外務省で高村外務大臣との面会を終えたケネディスクール一行はバスで自民党本部に向かいますが、僕はここでいったんみんなとお別れ。
昨年同様、日本滞在の締めくくりのイベント「Reception Party」の準備のため一足先に会場に向かいます。今年の会場は信濃町の明治記念館。
霞ヶ関から四谷、そして信濃町へと久しぶりに日本の電車に揺られていると、何が本当の現実なのか分からなくなるような不思議な感覚に思わず襲われている自分に気付かされます。
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授業準備や課題に追われる日々を一時離れ、ケネディスクールで出会った仲間たちと濃密な時間を母国で共有するという非日常性。一方で丸の内線のつり革につかまっているとなぜか現実に戻ったような感覚にもなる。
そう、確かにケネディスクールでの留学という2年間自体が、非日常的な日常に他ならない。そして、そんな日々も残り2ヶ月で終わろうとしている・・・
また、毎朝地下鉄に揉まれる日々が近づいているのか・・・
自分はこの2年間で何を学び、どう変わったのだろうか。日本はどう変わったのだろうか?
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「ドアが閉まります」
のアナウンスにはじかれて、知らず知らずのうちに浸っていた夢想を中断。宴の会場である明治記念館に向けて足を速めます。
明治記念館は本当に美しい場所。マネージャーが笑顔で迎えてくれながら説明をしてくれたところでは、会場となる部屋は普段は超人気で数ヶ月前に予約を入れないと企業等の宴会で一杯になってしまう場所なのですが、今回、僕たちが3週間ほど前に電話を入れる直前にたまたま別の企業からキャンセルの連絡が入ったため確保ができたとのことでした。
立派な扉を開けると、結婚式の披露宴の会場を思わせるような豪華なお部屋。しかも大きく開かれた窓からは日本風の庭園が広がり、灯篭の日が美しくゆれている。
これは本当に盛り上がりそうです!
7時前からOB・OGの皆さんが会場に駆けつけてくれました。
約40人の参加者たちもバスで到着し、いよいよパーティーがスタート・・・
と、思いきや何故か忙しい。。。
何故か、手が回らないくらい忙しい。
それもそのはず、何故か日本人の幹事が3人しかいない!
他の皆はどこへ??
実は後で聞いたところ、ずっと体調が優れなかった参加者の一人がとうとう高熱を出たとのことで、2人が虎ノ門病院に付き添っていき、もう一人は別件の残務処理に追われていたとのこと。
去年は14人で回したトリップだったのに、今年はその半分以下の6人。それなのに今年は初っ端から最後まで色々事件が起こり過ぎですな。
そんな6人の疲れを癒してくれるのが陽気な参加者の笑顔と「アリガトウ」の一言、そして、仕事も忙しい中続々と駆けつけてくれるOB/OGの皆さんの優しさです。そして、参議院議員で1994年にケネディスクールを卒業された先輩である林芳正先生の乾杯でレセプションが無事スタートしました。
また、今回思いがけないゲストとしてケネディスクールのAlumni OfficeのディレクターであるDebbie Metcalfeさんもアメリカから飛び入り参加。卒業後も続くケネディスクールの同窓会のネットワーク力と、日韓共催のトリップの趣旨に強く印象付けられた、とのことでした。
そして、先ほど官邸でお会いした大塚拓衆議院議員や、塩崎前官房長官も駆けつけてくれ、同窓会の皆さんから頂いた差し入れの日本酒「金婚」の鏡割りに移ります。
香ばしい木の香りがする杯に日本酒を注ぎ、改めて皆で乾杯。
美味しい酒を飲み交わし、ジョークを言い合い、そして将来の夢を語り合う楽しい時間は、本当にあっという間に過ぎていきます。(レセプションの様子は塩崎さんのウェブサイトや、KSG-Club of Japanのウェブサイトにも掲載されています)。
そしてレセプションが最高に盛り上がったのが、参加者からのサプライズ・バースデー・プレゼント。この日は、これまでJAPAN CAUCUSの会計担当として、様々な仕事を一手に引き受け、忙しい中責任を持って着実にこなして来てくれいていたシゲの誕生日だったのです。
