した。首相が「歴史的使命」との強い表現を用いて改憲への意欲を示したのは、昨年12月の就任後初めて。
 首相は参院選での自民党大勝を受けた先月22日の記者会見で、憲法改正について「腰を落ち着け、じっくり進めていきたい」と、時間をかけて合意形成を目指す考えを強調。その後も、憲法問題では慎重な発言が目立っていた。世論や公明党の反応を意識しているためとみられるが、12日は地元での「身内」の会合とあって踏み込んだようだ。 

学徒出陣70年記念・2013年  戦没学生遺稿遺品展

2013年08月12日 12時30分47秒 | 事務局より

場所はすべて 江戸東京博物館 ホール

8月12日 オープニング・映画上映 13:30より  ニュース映画「学徒出陣」1943年
                           新作「きけ、わだつみの声」1995年
                           「映画 日本国憲法」2005年
8月13日 映画・朗読・コーラス・講演
      10:30 「はだしのゲンが見たヒロシマ」2011年  
      18:30 講演「転機にたつ日本ー沖縄から見た安部政権」 新崎盛暉

8月14日 映画・後援
      10:30 学徒出陣 1943年 
      10:50 旧作 「きけ、わだつみの声」1950年
      14:00 講演 「終わらざる夏」をめぐって 浅田次郎

詳しくは 日本戦没学生記念会(わだつみ会)のHPでご覧ください。

ピースとハイライト

2013年08月11日 08時02分34秒 | 事務局より
サザンオールスターズの新曲、もうお聞きになりましたか?
ピースとハイライト。 いいですねえ。

♪ 希望の苗を植えていこうよ

 地上に愛を育てようよ

 未来に平和の花咲くまでは...憂鬱(Blue)

絵空事かな? おとぎ話かな?

お互いの幸せねがうことなど  ♪

 

サビの2行、反語になっているけど、「いいやそうじゃない!」って心でうたってる
ジャケットをみてなんかに似てるとおもったのですけど、
9条世界会議のキャラクターのきゅうとくんが9の字をかかえてたみたいに
虹が烏帽子岩をかかえてます。

 
ちなみに茅ヶ崎市のHPによれば
昔のえぼし岩は現在のものより先端部分がより烏帽子らしく西へ長く尾を引いていましたが、戦後、米軍の射撃訓練の標的にされ、その先端部分は消失し、わが町のシンボルを守るための市民運動が起き、訓練は中止されました。



長崎平和祈念式典 首相挨拶

2013年08月09日 12時47分09秒 | 事務局より
平成25年8月9日
長崎市原爆死没者慰霊式並びに平和祈念式あいさつ

 本日、被爆68周年、長崎原爆犠牲者慰霊平和祈念式典に臨み、原子爆弾の犠牲となった方々の御霊に対し、謹んで、哀悼の誠を捧げます。今なお被爆の後遺症に苦しんでおられる皆様に、心から、お見舞いを申し上げます。

 68年前の本日、一発の爆弾が、7万を上回る、貴い命を奪いました。12万人が暮らしていた家屋を全焼、全壊し、生き長らえた方々に、病と障害の、さらには生活上の、言葉に尽くせぬ苦難を強いました。

 一度ならず、二度までも被爆の辛酸を嘗めた私たちは、にもかかわらず、苦しみ、悲しみに耐え立ち上がり、祖国を再建し、長崎を、美しい街として蘇らせました。今日は、犠牲になった方々の御霊を慰めるとともに、先人たちの奮闘と、達成に、感謝を捧げる日でもあります。

 私たち日本人は、唯一の、戦争被爆国民であります。そのような者として、我々には、確実に、「核兵器のない世界」を実現していく責務があります。その非道を、後の世に、また世界に、伝え続ける務めがあります。

 昨年、我が国が国連総会に提出した核軍縮決議は、米国並びに英国を含む、史上最多の99カ国を共同提案国として巻き込み、圧倒的な賛成多数で採択されました。

 本年、若い世代の方々を、核廃絶の特使とする制度を始めました。来年は、我が国が一貫して主導する非核兵器国の集まり、「軍縮・不拡散イニシアティブ」の外相会合を、広島で開きます。

 今なお苦痛を忍びつつ、原爆症の認定を待つ方々に、一日でも早くその認定が下りるよう、最善を尽くします。被爆された方々の声に耳を傾け、より良い援護策を進めていくため、有識者や、被爆者代表を含む関係者の皆さまに、議論を急いで頂いています。

 長崎の御霊を悼む朝、私は、これら責務に、旧に倍する努力を傾けていくことをお誓いします。

 結びに、いま一度、犠牲になった方々の御冥福を、心よりお祈りします。ご遺族と、ご存命の被爆者の皆様には、幸多からんことを祈念します。核兵器の惨禍が再現されることのないよう、非核三原則を堅持しつつ、核兵器廃絶に、また、世界恒久平和の実現に、力を惜しまぬことをお誓いし、私のご挨拶といたします。

平成二五年八月九日
内閣総理大臣・安倍晋三


事務局より

広島での挨拶と比べてみよう。




長崎平和宣言

2013年08月09日 12時34分27秒 | 事務局より
平成25年長崎平和宣言

 68年前の今日、このまちの上空にアメリカの爆撃機が一発の原子爆弾を投下しました。熱線、爆風、放射線の威力は凄まじく、直後から起こった火災は一昼夜続きました。人々が暮らしていたまちは一瞬で廃墟となり、24万人の市民のうち15万人が傷つき、そのうち7万4千人の方々が命を奪われました。生き残った被爆者は、68年たった今もなお、放射線による白血病やがん発病への不安、そして深い心の傷を抱え続けています。
 このむごい兵器をつくったのは人間です。広島と長崎で、二度までも使ったのも人間です。核実験を繰り返し地球を汚染し続けているのも人間です。人間はこれまで数々の過ちを犯してきました。だからこそ忘れてはならない過去の誓いを、立ち返るべき原点を、折にふれ確かめなければなりません。