実は、今朝、何人かの参加者から、
「YOICHIRO, 今日はシゲの誕生日だろ?巨大ケーキを用意して驚かせてやろうよ!」
ということで、急遽、明治記念館の担当の方に連絡すると、すぐに誕生日ケーキを手配してくれたという訳です。皆でハッピーバースデーを歌うなかで湧き上がる一体感。
このコミュニティー感覚と卒業まで続く人間関係こそが、トリップに参加した一人一人が得ることのできる最高の果実であり、また苦労してトリップを創ってきた僕たちにとっての最も嬉しい贈り物なのでしょう。
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こうしてあっという間に終わってしまったK-J TRIP2008の日本パート。今回は2度目でしたが、改めて日本について見つめ、考えるすばらしい機会になったのも事実です。
というのも、たった3日という短い時間ではありますが、参加者からの素朴な疑問や意見が、日本に住んでいると中々気づかない日本の魅力や強みを気付かせてくれるからです。
まず参加者が口をそろえて指摘するのが、東京と京都のコントラスト。
東京については、ニューヨークとは比較にならない程洗練され、また効率的である驚愕していました。その一方で京都には西洋には見られない伝統的な情緒が満ちている。この経済的な効率性と伝統・文化の調和が多くの参加者を驚かせ、また魅了していたようです。
これは昨年「Harvard 松下村塾」で「日本のソフトパワー」について研究していた際に、ソフトパワー論の生みの親、ジョセフ・ナイ教授と対談した際に頂いたコメント、すなわち、
「日本は、欧米以外で最初に経済の近代化を成し遂げ、敗戦後もすさまじいスピードで経済復興をとげ、世界の経済大国となった。同時に、欧米には決して見られない伝統や文化を保持している。
グローバル化の波の中で、各国が経済力の強化を競い合う一方、どの国も自国の独自性の維持に苦心している現在の世界の情勢の中で、普遍性と独自性とを併せ持つ日本の“サクセストーリー”は、多くの、特に発展途上国の国々を惹きつけるであろう、大いに語る価値のあるものではないか。」
とも一致します。
また、「日本人がみんなとても親切だった」という声もよく聞きました。
例えば今回、安い航空券が見つからなかったため、ボストンから中部国際空港に向かい、その後、日本人幹事が用意した「虎の巻」を使って自力で大阪まで向かった何人かの参加者は、あちこちで電車のホームや道を行き交う日本人に聞いて回ったそうです。
彼らが言うには、
「確かにみんな英語はあまりしゃべれなかたっけど、とにかく一生懸命に、何とかして助けてあげようとしてくれているんだな、ということがとても伝わってきた。」
ということでした。また、
「売店の店員さんに道を聞いたら、わざわざ店を出てきて、一緒になって地図を見て考えてくれ、図まで描いて丁寧に教えてくれたの。私は相当いろいろ旅行しているけど、ここまで親身に助けてくれる人が多い国ははじめて。」
と印象付けられていた参加者もいました。金閣寺やお寿司も、多くの外国人を惹きつける日本のすばらしい文化ですが、やはり一番大切なのは「人」なのでしょう。
身近にあるもので参加者を印象付けたものとして、昨年のトリップでは「ウォッシュレット」「音姫」がありましたが、今年の人気だったのはこちら。
何が珍しいかわかりますか??
僕も正直、最初みんなが何に驚いているか分からなかったのですが、どうもコンビ二に「温かい飲み物」のコーナーがあることに感動していたとのこと。確かにアメリカのコンビニや自動販売機には「あたたかーい」コーナーを見ませんね。
また、新幹線の車窓を見て、
「おい、山ばっかりだな。日本ってこんなに山が多かったの?」
という素朴な感想も。「産業・経済大国」日本のイメージからは、国土の7割が山脈地帯であるとはなかなか想像できないかもしれませんね。
こんな感じでハプニングと感動と、感謝が沢山つまったケネディスクールの仲間たちとの「日本を再発見する旅」も終わり。
K-J Trip 2008も折り返し地点を過ぎ、残りは韓国で思い切りリラックスして楽しむだけです!!