 日本政府に、被爆国としての原点に返ることを求めます。
 今年4月、ジュネーブで開催された核不拡散条約(NPT)再検討会議準備委員会で提出された核兵器の非人道性を訴える共同声明に、80か国が賛同しました。南アフリカなどの提案国は、わが国にも賛同の署名を求めました。
 しかし、日本政府は署名せず、世界の期待を裏切りました。人類はいかなる状況においても核兵器を使うべきではない、という文言が受け入れられないとすれば、核兵器の使用を状況によっては認めるという姿勢を日本政府は示したことになります。これは二度と、世界の誰にも被爆の経験をさせないという、被爆国としての原点に反します。
 インドとの原子力協定交渉の再開についても同じです。
 NPTに加盟せず核保有したインドへの原子力協力は、核兵器保有国をこれ以上増やさないためのルールを定めたNPTを形骸化することになります。NPTを脱退して核保有をめざす北朝鮮などの動きを正当化する口実を与え、朝鮮半島の非核化の妨げにもなります。
 日本政府には、被爆国としての原点に返ることを求めます。
  非核三原則の法制化への取り組み、北東アジア非核兵器地帯検討の呼びかけなど、被爆国としてのリーダーシップを具体的な行動に移すことを求めます。

 核兵器保有国には、NPTの中で核軍縮への誠実な努力義務が課されています。これは世界に対する約束です。
 2009年4月、アメリカのオバマ大統領はプラハで「核兵器のない世界」を目指す決意を示しました。今年6月にはベルリンで、「核兵器が存在する限り、私たちは真に安全ではない」と述べ、さらなる核軍縮に取り組むことを明らかにしました。被爆地はオバマ大統領の姿勢を支持します。
 しかし、世界には今も1万7千発以上の核弾頭が存在し、その90%以上がアメリカとロシアのものです。オバマ大統領、プーチン大統領、もっと早く、もっと大胆に核弾頭の削減に取り組んでください。「核兵器のない世界」を遠い夢とするのではなく、人間が早急に解決すべき課題として、核兵器の廃絶に取り組み、世界との約束を果たすべきです。

 核兵器のない世界の実現を、国のリーダーだけにまかせるのではなく、市民社会を構成する私たち一人ひとりにもできることがあります。
 「政府の行為によって再び戦争の惨禍が起ることのないやうにする」という日本国憲法前文には、平和を希求するという日本国民の固い決意がこめられています。かつて戦争が多くの人の命を奪い、心と体を深く傷つけた事実を、戦争がもたらした数々のむごい光景を、決して忘れない、決して繰り返さない、という平和希求の原点を忘れないためには、戦争体験、被爆体験を語り継ぐことが不可欠です。
 若い世代の皆さん、被爆者の声を聞いたことがありますか。「ノーモア・ヒロシマ、ノーモア・ナガサキ、ノーモア・ウォー、ノーモア・ヒバクシャ」と叫ぶ声を。
 あなた方は被爆者の声を直接聞くことができる最後の世代です。68年前、原子雲の下で何があったのか。なぜ被爆者は未来のために身を削りながら核兵器廃絶を訴え続けるのか。被爆者の声に耳を傾けてみてください。そして、あなたが住む世界、あなたの子どもたちが生きる未来に核兵器が存在していいのか。考えてみてください。互いに話し合ってみてください。あなたたちこそが未来なのです。
 地域の市民としてできることもあります。わが国では自治体の90%近くが非核宣言をしています。非核宣言は、核兵器の犠牲者になることを拒み、平和を求める市民の決意を示すものです。宣言をした自治体でつくる日本非核宣言自治体協議会は今月、設立30周年を迎えました。皆さんが宣言を行動に移そうとするときは、協議会も、被爆地も、仲間として力をお貸しします。
 長崎では、今年11月、「第5回核兵器廃絶-地球市民集会ナガサキ」を開催します。市民の力で、核兵器廃絶を被爆地から世界へ発信します。

 東京電力福島第一原子力発電所の事故は、未だ収束せず、放射能の被害は拡大しています。多くの方々が平穏な日々を突然奪われたうえ、将来の見通しが立たない暮らしを強いられています。長崎は、福島の一日も早い復興を願い、応援していきます。
 先月、核兵器廃絶を訴え、被爆者援護の充実に力を尽くしてきた山口仙二さんが亡くなられました。被爆者はいよいよ少なくなり、平均年齢は78歳を超えました。高齢化する被爆者の援護の充実をあらためて求めます。
 原子爆弾により亡くなられた方々に心から哀悼の意を捧げ、広島市と協力して核兵器のない世界の実現に努力し続けることをここに宣言します。

2013年(平成25年)8月9日
長崎市長 田上 富久


事務局より

今年4月の、ジュネーブで開催された核不拡散条約(NPT)再検討会議準備委員会で提出された核兵器の非人道性を訴える共同声明に日本が署名しなかっことに言及。
インドとの原子力協定交渉の再開についてもふれました。これは広島でも同じ。
原発事故にふれた部分は昨年より、後退した印象(私見です)。

被爆者代表のかたの挨拶、原発事故に触れ、「核と人間は共存できない」、平和憲法改変への危惧を表していたのが印象的でした。